ヘルプデスクに資格は必要?評価されにくい理由と意味のある資格の考え方

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

「ヘルプデスクに資格って本当に必要なの?」
「周りのエンジニアは資格を推奨されるのに、自分の現場ではあまり評価されない、、」

そんな悩みを感じていませんか?

結論から言うと、ヘルプデスクに資格は必須ではありません。しかし、それは「資格が無意味」という意味ではなく、エンジニア職とは「評価のされ方が異なりやすい」だけです。

この記事では、現場のリアルな評価構造を整理しながら、ヘルプデスクで「資格が意味を持つケース」と、「努力を無駄にしないための資格の活かし方」を解説していきます。

資格を取るべきか迷っている方や、取った資格をどう活かせばいいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人 
角田 壮史 株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

ITインフラエンジニア専門の転職エージェント。経済産業省採択事業の運営者であり、15年以上のエンジニアのキャリア支援実績を活かし、あなたのキャリアアップをサポートします。

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目次

ヘルプデスクに資格は必要?【エンジニア職との評価の違い】

結論から言うと、ヘルプデスクに資格は必須ではありません。

ただし、これは「資格に意味がない」ということではありません。ヘルプデスクは他のITエンジニア職と評価のされ方が異なりやすい職種、という点を理解しておく必要があります。

①ヘルプデスクは「技術力」より「対応力」が評価されやすい

インフラや開発のエンジニアは「知識=設計・実装スキル」に直結するため、資格が即評価につながりやすい職種です。一方でヘルプデスクの主業務は、切り分けや説明といった「現場対応」にあります。

重視されるスキル:
状況の整理・切り分け、迅速なエスカレーション、ユーザーへの説明力など

ゆえに、どれだけ高度な資格を持っていても、目の前のユーザーの困りごとを解決できなければ、評価されにくいのが実情です。

②職種特性上「資格の優先度」が低くなりやすい

ヘルプデスクの現場では、個人の技術知識が評価に反映されにくいという、特有の理由があります。

例として、業務範囲が限定されており、学んだ高度な技術を使う場面が少ないことや、技術的な最終判断は別部署(二次対応やエンジニア)が行うことが多いため、資格の有無がそのまま評価に反映されにくいケースも少なくありません。

この違いを理解せずに「エンジニアと同じ感覚」で資格取得に励むと、「頑張っているのに評価されない」というギャップを感じやすくなります。

それでも資格が役立つ瞬間がある

では、ヘルプデスクにとって資格はいつ役立つのでしょうか。それは「今の評価」を上げるためではなく、「将来の選択肢」を広げるタイミングです。

例として、一次対応から「運用改善」や「技術調査」へ踏み込むといった「異動・役割を広げる」場面では、資格が後押しになる場合があります。

また、代表的なのは「転職の場面」です。 未経験からの転職・キャリアアップでの転職においては、「ITの基礎を体系的に学んでいる」ことを、第三者に客観的に伝える材料として役立ちます。

ゆえに、ヘルプデスクにとって資格は、今の仕事をこなすための「必須条件」と考えるよりも、現状を打破して次のキャリアへ進むための「戦略的なツール」という位置づけるのが現実的です。

技術力を主体としたキャリアを築きたい方へ

もし「ユーザー対応よりも、技術力を軸にしたキャリアを築きたい」と考えている場合は、ヘルプデスクではなく、インフラエンジニアのキャリア設計から考えた方が、遠回りになりにくい可能性があります。

技術主体のキャリアを目指す方向け:

・まず職種の全体像を知りたい方はこちら
→関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説

・未経験からの具体的な進み方を知りたい方はこちら
→関連記事:未経験からインフラエンジニアになるには?資格・勉強法・転職ロードマップ

評価されやすい資格一覧【目的別】

ヘルプデスクは他のITエンジニア職と比べて、資格がそのまま評価につながりにくい職種です。

一方で、「目的」や「使い方」を意識して選んだ資格は、転職や異動、業務の幅を広げる場面で、評価のきっかけになることがあります。

ここでは、ヘルプデスク経験と組み合わせることで意味を持ちやすい資格を、目的別に紹介していきます。

① ITの基礎固め、信頼につながる(未経験〜1年目)

