CCNAとCCNPの違いとは?どう役立つ?CCNPまで取るべき?

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こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

ネットワークエンジニアの資格として一番有名なシスコ技術者認定といえるでしょう。シスコ認定のCCNA(初級者向け)と、CCNP(中級者向け)は、評価など、どれのような違いがあるのでしょうか?

また、CCNAを取ったあとに、CCNPまで取るべきか?で悩む人はいますが、CCNPまで取るべきなのでしょうか?取るとどんなメリットがあるのでしょうか?

今回は、CCNAとCCNPの難易度、需要、転職有利度の違いから、CCNPまで取るべきか?などを説明します。

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目次

CCNA、CCNPは、ネットワークの主要認定資格

現在、インターネットを中心としたIT/DXの発展に伴い、ネットワークエンジニアの需要も高まっています。

また、ネットワークではシスコ社のネットワーク機器が主流で使われています。ゆえに、ネットワークが学べ、シスコ機器も学べるシスコ技術者認が、ネットワークを学ぶための第一歩になっています。

シスコ技術者認定とは

シスコ技術者認定は、特にネットワークエンジニアやインフラエンジニアに人気がある資格です。

ネットワークを学ぶなら、「初級~中級エンジニアは、シスコ技術者認定一択」と言ってもよいほどの、高い需要と知名度があります。

シスコ技術者認定は、4つの階級(難易度)に分かれています。具体的には、下記画像を見てください。

シスコ技術者認定において、特に有名かつ人気な資格が、CCNAやCCNPです。CCNAとCCNPは、ネットワークエンジニアを目指す人、キャリアアップを目指す人にとって、非常に重要となる資格です。

CCNAとCCNPの違いとは?

CCNAとCCNPは、同じシスコ技術者認定ですが、大きな違いがあります。ここではCCNAとCCNPの違いについて、説明していきます。

■CCNAとCCNPの違い:
・難易度、受験対象者
・受験料や試験内容
・取得した後の評価
・取得後の年収
・転職有利度

CCNAとCCNPの違い①:難易度、受験対象者

CCNAとCCNPは、どちらもネットワークエンジニアのスキルを証明する資格ですが、難易度と対象者に大きな違いがあります。

CCNACCNP
難易度ITSSレベル2ITSSレベル3
位置づけアソシエイトプロフェッショナル
受験対象者ネットワーク初心者ネットワーク中級者、中級者を目指す人
受験資格なしなし(CCNAなしでも受験可能)

難易度のITSSレベルとは、経済産業省の情報処理推進機構(IPA)が定める、資格の難易度付けです。ITSSレベル2は「指導下で作業する、作業者レベル」を、ITSSレベル3は「独力で遂行できるレベル」を指します。

CCNAの難易度、対象者

CCNAは、ネットワークの初級資格です。ネットワーク技術の基礎を学び、ネットワークの設定や運用などに対応する知識を証明する資格です。

ゆえに、実務経験がなくても独学で十分に合格できる資格です。ただし、初級資格といっても、CCNAは決して簡単ではありません。試験範囲も広く、覚える量も多いです。

未経験者の場合は、CCNA取得まで学習時間は200-250時間程度(1-3か月程度)を必要とする人が多いでしょう。

対象者は、ネットワークエンジニアになりたい人「ネットワークの運用や構築に携わりたい人」が主です。ネットワーク資格を取りたい人の、最初のステップの位置づけです。

CCNPの難易度、対象者

CCNPは、CCNAをベースとした上位資格であり、ネットワークの中級資格です。ゆえにCCNAより高度かつ専門性が高くなるため、難易度がさらに高まります。

CCNPも、ネットワークエンジニアとしての実務経験がなくても取得する人はいますが、実務経験がないと非常に難易度が高いです。ゆえに、ネットワークエンジニアになってから、1-3年以内に取得する傾向です。

対象者は、「ネットワーク設計構築のキャリアを目指す人」が主です。ネットワークエンジニアとしてキャリアアップしたい人が、CCNAの次に取得する位置付けです。

CCNAとCCNPの違い②:受験料や試験内容

ここではCCNAとCCNPの受験料や試験範囲などの違いを説明していきます。

CCNAとCCNPの受験料

CCNACCNP
資格取得の要件CCNA(200-301)に合格することコア試験(350-401)に合格し、コンセントレーション試験(1つ選択)に合格すること
受験料CCNA(200-301):46,860円(税込)コア試験:62,480円(税込)
コンセントレーション試験:46,860円(税込)
有効期間3年3年

CCNAは初級レベルのため、CCNPより価格は抑えられています。しかしCCNAも決して安くありません。特にCCNPは、両試験にストレートで合格しても10万円を超えるため、高額な受験料といえます。

