こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
ネットワークエンジニアは、ITインフラの中核を支える仕事であり、安定した需要もある職種です。
一方で、クラウドや自動化の影響から「将来性はあるの?」、「次に何を学べばよいの?」、「どんなキャリアプランが実現できるの?」などと、不安に感じる人も多いと言えるでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアとしての代表的なキャリアパスを説明しながら、運用保守から上流工程、またクラウドエンジニアなどの職種に至るまでの道筋を説明していきます。
ネットワークエンジニア未経験者から、キャリアに悩む初級~中級のエンジニアの人は、ぜひ参考にしてください。
そもそも、ネットワークエンジニアとは?
ネットワークエンジニアとは、企業や組織のITインフラの中でも、ネットワーク環境の設計・構築・運用・保守を専門に担当するエンジニアです。
私たちが当たり前にインターネットを使い、業務システムやクラウドサービスなどを利用できるのは、ネットワークが安定して動いているためです。その裏側を支えるのがネットワークエンジニアの仕事です。
ネットワークエンジニアの仕事内容とは
ネットワークエンジニアの仕事内容は、詳しく説明すると、以下図のようになります。

また、仕事内容を大きく分類すると、「設計」、「構築」、「運用」に分類できます。ここでは、設計、構築、運用について、おさらいとして簡易に説明していきます。
ネットワーク設計の仕事内容
ネットワークの構成や性能、セキュリティ対策などを含めた全体設計を行う仕事です。お客さまの要望やシステム要件に応じて、最適なネットワーク構成を考えるのが、この設計フェーズです。
ネットワーク構築の仕事内容
上述の設計に基づいて、ルータやスイッチ、ファイアウォールなどのネットワーク機器を実際に設定・設置していく仕事です。構築作業には、コマンド操作や物理配線、テスト環境での検証なども含まれます。
ネットワーク運用の仕事内容
構築されたネットワークが、正常に動作し続けるように維持する仕事です。トラブルが発生した場合には迅速に原因を特定し、対応していきます。障害対応や復旧作業、設定変更、バージョンアップ対応などが含まれます。
インフラエンジニアやクラウドエンジニアとの違い
ネットワークエンジニアと似た職種に、インフラエンジニアやクラウドエンジニアがあります。全てITインフラを支える仕事ではあるものの、担当する分野や、必要となるスキルに違いがあります。
それぞれの違いを理解しておくことで、自身のキャリアパスを考える際にも役立つと言えるでしょう。ここでは、インフラエンジニアやクラウドエンジニアとの違いを説明していきます。
ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違い
前述のとおり、ネットワークエンジニアは、ルータやスイッチなどのネットワーク機器を使用し、ネットワークの設計、構築、運用を行うエンジニアです。
ネットワークエンジニアは、ネットワーク通信に特化した専門職であり、ネットワーク機器の知識やプロトコルの理解、トラブル対応力など、ネットワークに深く精通した専門性が求められます。
一方で、インフラエンジニアは、ネットワークだけでなく、サーバーやOS(オペレーティングシステム)の設計、構築、運用も行うエンジニアを指すことが多いです。
具体的には、以下図のようになります。



ただし、インフラエンジニアの定義は、ややあいまいです。「インフラエンジニア=サーバーエンジニア」という使われ方をすることも、かなり多く、「インフラエンジニア=サーバーエンジニア」と考えても良いと思います。
一方で、インフラエンジニアを簡単に理解するなら、「ネットワークだけではなく、サーバーやOS、ミドルウェア、ストレージ、クラウドなど、IT基盤全般を担当する職種」と考えるとよいでしょう。
インフラエンジニアは、ネットワークエンジニアと比べて、「仕事の対象となる領域が広い」ことが特徴です。
