こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「ITの職業訓練なんて、通っても意味ない」。 ネットやSNSで、そんな厳しい言葉を目にして不安になっていませんか?
結論から言えば、IT職業訓練は「通えば誰でもエンジニア就職が実現する万能ツール」ではありません。 期待値を誤れば「時間の無駄だった」と後悔するリスクもあります。
しかし、数多くの受講生の就職支援に関わってきた立場から見ると、「意味がない人」には共通のパターンがあり、逆に「武器として使いこなす人」にも共通の戦略があることが分かります。
■この記事でわかること:
・なぜ「意味ない」と言われるのか?5つの本質的理由
・受けても無駄になる人・成功する人の違い
・職業訓練、スクール、独学。あなたに今、本当に有効な手段は?
この記事では、ネットの噂に惑わされないための「制度のリアル」を解説していきます。「なんとなく無料だから」で選ぶ前に、後悔しないための判断基準を手にしてください。
結論|IT職業訓練が「意味ない」と感じる人は存在する
まず結論からお伝えすると、IT職業訓練はすべての人にとって価値がある「万能のツール」ではありません。実際に卒業をしたものの、ITとは異なる「前職の経験を活かせる仕事」に就く人は少なくありません。
一方で、ここで重要なのは「職業訓練という制度が悪い」のではなく、「受講者の状況と期待値のズレ」が失敗につながりがちという点です。
職業訓練はあくまで「土台」に過ぎない
IT職業訓練は、あくまで「学習環境と時間をまとめて提供する制度」です。それ以上でも、それ以下でもありません。
「無料で学べて、就職まで全部面倒を見てくれる」という受け身の姿勢で通うと、「意味ない」と感じてしまうケースが少なくありません。
一方で、訓練を「国が用意してくれた踏み台」と割り切り、不足分を自主学習で補いながら、戦略的に就職活動を進めると、意味ある選択につながりやすくなります。
つまり、IT職業訓練が「意味ある選択」になるかどうかは、制度の良し悪しではなく、あなたの「使い方」でほぼ決まるということです。
次からは、なぜIT職業訓練が「意味ない」と言われやすいのかを、よくある失敗パターンを整理しながら、その理由を説明していきます。
IT職業訓練が「意味ない」と言われる5つの理由
「意味ない」、「やめとけ」という声が出る背景には、よくある5つの理由があります。
① 受け身で「教えてもらう前提」ではスキルが定着しない
IT職業訓練で最も多い失敗が、受け身の姿勢です。受け身の姿勢のままでは、内容が表面的な理解にとどまり、実務で活かせない・ついていけないと感じてしまうケースは少なくありません。
また学んだカリキュラムを理解や深掘りする姿勢がないまま修了すると、就職活動や実務で苦戦する可能性があるため、授業外での自習や実技の復習も必要です。
② 学ぶ「深さ」には個人差が大きい
IT職業訓練の授業は、広く学ぶタイプの訓練もあれば、分野を絞って深く学ぶ訓練もあります。しかし、どこまで深掘りするかは、最終的に受講生本人に委ねられているのも事実です。
ゆえにすべての受講生が卒業後に同じ知識・スキルになることはなく、受け身かつ最低限の課題で満足してしまうと、就職活動で武器になるスキルが育ちません。
③ 就ける仕事の現実を理解しないまま受講しているケースも多い
「意味なかった」と感じられやすい理由の一つに、訓練で学べる内容と、実際に就ける仕事のイメージが噛み合っていないという問題があります。特に「広く浅く学ぶ」訓練で多い傾向です。
IT職業訓練の多くは未経験者向けのため、ITの基礎を中心に学び、「ヘルプデスク・システム運用・テスター」から始まることは少なくありません。しかし「ゲームを開発したい」、「いきなりフルリモートで高年収」などの理想を譲れないケースもあります。
これは訓練の失敗というより、期待値のズレによって起こりやすい問題です。
④ 職種によって求人数・難易度が大きく異なる
「IT業界は人手不足だから、職業訓練を受ければ就職できる」と考えられがちですが、これは半分正解で、半分誤解です。職種ごとに見ると、求人数や就職難易度には大きな差があります。
例として「ヘルプデスク・運用・テスト系は、求人数が多く、未経験でも入りやすい」ですが「Web開発・インフラ構築・クラウドは、求人数が多いですが、要求スキルも高い」など、目指す職種によって大きく異なります。
これは職業訓練の問題ではなく、職種選択と市場理解の不足が原因です。
⑤ 働きながらキャリアを変えたい人には「制度」が合わない
大前提として、職業訓練は「離職者」向けの制度です。平日の日中が拘束されるため、仕事を続けながらキャリアを変えたい人には、物理的にも制度的にも合いません。
働きながら学習を行いたい場合は、職業訓練ではなく、別の学習手段を検討した方が現実的です。
実はIT職業訓練に向いていない人の特徴
IT職業訓練が「意味なかった」と後悔する人には、能力の差ではなく「考え方と行動のミスマッチ」という共通点が多く見受けられます。
以下に当てはまる項目が多いほど、IT職業訓練を「意味ない」と感じやすい傾向です。
■職業訓練に向いていない人の特徴まとめ:
・「教えてもらえば何とかなる」と考えている
・授業外での学習を前提に考えていない
・最初からフルリモート・高年収・理想の職種を強く求めている
・訓練後に就きたい職種が明確に決まっていない
・IT業界や職種ごとの就職難易度を深く調べていない
・働きながらキャリアを変えたいと考えている
最終チェック:理想と行動のバランス
ここまでを整理すると、IT職業訓練の受講者は、「理想の高さ」と「学習行動」の組み合わせによって、結果が分かれやすい傾向があります。
