未経験インフラエンジニアの仕事内容とは?最初に任される業務とキャリアの全体像【2025】

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

「インフラエンジニアって、正直よく分からない」
「監視・運用・構築って何が違うの?」

ネット上では「きつい」、「やめとけ」といった言葉も見かけますが、その多くは仕事の「一部」だけが切り取られた情報です。

インフラエンジニアの仕事は、どのフェーズ(監視・運用・構築)を担当するかで、働き方も将来性も劇的に変わります。未経験者が不安を感じる最大の理由は、スキル不足ではなく「全体像を知らないこと」にあります。

この記事では、未経験の方が現場のリアルをイメージできるよう、以下のポイントをできるだけ専門用語を使わず解説します。

■この記事でわかること:
最初に任される具体的な仕事内容
現場の1日の流れ(日勤・夜勤)
つまずきやすいポイントと乗り越え方
理想のキャリアを歩むための「最短ルート」

「自分にできるかな?」という不安を、この記事で「これならできそう」という考えに変えていきましょう。

この記事を書いた人 
角田 壮史 株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

ITインフラエンジニア専門の転職エージェント。経済産業省採択事業の運営者であり、15年以上のエンジニアのキャリア支援実績を活かし、あなたのキャリアアップをサポートします。

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目次

結論:インフラの仕事は3段階。「楽すぎ・底辺」の噂は担当フェーズで決まる

インフラエンジニアの仕事は、大きく「監視・運用・構築」の3フェーズに分かれています。

未経験者の多くは「監視・運用」からスタートするため、ネット上では「楽すぎ」、「底辺」といった声もあります。しかし、これは初期フェーズの仕事内容だけを切り取った評価に過ぎません。

インフラエンジニアの仕事内容をフェーズ別に整理すると、全体像は以下のようになります。

フェーズ難易度主な仕事内容身につくスキル年収目安
監視★☆☆アラート監視、画面チェック、報告正確な報告力、ITリテラシー300~400万
運用★★☆設定変更、障害対応、手順書作業論理的思考、切り分け力400~500万
構築★★★サーバー・ネットワーク・AWS構築/設計深い技術知識、設計思考500~800万以上

※年収はあくまで目安です。経験や所属企業、勤務地などによって変動があります。

このように同じ職種でも、どの段階を担当するかで難易度・年収・将来性が大きく変わります。

例として:
「楽すぎ」 = 変化の少ない 監視専任の環境
「きつい・やめとけ」 = 障害対応や判断が求められる 運用・構築の現場

このように、評価の大元は「インフラエンジニアという職種」ではなく、「仕事内容の違い」にあります。特に重要なのは、インフラエンジニアとして「どのフェーズの仕事をしているか」です。

この記事では、未経験からスタートする方が仕事内容を正しく理解し、「構築(AWS等)」へステップアップしていくための考え方も、わかりやすく解説していきます。

未経験が担当する「3つの仕事内容」とステップアップの仕組み

未経験からいきなり「サーバー設計」や「AWS構築」を任されることは稀です。基本的には「監視 → 運用 → 構築」の順でステップアップしていきます。

まずは各フェーズの具体的な業務を見ていきましょう。

①【監視】アラート確認・報告(未経験の登竜門)

システムが正常に動いているかを管理画面でチェックする、未経験者が最初に配属されやすい業務です。

具体的な仕事内容:
稼働状況の確認、異常検知(アラート)時の報告・チケット起票、上位担当への引継ぎ(エスカレーション)など。

この監視業務は、個人でできる判断が少なく、手順書通りに進めるため「楽すぎ」と言われることもあります。しかし、異常を早期に発見し、適切な人に報告するという責任は重大です。

ここで基礎固めを行うことが後フェーズの信頼獲得につながります。スキルアップが止まる「監視ループ」に陥らないよう、夜勤の合間などに学習を続ける姿勢が求められます。

②【運用】設定変更・障害対応(実力が伸びるフェーズ)

監視より一歩踏み込み、実際にシステムへ手を加える仕事内容です。

具体的な仕事内容:
サーバーの設定変更、定期メンテナンス、障害発生時の原因切り分け、問い合わせ対応など。

この運用工程では、設定ミスが障害に直結するプレッシャーがあるため、「きつい」と言われることもあります。

また「なぜこの手順なのか」を考えることで、単なる作業者からエンジニアとしての思考力に脱皮ができるフェーズです。

③【構築】サーバー・ネットワーク・クラウド(目指すべきゴール)

