こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
SNSやネット上では、「未経験からプログラミングで成功した」という話が目立ちます。その一方で、「コードを書くこと」自体に強いストレスを感じ、学習が止まってしまう人も少なくありません。
「プログラミングがどうしても向いてない」
そう感じてしまうことも、決して珍しいことではありません。
結論から言うと、プログラミングが向いていなくてもITエンジニアになる道はあります。ITエンジニア=プログラマーではなく、インフラエンジニアなど別の選択肢も存在します。
この記事では、プログラミングに挫折した人が、ITエンジニアとしてキャリアを立て直すための現実的な選択肢と進め方を解説していきます。
結論:プログラミングが向いてなくても、ITエンジニアは諦めなくていい
プログラミングが合わないと感じたとき、「エンジニアは向いていない」と思い込む必要はありません。なぜなら、ITエンジニアの本質は「コードを書くこと」だけではないためです。
「作る楽しさ」より「整える楽しさ」
エンジニアの世界では、ゼロから創り出す「開発」だけでなく、複雑なシステムを安定させ、正しく動く状態を維持する「インフラ(土台)」という役割もあります。
開発: 0から1を生む「創り上げる」楽しさ
インフラ: 仕組みを理解し、最適に「整える」楽しさ
インフラは単なる「選択肢」ではありません。現代のIT業界を支える「もう一つの中心」です。
もしあなたが「コードを書くのが苦痛」でも、「仕組みを読み解き、正常に動かすこと」にやりがいを感じるなら、それは立派なエンジニア適性です。
「撤退の速さ」がキャリアを救うこともある
特に30代未経験の転職において、最大の敵は「合わない学習で時間を溶かすこと」です。 「いつかプログラミングが楽しくなるはず」と粘り、貴重な数ヶ月を浪費するのは得策とは言えません。
合わない環境は早めに見切り、自分の特性が活きる場所(インフラ等)へ「戦略的撤退(早めに切り替える判断)」。 この決断の速さこそが、30代からIT業界で生き残り、着実にキャリアを築くための最短ルートになります。
これは才能不足ではありません、たまたま選んだ「入口」が自分にあわないと分かっただけです。
そしてプログラミングで遠回りした時間は、インフラの世界では「ITの基礎力」や「問題を解決したいという意思」として、十分に活かせる資産にもなります。
なぜ多くの人がプログラミングで挫折してしまうのか
プログラミング学習でつまずく人の多くは、能力不足ではなく「学習の構造」との相性で悩んでいます。ここでは挫折しやすい人が直面しやすい、3つの壁を整理していきます。
①「正解」が見えない、迷走状態が続く
プログラミングには、無数の「より良い書き方」が存在します。
この「答えが決まっていない曖昧さ」や「エラーの原因が自分せいか、環境のせいか判別しにくい」など「前に進んでいるのかわからない感覚」が、真面目な人ほど強いストレスになることもあります。
②「孤独な試行錯誤」がモチベーションを削る
一人でのプログラミング学習は、想像以上に意欲を削ることがあります。 特に、「今の方向性で合っているのか」を相談できる相手がいない孤独感は致命的です。
「また何も進まないまま3時間過ぎた」といった経験の繰り返しは、焦りを生み出し、意志が強い人でもモチベーションが切れてしまうこともあります。これは根性の問題ではなく、単に環境の問題です。
③「SNSの成功談」とのギャップ
SNSなどでは「3ヶ月で転職」といった極端な成功談が目に入ります。そのため、少し立ち止まっただけで「自分だけ出来ない」と自己否定をしやすくなります。
しかしその裏で、合わずに撤退した人の声は表に出ていないだけのことも。挫折は決して珍しいことではありません。
結論:挫折は「才能の欠如」ではなく「入口のミスマッチ」
挫折の正体は「あなたの思考特性」と「プログラミングという作業」の相性が悪かった可能性もあります。
「作るよりも、全体像や構造を理解したい」
「曖昧なものより、正解がはっきりしているものを扱いたい」
「一人で悩むより、手順に沿って確実に進めたい」
