インフラエンジニアの上流工程とは?仕事内容・年収・最短で到達する現実的な方法【2025】

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

「上流工程って、結局どこから?」
「設計や要件定義には、いつ行けるの?」
「このまま監視・運用だけで終わらないか不安、、」

インフラエンジニアとして働く中で、こんな疑問や不安を感じていませんか?

結論から言うと、上流工程に進めるかどうかは、年数や努力量よりも「どんな環境にいるか」で大きく変わります。

■この記事でわかること:
インフラエンジニアの上流工程とは何か
・仕事内容・年収・働き方のリアル
未経験・微経験から最短で上流に近づくための現実的な戦略

「今の環境で、このまま続けていいのか?」、そう感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

※今すぐ自分の状況を整理したい方は、
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この記事を書いた人 
角田 壮史 株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

ITインフラエンジニア専門の転職エージェント。経済産業省採択事業の運営者であり、15年以上のエンジニアのキャリア支援実績を活かし、あなたのキャリアアップをサポートします。

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目次

結論:インフラエンジニアの上流工程は「設計以上」。到達できるかは「環境選び」と「経験」で決まる

インフラエンジニアの上流工程とは、システムの方向性を決める要件定義や設計を指します。これは年収や働き方の裁量が大きく変わる重要なフェーズです。

結論から言うと、上流工程に到達できるかどうかは、個人の努力よりも「構築経験に基づいた判断ができるか」、そして「それを積める環境にいるか」で決まります。

上流工程の定義と現実的なステップ

①上流工程の本質は「構築経験を伴う設計」

上流工程の仕事自体は要件定義や設計ですが、インフラ領域では構築の経験と知識が不可欠です。

なぜなら、机上の空論ではない「実現可能で、障害に強い設計」を行うためには、現場のリアルを知っている必要があるためです。

②企業形態で異なる上流の定義と道のり

「上流工程の定義」や「関わる工程」は、所属する企業形態によって異なります。

企業形態上流工程の定義・傾向キャリアの傾向
大手 SIer設計・要件定義を指すことが多い。構築は2次・3次請け企業に任せる場合が多い。構築経験を積む機会が少なくなりがち。
中小 SIer / SES構築以上を指すことが多い。構築→設計補助へ段階的にステップアップしていくケースが中心。構築経験は積みやすいが、設計案件の有無が環境依存。

進めない人の共通点=「環境の問題」

未経験から上流へ近づくには、まず構築に進める環境が必須です。監視・運用しか案件がない、構築案件が存在しない環境では、どれだけ努力しても工程が上がりません。

まとめ:上流工程のメリットと課題

上流工程へのキャリアチェンジは大きなメリットがありますが、到達には注意すべき課題も存在します。

ここでは、上流工程を目指すうえで知っておくべき要点を整理します。

メリット課題(注意点)
〇 年収 600〜800万円以上を狙える× いきなり上流は難しい
〇 夜勤から解放され、裁量が増える× 進めない原因の多くは「環境」にある
〇 キャリアの選択肢が広がる× 年数より「構築経験」が求められる

以下からは、上流工程の具体的な仕事内容、年収、働き方、そして最短の進み方を詳しく解説していきます。

インフラエンジニアの上流工程とは?下流工程との違いを整理

上流工程と下流工程の最大の違いは、「判断業務」を担うか「実行業務」を担うか、という点にあります。

上流工程と下流工程の役割

以下にそれぞれの役割と求められる業務を整理していきます。

工程役割(業務)求められるスキル
上流工程判断・企画・設計要件定義、基本/詳細設計、折衝、コスト判断
下流工程実行・維持管理運用、保守、監視、(手順書に基づいた構築・テストが含まれることも)

