こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「ITエンジニアになるには資格が必要なの?」
「資格がなくても転職できるって本当?」
「キャリアアップに資格は必須?不要?」
そんな不安や疑問を感じている方は少なくありません。SNSやネット掲示板では、「資格はいらない」、「実務が大事」など、さまざまな意見が飛び交っています。
確かに、IT業界では資格がなくても採用されるケースは多くあります。未経験者を育てる企業も多く、学ぶ意欲があればチャンスをつかめる時代です。
とはいえ、すべての人に資格が不要というわけではありません。実際には、職種やキャリア段階によって資格の「価値」や「必要度」が大きく異なるのも事実です。
この記事では、インフラ/サーバー/ネットワーク/クラウド/Web/業務系エンジニアなど、ITエンジニアの主要職種ごとに、資格が「いる職種」、「いらない職種」をわかりやすく比較します。
■この記事でわかること:
・資格を取るべき人・取らなくていい人の違い
・職種別に見た「資格の価値」
・キャリアアップへのつなげ方
これらをわかりやすく整理し、あなたにとって「資格は必要か・不要か」を戦略的に判断できるように解説していきます。
もし「どの資格が自分に合っているかわからない」と感じたら、無料キャリア相談で現場のプロに直接アドバイスを受けるのもおすすめです。
資格は「必須」ではないが、目的によっては強力な武器になる
ITエンジニアの世界では、「資格がなくても活躍できる」というのは事実です。ただしそれは、「資格が意味ない」ということではありません。
資格はゴールではなく、「目的によって使い方が変わるツール」です。特に未経験やキャリアチェンジの方にとっては、実務経験を補う「信頼の証明」として大きな力を発揮します。
資格よりも評価される「実務経験」とは?
現場では、「資格よりも実務経験が重視される」というのが共通認識です。理由はシンプルで、資格ではカバーできない「現場スキル」が求められるためです。
例として、現場スキルの形は職種によって少し異なります。
【開発エンジニアの場合】
実際に動くコードを書き、仕様変更や不具合修正をスピーディに対応できるかが重要です。
「資格で知識を持っている人」よりも、「自分で考えてコードを書ける人」、「チームで成果を出せる人」が評価されます。
【インフラエンジニアの場合】
構築作業や障害対応のような業務は、教科書的な知識だけでは対応できません。
サーバーが落ちたとき、顧客環境ごとの状況を把握し、最適なコマンドや手順で即時対応できる力。このトラブルシューティング力や実行力こそが、現場で最も評価されるスキルです。
また、どの職種でも「チーム内での連携」、「報告・相談のタイミング」、「品質を守る責任感」など、
コミュニケーションを含めた総合的な現場スキルが問われます。
資格はその一部(=基礎力の証明)に過ぎず、最終的に評価されるのは、成果=アウトプット(現場でどう貢献できるか)に尽きます。
それでも資格が役立つ3つのケース
現場では実務経験が重視されるとはいえ、資格がまったく不要というわけではありません。
「資格はいらない」と言われることもありますが、実際の転職・キャリアの現場では、資格が「強力な武器」になる場面も多くあります。
ここでは、その代表的な3つのケースを紹介します。
① スキルの証明(知識レベルを客観的に伝える)
IT業界では、「どのくらいできるのか」を客観的に示すのが難しい分野です。
例として「Linuxを使えます」、「Javaを学んだことがあります」と言っても、相手には具体的なスキルレベルが伝わりにくいものです。
一方で資格を持っていれば、基礎知識や理解度を「共通の基準」で証明できます。例として、LPIC・CCNA・AWS認定資格などは、転職や面談時にスキルを説明するうえでわかりやすい指標になります。
② 意欲の証明(学び続ける姿勢を示す)
資格は、「自ら学び、成長しようとしている姿勢」を示すものでもあります。
特に未経験者やキャリアチェンジの方にとっては、資格勉強そのものが「行動力」として評価されやすいポイントです。
面接では「なぜその資格を選んだのか」、「どうやって勉強したのか」を語れると、「単なる知識」ではなく、学びの意欲と継続力として伝わります。
③ 評価の獲得(転職や社内での信頼につながる)
資格は、あなたの努力や知識を「見える形で伝える」手段にもなります。
転職ではもちろん、社内で新しいプロジェクトに関わる際にも、「この人は基礎をきちんと理解している」と信頼を得やすくなり、配属決定の指標になることも多くあります。
資格はキャリアのゴールではなく、信頼を築くきっかけと考えるのがポイントです。
どんな資格を選ぶか迷っている方は、主要分野ごとの資格一覧を確認しておくのがおすすめです。特にインフラ分野に興味がある方は、「インフラエンジニアおすすめ資格一覧と難易度 」も参考になります。
