こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
CCNAは、ネットワークエンジニアの運転免許証とも言われる資格であり、非常に人気かつ有名な資格です。ネットワークエンジニアとして活躍する人は、高い割合でCCNAを取得しているとも言えます。
ただし、CCNAは難易度が高く、受験料も高いため、受験ハードルは相応高いと言えます。初級者向け資格ではあるものの、簡単に取得できる資格ではありません。
そのため、「CCNAを取得したら、どれくらい年収上がるのか?」、またCCNA取得後も「年収を上げるためには、どうすればよいのか?」に疑問を持つ人も多いでしょう。
この記事では、CCNA取得者の年収相場、経験ごとの年数目安、転職市場での市場価値や年収アップのポイントなどを説明していきます。
これからCCNAの取得を目指す方や、すでにCCNAを取得済みでキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
そもそもネットワークエンジニアの年収とは
シスコ認定資格である「CCNAの資格」を、もっとも活かせる職種は、ネットワークエンジニアです。CCNAを取得すると、ネットワークエンジニアの基礎知識があることが証明できます。
ゆえに、まずは「ネットワークエンジニアの年収はどのくらいなのか?」について、解説をしていきます。
ネットワークエンジニアの平均年収
ネットワークエンジニアの平均年収について、大手転職サイトのdodaでは、2023年度のデータでは「446万円」と算定しています。



ネットワークエンジニアの平均年収は「446万円」という算定ではあるものの、実際は経験・スキルレベルによって大きく異なるのが事実です。平均年収という言葉が当てにならないほど、年収が変動します。
以下から、ネットワークエンジニアの年収について、さらに詳しく説明していきます。
ネットワークエンジニアのモデル年収
ネットワークエンジニアの年収は、経験・スキルによって大きく変わります。市場価値が高い経験・スキルを持つと年収は高くなりますが、経験・スキルがなければ、年収はなかなか上がりません。
特に、「要件定義」や「基本設計」、「詳細設計・構築」、「運用」、「監視・テクニカルサポート」といった工程にて、「どの工程が、自分で(1人称で)対応できるか」で年収が変動します。
ネットワークの工程別のモデル年収は、以下図の通りです。



ネットワークエンジニアは、経験やスキルによって年収が変わるため、年収を上げるためには「市場価値が高い経験やスキルを、実務で積む」ことが、もっとも重要です。
特に、ネットワークの工程において、年収アップの大きな鍵となるのは「構築経験」です。構築経験を積むまでは、年収が上がりにくいでしょう。一方で、構築経験を積むと、その後の年収アップのスピードが高まります。
ネットワーク構築は難易度が高いですが、年収アップを見据える際には、ぜひとも早期に意識したい工程です。
シスコ資格の平均年収は?
日本におけるCCNA、CCNP、CCIEホルダーの平均年収について、Cisco Japanが調査したデータがあります。2013年度の調査であるため、古いデータではありますが、内容は以下となります。
経験年数 | 平均年収 | |
CCNA | 2年以上 | 404ー578万円 |
CCNP | 3年以上 | 496-701万円 |
CCIE | 4年以上 | 645-900万円 |
上記のデータは古い内容であるものの、CCNAとCCNPの平均年収については、当方の所感として、2025年現時点にても、おおむね当てはまる印象です。
ただし、CCIEについては、4年で取得できる人はあまりいない点と、平均年収はもっと高い印象がありますが、シスコ資格の平均年収において、参考になるデータだと考えます。
CCNAを取得すると、年収は上がる?
CCNAを取得すると、ネットワークの基礎知識を証明できるため、転職やプロジェクト配属の際に有利になることが多いです。
ただし、CCNAを取っただけで大きく年収が上がる訳ではありません。給与が上がるのは、資格手当(月5,000-10,000円)程度でしょう。年収アップを目指すには、実務経験と組み合わせることが大事です。
具体的には、CCNAを早期に取得し、キャリアアップが一定スムーズな場合は、以下の年収が目指せるでしょう。
経験 | 年収目安 | 主な仕事内容 |
未経験(CCNA取得直後) | 280-400万円 | ネットワーク運用・保守・監視、または構築補佐 |
実務経験1-3年(CCNA) | 350-500万円 | 小・中規模のネットワーク構築 |
実務経験3-5年(CCNP) | 400-600万円 | 中・大規模のネットワーク設計・構築 |
CCNA取得直後は、高い年収アップは目指しにくいです。基本的には、勤務企業の給与テーブルが適用されるため、給与アップは資格手当程度でしょう。
しかし、CCNAを活かすと、配属が有利になり、経験を積む事ができます。経験を積みながら、上位資格(CCNPなど)を取得することで、大幅な年収アップとキャリアアップが見込めていきます。
CCNAを取得して、転職すると年収は上がる?
