こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
インフラエンジニアのように、専門性が高い職種にキャリアチェンジするのは、ハードルが高いと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし未経験でも、インフラエンジニアに転職することは可能です。IT/DXが進展する中、中途採用を積極化し、未経験者を採用する会社も増えています。
またIT業界の中でも、インフラエンジニアは圧倒的な深刻な人材不足であり、成長意欲がある方には多様なキャリアアップの機会がある職種です。
この記事では、未経験からインフラエンジニアに興味を持つ方に向けて、未経験インフラエンジニアの仕事から年収、転職するための効率的な進め方、求人選びのコツなどを説明していきます。
なぜインフラエンジニアは、未経験からでも採用されやすいのか
インフラエンジニアは未経験者でも歓迎する採用が数多くあります。同じITエンジニアであるプログラマーと比べても、インフラエンジニアは未経験から採用されやすく、門戸が広い職種です。
ここでは、「なぜインフラエンジニアは未経験でも採用されやすいのか」について、説明していきます。
未経験でも採用されやすい理由①:IT/DX市場の拡大、セキュリティの重要性の増加
多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めており、企業内でクラウド、IoT、ビッグデータ、AIなどの技術導入が進んでいます。また、DXを推進するにはITインフラが欠かせません。
また、サーバー攻撃の脅威が年々増加しており、企業はセキュリティ対策を強化する必要があります。
インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク、クラウド上での安全なデータ保護やアクセス制御を行うため、セキュリティ面を強化するには、更なるインフラ専門のエンジニアが必要になっています。
未経験でも採用されやすい理由②:圧倒的な人材不足、希望者の不足
IT業界は市場の拡大に伴い、業務量が増加し、新しい技術への対応が求められています。しかし経験者のみで対応が難しく、人材不足が続いています。
人材不足が続くエンジニアの中でも、インフラエンジニアは特に人数が足りていない状況です。
インフラエンジニアはIT基盤を支える重要な仕事ではあるものの、他のITエンジニア(プログラマーなど)と比べると、仕事がわかりにくく、知名度も低いため、希望者が不足しています。
未経験でも採用されやすい理由③:専門知識がなくても、できる仕事がある
インフラエンジニアの仕事は、豊富な経験や知識が必要です。しかし、インフラエンジニアの仕事の一部では、ネットワークやサーバーの知識がほぼなしでもできる「監視」という仕事があります。
監視の仕事は、マニュアルが整備されており、正確にマニュアル通りの作業を実行することが主な仕事です。サーバーなどに異常なアラートが出た場合に、専門チームに連絡する役割が主であり、基礎知識のみでも仕事ができます。
監視以外にも、その他にはヘルプデスクやITサポートなど、専門知識がなくてもできる仕事もあります。ゆえに、未経験でインフラエンジニアを採用する会社もあります。
インフラエンジニアは未経験でも採用されやすい、しかし簡単ではない
インフラエンジニアは、他のITエンジニア(プログラマーなど)と比べると、未経験から採用されやすいことは間違いありません。また学歴不問の会社も多く、様々な人にチャンスが多い職種です。
しかし、完全未経験からインフラエンジニアにキャリアチェンジするのは、簡単ではありません。経験のなさをカバーするために、志望理由や学習意欲などを、面接などでしっかり証明する必要があります。
また、未経験からインフラエンジニアとして採用されても、仕事内容は簡単ではありません。一部簡単な仕事はありますが、ステップアップを目指すためには、学習と実務を通じたスキルアップが必要です。
インフラエンジニアは難しい部分もあります。一方で、技術を学び、成長する意欲があれば、将来的に専門性が高いエンジニアとしてキャリアを積んでいくことができます。
そもそも、インフラエンジニアってどんな仕事?