ITエンジニア職種別:資格が「いる職種」、「いらない職種」一覧表
ITエンジニアと一口に言っても、職種によって求められるスキルや評価基準は大きく異なります。資格が重視される分野もあれば、実績やポートフォリオが中心になる分野もあります。
ここでは、主要7職種の「資格有効度」をわかりやすく整理しました。まずは、自分が目指す分野で資格がどの程度プラスになるかを確認してみましょう。
職種別の「資格有効度」早見表
(資格が有効な職種から順に掲載しています)
| 職種 | 資格有効度 | 理由・ポイント |
| インフラエンジニア | ★★★★★ | 評価指標が資格に依存しやすい。求人要件に「LPIC/CCNA歓迎」と明記されるケースも多い。 |
| ネットワークエンジニア | ★★★★★ | CCNA・CCNPなどが実務直結の資格として評価される。転職・配属時の判断材料にもなりやすい。 |
| サーバーエンジニア | ★★★★☆ | Linux・クラウド連動のスキル証明として有効。LPICやAWS資格がキャリアアップに直結。 |
| クラウドエンジニア | ★★★☆☆ | AWS・Azure資格は評価されるが、実務(設計・構築経験)の方がより重視される。 |
| SE/PG(業務系) | ★★☆☆☆ | Java・基本情報などは有効だが、実務経験や開発スピードがより重視される。 |
| SE/PG(Web系) | ★☆☆☆☆ | Webエンジニア・自社開発系はポートフォリオ重視。資格よりも成果物・コード力が評価される。 |
| 組み込みエンジニア | ★☆☆☆☆ | C/C++などの言語スキルや実装経験が最重要。資格よりも「動くものを作れるか」で評価される。 |
関連記事:資格が評価されやすい職種を詳しく見る
→関連記事:インフラエンジニア資格一覧まとめ
→関連記事:ネットワークエンジニア資格一覧
→関連記事:サーバーエンジニア資格一覧
→関連記事:クラウドエンジニア資格一覧
上記の関連記事では、それぞれの職種で「どんな資格が有効か」、「どの順番で取るべきか」を詳しく解説しています。
補足解説:資格が評価されやすい職種の特徴
資格が強く評価されるのは、業務内容が「仕組み」や「技術基盤」に関わる職種です。
例として、インフラ・ネットワーク・クラウド分野では、トラブル対応や設計・構築の正確さが求められるため、資格=基礎知識の担保として実務との関連性が高くなります。
一方で、SE/PG(業務系・Web系)は、「どんな成果物を作ったか」、「どんなユーザー課題を解決したか」が重視される環境であり、資格よりも実際のアウトプット(ポートフォリオ・開発実績)が評価されます。
資格が評価されやすい「インフラエンジニア」について詳しく知りたい方は、以下関連記事を参考にしてください。インフラエンジニアの仕事内容・年収・将来性などを詳しく解説しています。
→関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
【いる派 vs いらない派】資格論争の本質
ITエンジニアの世界では、昔から「資格はいらない」、「いや、必要だ」という議論が続いています。どちらの意見にも根拠があり、一概に「正解・不正解」を決められないのが実情です。
ここでは、「資格いらない派」、「資格いる派」の代表的な主張を整理し、その背景にある「現場のリアル」を踏まえて解説していきます。
「資格いらない」派の主張
「資格はいらない」と考えるエンジニアは少なくありません。特に、開発職や自社サービス系の現場では、以下のような声がよく聞かれます。
■資格いらない派の主張まとめ:
・実務経験のほうが圧倒的に重要
・現場では資格より「トラブルを解決できる力」が求められる
・資格の勉強よりも、実際にコードを書いたり構築したほうが早く身につく
例として、開発系エンジニアの場合、「資格で基礎知識を学ぶより、自分でアプリを作ってGitHubに載せる方が早い」という価値観が一般的です。
また、インフラ・クラウド系でも、「資格を持っていても、実務でコマンドが打てなければ意味がない」
という意見は多く、「現場で使えるスキル」こそが最も重視される傾向があります。
「資格いる」派の主張
一方で、「資格は必要」と考える人も確実に増えています。
特に、未経験・異業種転職やクラウド・セキュリティ分野では、資格が「目に見える信頼の証明」になるためです。
■資格いる派の主張まとめ:
・未経験者が知識を客観的に示すための手段になる
・AWSやセキュリティ資格などは、現場参画・求人要件に指定されているケースもある
・勉強のモチベーション維持・学習範囲の整理に役立つ
また、近年はクラウドやAIなど新しい技術領域が増え、「学び直し(リスキリング)」で資格を取る社会人も増加しています。
