こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
現在のIT業界では、インフラエンジニアの需要はますます高まっています。
その中でも「上流工程」と呼ばれる役割は、単なる技術者の枠を超えた重要なポジションを担うため、豊富なスキルと経験が問われます。
上流工程は、ITプロジェクトの成否を左右する重要な業務です。特に、上流工程ができるインフラエンジニアは圧倒的に不足しており、市場価値が非常に高い存在とも言えます。
また、上流工程にキャリアアップすることで、市場価値の向上から、大幅な年収アップ、キャリアの安定性などを得ることができるでしょう。
この記事では、インフラエンジニアの上流工程の仕事内容や、運用から構築へのキャリアアップの仕方、必要となるスキルや知識、キャリアパスやロードマップなどを説明していきます。
上流工程に興味を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
インフラエンジニアの上流工程とは
インフラエンジニアの上流工程は、プロジェクトの方向性を決定する重要な役割があります。また技術力だけでなく、顧客のニーズや課題に対応するビジネス視点も求められます。
あわせて、上流工程に進んでいくことで、キャリアアップや年収の増加、やりがいがある仕事への挑戦が可能になると言え、上流工程は、多くのインフラエンジニアのキャリア目標となっています。
ここでは、インフラエンジニアの上流工程について、説明していきます。
上流工程と、下流工程の仕事内容は?どこで切り分ける?
インフラエンジニアの仕事は、大きく「上流工程」と「下流工程」に分けられます。また、一般的には「構築」以上の工程を、「上流工程」とみなすことが多いです。
詳しくは、下記図を見てください。構築以上が「上流工程」であり、運用以下が「下流工程」と言われます。
ただし、会社によっては、設計以上を「上流工程」と指すこともあります。ゆえに明確な切り分けがある訳ではありませんが、構築以上を「上流工程」と考えても、問題ありません。
■上流工程と下流工程の、一般的な切り分け方:
・上流工程:要件定義、設計、構築
・下流工程:運用保守、監視・サポート
上流工程では、顧客の要望を明確化し、システムに落とし込みながら、プロジェクトの方向性を決めていく必要があるため、インフラ全般の幅広い知識や、豊富な経験が求められます。
また、上流工程に進むと、技術的なスキルだけでなく、顧客との折衝能力やプロジェクト管理力も重要となっていき、求められるスキルが変わっていきます。
以下からは、上流工程の「具体的な仕事内容」を説明していきます。
上流工程の仕事内容:要件定義
要件定義は、顧客のニーズを引き出し、まとめる業務です。顧客の業務内容や課題をヒアリングし、システムに求められる機能や性能を明確にしていく仕事です。
具体的には、システムの目的や機能要件、非機能要件を整理しながら、予算やスケジュール、セキュリティ要件などをまとめ、顧客との合意形成を行う業務となります。
この段階であいまいな点を残すと、後の工程で手戻りが発生するなど、進捗の遅れや工数増加にもつながるため、プロジェクト全体に影響を与えてしまう業務です。もっともスキルと経験が求められる仕事です。
上流工程の仕事内容:基本設計
基本設計は、システムの大まかな構造を決める業務です。要件定義で洗い出した顧客のニーズを元に、システム全体の設計を行います。
具体的には、使用するサーバーやソフトウェア、ネットワークの構成、クラウドサービスの選定、冗長化の設計、パフォーマンス要件やセキュリティポリシーの策定などが行われます。
基本設計では、技術的なスキルのみでなく、顧客とのコミュニケーション力なども求められ、プロジェクトの成否を大きく左右する工程です。また、豊富な経験が求められる仕事です。
