非公開求人とは何でしょうか?詳しく教えて下さい

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【ご質問内容】

目次

以前から「非公開求人」といった広告を良く見かけます。
「非公開求人多数」という転職エージェントに非公開求人を教えてもらうために伺ったのですが、エージェントからもらった求人票に「非公開求人」と記載があるだけで、ほとんどの求人が会社ホームページでも記載されていました。
非公開求人とは何でしょうか?

質問の回答者

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キャリアアドバイザー 角田 壮史

キャリアアドバイザー歴13年。大学卒業後、外資系メーカーに入社し、その後人材サービス会社のインテリジェンスにてIT業界の中途採用支援を行う。IT、通信、コンサルティングファーム、インターネット業界を中心とした転職支援を行っており、 得意職種はコンサルタント、アプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、社内システムエンジニア。

【転職エージェントの答え】

転職エージェントが使う「非公開求人」という言葉には、惑わされない方が良いでしょう。
広告でよく「非公開求人」とありますが、世の中にそんな美味しい話ばかりある訳ではありませんし、「非公開求人=お宝求人」ではありません。
非公開求人も、ほとんどが公開されている求人であり、本当の非公開求人は少数です。

非公開求人も、実は公開されている?

非公開求人とは、普通に考えると「世の中に公開されていない求人」のように聞こえますが、実際は募集企業のHPに掲載されている事がほとんどですし、本当の意味での非公開求人は、ことIT業界のエンジニアポジションに至っては、数%あるか無いかではないでしょうか。

「非公開求人が転職成功のポイントである」、とアピールする会社はありますが、中途採用、転職に関わる業界に勤めるも者として、私の考えとしては、そのようなアピールをする会社は、極めてイケてないと思っています。

非公開求人を行う本当の理由

非公開求人を行う理由として、応募が殺到する事を避けるためであったり、新規事業のため同業他社に募集を知られたくないためであったり、という話を転職エージェントはする事が多いですが、実際はそのような理由で非公開求人にする事は、ほとんどありません。

確かに応募が殺到すると、大変な採用オペレーション工数が掛かりますが、どこの会社も「会社の発展には良い人材が必要」と考えていて、「良い人材を採用したい」と志向している中、「良い人材を採用するための必要労力」を惜しむと思えますか?
採用オペレーションもお金を払えばアウトソーシング出来ますし、お金を節約するあまりに、良い人材を採用出来ないようであれば、本末転倒とも言えるでしょう。
ただし、募集枠が1名枠の場合には、応募が殺到する事を避けて、良さそうな候補者を4~5名面接し、1名採用するという考え方はありますが、エンジニアの募集は、社内情報システム部門以外は、ほとんど1名枠ではないはずです。
ただ、社内情報システム部門に関しては人気職種のため、HPに掲載しただけでも応募者が確保出来たりする事もあるので、ほとんどHPには載っています。
これは本当の意味での非公開求人と言えないと思います。

また、新規事業に携わって頂くために求人を非公開にする、という話ですが、新規事業にすぐ携わってもらえる人を、どこの会社も外部から中途採用すると思いますか?新規事業は入社したばかりの人材に任せても、なかなかうまく行きません。
新規事業は社内の人間でさえも何をやっているのかが良く分からないポジションのため、転職をしてきた人にすぐ任せるのは、大変なプレッシャーですし、入社したばかりの人材が社内のリソースを十分に活用する事には一定のハードルがあります。
基本的には、社内の一定評価をもらっている人材に裁量権を持たせかつ会社からもサポートを行わないと、成功率は低くなる事が明らかであるため、一部例外はありますが、基本的には新規事業における社外人材の招聘は極めて少ないと考えた方が良いと思います。

ただし、Web系エンジニアの場合は、社内にエンジニアが居ない会社の場合は、CTO候補のような立ち位置で、このような新規事業を即お任せする事が発生する事はありますが、これは社内に必要な知見を持った人材がいない場合に限ります。