「構築」は上流?下流?→キャリアの分岐点

構築は、大手SIerでは下流と見なされますが、上流工程(設計)が机上の空論にならないための経験として非常に重要です。

インフラエンジニアのキャリアにおいて、「構築」は下流から上流へ進むための明確な分岐点となる位置付けです。

上流工程の仕事内容:フェーズ別に具体的に解説

上流工程に漠然としたイメージしか持てない方も多いでしょう。

ここでは、インフラエンジニアが関わる上流工程を「要件定義」、「設計」、「構築」の3つのフェーズに分け、それぞれの具体的な業務内容と、求められる役割を解説していきます。

① 要件定義:顧客の要望を「技術に落とし込む仕事(非機能要件がカギ)」

要件定義とは、端的に言うと「顧客のやりたいことを、具体的な技術仕様に落とし込む工程」です。

単に「何を(機能)」作るかだけでなく、「どれだけ快適に、安全に、止まらずに使えるか」という、インフラエンジニアの腕が試される部分を詰めていきます。この裏側のキーポイントとなるのが、非機能要件です。

非機能要件は、インフラの上流工程の最重要ポイント

インフラエンジニアが担う要件定義で最も重要なのが、この「非機能要件」の定義です。これらは顧客自身が言語化できないあいまいな要望を、具体的な数値目標や構成要件に変換する業務です。

顧客の要望技術への落とし込み例専門用語
「Webサービスを安定して使えるようにしたい」サーバーが1台故障してもサービスを継続できる構成にする(冗長化)可用性(99.9%など)
「アクセスが集中しても遅くならないか心配」ピーク時アクセスに対する応答時間を1秒以内に保証する。性能(レスポンス、負荷)
「情報漏洩がないようにしたい」外部からの侵入を防ぐ仕組み(WAFなど)を導入し、アクセス権限を細かく設定する。セキュリティ
「夜中にシステムが止まってもすぐ対応できるか」障害発生時は、自動復旧処理を起動し、担当者に3分以内にアラートを通知する。保守性

顧客の業務背景を理解して、この「非機能要件」を細かく設計図に落とし込めるエンジニアが、上流工程として高く評価されます。

未経験・新人はできる?
いきなり要件定義を任されるケースはほぼありません。構築運用を経験したうえで、初めて携われるステップアップの工程です。

年収レンジは?
要件定義に関わるようになると、年収700万円以上を狙えるレンジに入ってきます。これは、技術力だけでなく、ヒアリング力やビジネス理解力が評価されるためです。

ここでは、「この技術でシステムは本当に安定稼働するのか?」、「もし止まったとき、誰がどう対処するのか?」といった、運用と障害対応まで見据えて考えられるか(保守性)まで重要とされます。

これが、要件定義という上流工程の最も本質的な部分と言えます。

② 基本設計:構成・方式を決めるインフラの設計図

基本設計とは、要件定義で決めた「条件」を、「どんな構成で実現するか」を決めるインフラ設計の骨組みを作る工程です。

家づくりで言えば、「何部屋必要か」、「耐震性はどれくらいか」という要望を受けて、間取りや構造を決める段階にあたります。

この工程で、サーバー、ネットワーク、ストレージといったインフラ全体の機器配置や接続方式が決定します。

1. 「止まらない」ための冗長化設計

基本設計で最初に考えるのが、冗長化(じょうちょうか)です。これは、特定の機器や回線に障害が発生しても、サービスが止まらないようにする仕組みです。

要件定義で定めた「可用性(例:99.99%)」といった条件は、この設計で初めて具体的な形になります。

サーバーの冗長化:
サーバーを複数台用意し、1台に問題が起きても自動で他のサーバーに切り替わる構成。

データのバックアップ:
データを別の場所(地域)にも複製し、災害時にも復旧できるようにする仕組み。

2. 「どこで、何を、どう守るか」セキュリティ設計

セキュリティ設計では、外部からの不正アクセスや内部の情報漏洩を防ぐための構成を決めます。

検討する点何を決めるか具体例
外部からの不正アクセス対策どこで攻撃を防ぐかFW / WAF を入口に配置
権限・ネットワーク設計誰がどこまで触れるか管理NWを一般ユーザーから分離
ログ・監査何が起きたかを追えるか操作・アクセスログを保存
障害・インシデント対応異常にすぐ気づけるか自動アラート通知