「ネットワークエンジニア」と「インフラエンジニア」を簡易に比較すると、下記のようになります。
ネットワークエンジニア | インフラエンジニア | |
必須スキル | TCP/IP、ルーティング、Cisco系、セキュリティ | サーバOS(Linux/Windows)、仮想化、セキュリティ |
主な仕事 | ネットワークに特化(ルータ設定、構成設計、運用保守など) | サーバを中心としたインフラ全般(サーバ構築、OS設定、クラウド設計など) |
主要資格 | CCNA、CCNP、ネットワークスペシャリストなど | LPIC/LinuC level 1、level 2、level 3など |
将来性 | 需要あり、安定している | 需要あり、安定している |
ネットワークエンジニアとクラウドエンジニアの違い
クラウドエンジニアは、AWSやAzure、Google Cloudなどのクラウドサービスを使って、システム基盤を設計、構築するエンジニアです。
具体的には、クラウド上でネットワークやサーバ、ストレージなどを構築していきますが、クラウドではLinuxベースのOSが圧倒的に主流であり、基本操作でもLinuxコマンドが頻繁に使われます。
例として、サーバにSSH接続してログ確認(journalctl、tail -fなど)、プロセス確認や再起動(ps、systemctlなど)、権限管理(chmod、chownなど)など、Linuxの操作スキルが強く求められます。
ネットワークエンジニア | クラウドエンジニア | |
必須スキル | TCP/IP、ルーティング、Cisco系、セキュリティ | サーバOS(Linux/Windows、特にLinux)、AWS/Azure、セキュリティ |
主な領域 | 物理ネットワーク、オンプレ環境 | 仮想ネットワーク、クラウド環境 |
主要資格 | CCNA、CCNP、ネットワークスペシャリストなど | AWS SAA、AZ-104など |
将来性 | 需要あり、安定している | 高需要で、伸びしろもあり |
ネットワークエンジニアのキャリアパスとは
ネットワークエンジニアとしてキャリアを始めたばかりの方や、これから目指したいと考えている方は、「将来、どのようにキャリアアップをしていけるのか?」という不安を抱える人も多いでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアが成長していく一般的なキャリアパスについて、分かりやすく解説していきます。
一般的なキャリアロードマップ
ネットワークエンジニアとして、ネットワークを主としたキャリアを築いていくと、以下のような4つのステップを踏んでいくことが多いでしょう。
■ネットワークエンジニアの、代表的なキャリアステップ:
・ステップ1:運用・保守
・ステップ2:構築
・ステップ3:基本設計、プロジェクトリーダー
・ステップ4:要件定義、プロジェクトマネージャ
また、しっかりとした努力や学習を行うことで、経験年数ごとの目安として、以下図のようなキャリアロードマップとなるでしょう。



ステップ1:運用・保守
ネットワークエンジニアの最初のステップは、運用・保守(もしくは監視)から始まることも多いでしょう。このフェーズは、未経験者や新人エンジニアが、現場経験を積むステージと言えます。
運用・保守の場合は、構築されたネットワークが動き続けるよう、維持をさせていくため、設定変更やバージョンアップ対応、障害対応など、構築工程につながるスキルも身につけていくことができます。
また監視の場合は、ネットワーク機器の監視や、障害時の1次対応、ログの確認など、マニュアル通りの対応が主体となるため、構築につながるスキルが身につきません。自分でさらに主体的に、ネットワークの知識やスキルを磨く必要があります。
これらのフェーズで身につけておきたいスキルは、ネットワークの基本知識と、実務での対応力です。具体的には、TCP/IPの理解や、基本コマンド、ルータやスイッチの仕組みなど、体系的に学ぶとよいでしょう。