もしそう感じるなら、あなたはエンジニア失格ではなく、「インフラエンジニア」として大きく化ける素質を持っている可能性があります。
そして、それは単なる希望先行の話ではありません。実は「開発からインフラ」へ戦略的にシフトする人も多いです。
実は「開発からインフラ」へ戦略的にシフトする人も多い
プログラミングに挫折した人だけでなく、現役の開発エンジニアも自らインフラへ転向するケースも珍しくありません。
市場価値の逆転:
「開発の椅子取りゲーム」で消耗するより、希少性の高いインフラに特化してもっと活躍したい。
責任の重み:
「システムが止まる」という致命的なトラブルを防ぐ、より社会貢献度の高い基盤側を極めたい。
物理的な手応え:
画面上のコードよりも、サーバーやネットワーク機器といった「ハードウェア」を触る方が合うと感じる。
「開発がダメだったから逃げる」のではなく、「自分の特性を最大化できる場所へ移る」。この視点を持つだけで、IT業界での生き残りやすさは大きく変わります。
これは決して後ろ向きな判断ではありません。「自分の適性を理解した上での、戦略的キャリア選択」です。
なぜ「プログラミング挫折者」にインフラエンジニアは相性がいいのか
プログラミングに強いストレスを感じた経験がある人ほど、インフラエンジニアの仕事と相性が良い場合もあります。
それは、インフラの仕事が「コードを書くセンス」よりも、仕組みを理解し、安定させる力を重視する分野であるためです。
正解が明確、ルールが決まっている世界だから
ネットワークが「つながる・つながらない」、サーバーが「起動する・しない」には、必ず物理的・論理的な理由があり、ログやコマンドの出力という「証拠」が必ず存在します。
開発のように「より良い書き方が無数にある」世界と比べると、インフラは「RFC(プロトコルの規格書)」や「ベンダーのマニュアル」など、明確なルールに基づいて作業が進みます。
この「ルールに基づいて解決できる」構造は、プログラミングで正解が見えず迷いやすかった人にとって、大きな安心材料にもなります。
インフラの基礎知識は、長期的に価値が下がりにくいから
ネットワーク(TCP/IP、ルーティング)やOS(Linuxなど)の原理は、クラウド時代になっても変わりません。AWSやAzureも、これらの基礎の上に成立しています。
つまり、インフラ基礎は、オンプレミス→クラウド、さらに将来の新しい技術にも応用可能な「腐らないコアスキル」 です。
30代から始めても確実に積み上がり「生涯の土台」を作れるのがこの分野の強みです。
未経験でも資格で評価されやすく、内定までの距離が近い
インフラエンジニアの採用では、センスが問われるポートフォリオよりも「基礎力の証明(資格)」と「学習意欲」が重視されます。
特に「CCNA」や「LPIC/LinuC」などの資格は、企業から「実務に必要な基礎知識があり、自走できる人材」として客観的に評価される強い武器です。
これらの資格は学習範囲が明確で、未経験者でも2〜3ヶ月の集中的な学習で取得可能な場合が多いです。そのため、「資格取得」→「選考突破」という最短ルートを歩むことも現実的です。
実際に「プログラミングが合わなかった」人が、インフラエンジニアとしてスタートし、安定してキャリアを積んでいるケースは少なくありません。
インフラエンジニアについて詳しく知りたい方は、以下の関連記事から仕事の全体像を知ってみてください。
→関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
【逆転戦略】プログラミング挫折からインフラエンジニアへ転向する3ステップ
プログラミングで立ち止まってしまった時、多くの人は「自分がダメなのでは」と不安になります。
しかしここで必要なのは、根性で突き進むことだけではありません。「勝てる場所」へ修正する冷静さも大事です。以下からは、最短でキャリアを立て直すための3ステップを解説していきます。
ステップ1:「損切り」をして、ITエンジニアとしての再出発を決める
「せっかく始めたから」、「学習教材も買ったから」という執着を捨て、合わない学習を一度止める勇気を持ちましょう。
具体的な目安:
・プログラミングを3ヶ月以上続けている
・それでも「苦痛」、「迷走」、「前に進めない感覚」が続いている