転職を考えている人にとって、「CCNAを取得して転職すると、年収アップにつながるのか?」は、気になるポイントではないでしょうか。
結論から言うと、「CCNAを取得して転職をすると、年収は上がりやすい」です。特に以下の人にとっては、年収アップが見込まれると言えます。
■CCNA取得後に転職すると、特に年収アップが見込める人:
・IT未経験者
・IT微経験者(監視オペレータ、ヘルプデスクなど)
CCNA転職で、年収アップが見込める人:IT未経験者
CCNA取得後に転職をした場合、CCNAの力で、もっとも年収アップが見込めるのは、IT未経験者です。
ネットワークエンジニアの転職市場では、未経験者も積極的に採用されていますが、CCNA取得した後に転職活動を行うと、「資格なし」と比較し、別格の評価となります。ゆえに「資格なし」の年収よりも高条件が見込めます。
CCNAは取ることで、未経験者でも、ネットワークの基礎知識があることを証明できます。また、学習意欲があることも証明でき、企業側が研修コストを抑えられるため、積極的に採用されやすくなります。
また、未経験採用を行う会社においては、「未経験者は、有資格者しか採用しない」会社も多く存在します。有資格者のみ採用を行う会社は、年収が高いと言えます。
未経験(資格なし)と、未経験(CCNAあり)で転職活動をした場合、想定年収は50万以上変わる傾向です。具体的には、以下のようになるでしょう。
転職後の想定年収 | |
未経験(資格なし) | 240-350 万円 |
未経験(CCNAあり) | 330-400万円 |
IT未経験者の場合は、CCNA取得後の転職は、年収アップが見込めるため、強くおすすめできます。また、IT未経験者の場合は、CCNAではなく、LPIC-1やLinuC-1の取得でも、同程度の年収アップが見込めます。
■参考記事:【LPICまるわかり解説!】LPIC level1とは?試験内容や勉強、受験方法などを説明
CCNA転職で、年収アップが見込める人:IT微経験者
CCNA転職においては、IT微経験者も年収アップが見込めます。具体的には、監視オペレータやヘルプデスク、ITサポートといった職種の方も、年収アップが見込みやすいでしょう。
IT微経験者は、CCNAを取得後に転職することで、ネットワークの運用や構築業務にキャリアアップしやすくなります。高条件の求人が見つかりやすくなるとも言えます。
IT微経験者も、CCNA取得後の転職は、年収アップが見込めるため、強くおすすめできます。また、IT微経験者においては、ネットワークのキャリアを目指すならCCNA、サーバのキャリアを目指すならLPICを取得しましょう。
上記のように、CCNA取得は、IT未経験者・微経験者の市場価値を大幅に上げることができ、転職をすると、年収アップにつながっていくでしょう。
ただし、ネットワーク構築経験者は、CCNA取得で年収は上がらない
一方で、すでにネットワーク構築の経験があるなど、エンジニアとして十分な実務経験をお持ちの方は、CCNAでは、年収アップにつながりにくいと言えます。
CCNAは、ネットワークの基礎知識があることを証明する資格です。ゆえに、豊富な経験を持つ方には、CCNAを取得しても、CCNAが新しいスキルとは見なされません。
また、ネットワーク構築経験がある場合は、企業はCCNAではなく、「CCNP」といった上位資格や、「ネットワークスペシャリスト試験」、「情報処理安全確保支援士」などの資格を期待するでしょう。
CCNAを取得した後に、年収を上げる方法
ここでは、CCNAを取得後に、さらに年収を上げるための方法について説明していきます。具体的には、以下のやり方が王道でありかつ、非常に有効な進め方です。
■CCNAを取得した後に、年収を上げる方法:
・上流工程の経験を積む
・上位資格を取得する
・給与水準が高い会社に転職する
上流工程の経験を積む
CCNA取得後に年収を上げていくためには、ネットワークの設計・構築といった上流工程の経験を積むことがもっとも有効です。