「安全そう」ではなく、技術的根拠に基づいて「安全だと言える構造」になるよう設計していきます。

3. クラウド構成の判断(オンプレミスとの選択)

近年の基本設計では、クラウド(AWS, Azure, GCPなど)の利用を前提に検討するケースが非常に多くなっています。

この段階で、すべてクラウドで構成するか、一部は自社設備(オンプレミス)に残すかといった全体方針を決定していきます(例:繁忙期だけアクセスが増えるシステムは、クラウドの自動拡張機能を利用する)。

業務の特性やコスト、拡張性などを総合的に判断し、最適なインフラの骨組みを選択する判断力が求められます。

基本設計が「システム全体を設計する」入口

基本設計での判断は、後の詳細設計、構築、運用すべてに致命的な影響を及ぼします。ここで不適切な構成を選ぶと、システムが安定稼働しなかったり、後々に作り直しになったりするためです。

基本設計を担当できるようになれば、あなたは「作業者」から「システム全体を設計するエンジニア」として、上流工程のキャリアを本格的に歩み始めます。

③ 詳細設計・構築:上流への「入口」となる最重要工程

詳細設計・構築は、インフラエンジニアが「作業者(下流)」から「設計者(上流)」へ移行するための、最も重要な分岐点です。

詳細設計の役割は、設計の「現実化」

詳細設計とは、基本設計で決めた「構成の骨組み」を、「実際に作れるレベル」まで具体的に落とし込む工程です。

工程目的具体的な成果物例
詳細設計誰でも同じ作業ができるレベルまで手順と設定をドキュメント化する。インフラ構成図(物理/論理)、構築手順書、パラメータシート、セキュリティ設計書など
構築設計書をもとに実環境を作り上げる実際に稼働するインフラ環境

なぜ「構築経験」が上流工程への入口なのか

構築は単なる作業ではありません。「設計が現場で本当に動くか、運用に耐えられるか」を検証する工程です。

構築を知っている人:
設計が現場で通用するかどうか運用負荷が異常に高くないかを予見できます。

構築を知らない人:
机上の理論で判断し、現場の現実を知らない設計になりがちです。

要件定義や基本設計だけを学んでも、構築を経験していないと、上流では「現場を知らない設計者」として評価されにくいのが現実です。

上流に近づく構築と、そこに留まる構築の違い

評価の差は年数だけではありません。「関わり方」にもあります。

上流に近づく構築留まる構築
設計意図を理解したうえで、なぜこの構成なのかも理解している手順通りに作業するだけで、設計の妥当性に踏み込めていない
現場での問題点を設計側にフィードバックできる全体像を把握しない、作業の指示を待つのみ

この工程で設計意図を理解し、主体的に関わる経験を積むことで、現場での立ち位置は「作業者」から「設計を理解し判断できる人」に変わります。すると上流の仕事に呼ばれる機会が生まれます。

詳細設計・構築は、上流工程に進むための 「最低条件」 であり、下流工程からの「卒業」でもあります。

④ プロジェクト管理(PM・PL):技術+マネジメントで年収800万円超えを目指す

プロジェクト管理(PM・PL)は、インフラの設計・構築の深い理解を土台に、プロジェクト全体を判断・調整する役割です。

単なる進捗管理ではなく、技術的な前提を踏まえて「何を優先すべきか」、「どこにリスクがあるか」を決め、プロジェクトを成功に導く存在です。

PM・PLの役割と裁量

主な役割の例必要なスキル
技術的判断設計・構築メンバーへの技術的な課題解決や判断の支援
調整業務進捗、コスト、品質のバランスを取り、最適解を導く
折衝・意思決定顧客や関係部署と交渉し、プロジェクトに関する最終判断を行う

