LPIC101とは、概要から未経験2週間で合格した勉強法までを解説

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こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

インフラエンジニアを目指す未経験者やIT初心者の方などが取得するLPIC試験の「LPIC-101」とはどのような内容、難易度で、どのような勉強法がスムーズなのでしょうか。

今回はLPIC101試験の概要から、未経験独学で、2週間で合格した勉強方法までを解説します。

目次

LPIC101試験とは

まずLPIC(エルピック)はLinux Professional Institute Certification の略であり、Linuxのプロフェッショナル認定を行う団体であるLinux Professional Institute (LPI)が認定する資格であり、LPIC level1は、サーバOSでもっとも大きなシェアを持つ「Linux」においての「システム管理」についての技術知識を問う資格です(一般的には、LPIC level1を取得することで、難易度の差はあれ、Linuxサーバの運用保守を任せられる知識レベルと捉えられる事が多いかなと思います)。

LPICはlevel1、level2、level3と、大きく3段階の難易度構成になっており、一番やさしいLPIC level1は「LPIC101試験」と「LPIC102試験」の両方に合格して、はじめてLPIC level1取得となります(LPIC101試験とLPIC102試験は分離しているので、別日に試験を受験することも可能です)。

特にLPIC level1は、インフラエンジニアやサーバエンジニアを目指す未経験者、IT初学者、Linuxをより勉強したいプログラマ等が取得することが多く、また監視オペレータからインフラエンジニアにステップアップしたい方が、最初に取得する資格ともいえるかと思います。

LPICはサーバOSにおいて、非常にメジャーかつ、ニーズもある資格であり、インフラエンジニアやサーバエンジニアの仕事をするのであれば、LPIC level1(可能な限りLPIC level2)までは取得する方が、その後の事を考えると良いかと思います。

では、LPIC101の合格率、難易度はどうでしょうか?

下記からは、合格率や難易度について説明します。

LPIC101の合格率、合格難易度

LPIC101の合格率は、正確には公表されていませんが、おおよそ50~60%前後と言われることが多いです。

合格率が50~60%程度だと「難しいのではないか?」と考える人も多いと思いますが、しっかり勉強すればIT未経験者でも問題なく合格する試験であり、LPIC101の合格難易度は、IT資格の中ではやさしいレベルです。

日本政府がIT能力を評価する「ITスキル標準(ITSS):難易度をレベル1~レベル7まで分類」においては、LPIC level1は一番やさしい「レベル1のエントリーレベル(IT企業における実務未経験者や新入社員など該当)」であり、IT未経験者や初心者が取得することが多い資格といえます。

ただし、LPICの試験はやや暗記項目が多く、暗記が得意な人は取得しやすい所があるかもしれません。

LPIC101の試験範囲

LPIC level1 101試験(Ver5.0)の試験範囲は、LPIC運営団体LPIのwebサイトにも記載がありますが、下記となります(試験範囲は変わる事がありますので、LPIのwebサイトを確認すると、間違いありません)。

■トピック101:システムアーキテクチャ

-ハードウェア設定の決定と設定

-システムの起動

-ランレベル/ブートターゲットを変更し、システムをシャットダウンまたは再起動する

■トピック102:Linuxのインストールとパッケージ管理

-ハードディスクレイアウトを設計する

-ブートマネージャをインストールする

-共有ライブラリを管理する

-Debianパッケージ管理を利用する

-RPMとYUMパッケージ管理を利用する

-仮想化ゲストOSとしてのLinux

■トピック103:GNUとUNIXコマンド

-コマンドラインでの作業

-フィルターを使用してテキストストリームを処理する

-基本的なファイル管理を実行する

-ストリーム、パイプ、リダイレクトを使用する

-プロセスの作成、監視、終了

-プロセス実行の優先順位を変更する

-正規表現を使ってテキストファイルを検索する

-ファイルの基本的な編集

■トピック104:デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準

-パーティションとファイルシステムを作成する

-ファイルシステムの整合性を維持する

-ファイルシステムのマウントとアンマウント

-ファイルのパーミッションと所有権を管理する

-ハードリンクとシンボリックリンクの作成と変更

-システムファイルを検索し、ファイルを正しい場所に配置する

https://learning.lpi.org/ja/learning-materials/101-500/

LPIC101は、上記の範囲から「60問」出題され、おおよそ65%の正答(60問中、約40問ほどの正答)で合格となります。

※LPICの得点計算は少々複雑ですが、簡単に言うと「200点~800点の間」で点数がつけられ、LPIC101は「500点以上で合格」となります。

また、受験時間は90分であり、60問を90分で解答すると考えると、「90分は短い」と感じるかもしれませんが、試験対策をしていると、そこそこ見た事があるような問題が出てくると思いますので、時間は結構余る傾向があると思います(私は50分くらい、時間が余りました)。