インフラエンジニアの仕事とは
インフラエンジニアは、下記図のように「ネットワークエンジニア」と「サーバーエンジニア」を総称して呼ばれることが多いです。
また、クラウドエンジニアやセキュリティエンジニア、データベースエンジニアを総称して「インフラエンジニア」と呼ぶこともあります。
■インフラエンジニアは、下記を総称して呼ぶことが多い
・ネットワークエンジニア
・サーバーエンジニア
・クラウドエンジニア
・セキュリティエンジニア
・データベースエンジニア
インフラエンジニアの仕事内容とは
インフラエンジニアの仕事内容は、複数のフェーズ(工程)に分けられます。
具体的には下記図のように、「要件定義」⇒「基本設計」⇒「詳細設計・構築」⇒「運用」⇒「監視・サポート」という順で進んでいきます。各フェーズで役割が分かれ、フェーズごとに求められるスキルも変わります。
要件定義や基本設計といった上流工程は、豊富な経験やスキルが必要となります。一方で、監視・サポートなどの下流工程は、経験や知識はそれ程必要とされません。
具体的な仕事内容は、以下となります。
インフラエンジニアの仕事内容①:要件定義
要件定義は、システムに求められる条件や目的、性能、セキュリティ、予算、納期などを具体的に整理していく工程です。
システムの規模や運用において、必要な機能を明確にし、どのようなインフラ構成が最適か?を検討するフェーズであり、もっとも経験が求められる仕事です。
インフラエンジニアの仕事内容②:基本設計
基本設計は、要件定義で整理した条件をもとに、具体的なシステム構成を検討する工程です。
基本設計では、システム全体の構成や、ネットワークの配置、サーバー台数、クラウド利用の有無、セキュリティの基準などを、信頼性や可用性、拡張性、コストの観点から考えていくフェーズです。
基本設計も、豊富な経験が求められる仕事です。
インフラエンジニアの仕事内容③:詳細設計・構築
詳細設計では、基本設計で検討されたシステム構成をもとに、実際の機器やソフトウェア、ネットワークやセキュリティの設定について検討される工程です。
具体的には、OSの設定項目やIPアドレスの割り振り、ファイアーウォールの設定などの詳細を決め、機器設定書などといったドキュメントに落としていくフェーズです。
詳細設計の後に、構築に移ります。構築では、設計通りにサーバーやネットワーク機器などを配置、設定し、テスト環境で動作確認や負荷テストなどを行い、システムが正常に動く状況にする仕事です。
インフラエンジニアとして、市場価値を大きく高める経験が、構築経験です。
インフラエンジニアの仕事内容④:運用・保守
システムの構築が完了したら、その後は運用フェーズとなります。運用ではシステムが安定的に稼働できるように、インフラの維持業務を行っていきます。
具体的には、設定変更やバージョンアップ対応、パッチの適用、バックアップの実施、ログの定期的な確認、ハードウェアのメンテナンス、問い合わせ対応などを行います。
上位の構築フェーズにステップアップするために、運用フェーズで実機を触りながら学習をすることが多いです。
インフラエンジニアの仕事内容⑤:監視・サポート
最後の工程は、インフラ監視やサポート業務です。システムが稼働中には、24時間体制でインフラを監視・サポートすることが多いため、監視ツールなどを使って、サーバーやネットワークの状態を常時チェックする仕事です。
インフラ監視では、作業のマニュアルが整備されていますので、マニュアル通りに正確に作業をすることが求められます。知識やスキルがなくとも十分にできる仕事です。
上記の「要件定義」から「監視・サポート」までのフェーズは、インフラエンジニアを目指す場合は是非とも覚えて欲しい内容です。この内容を理解していないと、面接で勉強不足と思われてしまいます。
またフェーズが覚えにくいようであれば、家の建築で考えると覚えやすいです。下記に家の建築で例えて説明します。
インフラエンジニアの仕事内容まとめ:家の建築で例えると
インフラエンジニアの仕事内容は、家の建築で例えると、下記画像のようになります。
未経験からインフラエンジニアになると、どうなる?