また不合格になると、再受験料が必要となります。

シスコ技術者認定の受験料は、金額改定が頻繁にあります。上記は2024年の受験料ですが、受験料は各自でお確かめください。

CCNAとCCNPの試験内容

CCNACCNP
試験時間CCNA(200-301):120分コア試験:120分
コンセントレーション試験:90分
試験形式CBT方式CBT方式

CCNA Exam v1.1 (200-301)の試験範囲

試験範囲出題比率
ネットワークの基礎20%
ネットワークアクセス20%
IPコネクティビティ25%
IPサービス10%
セキュリティの基礎15%
自動化とプログラマビリティ10%
引用:https://learningcontent.cisco.com/documents/marketing/exam-topics/200-301-CCNA-v1.1.pdf

CCNP Enterprise 350-401 ENCOR(コア試験)の試験範囲

試験範囲出題比率
デュアルスタック(IPv4・IPv6)アークテクチャ15%
仮想化10%
インフラストラクチャ30%
ネットワークアシュアランス10%
セキュリティ20%
自動化10%
引用:https://www.cisco.com/c/dam/global/ja_jp/training-events/training-certifications/exam-topics/350-401-ENCOR.pdf

CCNP Enterprise コンセントレーション試験

試験名(以下1つを選択)試験範囲の概要
300-410 ENARSI高度なルーティングおよびサービスの実装
300-415 ENSDWISD-WANソリューションの実装
300-420 ENSLDエンタープライズネットワークの設計
300-425 ENWLSDエンタープライズワイヤレスネットワークの設計
300-430 ENWLSIエンタープライズワイヤレスネットワークの実装
300-435 ENAUTOエンタープライズソリューションの自動化の実装
引用:https://www.cisco.com/c/ja_jp/training-events/training-certifications/certifications/professional/ccnp-enterprise.html

CCNAとCCNPの違い③:取得した後の評価

初級試験のCCNAと、中級試験のCCNPは、どちらも評価対象されます。

しかしCCNAとCCNPは難易度が異なるため、CCNPの方がかなり評価は上がります。これは、自社の営業担当などに聞いてみるとわかりやすいでしょう。

まずCCNPを取得すると、参画できるプロジェクトが増えます。特に20代若手の場合は、更に期待が持てます。

若手であるほど、CCNPホルダーは様々なプロジェクトから引っ張りだこになっていくでしょう(30歳を超えるタイミング頃から、資格よりも経験を重視される傾向が、少しずつ強くなります)。

特に若手であるほど、資格の恩恵を感じやすいです。さらにCCNAと比べてCCNPは差別化されますので、若手のCCNPホルダーは恩恵を感じやすいでしょう。

また結果として、社内での評価も上がることも多いです。その後の給与アップにも影響するでしょう。昇進にもつながっていく可能性もあります。取得後の評価は、難易度の分だけCCNPの方が上であるといえます。

CCNAとCCNPの違い④:取得後の年収

CCNA、CCNPともに、取得したからといって即年収が上がる訳ではありません。資格手当が支給されることはありますが、一般的には、CCNAが月3千円-1万程度、CCNPは1万-3万円程度です。

ゆえに、CCNPを取得したからといって、すぐに大幅な年収アップを期待しない方がよいでしょう

ただし、CCNP取得後に転職をすると、CCNP保有者を採用したい会社は出てくるので、大幅年収アップの可能性は高いです。

ネットワークエンジニアの年収は、基本的には、スキルレベルに基づきます。「何ができるのか?」や「どんなネットワークを組んだことがあるのか?」で年収が決まると言えます。

ネットワークエンジニアの年収について、スキルレベルに基づいたモデル年収は、おおよそ下記画像のようになります。

ゆえに、CCNAやCCNPを足掛かりとして、構築や設計業務に携わり、年収を上げていくというやり方が一般的です。

ただし、世の中の相場として、CCNAホルダーとCCNPホルダーの平均年収を比較すると、間違いなくCCNPホルダーの方が高いです。個人的な所感では、CCNPホルダーの方が年収は、100-150万円ほど高いと思います。

CCNPホルダーの方が年収が高くなる理由は、「CCNPの取得がスキルアップの仕事に繋がる」そして、「スキルアップの仕事を経験することで、年収が上がる」ためです。

補足:CCNA、CCNP、CCIEの年収調査

非常に古いデータですが、2014年にシスコ社が取得した、CCNA、CCNP、CCIEホルダー別の年収レンジデータがあります。

経験年数年収
CCIE経験4年以上645-900万円
CCNP経験3年以上496-701万円
CCNA経験2年以上404-578万円
参照:2013 Demand and Compensation research in Japan :CCNA, CCNP, and CCIE

個人的所感ですが、上記データについては、CCNAとCCNPについては、かなり当てはまる内容だと思います。CCIEについては、上記データよりも少し高い年収が高い気がします(あくまで所感です)。

CCNAとCCNPの違い⑤:転職有利度

CCNAも、CCNPも転職において評価される資格ですが、CCNPの方が難易度の分だけ評価され、転職で有利になります。この差は、結構大きいです。

また、初級エンジニアの場合はCCNAでも持っていると、転職で評価対象です。ただし中級エンジニアになるとCCNAはあまり評価されません

しかし、中級エンジニアの転職では、CCNPは特に役立つ存在です。

多くの採用企業が感じていることとして、ネットワークエンジニア職は「中級エンジニアのスキルを、面接だけで判断することは難しい実際に仕事をしてもらわないと、正確に評価できない)」という事実があります。

