インフラエンジニアは職業訓練で目指せる?意味ないと言われる理由と後悔しない判断基準

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

インフラエンジニアを目指す手段として、「職業訓練校」が気になる方は多くいます。

Linuxサーバーやネットワークの基礎を無料で学べる点は大きな魅力ですが、一方で「本当に就職できる?」、「意味はある?」と不安に感じる声があるのも事実です。

結論から言えば、職業訓練からインフラエンジニアになることは十分可能です。ただし、年齢・職歴・居住地などといった条件によって、その難易度や向き不向きははっきりと分かれます。

私自身、インフラエンジニア領域の職業訓練校で、外部キャリア講師として受講生の就職支援に携わってきた経験があります。現場で多くの事例を見てきたからこそ言えるのは、職業訓練を「最高のきっかけ」にできる人と「厳しい現実」に直面する人には、明確な違いがあるということです。

■この記事でわかること:
・インフラ向け職業訓練で「学べること/得られないもの」
なぜ「意味ない」という声が出るのか?(期待値のズレ)
東京・地方の格差や、スクール・独学との違い

受講してから後悔しないために、まずは「自分にとって職業訓練はあり?それともなし?」を判断できるだけの材料をそろえていきましょう。

この記事を書いた人 
角田 壮史 株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

ITインフラエンジニア専門の転職エージェント。経済産業省採択事業の運営者であり、15年以上のエンジニアのキャリア支援実績を活かし、あなたのキャリアアップをサポートします。

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目次

職業訓練でインフラエンジニアは目指せる?【前提を整理】

結論から言えば、職業訓練からインフラエンジニアを目指すことは十分可能です。

しかし、ネット上で「なれる」、「なれない」と意見が分かれるのは、制度そのものよりも「個人の前提条件」による差が大きいためです。

「無料で学べる」というメリットを活かせるかどうかは、あなたの現在の状況(年齢・職歴・居住地など)と、この後に解説する「制度の現実」が合致しているかで、ほぼ9割決まります。

職業訓練校とは?【インフラ志望者が知るべき前提】

制度の詳細は多岐にわたりますが、志望者が知っておくべきポイントはシンプルです。

2つの制度がある:
「公共職業訓練(主に失業者)」と「求職者支援訓練(主に雇用保険がない人)」があります。どちらも離職者が対象です。

在職中のリスク:
原則として平日の日中に授業があるため、働きながら受講するのは困難です。「仕事を続けながら転職準備をしたい」という方には、この時点でミスマッチとなります。

職業訓練で学べること・手に入らないこと【期待値ズレをなくそう】

職業訓練に通うと「何でも教えてもらえる・経験が手に入る」と誤解してしまうと、後の「意味ない」に直結します。

学べること:
コンピュータの基礎から、Linux/サーバーやネットワーク、クラウドの基礎。LPICやCCNAといった資格取得を目標にするコースが多いです。

手に入らないこと:
現場ですぐ通用する実務レベルのスキルや、設計構築といった上流工程の実務経験(実機を使って学んでも、実務経験とは見なされません。あくまで学習経験です)。

職業訓練は「IT業界への入場確率を高める場所」です。ここを勘違いして「実戦経験が積める」と期待しすぎないことが、後悔を防ぐポイントです。

なぜ職業訓練は「東京・都市部」に集中しているのか

【重要】地方在住でも不可能ではないが、未経験なら「都市部」が前提になるのが現実です。

インフラエンジニア系の訓練コースが都市部(特に東京)に偏っているのは、IT業界の構造そのものに理由があります。

ゆえに「地方に住んだまま、未経験からインフラ職に就く」難易度は想像以上に高く、事前に理解しておく現実です。

理由1:未経験者の「受け皿」が都市部にしかない

未経験からスタートする場合、多くは「運用監視」や「現場常駐型」の案件から経験を積みます。こうした案件数そのものが都市部に集中しているため、訓練校も「就職率」を確保しやすい都市部に設置される構造になっています。

理由2:地方企業の多くは「即戦力」を求めている

未経験者を採用するには、企業側に教育コストやフォロー体制が必要です。人員に余裕があり、この体制を組めるのは大手が集まる都市部企業に偏ります。

地方では「即戦力なら歓迎だが、未経験は難しい」という判断になりやすく、訓練修了生が入り込める枠が極めて少ないのが現実です。

理由3:「リモート可」、「地方OK」は未経験者にはほぼ適用されない

求人票にある「地方OK」、「リモート可」という条件の多くは、実務経験がある自走可能なエンジニアを前提としています。訓練を終えたばかりの未経験者が、いきなりフルリモートで働けるケースは極めて限定的です。

重要なのは「場所」ではなく「設計」

「地方在住=終わり」ではありません。重要なのは、「一時的な上京は可能か」といった就職活動の前提条件をどう設計するかです。

職業訓練はあくまで「入口」を作る制度です。住環境や希望条件までを含めて、自動で解決してくれるものではない、という認識を持つことが「職業訓練は意味なかった」と後悔しないための第一歩です。

なぜ「インフラ職業訓練は意味ない」と言われるのか?