上流工程の仕事内容:プロジェクト計画の作成、顧客折衝
プロジェクト全体の計画を立てることも上流工程の仕事です。スケジュールやリソースの割り振りや、必要となるコストの計算を行っていきます。
また、顧客の要望を正確に理解しながら、技術的にできること・できないこと、コストとのバランスなどを説明することも大事な仕事です。また、技術的な難易度をわかりやすく説明するスキルも求められます。
上流工程の仕事内容:詳細設計・構築
詳細設計や構築は、上流工程と言わない場合もありますが、ここでは「詳細設計・構築は上流工程」とみなし、説明していきます。
詳細設計は、基本設計で決定したシステムの構成を、さらに詳しく具体化する仕事です。例として、サーバーやネットワークの設定内容や、機器の接続方法などを明確に、ドキュメントにする仕事です。
また構築は、詳細設計に従って、実際にシステムを組み上げる作業です。サーバーのインストールや設定、ネットワーク設定、セキュリティ設定などが含まれます。
クラウド環境をを利用する場合は、AWSやAzureを使用して、仮想サーバーやネットワークを設定する作業も、構築に含まれます。
■関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容をわかりやすく、具体的に解説
上流工程の将来性と需要
上流工程は、ITプロジェクトの成功を左右する重要な仕事です。ITプロジェクトを成功に導く人材は、どの会社も欲しいため、インフラエンジニアの上流工程は、将来性や需要の高さが際立つ分野と言えます。
特に、クラウド技術やセキュリティ対策が求められる中で、顧客の課題を技術的に解決できる人材は、非常に重宝されます。
また、システム全体を理解し、顧客との折衝やプロジェクト管理も行えるエンジニアは、単なる技術者の枠組みを超えた「戦略的パートナー」と言える価値を持ち、より高い評価を受ける存在です。
今後もIT市場の拡大とともに、上流工程に携わるインフラエンジニアの需要は増え続けると考えられます。
特に、コミュニケーション力やチームリードのスキルも合わせ持つエンジニアは、大きく不足しています。このようなスキルと経験を持つ方は、キャリアアップや転職市場でも有利な立ち位置を築けるでしょう。
上流工程の年収
インフラエンジニアという職種は実力主義です。ゆえに、高いスキルや豊富な経験が求められる上流工程ができることで、年収は大きく高まっていきます。
一般的に、運用保守や監視といった下流工程に比べ、上流工程の年収は高く設定されます。上流工程のインフラエンジニアの平均年収は600-800万円、プロジェクトマネージャなど更に責任の大きなポジションでは、1000万円を超えることもあります。
具体的なモデル年収としては、工程によって異なりますので、下記図を参照してください。
インフラエンジニアの年収は、「構築ができる」ことで大きく上がります。また「基本設計ができる」ことで、さらに大きく上がると考えてください。
上流工程に夜勤はあるの?
インフラエンジニアの上流工程は、監視業務でよくある「夜勤シフト」はありません。
上流工程では、要件定義や基本設計、プロジェクト計画の立案など、顧客やチームとの打ち合わせが中心であり、昼間の稼働が中心となります。ゆえに、夜勤シフトが求められることはありません。
ただし、上流工程のインフラエンジニアでも、プロジェクトのスケジュールや、緊急のトラブル対応などによって、夜間作業が発生することはあります。
上流工程に進むと、夜間業務の頻度は大きく減りますが、切り替え作業など、顧客に影響を与えない夜間帯に作業を行うことがあります。ゆえに、上流工程のインフラエンジニアでも、柔軟に対応する姿勢は求められます。
上流工程に進むには、何年必要?