| 学習姿勢\ 期待値 | 理想が高い | 理想が現実的 |
| 学習する | 成長途上型(努力で理想に近づく) | 成功しやすい層(最も高く評価される) |
| 学習しない | ミスマッチ型(不満が残りやすい) | 最低限着地型(内定は出るが伸びにくい) |
※ 上記表はあくまで一般的な傾向を整理したものです。個人の能力や将来性を断定するものではありません。
IT職業訓練を「意味ない」と考えてしまう人の多くは、「理想だけが高く、学習行動が伴わないミスマッチ型」に集中しています。
それでもIT職業訓練が「意味ある選択」になる人の共通点
ただし、IT職業訓練は条件が合えば、十分に「意味ある選択」になり得る制度です。実際に、訓練をきっかけにIT業界へ入り、着実にキャリアを積んでいる人も多く存在します。
以下は、IT職業訓練をうまく使えている人に共通しやすい特徴です。
① ゴールを「職種」まで具体化している
うまく活用している人は「とりあえずIT」ではなく、最初は「インフラの運用から入る」、「まずはヘルプデスクで経験を積む」など、出口の解像度を上げています。
ゴールが具体的だからこそ、訓練中に「どこを重点的に学ぶべきか」、「いつまでに何の資格を取るか」といった方向性がブレにくくなります。
② 訓練を「完成」ではなく「踏み台」と割り切る
訓練校は「スキルを完成させる場」ではなく「スタートラインを拾う場所」です。
訓練だけでなんとかなると考えず、【訓練 + 自主学習】をセットで考え、授業の不足分を自分で埋めるなど「制度を使い倒す意識」になれているかが大きな分かれ目です。
③ 就職活動を「訓練校任せ」にしない
IT職業訓練を意味ある選択にしている人ほど、就職活動を訓練校だけに任せていません。もちろん、訓練校の就職支援は心強いものですが、紹介される求人や就職サポートには限りがあります。
うまく進める人は「自分でも求人情報を調べ」、「職種ごとのキャリアパスを把握し」、必要に応じて、「外部の転職サービスやエージェントも活用」するなど、複数の視点から就職活動を進め、ミスマッチを減らしながら成果につなげています。
自分ひとりで判断が難しい場合は、第三者の視点を取り入れることで、ミスマッチを減らしやすくなります。
④ 「初期キャリア」を成長の通過点と捉える
意味ある選択にできている人は、最初の仕事が「理想通りでない可能性」も織り込みながら、「まずは実務経験を積むのが最優先」と割り切っています。
夜勤や下流工程も「その後のキャリアアップのための学習期間」と捉え、「そこからどう伸ばすか」に意識を向けています。この視点があると、訓練後のギャップを「失敗」ではなく「想定内」として受け止められます。
⑤ 入学前の面談で「現実的な出口(就職)」を確認し、受け止められる
IT職業訓練を意味ある選択にしている人は、入学前の面談や説明の段階で、「修了後の現実的な出口」をきちんと理解しています。入学がゴールではありません。
これは、自分の年齢や前職の経験、目指したい職種、希望条件(年収・働き方など)を正直に伝えた中で、現実的な就職先を確認し、冷静に受け止められるかどうかが重要です。
仮に希望には届かないとしても、「一歩目としては悪くない」と判断できる人は、訓練後のギャップで後悔しにくくなります。訓練を「意味ある選択」にできるかどうかは、入学後の頑張り以前に、入学前の判断でほぼ決まっていると言っても過言ではありません。
結論:IT職業訓練は「意味ある・なし」で選ぶものではない
大切なのは、制度の良し悪しではなく「今の自分にとって合理的かどうか」です。職業訓練だけが「ITエンジニアになるためのルート」ではありません。以下で選ぶと、さらに合理的に検討できます。
■ITエンジニアになるための学習法:
・時間はあるが、お金をかけずに土台を作りたい: 職業訓練
・時間はないが、投資してでも最短で目指したい: リスキリング対象スクール
・自力で全て学習ができる: 独学
まとめ|IT職業訓練は「意味ある・なし」で決めるものではない
IT職業訓練は、「意味がある」、「意味がない」と簡単に切り分けできる制度ではありません。大切なのは、制度の良し悪しではなく、今のあなたの条件(状況・希望・居住地など)に対して「合理的かどうか」です。
一部の人にとっては最高のキャリアの入口になる一方、一部の人にとってはただの遠回りになります。その違いは、ここまで解説した「使い方」と「出口の設計」で決まります。
インフラエンジニアを検討している方へ
もしあなたがサーバー・ネットワーク・クラウド・セキュリティなどの「インフラエンジニア」を目指して訓練校を検討しているなら、プログラミングやデザイン系の訓練とは異なる「インフラ特有の評価や出口の現実」を知っておく必要があります。
これらについては、以下の関連記事でさらに深掘りして解説しています。
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「自分に合う正解」を一人で出すのが難しいときは
ここまで読んでもなお、以下のような不安が残る方も多いはずです。
・「自分の年齢や職歴で、本当に就職できるのか?」
・「職業訓練とスクール、今の自分にはどちらが合理的か?」
・「目指すべき職種の出口(現実)を詳しく知りたい」
こうした迷いがある場合は、一度第三者の視点でキャリアを整理してみるのも有効な手段です。
※ なお、ご相談内容や状況によっては、現実的な選択肢をご案内することが難しいケースもあります。
その場合でも、「なぜ難しいのか」、「どこが課題になるのか」といった点を整理することで、今後の判断材料として役立てていただくことは可能です。