結論から言うと、インフラ職業訓練が「意味ない」という意見の多くは、制度そのものではなく「期待と現実のズレ」から生まれています。

とくに高卒・未経験、フリーターといった立場で挑戦する場合、「学歴や職歴がどう見られるか」、「どこまで評価が上書きできるか」を理解しないまま進んでしまい、結果的に期待とのギャップを感じてしまうケースも少なくありません。

高卒・未経験からインフラエンジニアを目指す場合の現実や、「意味なかった」と感じやすい失敗パターンについては、以下の記事で詳しく整理しています。

→関連記事:高卒からインフラエンジニアは無理?「やめとけ」の正体と現実的な逆転ルート

理由1:「訓練を受ければインフラエンジニアに就職できる」と期待しすぎている

職業訓練はあくまで「学習機会の提供」です。就職の成功率を高めることはできても、就職を約束するものではありません。

そのため「無料で学べるし、就職まで手厚く面倒を見てくれるだろう」という過度な期待があると、厳しい選考現実に直面した際、「意味がなかった」という落胆に変わります。

理由2:就職先(実務)とイメージのギャップ

訓練からの就職先は、多くが「運用・監視」などの初級工程からスタートします。

一方で受講生は「設計・構築」や「リモートワーク」といった華やかなイメージを抱きがちです。この「キャリアの初期フェーズ」に対する認識のギャップが、不満につながることがあります。

理由3:年齢や条件に対する市場の壁

30代後半以降や「地方限定・引っ越し負荷・夜勤不可」など、条件が厳しい方は採用市場の現実に突き当たります。

制度上の「受講」は誰でもできても、企業の「採用」基準は別物です。ここを混同してしまうと、「訓練を受けたのに、どこも受からない」という結果につながりやすくなります。

理由4:受け身な「勉強」で終わっている

用意されたカリキュラムをこなすだけの「受け身の姿勢」では、企業から見て他の未経験者と差別化できません。自分で調べ、手を動かす姿勢がないまま卒業しても、現場で評価されにくくなります。

こうした「意味なかった」という意見は、制度そのものではなく、参加前の期待値や、修了後の行動設計によって生まれるケースがほとんどです。

実際に後悔しやすいのは、「訓練を受ければ、就職まで多分なんとかなる」過度に期待していた人や、就職活動を受け身で捉えていた人です。

結論:職業訓練は「就職活動を上手く進めるための道具」

職業訓練を受けただけで全てが上手くいく訳ではありません。使いこなすための戦略が必要な「道具」です。

特に「期待値が高すぎていないか?」、「現実的な就職条件を考えているか?」をクリアにしないまま飛び込むのは「意味がなかった」に直結する危険行為です。

またインフラのみでなく、そもそもの「IT職業訓練は意味ない」と言われる背景や、よりネガティブな意見・失敗パターンについては、以下の記事で詳しく整理しています。

→関連記事:ITの職業訓練は意味ない?就職できない?向いている人と、向かない人とは

次からは、この「職業訓練の現実」を踏まえた上で、「今のあなたに本当に合う選択肢」を比較・整理していきます。

職業訓練・有料スクール・独学をどう選ぶべきか?【比較で整理】

インフラエンジニアへのルートは大きく3つですが、人によって正解が変わります。自分に合わない手段を選ぶと、「意味がなかった」という後悔に繋がりやすくなります。

結論|あなたに最適な手段はどれ?

方法向いている人向いていない人
職業訓練離職中。まずは無料で基礎に触れたい。在職中、早期に年収アップを狙いたい人。
有料スクール在職中。時間を買い、最短で転職したい。「お金を払えば受かる」と考える受け身な人。
独学ITの基礎がある。自走に自信がある。完全未経験者、自己学習管理が苦手な人。

1. 職業訓練|無料だが「就職保証」ではない

職業訓練は原則無料(教材費や交通費は自腹が多い)であり、カリキュラムに沿って強制的に学習時間が確保できるのが特徴です。

一方で、内容は「広く浅く」なることもあります。就職先は運用・監視が多い傾向です。また「無料だから、就職まで全部面倒を見てくれるはず」という過度な期待をすると、失敗しがちです。

2. 有料ITスクール|お金で「学習環境と時間」を買う選択

ITスクールでは、カリキュラムの提供だけでなく、メンターによる挫折防止と、転職サポートが強みです。

一方で、数十万円の入学費用が必要なことも多く、「高年収を保証」するものでもありません。「受講料を払ったから、エンジニアになれる」と慢心すると、大きく出遅れてしまいます。

→関連記事:インフラエンジニアスクールは必要?後悔しない選び方と無料制度

3. 独学|自由度は高いが、失敗(挫折)率も高め

独学は、費用がほぼゼロ(教材費のみ)であり、実務に近い最新技術を自分で選んで学び、マイペースに学べる(強制されない)のが大きな特徴です。

一方で、学習順序を間違えやすく、評価されない学習を行うと、タイパを大きく下げることもあります。またエラーが解決できずに詰まり、向いていないと考えフェードアウト率も高めです。