未経験でインフラエンジニアになると、仕事内容や年収、キャリアはどのようになっていくのでしょうか?ここでは未経験インフラエンジニアになった場合の仕事や年収などについて、説明していきます。
未経験インフラエンジニアの仕事内容:最初は運用保守か監視、一部構築アシスタント
未経験からインフラエンジニアになると、まずは「運用保守」か「監視」、一部では「構築のアシスタント」から始まるのが一般的です。
基本的には、インフラ知識を持つ未経験者は「運用保守」もしくは「構築のアシスタント」、インフラ知識がない未経験者は「監視」の仕事となることが、最も多いでしょう。
特にわかりにくい「運用」と「保守」、「監視」の違いについて、説明します。
「運用」や「保守」は、システムやネットワークが正常に稼働するように、維持や予防をする仕事です。基本的には日勤(夜勤シフトなし)であり、構築業務につながらスキルが身につく仕事です。
一方で「監視」は、システムやネットワークの稼働状況を、24時間体制で見守る仕事です。基本的には夜勤を含めたシフト勤務になりかつ、マニュアル通りの作業しかできないため、スキルアップが難しい所が、大きな違いです。
厳密には「運用」と「保守」、「監視」の仕事は異なります。しかし「監視」業務のことを「運用保守」や「運用監視」と言う会社も一定数あります。
未経験インフラエンジニアの年収:240-400万程度
未経験からインフラエンジニアとしてスタートした場合の年収は、一般的に240-400万程度が目安です。
初年度の年収は、企業の仕事内容、案件の請け方(1次請け、2次請け、3次請けなど)、企業規模などによって異なりますが、未経験転職において、年収に一番大きな影響があるのは、事前インフラ知識の有無です。
■未経験インフラエンジニアの年収目安:
・インフラ知識なし:240~330万円程度
・インフラ知識あり:330~400万円程度
ただしインフラ知識の有無は、非常に証明が難しいです。ゆえに情報系学校の出身者以外は、基本的にインフラ資格の有無によって証明することとなります。
未経験からインフラエンジニアはきつい?メリットとデメリット
未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、学ぶことも多く「きつい」と感じる人も多くいます。一方で、キャリアアップのチャンスが多くある職種でもあります。
ここでは、未経験からインフラエンジニアになることの「きつさ」とともに、メリット・デメリットを説明していきます。
インフラエンジニアのデメリット:学習することが多く、シフト勤務や夜勤がある
未経験からインフラエンジニアになる場合、「きつい」と感じる理由の1つが、学ばなければいけない知識の多さです。
インフラエンジニアは、サーバー、ネットワーク、セキュリティなど幅広く学習する必要があり、特に最初の1-3年は、基礎知識を学び、実務でも使えるようになっていく必要があるため、覚えることの多さで苦労するかも知れません。
また、インフラ初心者時には、システムの監視業務を行うことが多いため、24時間のシフト勤務が発生することもあります。特に夜間シフト勤務は、体力的な負担となることもあるでしょう。
インフラエンジニアのきつさについて、詳しく知りたい方は「【未経験者・女性必見】なぜインフラエンジニアは、やめとけと言われるのか?」をあわせてお読みください。
インフラエンジニアのメリット:高い需要、キャリアアップの機会が豊富
一方で、インフラエンジニアのキャリアには、多くのメリットがあります。
インフラエンジニアは、成長産業であるIT分野の基盤を支える重要な職種であり、クラウドの普及やデジタルトランスフォーメーションの推進により、需要が大きく高まっています。ゆえに未経験からでも挑戦しやすい職種です。
また、スキルアップに伴い、年収も着実に上がっていくため、努力次第で高い収入を見込める職種でもあり、成長意欲がある方にはメリットが多い仕事でもあり、時に「インフラエンジニアは最強」と呼ばれることもあります。
インフラエンジニアは、未経験からのスタートは大変ですが、努力が報われやすい職種です。
インフラエンジニアのメリットを詳しく知りたい方は、「なぜインフラエンジニアは最強と言われる?最強になれるスキルとは?」をあわせてお読みください。
インフラエンジニアのキャリアロードマップ
インフラエンジニアのキャリアは、まず基本的な知識の習得と実務経験から始まり、少しずつ専門性やマネジメントスキルを高めるステップを踏んでいくことが多いです。
未経験からインフラエンジニアとなる場合、習得するスキルなどのスピード感によって成長速度は異なりますが、未経験者が企業から期待されるキャリアのロードマップは、おおよそ下記図となります。