インフラエンジニアが上流工程までに進む期間は、勤務する会社、それまでの仕事内容、習得したスキルや資格、年齢などによって異なりますが、一般的には2-5年程度が目安です。
この上流工程に携わるまでの期間で、下流工程(運用保守)の実務や自己学習を行いながら、インフラの基礎知識を身につけていくことが重要です。
大枠のキャリアロードマップのイメージでは、下記図のようになります。
一般的には、構築に携わることができるのは、2年後以降が多いでしょう。しかしタイミングは、人によって大きく異なるのが事実です。
構築業務に携わるタイミングとしては、早い人では未経験からでも最初から携わることはあります。また、構築に進むためのスキル習得状況が良好であれば、1年で構築に携わる人も多いです。
ただし、設計業務に携わるタイミングは、少々時間がかかります。
設計業務は、構築業務を複数経験してステップアップする必要があるため、まずは構築から学ぶのが必須です。構築業務の中で、設計書の作成やインフラの構成要素を理解し、プロジェクト全体を見る目が必要となります。
ゆえに、設計業務は「構築経験から2年以降が目安」でしょう。ただし経験年数はあくまで目安であり、自分から積極的に上流工程に関わる準備を行いながら、機会を探すことで、より早くステップアップすることも可能です。
インフラエンジニアの上流工程に、必要なスキル・知識
インフラエンジニアが上流工程に進むためには、まずは技術力が必要です。技術力を高めることができないと、構築業務に携わるのは難しいと言えます。
また構築業務から、さらに上流工程に進むには、技術力だけではなく、プロジェクト全体を把握する力や、顧客とのコミュニケーション力など、幅広いスキルが求められていきます。
ここでは、上流工程に求められる、様々なスキルや知識を説明していきます。
上流工程に必要なスキル①:技術的なスキル・知識
上流工程に進むためには、まず構築業務を行うための技術的な基礎スキル・知識が必要です。ここでは、構築を行うために必要とされるスキルや知識を説明します。
まず必要とされるのは、サーバーのスキルや知識です。LinuxもしくはWindows Serverの基本操作、ユーザー管理、パーミッション設定、ストレージ構成などにおける知識を学ぶことが必要です。
あわせてサーバー仮想化(VMware、Hyper-Vなど)やクラウド環境(AWSやAzure)における経験や知識があると、さらに強みとなります。
また、ネットワークのスキルや知識も必要です。TCP/IPやサブネットマスク、ルーティング、スイッチング、ファイアーウォール設定など、ネットワークの基礎知識も学ぶことも重要です。
その他、セキュリティの知識も重要です。データ保護やアクセス管理、ネットワークセキュリティの基礎などの知識が大事です。上流工程ではセキュリティを考慮した設計が求められるため、基礎を学ぶことが重要です。
上流工程に必要なスキル②:ドキュメント作成力
上流工程では、顧客との打ち合わせ内容や、設計内容をドキュメントとして文書化するスキルが求められます。
例として、基本設計書や詳細設計書などを作成する際に、情報を正確にまとめる力が必要です。また要件定義書を作成するために、顧客の要望や課題を整理し、具体的なシステム要件に落とし込むスキルも大事です。
上流工程では、技術的なスキル以外に、ドキュメントの作成力も重要なスキルです。
上流工程に必要なスキル③:コミュニケーション能力
上流工程では、顧客やプロジェクトチーム内で、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション力も求められます。
具体的には、顧客の要望を正確にヒアリングし、技術的な制約やコスト面について、適切に説明する力や、問題解決型の提案スキルも重要です。
あわせて、プロジェクトメンバーとの意見交換やスケジュール調整を行う際に、チームリードできる力も重要とされます。
上記のように、上流工程では、技術スキルのみでなく、コミュニケーションを用いて調整を行う力も重要です。上流工程では調整業務の比重が大きく増えていきます。
上流工程に必要なスキル④:プロジェクト管理スキル
上流工程では、プロジェクトの進捗やコストを管理するスキルも求められます。
具体的には、プロジェクトの各工程を適切にスケジューリングし、納期に間に合わせる「スケジュール管理」や、システム設計や構築に必要なコストを見積り、予算内に収める「コスト管理」も重要です。
あわせて、プロジェクト管理を行う上で、発生する可能性がある問題を事前に予測し、対応策を用意する「リスク管理」の必要です。
以上のように、上流工程に必要なスキルは様々です。構築業務は技術力が重要ですが、設計業務以上では、技術力や経験にくわえ、顧客との折衝能力やプロジェクト管理スキルなど、幅広いスキルが必要です。
これらのスキルは日々の業務を通じて身に付けられる部分も多いため、現在の業務に取り組みながら、ステップアップを意識することが大切です。
インフラエンジニアが上流工程に進むために、役立つ資格
インフラエンジニアが上流工程に進むためには、技術スキルから、顧客との折衝力やマネジメント力など、多様なスキルが求められますが、最初に意識して身につけるべきスキルは「技術スキル」です。
特に、技術スキルを身につけるためには、資格取得は非常に効果的です。資格は、スキルの証明として役立ちますし、また上流工程で役立つ知識を体系的に学ぶきっかけにもなります。
ここでは、上流工程へキャリアアップするために役立つ資格を紹介していきます。まずインフラエンジニアにおすすめの資格は、以下画像です。
■インフラエンジニアのおすすめ資格:
・赤星&赤枠:是非ともとるべき!