ITの全体像を体系的に学ぶと、現場でのコミュニケーションが円滑になり、周囲からの信頼を得やすくなります。未経験から1年目の場合は、以下資格が評価されやすいと言えます。

ITパスポート:
ITリテラシーの証明資格です。非IT職からのキャリアチェンジにおいて、基礎知識や意欲を示せる最初のステップです。

基本情報技術者試験:
ITエンジニアとしての「登竜門資格」です。ITパスポートの上位資格の位置づけであり、将来のキャリアアップにおいて、基礎力の裏付けとして評価されることがあります。

MOS(Excel):
ヘルプデスク現場で多く利用されるオフィス製品を学ぶ資格です。資格そのものよりも、Excel(VLOOKUPやピボットテーブルなど)で業務効率化など、実務能力が評価されます。

② 現場での「専門性」を高める(2年目〜)

2年目以降では、現場の業務理解を深め、専門性を高める資格が評価につながりやすいと言えます。ヘルプデスクから専門性を高める資格として、おすすめは以下です。

ITIL Foundation【おすすめ】:
「IT運用」における世界標準の証明資格です。ITILは技術力を証明する資格ではありませんが、「運用の仕組みを理解」でき、「業務上での共通言語」にもなる資格です。

CCNA:
ネットワークの入門資格です。「ネットワークの切り分けができる」というスキルは、あらゆるIT現場で重宝されやすく、現場での信頼を得やすくなる要素となる資格です。

LinuC / LPIC:
Linuxの基本操作や仕組みを理解でき、Linuxにおけるトラブル解決の幅を広げる資格です。特にサーバー関連の問い合わせや、運用チームとの連携がある場合に評価されやすくなります。

③ 次のキャリアへの土台(ステップアップ)

ヘルプデスクの枠を超え、エンジニアや社内SEなど、次のキャリアを考えた時に意味を持つ資格です。

AWSクラウドプラクティショナー(CLF) / AZ-900:
近年でもっとも需要が高い、クラウド環境の全体像を理解する資格です。AWS CLFやAZ-900を取得しただけでクラウドエンジニアになれる訳ではありませんが、クラウド知識が活かせるヘルプデスク業務や、エンジニアになる準備に役立ちます。

評価されやすい資格のまとめ

ヘルプデスクにとって「資格は必須」ではありません。一方で、これまで積み上げてきた経験・学習内容を説明しやすくし、「将来性につなげるきっかけ」になるのも事実です。

特にヘルプデスクは「業務内容や成果など」が客観的にアピールしづらい職種です。だからこそ、学習内容や努力を可視化するツールとして、資格が役立つことがあります。

また、ヘルプデスクの将来性に不安をお持ちの方は、以下の関連記事が参考になります。将来性を高めるための選択肢などを説明しています。

→関連記事:ヘルプデスクに将来性はある?仕事がなくなると言われる理由と環境の違い

なぜ「資格だけ」では評価されにくいのか【評価のリアル】

一方で資格を取得しても、現場での評価や給与に直結せず、悩みにつながるケースは少なくありません。これは本人の能力不足ではありません。ヘルプデスク特有の「評価の仕組み」が原因です。