あえて、稀にある本当の非公開求人は「部長以上クラスのポジション」と「人事採用ポジション」のリプレース(退職して欲しい人材のポジションで他の方を採用し、チェンジする事)もしくは退職者補填くらいではないでしょうか。
役職者クラスの募集は、求人が公開されると、会社の信頼性を損ねかねないため、募集の仕方は極めてセンシティブです。
また、リプレースの場合は、退職して欲しい人材に知られたくないため、求人は公になりません。

どちらにしろ、本当の非公開求人は、それ程多くなるはずがありません。
ゆえに、「非公開求人多数と聞いたので、お宝求人がありそうだ」と考える方も多いですが、転職エージェントの甘い言葉に誘われない方が良いでしょう。
実状は大きく乖離しています。

では、募集企業のHPに掲載されていない求人は、非公開求人なのか?というと、これは一理あります。
普通はエンジニア採用の場合は自社のHPに掲載するのですが、HPに掲載しない場合もあります。
ただ、HPに記載しない一番の理由は、HPの載せても反応が無い求人のためです。
例えば、知名度があまりない会社が「SDNの経験者」、「ビッグデータの経験者」などを採用しようとしても、まず採用出来ません。
HPに載せても反応が無いとわかっているため、HPに載せないというのが多いです。

あわせて、求人サイトなどで「企業名:非公開」と記載がある求人がありますが、これも純粋な非公開求人ではありません。
これは募集企業が転職エージェントに「求人サイトに当社の求人を社名入りで掲載する事」を許可していないだけであり、ほぼ企業のHPには掲載されているはずです。
これは、様々な求人サイトに自社の求人が掲載される事で、「この会社はどこの求人サイトにも常に求人を掲載しているので、ブラック企業ではないのか?」と思われたくないため、が一番多い理由でしょう。
次点としては、誤った情報(アップデートされていない過去の情報含む)を掲載されたくない、といったリスク管理の部分が理由かと思います。

非公開求人の実状

非公開求人を転職エージェントが作る事は、実は簡単です。
HPに載っているような求人でも、全ての求人票に勝手に「非公開求人」と記載しているどうしようもない会社もありますが、そのような会社の非公開求人は省いたとして、例えば企業側人事に「30~35歳のインフラからアプリまで分っているPM、PL経験者欲しいですよね?」「セキュリティコンサルタントやデータサイエンティスト欲しいですよね?」「BASIS経験者欲しいですよね」などと企業採用担当に聞けば、「それは欲しい」となる訳で、これで非公開求人の出来上がりです。(これは大手転職エージェントであれば、結構やっている事だと思いますし、私も昔に大手転職エージェントに勤務していた時にやっていましたので、多いと思います。
大手だと、自分が取り扱う求人の数を増やす事も一つの評価基準となっていたりするので、決まらない求人でも増やしたいと考えたりもします。)

そして、求人票の必要経験を少し易しく書いていて、非公開求人と記載してWebに掲載すれば、多少なり人は集まってくる訳です。
これが世の中の非公開求人の大多数を占めていると考えて良いと思います。
ただし、その非公開求人に応募しても、選考に合格するかどうかに関して言うと、難易度はかなり高いです。
本当の実力者であれば企業側は採用しますが、その企業側の期待値に届く方は稀でしょう。

補足としてですが、経験がある転職エージェントは、転職を考えている人の職務経歴の確認と、十数分話しただけで、おおよそどの求人であれば書類通過するのか、内定するのか、どこを修正出来れば通過率が変わりそうか、修正前と修正後の通過確率まで感覚値でおおよそ分かります。
たまに外れる事はありますが、意外におおよそ外れないのが事実だと思います。
また、これが出来ない転職エージェントは、個人的には使えない転職エージェントと考えます。

また、非公開求人か否かを判断するためには、転職エージェントから非公開求人を出された場合、「御社の非公開求人に認定する基準は何でしょうか?」と聞けば良いでしょう。
曖昧な返答を返す転職エージェントは、信頼性に欠けると考えます。

個人的には、偽物の非公開求人が世の中から無くなる事を希望しています。

以上、ご質問者様の参考になれば幸いです。

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