→関連記事:インフラエンジニアの勉強方法と順番|未経験からの独学ロードマップ

失敗しないための「第4の選択肢」:公的リスキリング

近年は、職業訓練と有料スクールの中間的な選択肢として、「リスキリング補助金対象のスクール」を検討する人も増えています。

これは「有料スクールの質」を維持しながら、国の補助で「職業訓練並みの低負担(最大70%還元)」を実現したハイブリッドな選択肢です。

比較ポイント職業訓練リスキリング対象スクール
受講タイミング離職中が前提(平日の日中)在職中(夜間)もOK
費用無料無料~実質3割負担
場所の制約通学が必要なケースが多い(都市部集中)オンライン完結(地方在住でもOK)

ただし職業訓練と異なり、リスキリング対象スクールでは、在職中や年齢などでの制限を設けていることが一般的です。

まとめ|選択肢よりも「設計」が大事

職業訓練もスクールも、あくまでインフラエンジニアになるための「道具」です。

今の仕事を続けながら、リスクを抑えてキャリアを変えたいのか」、「今の仕事を辞めて、背水の陣で無料で学びたいのか」といった「設計」が固まっていないと、どの手段を選んでも「意味がなかった」という結果になりがちです。

もし「働きながら、後悔しないキャリアを選びたい」と考えているなら、まずは自分が公的リスキリング制度の対象になるかを確認することから始めてみてください。その一歩が、無駄な遠回りを防ぐ最大の近道になります。

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職業訓練が向いている人・向いていない人【最終チェック】

職業訓練をうまく活かしている人は、「訓練に参加・卒業することをゴール」とするのではなく「就職活動を進めるための道具」と捉えています。

職業訓練は万能ではありません。今の自分がどちらに近いか、以下で最終確認をしてみましょう。

■職業訓練が「向いている人」:
離職中で、平日フルタイムの学習時間を確保できる
・IT完全未経験で、まずは無料で基礎に触れたい
・卒業後の就職活動を、求人探しから面接対策まで能動的に行える人

また以下のような傾向がある場合は、職業訓練は向いていないタイプです。

■職業訓練が「向いていない人」:
在職中で、平日の日中に通うのが難しい
・「訓練を受ければ就職させてくれる」と期待している
・卒業後「3ヶ月以内」に就職する意識が薄い

職業訓練は、基本的には「離職者が早期就職」をするために、無料で受講できる支援です。マイペースでゆっくり就職活動を行いたい人には不向きです。

迷った時の「一言アドバイス」

どれがよいか?で迷った場合は、以下で考えてみると基本的にはミスを最小限にできます。

時間はあるがお金はない職業訓練
時間はないが投資はできるリスキリング対象スクール
自分で学習できる独学

ここまで、インフラエンジニアを職業訓練で目指す場合の現実や向き不向きを整理してきました。

ただし、職業訓練はあくまで選択肢の一つです。資格取得・独学・スクール・転職活動まで含めた全体像を把握しておかないと、自分にとって最適なルートは判断できません。

未経験からインフラエンジニアを目指すための学習の順番・資格・転職までのロードマップは、以下の関連記事で体系的にまとめています。

→関連記事:未経験からインフラエンジニアになるには?資格・勉強法・転職ロードマップ

まとめ|職業訓練は「合う人が使えば強い」。合わない人は別ルートを選ぼう

IT職業訓練は、「誰でも成功できる制度」ではありません。しかし、条件や目的が合っている人にとっては、IT業界への入口として「十分に使える魅力的な制度」です。

一方で、在職中・転職先をじっくり検討したいなどの条件を持つ人にとっては、別の選択肢の方が現実的なケースも少なくありません。

大切なのは、「制度が良いか悪いか」ではなく、今の自分に合ったルートを選ぶことです。

「職業訓練が合うか分からない」、「自分の条件だと、どのルートが現実的か知りたい」。そんな方は、
今の状況で使える公的リスキリング制度を一度整理してみてください。

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この記事を書いた人

角田 壮史の顔写真

角田 壮史

株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

未経験からベテランまで、ITインフラのキャリア支援に特化、経済産業省採択事業(インフラエンジニア育成プログラム)も担うキャリアアドバイザーです。 経済産業省ロゴ

主な実績

  • パーソルキャリア(旧インテリジェンス)在籍時、事業部MVP受賞あり
  • リクナビ提携エージェントとして、顧客満足度1位/サービス満足度1位/紹介求人満足度2位などの受賞歴あり リクナビ 顧客満足度1位ロゴ リクナビ 紹介求人満足度2位ロゴ
  • キャリアアドバイザー歴15年以上、700社以上のIT企業訪問、3,000名超のエンジニア支援実績
  • LPI (Linux Professional Institute) より、トレーニングパートナー(プラチナ:最上位)/ハイアリングパートナーとして公式認定 LPIトレーニングパートナープラチナロゴ LPIハイアリングパートナーロゴ

保有資格

国家資格キャリアコンサルタント、AWS-SAA、CCNA、LPIC-3(最上位)、LinuC-1

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