① 評価は「持っている知識」より「担当している業務」で決まる

多くの現場において、ヘルプデスクの評価は「何を知っているか」ではなく「何をやっているか」が基準です。

例として、「問い合わせをマニュアル通りに案内するだけ」の役割だと、仮に高度な資格を持っていても、業務で使う場面がないため評価対象になりにくいのが現実です。

資格は「できる可能性」を示します。一方で現場での評価は「実際にやっていることや実績」を基準に積み上げられます。

② 一次対応中心の環境では「資格」が活きにくい

コールセンターに近い一次対応主体の現場では、個人の裁量が小さくなるように設計されがちです。

このような環境では、技術的な判断は二次対応の窓口や専門部署が行うため、LinuxやNWの知識があっても「業務上で使わない=評価されにくい」となることもあります。

これは資格の価値が低いのではありません。「役割上、知識を活かすことができない」という環境の問題です。

③ 資格を活かせるかは「環境」で決まる

同じ資格を持っていても、働く環境によって評価のされ方が大きく変わります。

例として社内SE寄りや、運用チームとの連携がある環境であれば、障害の切り分けまで任されるなど、資格知識がそのまま業務に結び付きやすく、評価されます。

一方で、対応範囲がかっちり固められている環境では、資格を取ってもできることが増えず、資格の使い道が「転職や異動のための武器」に限定されがちです。

資格が評価されないのは、努力不足ではない

資格を取ったのに評価が変わらない場合、それは「努力の方向」でなく「努力する場所」がズレているだけかも知れません。

今の環境に「業務の幅を広げるバッファ」があるかどうかを見極めることが、次の一歩を考える上で重要です。

実務で求められるスキルとは【何ができると評価が変わる?】

「資格だけでは評価されにくい」という現実を踏まえると、次に気になるのは 「何ができれば評価が変わるのか?」 でしょう。

ここでは、多くのヘルプデスクで求められやすい3つのスキルを説明していきます。

① ITの全体像を理解した上で「説明」する力

ITの全体像を理解することで、「どの領域の問題か」や「自分で対応できるか、どこにエスカレーションすべきか」の判断力が高まります。

また、ITに詳しくないユーザーに対して、専門用語を使い過ぎずに「障害の背景やリスク」、「この設定を変えると何が起きるか」などを分かりやすく説明し、納得してもらえるようになると、現場で信頼されやすくなります。

② 状況を切り分け、エスカレーションするスキル

単なる取り次ぎとして処理するのではなく、状況を切り分け、整理された状態で次にエスカレーションできるかです。

例として、「端末・ネットワーク・アプリ」など原因候補の整理などができている状態であり、二次対応側の負荷を減らすエスカレーションができると、「現場を楽にできる存在」として評価が高まっていきます。

③ 業務を「標準化・改善」する視点

ヘルプデスクにとって、大きな付加価値につながるのが「業務の改善や標準化」です。

具体的には、 FAQの作成、マニュアルの更新、対応フローの見直しなど、このような業務に関わり始めると、評価軸が「処理件数」から「現場への貢献度」に変わり、評価に直結していきます。

まとめ:評価を変えるのは「知識量」ではない

評価につながるタイミングは「あなたが介在することで、周囲の負担が減った時」です。資格は、こうした「判断」や「説明」の根拠を支える武器として使え、そこで価値が発揮できます。

資格を取るなら意識すべきポイント【努力を無駄にしない戦略】

ここまで見てきた通り、ヘルプデスクは資格を取っただけでは、評価が変わりにくい職種です。一方で使い方を間違えなければ、確実に意味を持つのも事実です。

ここでは努力を無駄にしないために、資格取得前後で意識しておきたいポイントを3つ説明していきます。

① 「業務で使う」前提で資格を選ぶ

資格は「今の業務でどう使うか」を想定できないと、なかなか価値につながりません。資格で得られる「知識を使って、どの業務をどう良くしたいか」から逆算しましょう。

例として、「切り分けの精度を高めたい」、「ITの全体像を理解して判断力を高めたい」など、具体的な利用目的がある場合は、学んだ内容を業務に落とし込みやすく、評価につながりやすくなります。

② 「次の役割」から逆算して選ぶ

資格は、あなたが「将来どの方向へ進みたいか」を示す意思表示になります。

例として、社内SEを目指すなら「ITIL」、エンジニア職を目指すなら「LinuC、CCNA、AWS」など、目指したい役割から逆算して選びましょう。

この「次の役割」から逆算して選ぶ資格取得は、特に転職や異動において、自分の方向性を伝えやすくする材料になります。

③ 「すぐ評価されなくても無駄ではない」と理解しておく

一方で資格を取っても、すぐに評価や役割が変わらないことは珍しくありません。「今の環境で使える場面が少ない」、「業務幅が限定されている」などの場合は、即評価になりにくいのは事実です。