ネットワークエンジニアは、資格や知識よりも「実務経験が重視されます」。実務経験が豊富であるほど、市場価値が高まり、年収アップにつながります。
とはいえ、すぐに設計に携わることは難しいため、まずはネットワーク構築を目指すことが重要です。構築業務で複数のケースをこなし、キャリア形成を図っていきましょう。
上位資格を取得する
勤務する会社によっては、CCNAのみではネットワーク構築に携われないことも多いです。その時は、CCNAよりも上位資格のCCNPを取得することで、ネットワーク構築に携わることを、高い確度で目指せます。
CCNPを取得すると、難易度の分だけCCNAよりも市場価値が大きく高まります。CCNPを取得してもネットワーク構築に携われない場合は、前向きに転職を検討する必要があるかも知れません。
CCNPの取得難易度は高いですが、転職市場において、CCNAよりも評価が大きく上がるため、年収アップを目指すのであれば、積極的に挑戦してよい資格です。
給与水準が高い会社に転職する
給与水準が高い会社に転職するのは、短期間で年収を大きく増やすための効果的なやり方です。特に、現職で給与が上がりにくい場合には、転職で年収アップを狙うのは有効な方法です。
また、CCNAやCCNPを取得していれば、転職を行うことで、より上流工程の仕事に挑戦できる可能性が大きく高まるとも言えます。転職は、給与だけではなく、仕事内容も改善させる手段と言えます。
ただし、転職は慎重に行う
転職はキャリアアップや年収アップの大きなチャンスですが、慎重に行わないと、思ったよりも年収が伸びない、働きにくい環境に転職してしまったなど、不具合が発生するリスクもあります。
また、短い期間で転職を繰り返してしまうと、将来改めて転職をしたいと考えた時に、不利になることもあります。転職を行う場合は、しっかりと情報収集を行い、慎重に判断することが大事です。
CCNAとLPICは、どっちが稼げる?
CCNAと、LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアを目指す人にとって重要な資格です。
しかし、「CCNAとLPICでは、どちらの方が年収が高くなるのか?」や、「キャリアアップに有利なのはどちらか?」と気になる方も多いでしょう。
結論として、CCNAとLPIC level1の年収については、エンジニア初期段階ではほぼ同じです。どちらの資格でも、上位資格を取得するなどを行いながら、スキルアップすれば年収アップが目指せます。
ゆえに、まずは興味が持てる分野を選ぶとよいと思います。ネットワークエンジニアとしてキャリア形成するならCCNA、インフラエンジニアやクラウドエンジニアとしてキャリア形成するならLPIC、で良いでしょう。
しかし、CCNA(ネットワーク)とLPIC(サーバ・OS)は、どちらも重要な資格であるため、両方取得するのも強くおすすめできます。CCNAとLPICは重複する部分も一定あるため、一つ取得すると学習はしやすいでしょう。
また、CCNAとLPICの取得について、詳しく知りたい方は、別記事の「CCNAとLPICを徹底比較!どっちを取るべき?どっちから取るべき?」を、あわせてお読みください。
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CCNAは難しすぎる?合格率は?
CCNAはネットワークエンジニアとしての基礎知識を証明する資格であるものの、試験範囲は広く、覚えることも多く、理解しにくい横文字の語句が、たくさん出てきます。
ゆえに、初級資格であっても、簡単に合格はできません。そのため、「CCNAは難しすぎでは?」、「未経験でも合格できるのか?」と言われることもあり、「本当に初級資格なのか?」と、疑問を感じる方も多いでしょう。
ここではCCNAの難易度や、合格率などを説明していきます。
CCNAの難易度は?