LPIC101の受験料

LPIC101の受験料は、15,000円(税別)です。LPIC102の受験料も同額の15,000円(税別)ですので、LPIC level1取得には、101試験と102試験の両試験を一発合格でも、30,000円(税別)が受験料として発生します。

金額としては高い気がしますが、エンジニアとして就業する場合は、LPIC取得は30,000円(税別)どころではない価値があると思います。

LPIC101の勉強時間・期間と、私の合格までの勉強時間・期間

LPIC101の勉強時間や期間は、人によって様々です。エンジニア経験があれば、短い勉強時間・期間で合格できると思いますし、完全に未経験であれば、少々長めの時間が必要になると思います。またLPIC101は暗記が多いので、暗記が得意な人や、短期集中の方が早く結果がでるかも知れません。

LPIC101の勉強時間は、一般的には、「エンジニア未経験者は、勉強時間50~100時間(2週間~2ヵ月程度)」、「日頃にLinuxを使っているエンジニア経験者は、勉強時間20~40時間(1ヵ月程度)」ぐらいと捉えられることは多いと思います。

参考程度までですが、非エンジニア(エンジニア経験無し)の私が、「50時間(2週間)の学習」でLPIC101を受験した際には、720点で合格できました。

もちろん、私よりももっと短時間(短期間)で合格できる人はたくさんいると思いますし、もっと時間がかかる人もいると思いますため、私のケースは参考程度としてください。

下記からは、LPIC101試験合格のための、おすすめの参考書、問題集や、私が行った勉強方法について説明します。

LPIC101のおすすめ参考書

Linux教科書 LPICレベル1 Version5.0対応

通称「あずき本」と呼ばれるLinuxの教科書であり、LPICを提供する「LPI日本支部の認定テキスト」です。LPICの出題範囲をカバーしており、知識を一通り学べる教科書だと思います。

値段は3,800円(税抜き)で少々高いですが、記載されている「試験直前チェックシート」と、問題数は少ないですが「模擬試験の問題」は、LPICの試験対策としては非常に有料だと思います。模擬試験は、本試験と難易度も近しく、的中率は高いと思います(私の試験時にも、そのまま出た問題が何問かありました)。

正直、「あずき本」はなくても、未経験でもLPIC101試験は問題なく合格はできると思いますが、「理解スピードを早めたい」、「実際の試験レベルの問題を、少しでも多く解きたい」という方には向いている本だと思います。

あずき本を買う程ではなく、わからない部分の理解を進めるために「無料の参考書を探している」という方は、下記のLinuCイージスで、無料で勉強をするのも良いと思います。

LinuCイージス

※LinuCイージス:https://www.infraexpert.com/infra/study10.html

LinuCイージスはLinuC試験の内容ですが、LPICとLinuCの問題は基本同じですので、LinuCイージスですと無料で勉強が可能です。ただし、試験範囲が多少変わる事がありますので、LinuCイージスで勉強をする際には、LPIC運営LPIのwebサイトを確かめながら勉強するとよいと思います。

※LPI 101試験範囲:https://learning.lpi.org/ja/learning-materials/101-500/

LPIC101のおすすめ問題集

おすすめの問題集は、下記の2つ(Ping-tとスピードマスター)です。下記2つがあれば、スムーズにLPIC101(LPIC102も含む)に合格できると思います。

Ping-t

kohttps://mondai.ping-t.com/

Ping-tは、LPICなどのIT資格を勉強できるweb問題集であり、実際Ping-tを使ってLPICを受験する人は圧倒的に多く、Ping-tだけでLPIC101に合格する人も多く、web問題集の中では一番メジャーといえると思います。

ただし、難易度はやさしい内容から難しい内容まで様々であり、あまり出題されないような問題も相応含まれるため(Ping-tのLPIC101試験の問題は、計720問あります)、基本的には「試験範囲の基本を学ぶ」という観点だと非常によい教材だと思います。

費用は、1ヵ月で2,400円(税込み)、2ヵ月で3,200円(税込み)で利用できますが、LPIC101試験は無料で使用できますので、LPIC101試験を勉強するのであれば、使わない理由はないとも思いますし、Ping-tは絶対に使った方がよい問題集だと考えています。

一方で、Ping-tは本試験であまり出題されない問題も相応含まれているかと思いますので、「頻出問題を見つけたい、絞りたい」という場合には、LPIC運営元のLPI日本支部の公式サイトの「主な知識分野」と「用語とユーティリティ」の内容と照らし合わせて、勉強すると、より効果的かと思います(「主な知識分野」と「用語とユーティリティ」以外の内容も一部出題がありますが、高頻度で出題されやすいかと思います)。