この状態は、単なる努力不足ではなく「特性と環境のミスマッチ」 の可能性も考えられます。
強いストレスを感じながらの学習は、時間をなくすだけでなく、自信もなくしてしまうことも。これは「逃げ」ではありません。自分に最適な環境を選ぶための「戦略的な方向修正」です。
ステップ2:インフラの基礎(Linux・NW)に短期間だけ触れてみる
例えば「ネットワーク基礎」もしくは「Linux入門」について、Youtubeなどの動画を一本見てみましょう。さらにLinuxを立てて、コマンドを叩いてみると尚よいです。
ここは、理解することが目的ではありません。自分に馴染むかをテストすることが目的です。
・コードを書くより、コマンドを叩く方がしっくりくる
・裏側の仕組みを理解する方が合っている
上記のように感じられたなら、あなたのインフラ適性は高いです。
ステップ3:資格を武器に、実務経験を積める環境へ飛び込む
インフラの世界では、ポートフォリオよりも「資格(CCNA、LPIC/LinuC)」がキャリアの武器となります。 資格学習を軸に、「基礎知識を証明できる状態」を最速で作ってみましょう。
また学習の終盤からは転職エージェントなども利用しながら、早期に実務経験を積める環境へ潜り込むのが、ITエンジニアとして生き残るための最短ルートです。
また、ここでは「実務経験をしっかり積めるかどうか」だけを基準に考えてもOKです。
→関連記事:未経験からインフラエンジニアになるには?失敗しない3ステップと企業選び
それでも迷う人へ:最初の選択で完璧を求めなくていい
「今、インフラを選んだらもう開発には戻れないのでは?」と不安に思いすぎる必要はありません。
キャリアは後からでも修正できる
インフラで得た知識(OS、ネットワーク、セキュリティ)は、ITエンジニアにとっての「土台」です。
さらに近年では、インフラ自体をコード(Terraform等)で構築・管理する「Infrastructure as Code(IaC)」が一般的になっており、プログラミング知識を活かしていくことも可能です。
つまり、インフラの道を歩みながら、実践的かつ目的が明確なコードを書くスキルも自然と身につき、その経験は開発を希望した時にも大きな強みになります。
まずは「IT業界という土俵」に乗ることも重要
そのためには、最初の会社が「100点満点の完璧な職場」である必要はありません。
研修制度が整った会社、未経験者を積極採用している会社など、「エンジニアとしての実務経験を積ませてくれる環境」であることも、最高の条件です。IT業界では、スキルと実務経験があればキャリアアップ転職は比較的一般的です。
さらに独学で悩み続け、IT業界そのものを諦めそうであれば、まずはインフラエンジニアとして実務に飛び込み、「給料をもらいながら、現場で技術に触れる環境」を手に入れてください。
その環境こそが、あなたのエンジニアとしての成長速度を最大化させてくれます。
まとめ:「向いていない場所」で戦い続けるのは大きなリスク
プログラミングで挫折を感じたことは、決して「終わり」ではありません。むしろ、自分に合った「勝てる場所」を見つけるための重要なプロセスです。
・挫折は才能不足ではなく、単なる「入口のミスマッチ」
・特に30代・未経験にとって、最大の資産は「時間」。合わない環境は早く見切る勇気も大事
・インフラエンジニアは、ルールが明確で「積み上げ」が効く、再出発に最適な分野
また「自分はエンジニアに向いていないのかも」と一人で悩み続けてしまうことが、結果的に時間を消耗してしまう一番のリスクです。
もし、この記事を読んで「自分はインフラの方が合っているかもしれない」と感じたなら、その直感を大切にしてみてください。一歩踏み出し、実務に触れることで、今感じている不安の正体が見えてくるはずです。
これまでの努力を無駄にせず、新しい場所で「必要とされるエンジニア」としてのキャリアを再構築していきましょう。
→ 次の一歩に迷ったら
「プログラミングは無理かも」と感じたら、
一度、インフラのプロに相談してみませんか?
※ 無理に転職を勧めることはありません。
※ プログラミング挫折後の進め方や、インフラへの切り替えが現実的かを一緒に整理します。