上記のロードマップに沿ってキャリアイメージを考えると、企業の求める「採用したい人のキャリアビジョン」と合致しやすくなるでしょう。
キャリアビジョンとして、プロジェクトマネージャは必須ではありませんが、上位企業に進めば進むほど、技術のみでなく、マネジメント力や調整力も必要とされていきます。
未経験からインフラエンジニアになるための勉強方法
未経験からインフラエンジニアになるためには、事前にインフラエンジニアに必要とされる知識を学んでいると、転職活動においては強い武器となります。
しかしインフラエンジニアに必要とされるスキルや知識は幅広いです。具体的には、サーバーやネットワーク、セキュリティ、クラウドなど、幅広く必要とされます。
一方で、未経験インフラエンジニアに必要とされる知識は「インフラの基本知識」です。まずは必要とされる基本知識やスキルを優先して学んでいくことをおすすめします。
インフラエンジニアに求められるスキルや知識
上記画像の上段である【基本スキル】は、インフラエンジニアとして強く求められる知識です。特に赤星がついている「サーバー関連」と「ネットワーク関連」の知識は、非常に強く求められるでしょう。
ゆえに、未経験からインフラエンジニアになるには「サーバー関連」の知識、もしくは「ネットワーク関連」のいずれかから、知識を身につけることを、強くおすすめします。
最初に学ぶべき①:サーバー関連の基本知識
インフラエンジニアの基本知識として「サーバー関連の技術」があります。インフラエンジニアにとって、LinuxもしくはWindowsサーバーの知識を学ぶことは必須です。
特にLinuxは多くのサーバーで利用されておりかつ、学びやすい内容です。まずはLinuxの基本操作やコマンド、オプションを含め、ファイルやディレクトリの管理、ユーザーの管理、アクセス権などを学びましょう。
最初に学ぶべき②:ネットワーク関連の基本知識
インフラエンジニアの基本知識として「ネットワーク関連の技術」もあります。インフラエンジニアにとってネットワークの知識を学ぶことも必須です。
ネットワークでは、基本的なネットワークの概念(TCP/IPやOSI参照モデルなど)やプロトコルから、ルーティング、スイッチングなどを学び、ネットワークの仕組みを理解するとよいでしょう。
未経験からインフラエンジニアになるための勉強方法
未経験からインフラエンジニアになるための勉強では、様々な学習教材が使えます。ここではおすすめの勉強方法について説明していきます。
おすすめの学習法①:本で学ぶ
インフラエンジニアの基礎をしっかりと学ぶためには、本での学習が効率的です。インフラエンジニアの必要知識は幅広いため、基本を体系的に学べる本は非常に有効です。
特に未経験者に向けた入門書であれば、専門用語もわかりやすく説明しているため、学習ハードルも下がり、独学でも勉強しやすいでしょう。
また、本で学べば、後で復習しやすく、実務に入ってからも参考にしやすい所がメリットです。まずは自分にあった本を探し、本での学習から取り組むことで、より実践的な知識を身につけることができるでしょう。
インフラエンジニアの勉強本を詳しく知りたい方は、「インフラエンジニアにおすすめの本21選、初心者から実務経験者まで幅広く紹介」をあわせてお読みください。
おすすめの学習法②:勉強サイトで学ぶ
未経験から学習するためには、インターネットが繋がれば、どこでも学べる「勉強サイト」も非常に効率的です。未経験インフラエンジニア用の勉強サイトは、非常に充実しています。
勉強サイトは、参考書タイプや問題集タイプもあれば、動画で学べる教材もあるため、好みの勉強スタイルにあわせて学習ができることがメリットです。また無料や安価で使える勉強サイトも多いです。
勉強サイトは、通勤時間や休み時間などのスキマ時間も使って学習でき、自分のペースで勉強できることが大きなメリットです。
勉強サイトを詳しく知りたい方は「インフラエンジニアのおすすめ無料勉強サイト17選!学習目的別に解説」をあわせてお読みください。
おすすめの学習法③:手を動かして、実機環境で学ぶ
インフラエンジニアの仕事は、知識のみでなく、手を動かして対応する実践力が重要です。そのため未経験からインフラエンジニアを目指す場合、「手を動かして、実機環境で学んだ経験」があると、転職において有利です。
実際にサーバーやネットワークの設定を行い、操作をすることは、未経験者にとってハードルが高いかも知れませんが、仮想化ソフトを使って操作をすることでも十分に有効です。
おすすめの方法は、サーバーを学習する場合は、仮想環境(VirtualBox)でLinuxサーバーを立ち上げ、基本的なコマンド操作や設定を行うことです。ファイル操作やユーザー管理などを試すことがおすすめです。
またネットワークを学習する際には、Ciscoの「Packet Tracer」をインストールして。ルーターやスイッチの設定をシミュレーションし、ネットワーク構築の流れを理解するとよいでしょう。