初級エンジニアのスキル判定は難しくありません。上級エンジニアは、面接で「ネットワーク構成図を書いてもらい、構成理由を含めて説明してもらう」などで、スキル判定されます。

しかし、中級エンジニアはスキル判定が難しいため、CCNPの取得が知識を証明し、採用企業に安心感を与えてくれます

その安心感が、他の応募者との差別化につながるため、CCNPホルダーは転職でさらに有利な実状があります。

CCNAもCCNPも、実務経験との組み合わせが大切

CCNAとCCNPは、両資格ともネットワーク知識を証明する代表的な資格であり、資格そのものにも価値があります

一方で、エンジニアとして一番評価されるのは「実務経験」です。実務経験が不足する中で、資格のみ取得しても、資格コレクターになるでしょう。それでは資格を有効活用できていません。

CCNAやCCNPは、基本的に「ネットワークエンジニアとしてキャリアアップ」するための足掛かりとなるものです。資格で知識を証明することで、より難易度が高い仕事を任せてもらえる状況になります。

CCNAを活かして運用や構築、CCNPを活かして構築や設計に携わり、ひいては大規模ネットワークの設計構築などで経験を積む事で、市場価値を高めていくことができるでしょう。

CCNAやCCNPは、実務経験を積むための足掛かりです。資格取得にとどまらず、実務経験と組み合わせることが最も大事です。

CCNA取得後に、CCNPまで取るべきか?、CCIEまで取るべきか?

CCNAの取得後に、次の資格やキャリアパスに悩む人は多いです。よく話題に挙がるのは、「CCNPまで取得すべきか?」、また更に上位資格の「CCIEまで取得すべきか?」という内容です。

CCNPとCCIEには、異なる難易度と目的があります。自分のキャリア目標に沿って選択をすることが大事です。

まずネットワークエンジニアにおすすめの資格、難易度の画像は下記となります。特に赤枠や赤星はおすすめです。

上記画像は、「ネットワークエンジニアにおすすめの資格」です。インフラエンジニアの場合はおすすめ資格は変わりますので、ご注意ください。

CCNA取得後に、CCNPまで取るべきか?

「ネットワークエンジニアとして生きていくこと」を決めている場合は、CCNPまでは取得がおすすめです。

CCNPは、CCNAの上位資格として、ネットワークの専門的かつ高度なスキルを持つことを証明することができます。

また、CCNP取得に向けた学習にて、ルーティングやスイッチングだけでなく、ネットワークセキュリティや自動化技術など、実践的な内容を学ぶこともできます。

ネットワークエンジニアとしてのキャリアを築く場合は、CCNPは、評価や需要も高く、強くおすすめできます。

ただし、ネットワークエンジニアではなく「インフラエンジニア」や「クラウドエンジニア」などのキャリアも考えている場合は、CCNPよりも、他の資格を優先した方がよいこともあります。

次にどの資格を取得するか?は、自分のキャリア目標に沿って選択をすることが大事です。

■関連記事:CCNAとLPICを徹底比較!どっちを取るべき?どっちから取るべき?

■関連記事:3大資格のLPIC、CCNA、AWSはどれを取るべき?どれから?クラウドエンジニアへの近道資格

CCNP取得後に、CCIEまで取るべきか?

CCIEは、シスコ認定資格の最高峰です。取得が難しい分、世界的にも高い評価があり、日本国内でもア違いない評価を得られます。CCIEは、シスコ認定資格の中では、頭一つ飛びぬけた高い評価がもらえます。

ネットワークエンジニアとしてCCIEまで取得できれば、業界トップレベルのスキルを持ち合わたエンジニアとみなされるでしょう。CCIEホルダーは希少な存在といえます。

ただし、CCIEまで取るべきか?と言われると、「取れるのであれば、取った方がよい」という所感です。理由は、CCIEは飛び抜けて難しいためです。

CCIE取得には、膨大な勉強時間と労力がかかります。特にラボ試験の合格が難しく、取得するまでの学習は、数年単位で考えるべきでしょう。また有効期間を維持するのも大変です。

ネットワークエンジニアとしてのコスパを考えるのであれば、CCIEよりも「ネットワークスペシャリスト試験」の方が、個人的にはおすすめです。ネットワークスペシャリスト試験は国家試験であり、有効期間はありません。

また、ネットワークスペシャリスト試験も十分な需要と評価が見込めます。上流工程に強みを持つネットワークエンジニアとして活躍するなら、ネットワークスペシャリスト試験も高評価です。

ただし、ネットワークスペシャリスト試験が簡単という訳ではありません。ネットワークスペシャリスト試験も十分に難易度が高いです。しかしCCIEに特別なこだわりがなければ、ネットワークスペシャリスト試験も十分な評価を勝ち取れます。

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