未経験者が最終的に目指す段階です。ここから年収や市場価値が跳ね上がります。

具体的な仕事内容:
サーバーの新規立ち上げ、ネットワーク機器の構成、AWSなどのクラウド環境構築など。

近年ではオンプレミス(物理の機器)だけでなく、AWSのEC2作成やネットワーク設定など、クラウドに特化した「AWSインフラエンジニア」の需要が急増しています。

この工程では、 運用で培った「現場感覚」があるからこそ、壊れにくいシステムを「構築」できるようになります。

まとめ:未経験は「どのフェーズから始めるか」が分かればOK

未経験インフラエンジニアにとって、監視・運用はあくまで「構築」へ進むための通過点です。また大切なのは、その現場が「次のフェーズに進める環境か」を見極めることです。

仕事内容の全体像が見えてきたところで、次は「実際の1日のスケジュール」や「現場でよくある失敗」を見て、より具体的なイメージを膨らませていきましょう。

インフラエンジニアの「1日の仕事」を具体的にイメージする

インフラエンジニアの業務は、派手な作業よりも安定運用を支える「地道な確認と報告」が中心です。

ここでは未経験者が配属されやすい現場のリアルな流れを見てみましょう。

日勤・夜勤のタイムスケジュール例

未経験〜初級レベルでは、日勤のみならず、24時間365日の稼働を支える「シフト勤務(夜勤あり)」からスタートすることが多くあります。

時間帯日勤の流れ(運用中心)夜勤の流れ(監視中心)
開始前夜のトラブル確認・引き継ぎ日勤からの引き継ぎ・夜間監視開始
午前/深夜ログ確認・定期メンテナンス監視画面のチェック・手順書作業
午後/明け方設定変更・ユーザー対応・会議障害一次対応(発生時)・ログ収集
終了夜勤担当への引き継ぎ・退社日勤担当への引き継ぎ・退社

定型業務(手順書どおり)と非定型業務(例外対応)の違い

インフラエンジニアの仕事は、まず「定型業務」から始まります。

定型業務(手順書どおりの作業):
定期点検やログ確認、ルール化されたアカウント作成など。「決まった手順をミスなく行い、正常を維持すること」がミッションです。

非定型業務(例外・トラブル対応):
手順書にない事態や想定外のエラーへの対応です。新人のうちは、「手順書と少しでも違う挙動があれば、すぐに手を止めて上位者へ報告する(エスカレーション)」ことが最大の仕事になります。

まずは定型業務を完璧にこなせるようになることが、現場で信頼を得るための第一歩です。

テキストコミュニケーションの重要性

エンジニアは「黙々と作業」と思われがちですが、実際はSlackやTeams、チケット管理ツールでのやり取りが多くあります。

専門知識以上に、「結論から伝える」、「事実(ログ)と推測を分けて話す」といった、正確なテキストコミュニケーション能力が求められます。

まとめ:地味な作業が「当たり前」を支える

インフラエンジニアの1日は、派手なトラブル解決よりも「何も起きないようにする作業」が中心です。この地道な積み重ねが、社会のITインフラを支えています。

未経験が「つまずきやすい3つのポイント」と対処法

インフラエンジニアのつまずきは、能力やセンスの問題ではなく、「考え方」や「環境」とのミスマッチで起こりがちです。

ここでは未経験者にありがちの代表的な3つの壁と、その乗り越え方を解説していきます。

① メンタル面:周りと比較して焦ってしまう

専門用語が飛び交う現場で「自分だけ理解できていない」など、孤独感や不安を感じるケースです。

対処法:
最初から完璧にできる人はいません。現場が求めているのは「知識の量」ではなく、「分からないことを放置せず、自分で調べた後に、素直に質問できる姿勢」です。

自分を責めず、一つひとつの用語に慣れることから始めましょう。

② 技術面:「自力で正解を出そう」としすぎる

トラブル時に「自分で何とかしないと」と考えすぎてしまい、強い責任感が逆にミスを生んでしまうパターンです。

対処法:
インフラの世界では、「直すこと」より「状況を正確に伝えること」が最優先です。

まず状況を整理し、速やかに上位者へ共有する、これさえできれば、未経験者としては十分評価される対応です。

③ 環境面:不規則な生活リズム(夜勤・シフト制)