特にLinuxは、独学でも学習がしやすいためおすすめです。やり方を知りたい方は「【未経験者のLPIC-1対策】Linuxの実機環境を作って学ぶ勉強方法」をあわせてお読みください。
■関連記事:【初心者必見】効率的に学ぶ!インフラエンジニアの勉強方法と順番
未経験からインフラエンジニアになるための、おすすめ資格
未経験からインフラエンジニアになるには、資格の勉強で基本知識を習得し、資格で基本知識を証明することができます。取得する資格によっては、インフラエンジニアになるための大きな武器となります。
未経験者に取得をおすすめする資格
ここでは未経験者がインフラエンジニアを目指す際に、おすすめの資格を説明します。
上記画像の難易度の数字は、経済産業省のIPA(情報処理推進機構)が定めるITSSレベルで記載しています。
「難易度0=非常にやさしい」、「難易度1=やさしい」、「難易度2=やや易しい」で考えてください。
以下からは、おすすめしたい資格について、詳細を説明します。
未経験者に非常におすすめの資格:Linux技術者認定 LPIC(LinuC) level1
インフラエンジニアを目指す未経験者に、非常におすすめしたい資格の1つが、Linux技術者認定資格のLPIC level1(もしくはLinuC レベル1)です。
Linux技術者認定資格のレベル1は、Linuxの基本操作やインフラ管理の基礎知識を身につけることができ、特にLinuxサーバーをよく扱うインフラエンジニアにとって、必須スキルを学べる資格です。
LPICやLinuC のレベル1では、ファイル管理、ユーザー管理、アクセス権の設定、ネットワークの設定、シェルスクリプトといった、Linux環境での基本的な管理スキルを学べます。
またレベル1の難易度は、IT資格の中ではやさしい部類です。簡単に取れる資格ではありませんが、初心者からでも独学で合格できるレベルであり、転職・就職時の大きなアピールにつながります。
Linux技術者認定資格は、難易度と評価のバランスを考えると、未経験者に是非ともおすすめしたい資格です。また、LPICとLinuCは、難易度や試験範囲、評価はほぼ変わりませんので、いずれか一つ取得するだけで良いです。
LPIC level1 | LinuC レベル1 | |
試験内容 | サーバー系(Linux) | サーバー系(Linux) |
認定要件 | 101試験、102試験の両方に合格すること | 101試験、102試験の両方に合格すること |
試験時間 | 各試験90分 | 各試験90分 |
出題形式 | 各試験60問 | 各試験60問 |
出題形式 | CBT方式 | CBT方式 |
合格ライン | 約65% | 約65% |
受験料 | 各試験:16,500円(税込) | 各試験:16,500円(税込) |
難易度 | ITSSレベル1:★☆☆☆(やさしい) | ITSSレベル1:★☆☆☆(やさしい) |
おすすめ度 | ★★★★(是非とも取るべき) | ★★★★(是非とも取るべき) |
有効期限 | なし(有意性期限は5年) | なし(有意性期限は5年) |
公式サイト | https://www.lpi.org/ja/japan/ | https://linuc.org/ |
■関連記事:【LPICまるわかり解説!】LPIC level1とは?試験内容や勉強、受験方法などを説明
■関連記事:LPIC とLinuC、どっちを取るべきかがわかる! 違いを徹底比較、解説
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未経験者に非常におすすめの資格:シスコ技術者認定 CCNA
インフラエンジニアを目指す未経験者に、非常におすすめしたい資格として、CCNA(Cisco Certified Network Associate)もあります。
CCNAはネットワークの基礎知識から応用まで幅広く学ぶことができ、ネットワーク技術をよく扱うインフラエンジニアにとって、必要スキルを学べる資格です。
CCNAは、ネットワークの基礎知識から、ルーティング、スイッチング、セキュリティ設定など、ネットワーク分野で必須となる知識を学ぶことができ、基礎知識を網羅するには最適な資格です。
また、CCNAは年々難しくなっており、前述のLinux技術者認定と比較すると、CCNAの方が難しいです。簡単に取れる資格ではありませんが、未経験者が独学で取得することも多い資格です。
学習時間は相応必要となりますが、CCNA取得後の評価は大きく、未経験者にとってCCNAは転職時に大きな武器になります。ネットワークに興味がある場合は、未経験者はCCNA一択でしょう。
CCNA | |