また、資格面では、CCNA(Cisco Certified Network Associate)の取得を目指すとよいでしょう。
■参考記事:CCNAとはどんな資格?試験の概要、内容などわかりやすく解説
ステップ2:構築
現場で運用・保守の経験を積んだ後は、ネットワーク構築フェーズにステップアップします。構築では、作られたネットワークを運用する立ち位置から、ネットワークを作る側の立ち位置となっていきます。
主な仕事は、ネットワーク機器の設定や導入、ルーティングの設定、検証環境でのテスト、現地での設置作業などがあります。
構築フェーズでは、CLI(コマンドラインインターフェース)を使った設定や、VLAN、VPN、QoSなど、さまざまなネットワークの機能に触れる機会が増えていきます。
そのため、ネットワークの知識にくわえて、技術的な深さが求められていくフェーズです。このフェーズでは、CCNPなどの中級資格を取得すると、次のキャリアにつながりやすくなるでしょう。
ステップ3:基本設計、プロジェクトリーダー
ネットワーク構築経験を積んだ後には、ネットワーク設計の仕事や、チームをまとめるプロジェクトリーダー(PL)としての役割が求められていくようになります。
ネットワーク設計の仕事では、ネットワーク全体の構成をシンプルにしながら、冗長性(故障しても、機能が維持できる状態)を高めることなどが重要です。
具体的には、ネットワークの設計(構成設計や性能設計など)、見積り作成や作業スケジュールの策定、チームメンバーへの技術指導、お客さまや関連部署との調整なども含まれていきます。
このフェーズでは、手を動かすだけでなく、考えて設計する力も求められていきます。また、リーダーとしての役割も求められるため、技術力だけではなく、コミュニケーション力なども評価対象となります。
ステップ4:要件定義、プロジェクトマネージャ
ネットワークエンジニアのキャリアの最上流にあたるのが、要件定義やプロジェクトマネージャ(PM)としての役割です。お客さまの要望をヒアリングし、最適なネットワークを提案し、プロジェクト全体を管理する立ち位置です。
具体的には、お客さまとの要件定義、提案活動や、プロジェクト全体の進捗管理や品質管理、コスト見積や他部署・外部ベンダーとの調整業務などが、主な仕事となっていきます。
このフェーズでは、技術的な知識にくわえて、顧客折衝やマネジメント、リスク管理などのスキルが求められていきます。また年収面でも、700~1,000万円以上が狙えるステージです。
上記のように、ネットワークエンジニアのキャリアは、段階的にスキルアップを行い、また役割を広げていきながら、最終的には上流工程やマネジメントに進んでいく流れとなります。
例え、最初は運用保守や監視からスタートしたとしても、着実に経験を積みながら、学習を積み重ねることによって、構築や設計に携わることができます。対人スキルも伸ばすことで、マネジメントのキャリアも築くことが可能です。
ネットワークエンジニアの様々なキャリアパス
ネットワークエンジニアは、単にネットワークの設計、構築、運用のみにとどまる訳ではありません。また、上流工程やプロジェクトマネージャだけが、キャリアゴールという訳でもありません。
ネットワークエンジニアは、得意とする知識やスキルを活かし、様々なキャリアパスを追求することもできます。ここでは、ネットワークエンジニアの様々なキャリアパスについて、説明していきます。
ネットワークエンジニアのキャリアパスイメージ
ネットワークエンジニアのキャリアパスの描き方は様々ですが、どのようなステップを踏むかはイメージしにくいと言えるでしょう。
ここではキャリアパスのイメージを説明していきます。一般的には、以下図のようなステップを経由して、キャリアが分かれていく傾向が強いでしょう(実際には、もう少々細かいため、あくまで下記図はイメージです)。



上記図のキャリアパスイメージが全員に当てはまる訳ではありません。配属・案件に恵まれれば、上記図の限りではありませんが、多数のエンジニアは、上記図のキャリアパスイメージに当てはまるでしょう。