例えば、トピック103.1の「コマンドラインで作業する」であれば、公式サイトの「主な知識分野」と「用語とユーティリティ」は下記となります。

■主な知識分野

  • 単一のシェルコマンドと1行の連続したコマンドを使用して、コマンドラインで基本的な作業を実行する。
  • 環境変数の定義、参照、およびエクスポートを含むシェル環境の使用と変更。
  • コマンド履歴の使用と編集。
  • 定義されたパスの内側と外側のコマンドを呼び出す。

■用語とユーティリティ

  • bash
  • echo
  • env
  • export
  • pwd
  • set
  • unset
  • type
  • which
  • man
  • uname
  • history
  • .bash_history

https://learning.lpi.org/ja/learning-materials/101-500/103/103.1/

上記は頻出分野ではないかと思いますし、「用語とユーティリティ」の部分は、コマ門対策になるとも思います。

Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集 Version5.0対応

通称白本と呼ばれる問題集であり、難易度は少々高く、本試験の内容よりも難しいくらいだと思います。ただし、本試験レベルに慣れる必要もあると思いますし、的中率も非常に高いので、問題集の重要度の★★~★★★だけは、2回程度はやるべきかと思います(白本の問題に慣れておけば、本試験は簡単に感じるかもしれません)。

また、個人的な印象として、短期間で効率よくLPICに合格したいのであれば、白本(スピートマスター)は使った方がよい問題集だと思います。

下記からは私が実施したLPIC101の勉強法を記載します。

LPIC101の勉強法

私は50時間(2週間)の勉強計画を立て、おおよそ下記で勉強をすすめました。

■すすめ方:

・Ping-tの問題の解説のポイントを、ノートに書いてまとめる

・Ping-tの解説を読んでも、よくわからない所を、あずき本で理解

・Ping-tの問題を解く

・まとめたノートを読む、覚えていない所を、再度メモ書きに書いて覚える

・あずき本の「試験直前チェックシート」と「模擬試験」、スピードマスターの「問題の重要度★★と★★★」を解く

※Ping-tのコマ門(記述問題)は、やっていません

私は市販のノートを使いましたが、PCやスマホなどを使ってもよいとは思います。ただ、私の場合は、「手を動かして書かないと、暗記ができないタイプ」だと思っていたので、私はとにかく書いて覚えていました。

作ったノートは計35ページで、下記のような感じです(字が汚くて恐縮です)。

※「自分が作ったノートの内容を覚えれば、絶対に合格する(試験内容の7~8割は、ノートから出題される)」と思いながら、ノートを作っていました。

また、おおよそ使った時間としては、下記になると思います。

・あずき本:8時間程度

・Ping-t:34時間程度

・スピードマスター:8時間程度

※「50時間で受験する」と決めていたので、あまりよろしくはない勉強の仕方かもしれませんが、実機は使わずに勉強しました。

LPIC101の勉強法を振り返る

再度私がLPIC101を受験するとするのであれば、試験勉強は「あずき本」、「Ping-t」、「スピードマスター」の3つを使うと思います(この3つの組み合わせが、最短で合格できると考えています)。

また、あずき本にも、Ping-tにも、スピードマスターにもメリットデメリットはあると思いますが、特に下記が大きなメリットだったと感じています。

・あずき本:

全体の理解が深まったのも事実ですが、「試験直前チェックシート」と「模擬試験」はとても有益でした。特に、「試験直前チェックシート」を覚えておけば、Ping-tのコマ門を使わなくても問題ないと考えました。

・Ping-t:

Ping-tの解説をノートにまとめることで、基本的な知識を広くカバーすることができたと考えており、試験対策として非常に役に立ちました。

・スピードマスター:

本試験のレベルに慣れることができかつ、私の場合は、スピードマスターの内容と同じもしくはほぼ近しい問題が、本試験でも3割くらい出題があり、1~2回くらい問題を解いておくだけでも有益だと考えました。

また、振り返って考えると、私の場合はPing-tに時間を取られ過ぎた印象があり、再度LPIC101の受験を受けるとすると、50時間勉強すると決めずに、もう少しポイントを絞って勉強すれば、更にスムーズだったと考えています。

※ただし、ポイントを絞るといっても、あずき本などに載っている「重要度1~5」(下記画像)については、絞らずに、全て勉強することをおすすめします(重要度1や2も、普通に試験に出ると思います)。

さいごに

LPIC101は、初級IT試験ではありますが、未経験者には相応難しい試験だとも思います。「絶対に合格する」と決め、「1日、週に何時間勉強する」と決めて試験に向き合わないと、未経験者だと心が折れる人も多い印象です。

ただし、勉強をすれば、未経験者でも、暗記が苦手な人でも、合格できる試験だと思いますので、LPIC101受験者の方の参考となれば幸いです。

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