監視業務などの夜勤やシフト勤務が体に合わず、「自分はこの仕事に向いていないかも」と悩むケースです。特に女性多い悩みです。

対処法:
「今の環境」と「職種」を切り離して考えましょう。ずっと続くわけではありません。

インフラエンジニアには、日勤中心の運用保守や、リモート・フレックスが可能な構築案件など、多様な現場があります。経験を積めば、自分に合った働き方を選べるようになります。

まとめ:つまずきは成長途中のサイン

これらの3つの壁は、多くのエンジニアが通ってきた道です。つまずくこと自体は失敗ではなく、次のステップに進むための通過点です。

次からは、こうした経験を踏まえて、未経験からの最短キャリアルートを解説していきます。

仕事内容から逆算する「最短キャリアルート」

インフラエンジニアとして理想のキャリアを歩むコツは、「次のフェーズへ移るタイミング」を理解しておくことです。この意識の有無が、将来のキャリアに直結します。

① 王道のキャリアステップ:監視 → 運用 → 構築 → クラウド

未経験者は、一段ずつ担当する範囲を広げていくのが最も確実でつまずかないルートです。

■王道キャリアステップの順番:
監視: 現場のルールに慣れ、システムの「正常」を知る段階。
②運用: 設定変更やトラブル対応を通じて、技術的理解を深める段階。
③構築: ゼロからサーバー等を組み上げる。技術者としての価値が急上昇する段階。
④クラウド(AWS等): 設計・構成を担う。市場価値と働き方の自由度が最大化する段階。

② 「監視ループ」を抜け出すサイン

監視業務は重要ですが、長く居すぎるとスキルが停滞するリスクもあります。以下の状態になったら、次のステップ(運用・構築)への挑戦を考えましょう。

監視を抜け出すタイミング:
・手順書通りの作業が「作業」として完結し、学びが減った。
・仕事の流れが把握でき、新しい刺激がなくなった。

これらを感じたら、「現場異動」や、必要に応じて「転職」を検討する絶好のタイミングと言えます。

③ 仕事内容と「年収・働き方」の相関図

インフラエンジニアの評価は、経験年数よりも「どの工程を担当しているか」で決まることが多いです。

フェーズ年収イメージ市場価値働き方の特徴
監視安定(やや低め)シフト制、夜勤あり
運用・構築上昇しやすい中→高日勤中心、リモート可の案件増
設計・上流高年収が狙える極高裁量が大きく、フレックス等も多い

構築フェーズを経験すると、設計フェーズといった「上流工程」に進む道も見えてきます。上流では年収や市場価値をさらに高めていくことが可能です。

→関連記事:インフラエンジニアの上流工程とは?仕事内容・年収・最短で到達する方法

※なお勤務先などの状況によって、「年収」と「市場価値」は必ずしも一致しない場合があります。

④ 最短ルートの本質は「経験を選択」すること

「何年働いたか」ではなく「何を経験したか」が重要です。

今の環境が「次のフェーズに繋がる経験を積めるか」という視点で仕事を選ぶことが、結果として最短で理想のキャリアに到達する道となります。

まとめ:キャリアは「点」ではなく「流れ」

最初からすべてを目指す必要はありません。今いるフェーズをしっかりこなしつつ、常に「次の一手」を意識することで、無理のないステップアップが可能です。

「このままでいいのかな?」と感じたら
今の仕事内容をもとに、次の一手を整理してみませんか

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※今どのフェーズ(監視・運用・構築)にいるか、
次に目指すべき工程を一緒に整理します。無理な転職提案はありません。未経験者も歓迎。