・赤枠:非常におすすめ!
・赤点線枠:おすすめ
・枠無し:あれば尚可
上記図の赤星マークである「CCNA」、「LPIC/LinuC-1」、「LPIC/LinuC-2」、「AWS SAA」は、インフラエンジニアとしてキャリアアップを考える場合は、全ての取得が望ましい資格です。
これらの資格は、ネットワークとサーバー、クラウド分野における、基礎的かつ実務に直結する知識を証明するものです。また、取得することで、幅広いスキルセットを身につけることもできます。
もし、これらの資格を全て取得して、インフラ構築に携われないのであれば、勤務する会社に見切りをつけて、転職する方がよいでしょう。インフラ構築や設計に携わるための、十分な資格と言えます。
また、以下からは分野別に、構築経験を積むためのおすすめ資格を、具体的に説明していきます。
サーバー構築に進むなら、LPIC/LinuC-2
サーバー構築を目指す場合、「LPIC-2」や「LinuC-2」の資格に価値が生まれます。この資格は、Linuxの中級レベルのスキルを証明でき、またサーバー構築運用の実務に役立つ知識を、体系的に学べる点が魅力です。
LPIC/LinuC level2では、容量計画のトラブルシューティングから、サーバー・ネットワークの設定、sambaなどを学べ、インフラエンジニアとして構築へのステップアップを目指せる資格です。
また、LPIC/LinuC level2の取得者は、level1の取得者と比較し相応減るため、他のエンジニアと差別化が図りやすくなります。ゆえに、上流工程に携わるための大きな武器となります。
また、両資格とも、難易度はITSSレベル2です。簡単な資格ではありませんが、資格取得を目指して実践的な学習を進めることで、取得は実現できるでしょう。
LPIC level2 | LinuC レベル2 | |
試験内容 | サーバー系(Linux) | サーバー系(Linux) |
認定要件 | 201試験、202試験の両方に合格すること | 201試験、202試験の両方に合格すること |
試験時間 | 各試験90分 | 各試験90分 |
問題数 | 各試験60問 | 各試験60問 |
出題形式 | CBT方式 | CBT方式 |
合格ライン | 約65% | 約65% |
受験料 | 各試験:19,800円(税込) | 各試験:16,500円(税込) |
難易度 | ITSSレベル2:★★☆☆(やや易しい) | ITSSレベル2:★★☆☆(やや易しい) |
おすすめ度 | ★★★★(是非とも取るべき) | ★★★★(是非とも取るべき) |
有効期限 | なし(有意性期限は5年) | なし(有意性期限は5年) |
公式サイト | https://www.lpi.org/ja/japan/ | https://linuc.org/ |
ネットワーク構築に進むなら、CCNP
ネットワーク構築を目指す場合、CCNP(Cisco Certified Network Professional)の資格がおすすめです。
CCNPは、ネットワーク分野の中級以上のスキルを認定するため、ルーティングやスイッチング、セキュリティについて高度な知識を証明でき、ネットワーク構築を目指すための大きな武器となります。
ネットワーク構築においては、複雑なルーティングやスイッチングなどの技術が必要となります。また、問題が発生した時に、早急にトラブルを特定し解決するトラブルシューティングも重要です。