資格を通じて体系的に知識を整理し、実務での応用力を高めていく流れは、今後さらに広がっていくでしょう。
転職市場での評価の現実
実際の求人データを見ても、資格が軽視されているわけではありません。
たとえばdodaやレバテックなどの求人情報では、「LPIC/CCNA保有者歓迎」、「AWS認定資格保有者優遇」と明記された案件は依然として多く見られます。
つまり、「資格が不要」なのは実務経験者や上級エンジニア層に限られるのが現実です。未経験者・初級者の段階では、資格が唯一の「第三者に示せる客観的な強み」になるケースがほとんどです。
■ポイントのまとめ:
・「資格いらない」は「ある程度経験を積んだ人」の意見が多い。
・「資格いる」は「これから始める人」の現実的な選択。
次のステップ:自分の目指す職種で、資格の有効度を見極めよう
ここまでで、「資格が必要かどうか」は一概には言えないことがわかりました。実際には職種やキャリアの方向性によって、資格の「効果」は大きく異なります。
たとえば、インフラやネットワークのように資格が強く評価される分野もあれば、Web開発や組み込み系のように、実績やポートフォリオの方が重視される分野もあります。
次からは、未経験からの転職を想定して、「どの職種で資格がどれくらい有利に働くのか」をわかりやすく整理していきます。
まずは、自分が目指す方向で「資格がどの程度プラスになるのか」を確認してみましょう。
【目的別診断】未経験転職での資格の有効度とおすすめ資格
未経験からITエンジニアを目指す場合、どんな資格が「効果的」かは職種によって大きく異なります。ここでは、主要4職種を「難易度順(資格が通用しやすい順)」に整理しました。
資格を取る目的は「就職を有利にすること」です。しかし必ずしも「人気資格を取る=未経験転職で有利」ではありません。現実的にどこからスタートすべきかを見極めましょう。
未経験転職での資格の有効度(職種別まとめ)
| 職種・目標 | 資格の有効度 | 理由 | おすすめ資格例 |
| ① インフラエンジニア(サーバー/ネットワーク系) | ★★★★★(非常に有効) | 資格が採用・転職の判断材料になりやすい。LPIC/CCNAなどは「現場理解の入口」として信頼性が高く、求人要件に明記されるケースも多い。 | LPIC/LinuC/CCNA |
| ② 開発エンジニア(Web・業務系アプリ開発) | ★★☆☆☆(一部有効) | 資格よりもポートフォリオ・コード実績が重視。ただし基本情報やJava Bronzeで「基礎を理解している」ことを示すのは効果的。 | 基本情報技術者/Java Bronze/Python3認定 |
| ③ クラウドエンジニア(AWS/Azure) | ★☆☆☆☆(ほぼ無効) | 未経験からは難易度が高く、資格だけでは転職が難しい。まずはインフラの経験を積んでから挑戦するのが現実的。 | AWS SAA/Azure AZ-104 |
| ④ 組み込み・制御系エンジニア | ★☆☆☆☆(ほぼ不要) | C/C++などの実装力が中心評価。資格よりも「動くものを作れるか」が最重要。 | (必要なし。C/C++学習・作品制作推奨) |
インフラやネットワークなど「仕組みを支える職種」ほど資格が評価されやすく、一方で、開発・Web系などの「ものを作る職種」では、ポートフォリオや成果物が重視されます。
資格取得や学習をしないことでの落とし穴
「資格はいらない」、「実務経験の方が大事」、確かにこれは間違いではありません。
しかし、何の準備もせずにIT業界へ飛び込むことには、いくつかの落とし穴があります。
① 希望職種に就けず、非エンジニア業務からスタートしてしまう
未経験OKエンジニア求人に応募しても、実際に配属されるのは「エンジニア」ではなく、ヘルプデスク・コールセンター・データ入力などのサポート業務というケースが少なくありません。
もちろん、サポート業務も立派な仕事です。ただ、スキルを積み上げる機会が限られるため、「なかなかエンジニアにステップアップできない」という悩みに直面する人が多いのも事実です。
一方で学習や資格を通じて「基礎知識を見せられる人」ほど、早期にエンジニアとしてステップアップしやすい環境を得られるのも実情です。
② 現場での会話についていけない
現場では、「TCP」、「ping」、「Linuxコマンド」、「インスタンス」など、ITの基本用語が当たり前のように飛び交います。
資格勉強や事前学習を通じて基礎を身につけていないと、指示の意味が理解できず、入社直後につまづいてしまうこともあります。
「資格や事前学習」は、「現場で使う言葉を理解する」ための準備にもなります。
③ 未経験OKの求人ほど、ミスマッチやブラック案件に注意
「資格はいらない」、「未経験でも大丈夫」と書かれている求人は多くありますが、「知識なしでも採用する会社ほど要注意」という実状もあります。