CCNAの難易度は、「未経験者」、「IT知識あり」、「経験者」によって大きく異なります。
未経験者にとって、CCNAは難しい試験です。CCNAは基礎的な知識を問う試験であるものの、ネットワークの理論や専門用語など、覚えることが多いです。また、コマンド操作に慣れるのも難しいです。
例として、VLANやOSPF、ACLなどの専門用語、IPアドレスやサブネットマスクの計算も最初は苦戦するでしょう。また、シミュレーション問題で実際の設定を問われるなど、初学者泣かせの問題もあり、すんなり勉強は進まないでしょう。
未経験でも、CCNAは計画的に学習すれば、十分に合格できますが、しっかりとした学習が必要です。
また、「IT知識あり」の場合でも、やや難しいと言えます。例として、LPICや基本情報技術者試験などの資格を持っている場合は、ネットワークなどの基礎知識を持っているため、学習をショートカットできますが、それでも簡単ではありません。
ただし、ネットワークエンジニアとして、Cisco機器の設定などの経験がある人は、スムーズに学習ができるでしょう。難易度が高いシミュレーション問題でも有利と言えます。
CCNAの合格率は?
CCNAの合格率は、試験提供元のシスコからは正式に公表されていません。ゆえに正式な合格率は知ることができません。
しかし一般的には、合格率は30%程度とも言われています。しっかりとした対策をしないと、合格するのは難しいレベルと言えます。
ただし、未経験者でもしっかり対策を行い、学習を継続できれば、合格できる試験であるのも、間違いありません。
CCNAの試験難易度、試験内容などについて、詳しく知りたい方は「【難しすぎる?】CCNAの難易度は?試験の内容や合格率とは?」を、あわせてお読みください。
CCNAの勉強時間、勉強方法とは
CCNAは、未経験者や微経験者の年収アップの武器となる資格ですが、勉強時間や勉強の進め方について、事前に把握したい人もいるでしょう。ここでは、CCNAの勉強時間や、勉強方法について、説明します。
CCNA合格の勉強時間目安
CCNA合格のための学習時間は、ネットワーク知識や経験の有無によって、大きく異なります。また、要領よく、効率よく勉強できるか?によっても、必要な勉強時間は大きく変動しますが、未経験者の目安としては、以下となります。
勉強時間目安 | 学習期間目安(1日2時間) | |
未経験者(IT知識なし) | 200-300時間 | 約3-4ヶ月 |
未経験者(IT基礎知識あり) | 150-200時間 | 約2-3ヶ月 |
未経験者(IT知識なし)の勉強時間目安は「200-300時間」ではあるものの、試験範囲が広いため、全てを細かく理解しようとすると、恐らく200-300時間では終わりません。
効率よく、一定の計画を持って学習しなければ、CCNA合格までの学習時間は、簡単に400-500時間を超えてしまうこともあります。
CCNA合格のための勉強方法
CCNAは資格試験です。資格試験の王道の勉強法は、基本的には「インプット(参考書で理解)」、「アウトプット(問題集で問題を解く)」でしょう。またCCNAは、シミュレーション問題があるので、「実践(操作に慣れる)」も必要です。
ゆえに、「インプット」、「アウトプット」、「実践」を行うのが、CCNA合格に向けた、もっとも効果的なやり方です。
まずは「インプット」のために、参考書や動画講座を使って、CCNA試験の全体感や重要ポイントをおさえましょう。全体の内容を、なんとなくでよいので把握することが重要です。
次に「アウトプット」のために、問題集を使って、たくさん問題を解きましょう。問題をたくさん解くことが、勉強の中心といってもよいでしょう。最初は解けなくても、問題と解説を見るだけでも構いません。
最後に「実践(Cisco機器の操作に慣れる)」ことも大事です。操作ができないと、シミュレーション問題は解けません。基本的なコマンド(show、enable、configureなど)を使えるようになりましょう。
また、CCNAの効率的な勉強の仕方について、詳しく知りたい方は、別記事の「【初心者、未経験者、独学可】CCNAのおすすめ勉強方法」を、あわせてお読みください。かなり詳しく記載しています。
さいごに
CCNAは、取得だけでは大幅な年収アップにはつながりにくいですが、資格を取得することで、スキルアップにつながるプロジェクト配属を狙え、経験を積む事で年収の大幅増が目指せます。
また、CCNAは、未経験者や微経験者にとって、転職時に大きな年収アップの武器になることが多く、年収を高めたいネットワークエンジニアやインフラエンジニアに、ぜひともおすすめしたい資格です。
CCNAは、決して簡単な資格ではありませんが、将来的な年収アップのチャンスを多数作ってくれる資格であるため、年収を高めていきたい方は、CCNAをきっかけとして、キャリア戦略を立ててください。
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