試験内容 | ネットワーク系 |
認定要件 | CCNA(200-301)に合格すること |
試験時間 | 120分 |
問題数 | 約100問 |
合格ライン | 約75% |
試験形式 | CBT方式 |
受験料 | 46,860円(税込) |
難易度 | ITSSレベル2:★★☆☆(やや易しい) |
おすすめ度 | ★★★★(是非とも取るべき) |
有効期限 | 3年 |
公式サイト | https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/associate/ccna.html |
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未経験者におすすめの資格:基本情報技術者試験
未経験者におすすめ資格の資格として、基本情報技術者試験もあります。基本情報技術者試験は、ITの基礎知識を、体系的に幅広く学べる国家資格です。
基本情報技術者試験は、ITの基礎知識を幅広く学ぶことができ、その中にネットワークやデータベース、セキュリティも含まれており、ITエンジニアの基礎を身につけることができる資格です。
一方で、基本情報技術者試験は、試験範囲が非常に広く、インフラ分野を専門的に学べる資格ではありません。ゆえに、未経験既卒者の転職活動においては、基本情報技術者試験は、武器とはなりにくいです。
基本情報技術者試験を取得して評価されやすいのは、若手です。特に学生が評価の対象であり、基本情報技術者試験で評価を得られるのは、25歳以下の若手が中心でしょう。新卒時の就職活動に、非常に有効な資格です。
既卒者、特に25歳以上の場合は、よりインフラを専門的に学べるLPICやCCNAの方がおすすめです。
基本情報技術者試験 | |
試験内容 | IT全般 |
認定要件 | 科目A、科目Bの両試験に合格すること |
試験時間 | 科目A:90分 科目B:100分 |
合格点 | 科目A:600/1,000点 科目B:600/1,000点 |
受験料 | 7,500円(税込) |
有効期限 | なし |
難易度 | ITSSレベル2:★★☆☆(やや易しい) |
おすすめ度 | ★★☆☆(おすすめ) ただし新卒の場合は★★★★(非常におすすめ) |
有効期限 | なし |
公式サイト | https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/fe.html |
■関連記事:【取得順番はこれ!】インフラエンジニアのおすすめ資格を取得順で解説
未経験からインフラエンジニアに転職するには
未経験からインフラエンジニアに転職することは、難しくはありませんが、決して簡単という訳でもありません。転職活動における対策を、しっかり行う必要があります。
ここでは未経験者がインフラエンジニアに転職するためのコツを説明していきます。
事前準備:一番のおすすめは、手を動かして学び、資格を取ること
インフラエンジニアは専門職であり、専門知識が必要とされる仕事です。ゆえに、未経験者歓迎と記載がある求人でも、インフラの基礎知識が必要とされることもあります。
また、未経験であっても、独学などで基礎知識を習得している場合は、大きな評価対象となります。あわせて他の応募者と比べて、差別化につながります。
特に大きな差別化につながる事前準備は、「手を動かして、実機環境で学ぶこと」と、「評価される資格を1つ取ること」の2つです。この2つを行うことが、事前準備としてもっともコスパが高い進め方です。
手を動かして学び、資格を取ると、評価が変わります。無資格で転職をするよりも、年収が50-100万円ほど上がることが多いでしょう。
転職活動準備:志望動機を固める
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、もっとも大事でありかつ難しいのが、志望動機の作成とも言えるでしょう。
未経験の場合、採用企業が一番聞きたいことは「志望動機」とも言えます。特に「なぜインフラエンジニアを志望しているのか?」が最重要ポイントです。
「なぜインフラエンジニアなのか?」の答えに説得力がない場合は、選考通過が難しくなりがちです。また「インフラエンジニアでないとダメな理由は?」と更に突っ込まれてしまうこともあります。
この志望動機から「成長意欲」や「熱意」、「インフラエンジニア適性」なども判断されるため、説得力がある志望動機を作ることがポイントです。
また、手を動かして学習し、資格を取得していると、志望動機にも説得力が出ます。
例として「ネットワーク技術に興味があったので、シミュレータで学んでみた所、面白味を感じたため、CCNAを取得しました。今後は御社でCCNAの知識を活かしながら、お客さまに貢献していきたい」という風に、志望動機の説得力を高めることができます。