また、以下からは、前述の「要件定義/PM」以外の、具体的なキャリアパスについて、詳細を説明していきます。
セキュリティエンジニア
ネットワークエンジニアで培ったセキュリティの知識を活かしながら、ステップアップすることで、セキュリティエンジニアを目指すことができます。
サイバー攻撃や情報漏洩リスクの高まりにより、セキュリティエンジニアの需要は急増しており、ネットワークの知識をベースに、セキュリティ対策に特化したエンジニアになるキャリアパスです。
主な業務には、ゲートウェイセキュリティ(ファイアーウォール、IPS、WAFなど)、リスクアセスメント、ゼロトラストやSASE、またCSIRT構築や脆弱性診断など様々です。
セキュリティ分野は専門性が高いため、情報処理安全確保支援士やCISSPなどの資格取得が、キャリア形成に役立ちます。将来的には、CISO(情報セキュリティ責任者)を目指す道もあります。
プリセールス
「技術力を活かして、営業的な仕事にも携わりたい」人におすすめなキャリアとして、プリセールスがあります。
プリセールスは、営業担当とともにお客さま先を訪問し、RFP(提案依頼書)に沿って、提案書の作成や提案活動を行います。また受注後には、導入支援として、ネットワーク設計・構築を自分で行うことも多いです。
プリセールスは、技術知識や提案力、お客さまへの対応スキルが重要です。営業職と技術職の間における、橋渡し役のポジションであり、上流工程にステップアップするにあたり、よくたどり着くポジションと言えるでしょう。
コンサルタント・アーキテクト
ネットワークエンジニアとして専門性を高めていくと、ITコンサルタントや、ネットワークアーキテクトといった立場で活躍する道もあります。
コンサルタントは、お客さまの課題を分析し、最適なネットワーク戦略や技術提案を行う職種です。アーキテクトは、複数のシステムを統合したような大規模インフラ設計を担い、技術選定や全体構成の責任者として関わるポジションです。
これらのポジションでは、高い設計力や提案力、幅広い技術知識やビジネス理解が求められます。実務経験に裏付けされた知識が必要でありかつ、難易度が高いため、キャリア中盤以降に目指すケースが一般的でしょう。
製品サポートエンジニア
ネットワーク機器メーカーや、商社系SIerなどといったITベンダーに所属する「製品サポートエンジニア」も、実務経験を豊富に積んだネットワークエンジニアによくあるキャリアとも言えます。
製品サポートエンジニアは、自社製品などを導入している企業や、パートナー企業からの技術的な問い合わせに対応するのが、主な役割です。障害対応や不具合調査、検証などを行っていきます。
製品サポートエンジニアは、担当する製品に特化するため、製品に精通しかつ、技術にも精通する必要があります。外資系にてよくあるポジションとも言えます。
ネットワークエンジニアから、クラウドエンジニアになれるの?
クラウド市場の急速な発展により、AWSやAzureなどのクラウドを扱うクラウドエンジニアの需要が高まり続け、クラウドエンジニアは、いまや圧倒的な人気職ともなっています。
このクラウドエンジニアの人気に伴い、「ネットワークエンジニアから、クラウドエンジニアにキャリアチェンジできるの?」という疑問を持つ人も増えています。実際に、クラウドエンジニアにキャリアチェンジは可能なのでしょうか?
結論から言うと、サーバとクラウドサービスにおけるスキルと知識を身につければ、クラウドエンジニアにキャリアチェンジは可能です。サーバとクラウドのスキルや知識がなければ、難易度はかなり高いと言えます。
ネットワークエンジニアとクラウドエンジニアの必要スキルの違い
AWSやAzureなどのクラウドサービスでは、VPC(仮想プライベートクラウド)やセキュリティグループ設定などでは、ネットワークの知識が求められます。クラウドを触る上では、ネットワーク知識は必須です。
しかし、クラウドエンジニアの仕事は、ネットワークだけではありません。サーバや仮想化、セキュリティ、ストレージ、ミドルウェアの設定などを包括して、設計、運用する必要があり、ネットワーク以外の仕事が、圧倒的に多いと言えます。