しかし資格は、環境が変わる瞬間(転職や異動)に、いきなり効果を発揮する「資産」になります。

また今の場所で活かせないなら、それは環境の問題とも言えます。資格という武器を使って「次のステージへ進む準備が整った」とポジティブに考えると、決して無駄にはなりません。

次のキャリアにつなげる資格戦略【ヘルプデスクで終わらないために】

資格の価値を最大化するポイントは、「今の評価を上げるため」ではなく「次のキャリアへの橋渡し」と考えて活用することです。

経験を「次の職種の言葉」に変換する

ヘルプデスクの経験は、資格を添えることで「専門スキル」として相手に伝わりやすくなります。

問い合わせ対応 + ITIL = 「ITサービスの課題整理や運用改善につながるよう学んできた」
切り分け対応 + CCNA = 「インフラの基礎知識に基づいた障害対応ができるスキルを積んできた」

資格は、ヘルプデスクの実務経験を「第三者に伝わるスキル」に変換する補助線と考えましょう。

「目指す職種」に合わせて橋渡し

いきなりエンジニアの最高峰・完成形を目指す必要はありません。次に目指したい役割を狙える、一歩外へ出るための資格を選びましょう。

社内SEを目指すなら: ITIL、AZ-900など
インフラ・クラウドを目指すなら: LinuC-1、CCNA、AWS CLFなど

資格は「あなたが目指す職種・方向性」を、第三者に客観的に示すツールです。

まとめ:資格はあくまで「手段」にすぎない

大切なのは、資格そのものよりも「その武器を持って、どの環境へ行くか」です。今の環境に限界を感じているなら、資格を手に「将来性のある場所」への移動を検討するタイミングかもしれません。

→関連記事:ヘルプデスクの将来性はある?環境による違いを解説

まとめ|ヘルプデスクの資格は「戦略」で意味が変わる

ヘルプデスクにとって、資格は必須ではありません。しかし、「取り方」と「使い方」を戦略的に考えることで、キャリアを前に進めるツールになるのも事実です。

今回のポイントを整理します。

■この記事のまとめ:
評価は業務の幅で決まる:
 →ヘルプデスクの評価は「知識量」でなく、資格は業務の幅を広げるためのツール
実務スキルと資格の掛け合わせが重要:
 →資格単体では意味を成しにくい、切り分けや改善などの実務スキル+資格知識が重要
資格は次のキャリアを目指すためのツール:
 →転職や異動において、第三者に伝わるスキルとして使える「資産」になる

最後に:資格は「適切な環境」を選んだ時に効果が出る

もし今、「資格を取ったのに報われない」と感じているなら、それはあなたの努力不足ではなく、今の環境が「あなたの資格を活かせる環境ではないだけ」かもしれません。

資格は「理想の役割や環境へ進むためのツール」であり、大切なことは「どんな環境で、どんな役割を担うか」です。

ヘルプデスクの将来性や、環境による違いを整理したい方は、以下の関連記事も参考にしてみてください。

→関連記事:ヘルプデスクに将来性はある?仕事がなくなると言われる理由と環境の違い

この記事を書いた人

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角田 壮史

株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

未経験からベテランまで、ITインフラのキャリア支援に特化、経済産業省採択事業(インフラエンジニア育成プログラム)も担うキャリアアドバイザーです。 経済産業省ロゴ

主な実績

  • パーソルキャリア(旧インテリジェンス)在籍時、事業部MVP受賞あり
  • リクナビ提携エージェントとして、顧客満足度1位/サービス満足度1位/紹介求人満足度2位などの受賞歴あり リクナビ 顧客満足度1位ロゴ リクナビ 紹介求人満足度2位ロゴ
  • キャリアアドバイザー歴15年以上、700社以上のIT企業訪問、3,000名超のエンジニア支援実績
  • LPI (Linux Professional Institute) より、トレーニングパートナー(プラチナ:最上位)/ハイアリングパートナーとして公式認定 LPIトレーニングパートナープラチナロゴ LPIハイアリングパートナーロゴ

保有資格

国家資格キャリアコンサルタント、AWS-SAA、CCNA、LPIC-3(最上位)、LinuC-1

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