志望動機の作成について、具体的に知りたい方は「【未経験者・新卒向け】インフラエンジニア志望動機の8例文、作り方を徹底解説」をあわせてお読みください。
転職活動準備:おすすめ企業を選ぶコツ
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、求人選定は転職活動の成否を左右する大事なポイントです。
未経験歓迎求人は、未経験者にとって理想的な求人もあれば、避けるべき求人もあります。ここではおすすめ企業、おすすめ求人選定のコツを説明します。
■未経験のおすすめ企業、おすすめ求人を選定するコツ:
・おすすめの仕事は、実機を触れること(運用もしくは構築)
・上流工程の案件を請けている会社であること
・インフラに強みを持つ会社を選ぶ
・未経験で1人客先常駐を避ける
・資格取得のサポートが手厚い
求人選定のコツ①:おすすめの仕事は、実機を触れること(運用もしくは構築)
未経験インフラエンジニアの求人で、一番おすすめできるのは「実機を触れる求人」です。
実機を触れる求人であれば、その後の大きなキャリアアップにつながります。逆に言うと、実機に触れない場合は、キャリアアップにつなげることが困難になります。
インフラエンジニアは、スキルが身につかないと、年収も上がりません。スキルを身につけるには、まず実機に触れる環境に身を置くことが大事です。
世の中の未経験インフラエンジニアの求人は、実機に触れない求人が多いです。未経験求人は、少なく見積もっても、半分以上は実機に触れない求人とも言えるでしょう。
求人選定のコツ②:上流工程の案件を請けている会社であること
未経験求人を出す会社の中には、運用監視専門会社が多数あります。運用監視専門会社に入社すると、監視業務で3~5年塩漬けとなることもあり、キャリアアップにつなげることが難しいです。
また、運用監視専門会社に入社すると、努力しても上流工程に携わることが難しいため、エンジニアのキャリアがなかなか広がりません。上流工程の案件を請けている会社を選ぶことを強くおすすめします。
求人選定のコツ③:インフラに強みを持つ会社を選ぶ
未経験インフラエンジニアを目指すなら、インフラに強みを持つ会社を選ぶことも重要です。
未経験インフラエンジニアを募集する会社は様々あります。社員のほぼ全員がインフラエンジニアの会社もあれば、インフラエンジニアは社員の1割にも満たない会社もあります。
インフラエンジニアが少ない場合は、インフラの仕事自体が少ないことが多いです。そのような環境は、ステップアップするための環境や、フォロー体制が比較的弱いです。
一方で、インフラに特化しているような会社は、技術力が高いインフラエンジニアがいることや、豊富なインフラのプロジェクトを持っていることが多く、成長できる確率が大きく上がると言えるでしょう。
インフラに強みを持つ会社を選ぶことは、未経験者は見落としがちですが、非常に重要なポイントです。
求人選定のコツ④:未経験で1人客先常駐を避ける
未経験からインフラエンジニアになる場合、1人での客先常駐を求められる求人は避ける方がおすすめです。
未経験者が1人で客先常駐をすると、サポートが不足しがちになり、学びながら成長することが難しくなります。また未経験者には負担が大きく、プレッシャーも大きくなりがちです。
未経験からスタートする場合では、先輩エンジニアやサポート体制が整っているプロジェクトで、基礎を固めながら成長できる案件が理想です。チームでプロジェクトに常駐できる求人を選ぶと安心材料となるでしょう。
求人選定のコツ⑤:資格取得のサポートが手厚い
資格取得のサポートが手厚い会社もおすすめです。インフラエンジニアは、専門性が高い職種であるため、資格を取得することでもキャリアアップにつながります。
資格取得を手厚く支援する会社では、受験費用の補助だけでなく、社内での研修、学習環境の提供や、資格取得後の資格手当などもあります。
未経験者の場合は、効率よく基礎力を身につけるためのサポートがあると尚よいため、資格取得のサポートが手厚い会社もおすすめです。
さいごに
インフラエンジニアは、引き続き成長するITの基盤を支える重要な役割を担っており、また成長を続けるAIなどに仕事を奪われにくい、将来性も高い職種です。
また、成長意欲や学習意欲がある方にとって、インフラエンジニアは多様なキャリアアップの機会があり、努力に対して報われやすい職種でもあります。
今後インフラエンジニア職としてキャリアを積んでいきたい方は、是非ともチャレンジしてみてください。また、一人ひとりにあったキャリアプランのご相談にも乗りますので、お気軽にお問い合わせください。
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