ゆえに、クラウドエンジニアになるには、インフラエンジニア(サーバエンジニア)の経験がもっとも有効であり、インフラエンジニアを経由して、クラウドエンジニアを目指すというキャリアパスが一般的とも言えるでしょう。
クラウドエンジニアになる場合、学ぶべきポイント
ネットワークエンジニアから、クラウドエンジニアを目指す場合には、ネットワークの知識にくわえて、以下のようなスキルを学ぶ必要があるでしょう。
■クラウドエンジニアになるために、まず学ぶべきスキル:
・サーバ、OS、ミドルウェアのスキル
・クラウドサービスの理解(AWS、Azure、Google Cloud)
クラウドエンジニアになるために、まず学ぶべきスキルは、サーバ系(サーバ、OS、ミドルウェア)のスキルです。サーバの構築・運用経験は、クラウドエンジニアの仕事と親和性が非常に高く、そのまま活かすことができます。
クラウドでは、EC2(仮想サーバ)やRDS(データベース)など、仮想的なサーバを扱うのが基本です。クラウドでやっていることの本質は、サーバの構築・管理と言っても過言ではありません。
また、クラウドエンジニアでは、AWSやAzureといった、クラウドサービスの理解も重要です。AWSの無料枠でも問題ありませんので、アカウントを作成して、手を動かしながら学習することが重要です。
クラウドサービスの理解では、資格取得も有効です。手を動かすことはほぼ必須ではあるものの、資格取得があると、さらに心強いと言えます。資格では、まずはAWS SAAやAZ-104の取得を目指すとよいでしょう。
給与面から考えると?年収で見るキャリアパス
ネットワークエンジニアとしてキャリアを積む上で、「自分はどれくらい稼げるようになるのか?」という年収の視点は、多くの人が気になるポイントでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアの年収を、キャリアの段階ごとに整理をしていきます。
初級~中級キャリア(~5年目)の年収目安
ネットワークエンジニアとして、キャリアをスタートしてから5年目くらいまでは、「運用保守」から「構築」、また一部の人は基本設計といった現場をこなすこととなるでしょう。
この初級~中級者においては、以下のような年収レンジが一般的と言えます。
キャリア年数 | 主な仕事内容 | 年収目安 |
1~2年目 | 運用・保守(または監視) | 約300-400万円 |
3~5年目 | 構築、一部基本設計 | 約400-600万円 |
この初級から中級のキャリア時においては、現場での経験値を積む事が最重要ポイントと言えます。実務経験とともに、ネットワークの基礎スキルを習得し、資格を取得していくことで、着実なステップアップが可能です。
特に、CCNA取得後に、CCNPとステップアップしながら、構築経験を重ねることが、年収500万以上の大きなキャリアパスとなります。
上級~マネジメントキャリア(5年目~)の年収目安
ネットワークエンジニアとして、5年以上の実務経験を積み、構築や設計フェーズをリードできるスキルセットになると、上級レベルのネットワークエンジニアと見なされていきます。
この上級者や、マネジメント層においては、経験年数よりも、ポジションや仕事内容が年収に大きく影響していきます。例として、以下のような年収レンジが一般的と言えます。
ポジション | 主な仕事内容 | 年収目安 |
設計・構築リーダー | 基本設計、メンバー管理など | 約550-700万円 |
プロジェクトマネージャ | 顧客折衝、進捗管理、コスト管理など | 約700-1,000万円超 |
アーキテクト/スペシャリスト | ネットワーク全体の設計、技術選定など | 約700-1,000万円 |
この上級レベルになると、「技術力」+「マネジメント力」+「提案力」の3軸が評価されていくようになります。
また、技術により特化する「スペシャリスト型」と、プロジェクトをリードする「マネジメント型」のどちらを選ぶかによっても、キャリアや年収は変化していくと言えます。
年収アップに必要な条件は?