■未経験転職でよくある落とし穴:
・年収が低く上がりにくい
・仕事内容がエンジニア業務以外に偏っている(サポート・事務的作業が中心)
・スキルが積めず、キャリアの停滞や「抜け出せない環境」につながる
未経験歓迎求人は一見ハードルが低く見えますが、実際には「人を入れ替えながら回している」だけのケースも少なくありません。
学習や資格を通じて基礎を固めておけば、「採用される側」ではなく「職場を選べる側」になれます。基礎力を示せる人ほど、教育体制や将来性のある現場を選びやすくなります。
転職・キャリアアップにつなげる3つの行動
ここまで見てきたように、「資格はいらない」という言葉を鵜呑みにして何もしないと、希望職種に就けなかったり、スキルを積めずにキャリアが止まってしまうことがあります。
一方で、資格や学習は、「転職やキャリアアップのチャンスを広げるきっかけ」にもなります。
ここでは、資格を含めた「学びをキャリアの武器」に変えるための3つの行動を紹介していきます。
① 実務につながる学び方を意識する(まず「触れてみる」でOK)
実務経験がなくても、「自分で少し触ってみる」だけで理解が一気に深まります。触ってみるだけでも立派な一歩です。
■アクション例:
・インフラ系なら、エミュレータやVirtualBoxを使ってLinuxコマンドを試してみる
・開発系なら、Progateやドットインストールでプログラミングを試してみる
最初から完璧にできる必要はありません。ほんの少しでも「触った」経験があると、面接でのアピールや実務での吸収スピードが変わります。
② 資格や学習をキャリア戦略に結びつける
資格や学習はゴールではなく、キャリアを広げるためのツールです。
例として、LPICを取得した人ならLinuxサーバー構築案件へ、AWS認定資格を取った人ならクラウド運用や自動化案件へと、「資格・学習 → 実務」への接続を意識することで、成長スピードが大きく変わります。
SES企業ならアサイン範囲の拡大、SIerなら設計業務へのステップアップなど、資格や学習は「次のチャンスをつかむためのきっかけ」になります。
③ 専門アドバイザーに相談して、最短ルートを設計する
一人でキャリアを考えると、どうしても「資格を本当に取るべきなのか」、「そもそも向いているのか」などと悩みがちです。
その中で、自分の経験・強み・目指す方向に合った戦略を立てることで、最短・最適なキャリア形成が可能になります。
またインフラやクラウド分野に興味がある人は、インフラ領域に詳しいキャリアアドバイザーに相談することで、最短ルートを見つけやすくなります。
自分に合った資格・学習・転職の順番を知るだけでも、行動の迷いがなくなります。
次のステップへ:キャリアの停滞を防ぐ3つの行動
キャリアの停滞は、「何をすべきか悩んでいる時間」から生まれます。
最も危険なのは、「資格はいらない」という言葉を鵜吞みにしすぎて、何も準備や行動をせずに時間だけが過ぎてしまうことです。
■今日からできる具体的アクション:
・「触ってみる」学習を始める
→Progate、ドットインストール、Linuxなどを使い、気になる技術に15分でも触れてみましょう。「完璧に理解しなくてもOK。手を動かすこと自体が第一歩です。」
・将来のキャリアを描く
→自分がどの職種(インフラ? 開発?)に向いているのか、次に進むために何を学ぶべきかを整理してみましょう。
・専門家に相談する
→自分の経験や目指す方向に合った最短ルートを知るために、専門家に相談してみましょう。インフラに興味があればインフラ業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談がおすすめ。
行動は、いつ始めても遅くはありません。小さな一歩を踏み出すことが、あなたのキャリアを変え、現状を打破するきっかけとなります。焦らず、でも止まらずに進みましょう。
\ インフラエンジニアに興味がある方へ /
未経験からでも、インフラ分野でキャリアを築く方法があります。
今のあなたに合った「資格の選び方」や「最短ルート」を、
インフラ業界専門のキャリアアドバイザーが無料でアドバイスします。
※在職中・未経験の方も歓迎です。
※オンライン面談・夜間相談も対応しています。
インフラ資格全般を知りたい・比較してみたい方へ
以下の関連記事では、インフラエンジニア・ネットワークエンジニア・クラウドエンジニアなど、職種別におすすめの資格をまとめています。
→関連記事:インフラエンジニアに資格は必要?おすすめ資格一覧と取得順番・難易度を徹底解説
また、「LPIC」、「CCNA」、「AWS」など、どれを優先すべきか迷う方は、以下の関連記事でそれぞれの難易度・順番・活かせる仕事を比較しています。
→関連記事:LPIC・CCNA・AWSどれから取る?最適資格ロードマップ