未経験のうちに押さえたいスキルと優先度

インフラ学習のコツは、すべてを完璧にしようとせず「今必要なもの」に絞ることです。現場で役立つ順に3つのステップで紹介します。

① 【最優先】Linuxの基本操作

インフラの現場で最も触れる機会が多いのがLinux OSです。現場ですぐ使うことも多く、最初にLinuxを学べば失敗しません。

是非やりたい:
基本コマンド(ls / cd など)、設定ファイルの場所(/var/log/ など)を学ぶ。

Linuxの操作に慣れるには、サーバーエンジニア向けの基礎学習やロードマップが参考になります。

→関連記事:サーバーエンジニア勉強ロードマップ|未経験から構築に近づくステップ

② 【次に重要】ネットワークの基礎

ネットワークはトラブルの原因を切り分けるための「思考の土台」になります。またインフラ分野では

是非やりたい:
IPアドレスの役割、基本的な通信の仕組み(Pingが通るかなど)などを把握する。

ネットワークの仕組みを理解したい場合は、ネットワークエンジニア向けの勉強ロードマップが分かりやすいです。

→関連記事:ネットワークエンジニアの勉強ロードマップ|未経験から構築レベルへ

③ 【余裕があれば】クラウドの概念(AWS)

将来の選択肢を広げる武器ですが、最初から深入りしなくてOKです。Linuxとネットワークをしっかり学んだ後に挑戦するのがおすすめです。

あれば尚可:
AWSの管理画面を触ってみる、EC2(サーバー)を起動してみる、など。

クラウドについては、まず全体像をつかむことが目的なので、必須ではありません。興味がある方は、クラウドエンジニア勉強記事を参考にするとイメージしやすくなります。

→関連記事:クラウドエンジニア勉強法ロードマップ|最短で実務へ

まとめ:①、②ができれば「土台」は十分です

スキルの位置づけイメージ
Linux: 今すぐ使う「道具」
ネットワーク: 理解を深める「土台」
クラウド: 将来の選択肢を広げる「知識」

まずは①と②を優先しましょう。③は現場に慣れてからでも遅くありません。

内容は非常に適切です!未経験者が抱く「不安の最大公約数」が網羅されています。

現在は1問1答形式で丁寧に解説されていますが、スマホで読むとスクロール量が多くなりすぎる(途中で飽きられる)懸念があります。内容は変えず、「一目で答えがわかる」ように情報を整理・圧縮した案を作成しました。

よくある質問(未経験インフラエンジニア編)

ここでは未経験の方から特によくいただく質問を、リアルな視点で回答していきます。

Q1:夜勤なしの現場はありますか?

A. あります。 監視業務が中心の現場は夜勤が発生しやすいですが、運用・構築フェーズや日勤限定のプロジェクトも多いです。経験を積むほど、日勤のみの働き方を選びやすくなります。

Q2:「運用」と「構築」はどう違うのですか?

A. 「守り」か「作り」かの違いです。

運用: 今あるシステムを止めずに動かし続ける仕事。
構築: サーバーやネットワークを新しく設計・作成する仕事。

未経験者は「運用」から入り、知識を蓄えてから「構築」へ進むのが一般的です。

Q3:どれくらいで「構築」に進めますか?

A. 目安は1〜3年程度です。 ただし年数よりも、「今の現場でどれだけ技術を吸収し、アウトプットしたか」が重視されます。早い人は1年未満でチャンスをつかむこともあります。

Q4:女性でも働けますか?

A. もちろん可能です。 多くの女性エンジニアが活躍しています。

またつらさを感じる原因は能力ではなく、「夜勤による生活リズムの乱れ」であることがほとんどです。日勤主体のフェーズへ進むことで、長く安定して働けます。

Q5:資格は必ず取らないといけませんか?

A. 必須ではありませんが、「勉強の目安」、「キャリアアップの武器」として有効です。

資格も評価されますが、取得過程で得た知識を「実務でどう活かせるか」が重要です。

Q6:文系・IT未経験でも大丈夫ですか?

A. 全く問題ありません。 インフラエンジニアに必要なのは、知識以上に「論理的な思考」と「正確に伝える力」です。

これらは文理関係なく活かせるスキルです。また、文系出身のエンジニアも多数活躍しています。

Q7:なぜ「やめとけ」と言われるのですか?

A. 「環境のミスマッチ」が原因です。

「夜勤が想像以上にきつい」、「監視業務だけで成長を感じられない」といった状況が、ネガティブな言葉に繋がっています。しかし仕事内容を正しく理解して選べば、非常に将来性のある職種です。