ネットワークエンジニアが年収を上げていくには、ただ年数を重ねていくだけでは不十分です。例として、以下のような方法をとることで、年収を引き上げていくことが可能です。
■ネットワークエンジニアが年収を上げる、5つの方法:
・ステップアップして、上流工程に携わる
・資格を取得し、ステップアップできるようにする
・新たなスキルを習得し、スキルアップする
・給与が高い会社に転職する
・リーダー、マネジメントを目指す
ネットワークエンジニアとして年収を上げていくには、戦略的なキャリア形成が重要です。まずは、運用保守から設計構築など、上流工程にステップアップすることが王道です。
また、CCNPやネットワークスペシャリスト試験といった資格取得、セキュリティや、IaC(Infrastructure as Code)といった新たなスキル習得も、ステップアップや年収アップの大きな武器となります。
さらに、給与水準が高い会社に転職することも、年収を大きく上げる現実的かつ有効な手段です。最後に、リーダーやマネジメントを目指すことで、評価軸が技術力のみでなく、マネジメント力にも広がり、年収の上限を引き上げることができるでしょう。
■関連記事:ネットワークエンジニアの年収は?稼げるの?給与の上げ方も徹底解説
キャリアアップに必要なスキル、資格
ネットワークエンジニアとしてキャリア形成を行うためには、現場経験のみでなく、スキルや資格の両方を意識して身につけていくことも重要です。
ネットワーク分野は、専門性が高く、一度身につければ長く使えるスキルです。一方で、クラウドや自動化の進展によって、求められるスキルも変化し続けています。
ここでは、ネットワークエンジニアがキャリアパスを描くにあたり、求められるスキルや資格について、説明していきます。
レベル別の、おすすめ資格一覧
ネットワークエンジニアにおすすめできる資格は多数あります。初級者向けから上級者向けまで、さまざまです。
ここでは、レベル別にネットワークエンジニアのおすすめ資格を説明していきます。



まず、未経験から初級者にとって、おすすめできる資格は、ネットワーク基礎を証明できる資格です。
具体的には、ネットワークの基本知識やルーティング、スイッチングなどを網羅できる、CCNA(Cisco Certified Network Associate)がもっともおすすめです。
また、ネットワーク構築を任され出した中級者や、構築にステップアップしたい人には、CCNAよりも専門性が高い資格がおすすめです。CCNAの上位資格である、CCNPの取得を目指すとよいでしょう。
あわせて、上級者になると、自分が目指したい領域について、さらに高度な資格を取得することがおすすめです。
具体的には、ネットワークに強みを持つなら「ネットワークスペシャリスト試験」、セキュリティであれば「情報処理安全確保支援士」、マネジメントなら「PMP」は取得候補の資格と考えてよいと思います。
■関連記事:ネットワークエンジニアのおすすめ資格一覧、取得順番、難易度を解説
実務で求められるスキル
ネットワークエンジニアにとって、資格は知識を身につけ、知識を第三者に証明するために重要です。しかし、資格を取れば、即戦力スキルが身につく訳ではありません。実務では、使えるスキルが大切です。
ここでは、ネットワークエンジニアとして、まず身につけたい、実務で求められる代表的なスキルを3つ説明していきます。
■ネットワークエンジニアが、実務で求められる代表的スキル
・ネットワーク設計、構築スキル
・トラブルシューティングスキル
・コミュニケーションスキル
まず、ネットワークエンジニアにとって、重要なスキルは「設計、構築スキル」です。ネットワーク構成の中でも、VLANやルーティング、ACLの設定などの構成や設定は、求められるスキルと言えるでしょう。
特に、ネットワークエンジニアはCisco機器を扱う場合が多いため、Cisco IOSを用いたCLI操作にも慣れておく必要があります。showでの状況確認、interfaceの設定、access-listの登録など、コマンド操作に慣れることが大事です。
また、ネットワークにはトラブルや障害も発生します。その時に大事なスキルがトラブルシューティングスキルです。
具体的には、ログからエラーの傾向を読み取る、状態を確認して問題箇所を特定するといったことから、L1~L3層(物理層からネットワーク層)までの切り分けスキルは欠かせないと言えるでしょう。
あわせて、ネットワークエンジニアでは、コミュニケーションスキルも高く評価されます。要望のヒアリングから、調整業務、チーム連携などでコミュニケーションスキルを活かせると、求められるエンジニアになるでしょう。
これらの「ネットワーク設計、構築」、「トラブルシューティング」、「コミュニケーション」といったスキルは、すぐに身につくものではありませんが、少しずつ磨いていくことによって、キャリアアップに繋がっていきます。