CCNPの学習範囲には、これらのスキルも含まれており、実務での即戦力となる知識を身につけることができ、ネットワークでの上流工程に携わるための大きな武器となります。
CCNPの難易度はITSSレベル3であり、難しい資格ではありますが、ネットワーク分野における市場価値を大幅に高めるため、ネットワーク構築を目指す方に強くおすすめできる資格です。
CCNP | |
試験内容 | ネットワーク系 |
認定要件 | コア試験(350-401)に合格し、コンセントレーション試験(1つ選択)に合格すること |
試験時間 | コア試験:120分 コンセントレーション試験:90分 |
受験料 | コア試験:62,480円(税込) コンセントレーション試験:46,860円(税込) |
難易度 | ITSSレベル3:★★★☆(やや難しい) |
おすすめ度 | ★★★☆(おすすめ) |
有効期限 | 3年 |
公式サイト | https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/professional/ccnp-enterprise.html |
クラウド構築に進むなら、LPIC-2+CCNA+AWS SAA
クラウド構築を目指すインフラエンジニアにとって、「LPIC-2」「CCNA」「AWS SAA」の組み合わせは、非常に効果的なスキルセットです。
これらの資格は、それぞれ異なる分野の専門知識を証明するものですが、クラウド構築は、サーバー、ネットワーク、クラウドサービスの知識を総合的に必要とします。
これらの資格を合わせ持つことで、クラウド構築に必要な知識を獲得できると言えます。
まずLinuxサーバーの操作スキルは、AWSクラウド環境における基礎スキルです。AWSのEC2(仮想サーバー)などを管理するために、必須です。ここでLPICが役に立ちます。
あわせて、クラウド環境では、VPC(ネットワーク)など、仮想ネットワークの設計も重要です。IPアドレスやサブネットなどの知識も必須となります。ここでCCNAが役に立ちます。
加えて、AWSでは、豊富なサービスを利用しながら、最適なインフラ構成を実現する設計力が求められ、AWSクラウド設計のベストプラクティスを学べるAWS SAAが役に立ちます。
これらの資格を組み合わせることで、AWSクラウド基盤の構築・運用において、競争力を高めることができます。
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト | |
試験内容 | クラウド系 |
試験時間 | 130分 |
問題数 | 65問 |
合格点 | 720/1,000点 |
出題形式 | CBT方式 |
受験料 | 22,000円(税込) |
難易度 | ITSSレベル2:★★☆☆(やや易しい) |
おすすめ度 | ★★★★(是非とも取るべき) |
有効期限 | 3年 |
公式サイト | https://aws.amazon.com/jp/certification/certified-solutions-architect-associate/ |
また、インフラエンジニアのおすすめ資格について、詳しく知りたい方は「【取得順番はこれ!】インフラエンジニアのおすすめ資格を取得順で解説」をあわせてお読みください。
未経験から上流工程に行けるのか?キャリアパスについて
インフラエンジニアとして「上流工程に携わりたい」という目標を持つ人は多いですが、未経験で最初から上流工程に進むことは可能なのでしょうか?