ネットワークエンジニアのキャリアで、後悔しないために
ネットワークエンジニアは、ITインフラの中核を担う重要な職種です。しかし、キャリアの進め方や、年収の伸ばし方に悩む人は、少なくないでしょう。
また、働く環境や案件の内容によっては、「こんなはずじゃなかった」と感じてしまうことも少なくありません。キャリアの選択を誤ると、成長の機会を逃したり、精神的・肉体的につらくなることもあるでしょう。
ここでは、ネットワークエンジニアとして、後悔しないキャリアを築くために、避けた方がよい職場と、キャリアの進め方に悩んだ時の相談方法について、説明していきます。
選んではいけない会社、案件の特徴
ネットワークエンジニアが、キャリアで後悔する大きな理由の一つが、「スキルアップにつながらない環境で、働き続けてしまうこと」です。以下のような特徴を持つ会社や案件は、注意が必要と言えます。
■選んではいけない会社、案件の特徴:
・運用、監視だけで終わってしまう案件
・教育、フォロー体制がない会社
・人手不足による、長時間労働・常時トラブル対応
運用、監視だけで終わってしまう案件
もっともよくある落とし穴は、運用・監視専門の現場に、長期間とどまってしまうことです。未経験からのスタートで、運用監視の仕事につくのは一般的であるものの、3年や5年と同じ仕事を続けると、スキルが頭打ちになります。
特に、「マニュアル通りの監視、アラート対応だけ」、「構築など、上流工程に携われるチャンスがない」などといった職場では、経験年数を重ねても、市場価値が身につかないため、要注意と言えます。
教育、フォロー体制がない会社
成長できるかどうかは、厳しい見方をすると「自分次第である」とも言えますが、現場の教育体制・フォロー体制にも大きく左右されるのも事実です。
特に、未経験者や若手エンジニアにとって、相談できる先輩などがいない環境は、リスクが高いと言えます。
ゆえに、「いきなり一人で現場に放り込む会社」や、「評価やフィードバックがほとんどない会社」といった、教育・フォロー体制が整っていない会社は、可能な限り避けるべきとも言えるでしょう。
人手不足による、長時間労働・常時トラブル対応
ネットワークエンジニアは、障害対応や保守作業があるため、ある程度の緊急対応は避けられません。しかし、常に人が足りておらず、休日も深夜も呼び出されるのが当たり前、という現場は要注意でしょう。
このような環境では、体力や精神力がすり減ることがあります。人手不足が解消されることによって、改善傾向があればまだしも、逆に人が辞め続けている環境においては、注意すべきとも言えます。
上記のように、ネットワークエンジニアとして後悔しないキャリアを築くためには、「どこで、どんな案件に携わるか」は非常に重要です。
スキルアップにつながらない現場や、消耗ばかり続く案件に長くとどまることは、将来的に年収や転職の選択肢に悪影響があることもあります。
ゆえに、「自分にとって、価値ある経験が得られるか」や「成長できる環境があるか」は、常に意識しながら、会社や案件を選ぶことがおすすめです。キャリアは、選び方一つで大きく変わるとも言えます。
キャリアの方向性に迷ったら?相談先や対策
「今の環境でよいのか?」、「将来どの方向性を目指すべきか?」について悩んだ時、一人で解を出せないこともあるでしょう。その時は、一人で抱え込まずに、他者の視点も取り入れることが大事です。
まずは、現在の職場環境において、信頼できる上司や先輩、営業担当などにキャリアの相談をしてみましょう。現在の職場でどんなステップアップが可能なのか、リアルな返答を得られることがあります。
また、インフラ系に強い転職エージェントに相談をするのも一つです。自分の市場価値や、他の会社でどんな働き方ができ、どのようなキャリアが築けるのかなど、客観的に知ることもできるでしょう。
くわえて、当社はインフラ系に特化した転職支援・転職相談を行っていますので、一度相談を希望したい場合は、「まずは転職エージェントに無料相談する」から、お気軽にお申込みください(費用はかかりません)。
さいごに
ネットワークエンジニアは、成長とともに、キャリアの選択肢が広がる職種でもあります。運用保守から始まっても、設計構築といった上流工程や、スペシャリスト、マネジメントへステップアップが可能です。
また、ネットワークエンジニアには、技術と経験を積み重ねながら、自分の理想とするキャリアパスを描き、目標とすることも重要です。自分の志向や、市場の需要と照らし合わせ、キャリアを決めていくこともできます。
もしネットワークエンジニアのキャリアパスで悩むようであれば、お気軽に転職相談にて、ご相談ください。
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