ここでは、未経験者でも最初から上流工程に携われるか、といったキャリアパスについて説明していきます。
未経験からでも、構築(構築アシスタント)業務からスタートは可能
結論から言えば、未経験からでも、努力次第で構築(構築アシスタント)業務からスタートすることは可能です。
例として、インフラエンジニアになるための学習量が十分であり、適切に企業選びを行えば、未経験からでも最初から構築(構築アシスタント)業務に携わっている人は多数おります。
また、最初は運用保守や監視でも、計画的にスキルアップを行いながら、資格取得を行うなど、自己研鑽を進めることで、問題なく構築業務にステップアップすることはできます。
未経験からだと、設計業務からスタートは難しい
一方で、未経験で最初から設計業務は難しいです。設計業務は、顧客の要望を設計に落とし込むスキルや、プロジェクト全体を把握する力などが必要であり、設計に必要となるスキルや経験が不足となります。
設計は、高度なスキルや豊富な経験が必要とされるため、いきなり目指すものではありません。基礎を確実に固めていくことがもっとも重要です。
ゆえに、まずは構築経験を積むことを目指していきましょう。構築業務で1人称で動けるようになる中で、詳細設計書を作成したり、プロジェクトの一部を担当する経験を重ねることが重要です。
未経験からだと、基本は、運用保守⇒構築⇒設計
未経験インフラエンジニアの場合、一般的なキャリアパスは「運用保守」からスタート。次に「構築」にステップアップ。その後「設計」に携わる流れが基本です。
そのため、それぞれの段階で必要なスキルを身につけながら、キャリアアップしていくことが鍵となります。
また、それぞれの段階で必要な経験年数は、身についたスキルや、勤務する会社によって大きく変わりますが、企業がインフラエンジニアに望む経験年数別のキャリアは、下記図が目安となるでしょう。
ただし、上記の年数別キャリアの道を絶対に歩まないといけない訳ではありません。キャリアの築き方は、個人の自由です。ゆえに、自分が望むキャリアイメージを描き、実現していくことの方が重要です。
インフラエンジニアが上流工程にステップアップする方法
上流工程に携わっていくためには、段階的なスキルアップと、経験の積み重ねが必須です。それぞれの工程で基礎を固めながら、資格取得やコミュニケーション力の向上を目指すと、上流工程に挑戦できるでしょう。
ここでは、上流工程にステップアップするための、具体的な内容をまとめていきます。
経験を積み重ねながら、必要なスキルを身につける
上流工程に進むための一歩目は、確かな実務経験を積んでいくことです。運用保守の現場で、サーバーやネットワークの基礎的な知識と、トラブルシューティング力を身につけることが大事です。
また、次は構築の現場で、サーバーやネットワークの設定・設置を行い、インフラ構築のプロセスを身につけていくことが重要です。
この段階的な経験が、上流工程で設計や要件定義を行うための土台となります。
スキルの証明ができるようにする
上流工程は人気の仕事であるため、他のインフラエンジニアと差別化を図り、「自分が選ばれるようになる」という考えも大事です。同じスキルレベルの応募者がいれば、スキルの証明ができる方が選ばれやすいでしょう。
スキルの証明で役立つのは、資格の取得です。資格を取得することで、上流工程で必要なスキルを客観的に証明できます。
資格の取得は、インフラエンジニアとしてのキャリアアップを加速化させることができます。
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上司や営業担当などに相談する
上流工程にステップアップするためには、他者の協力も重要です。上司や営業担当との面談で、上流工程にキャリアアップをしたいことを、明確に伝えましょう。受け身の姿勢は避けるべきです。
上司や営業担当に、上流工程に進みたい考えを伝えることで、「上流工程に進むために、今身につけるべきスキル」や「必要な期間」なども説明してくれるでしょう。
それでも難しい場合は、転職する
上流工程に必要となるスキルを獲得しても、勤務する会社によっては、大人の事情で、下流工程の案件に塩漬けしようとする会社もゼロではありません。
また、上流工程の案件を請けていない会社も、世の中には多数あります。現職でキャリアアップが実現できない場合は、転職を視野に入れることも重要です。
もちろん転職を短期間で繰り返すことはおすすめできません。しかしIT業界は、年齢と経験のバランスで判断されやすいのも事実です。経験が伸ばせないなら、若いうちの挑戦が好ましいと言えます。
まとめ
上流工程は、プロジェクトの方向性を決定する重要や役割があります。また技術力だけでなく、顧客視点やコミュニケーション能力など、様々なスキルも必要となり、大変かつ責任が重い仕事です。
一方で、インフラエンジニアは、上流工程に進むことにより、キャリアアップや年収アップ、やりがいのある仕事への挑戦が可能になっていくのも事実です。
また、上流工程の経験を持つインフラエンジニアは圧倒的に不足しているため、市場価値が高く、転職市場でも大きな需要があります。上流工程経験者は、様々な会社やプロジェクトで活躍できるでしょう。
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