PM・PLは、技術力を活かしながらマネジメントスキルを身につけ、プロジェクト全体の責任を担う立場になることで、年収帯が800万円以上に一段引き上がるケースが増えてきます。

このようにインフラエンジニアのキャリアパスは、設計・構築を極める道もあれば、技術理解を土台にマネジメントへ進む道もあります。

PM・PL(特にPM)は、上流工程の延長線上にある「選択肢の一つ」です。

上流工程の年収はどれくらい?フェーズ別の現実

インフラエンジニアの年収は、年齢や勤続年数よりも「どの工程を任されているか」で大きく変わります。

上流工程に関わるようになると、年収レンジが一段上がっていきます

フェーズ別の年収目安

フェーズ担当工程年収レンジ(目安)
下流運用、保守、監視350〜500万円前後
中流(初期上流)詳細設計、構築450〜700万円台
上流要件定義、基本設計650〜800万円前後
マネジメントPM、PL(技術+マネジメント)800万円以上を狙えるケースも

■上流に行くと年収が上がる理由:
スキルの代替性の低さ
判断責任の重さ裁量の大きさ
設計・調整ができる人材の希少性

これらの要素の評価が結果として、年収レンジを一段引き上げます。

構築・設計・クラウドなど工程別の年収相場や、年収を伸ばす具体的な方法については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

→関連記事:インフラエンジニアの年収相場と上げ方|工程別・年代別に1000万円を狙う戦略

年収が伸びないときの注意点

もし、構築や設計を担当しているのに年収が伸びないと感じている場合、問題は個人の努力ではなく、今いる環境にあるケースも少なくありません。

年収を伸ばす具体的な方法や、年収が上がらない場合の対処法については、記事後半(「上流工程に進めないときの現実的な対処法」)で詳しく解説していきます。

上流工程に夜勤はある?働き方のリアル

「上流工程に進めば、夜勤や不規則な働き方から解放されるのか?」

これは、監視・運用でつらい思いを経験したエンジニアほど気になる疑問です。結論、上流工程ではシフト制の夜勤は発生するケースはほとんどなく、働き方は日中中心になることが一般的です。

上流工程の働き方は「日勤・平日」が基本

要件定義や設計といった上流工程の仕事は、顧客や関係部署との打ち合わせと判断業務が中心です。監視・運用のような「24時間365日体制で張り付く」働き方とはタイプが異なります。

■上流工程の働き方まとめ:
・勤務時間は 平日日中が基本
シフト制・輪番制夜勤はほぼない
・リモートワークが可能なケースも多い

夜間対応が発生するのはどんなとき?

上流工程でも夜間作業が完全になくなるわけではありません。主に、システムへの影響が避けられない重要な作業が発生します。

例として「システム切り替え・リリース作業」、「重大な障害発生時」などがありますが、これらの夜間作業は、主にシステムリリースの時期などに集中します。

一方で、日常的な対応は朝番や遅番といったシフト調整でカバーされることが多く、常駐の夜勤が発生するケースはほとんどありません

また、夜間作業が発生した場合でも、代休取得などで柔軟に調整されるのが一般的です。

まとめ:上流工程は夜勤解消の選択肢

そもそも夜勤をやめたいという理由で、上流を目指すエンジニアは非常に多いです。

上流工程に進むことで、夜勤中心の働き方から、日中メイン・裁量のある働き方へシフトできたケースは珍しくありません。

上流工程に向いている人・向いていない人

上流工程への適性は、スキルの優劣ではありません。「仕事の好みや思考の傾向」で決まるケースがほとんどです。

日々の業務で身につく「思考のクセ」が、向いているかどうかの分かれ目になります。

向いている人の特徴:全体を考え、調整を苦にしないタイプ

上流工程で評価されやすいのは、以下のようなスタンスを持つ人です。

■上流工程に向いている人の特徴:
・全体像を考えるのが好き:この設計がシステム全体にどう影響するかを考えられる
調整や説明を苦に感じにくい:技術的な内容を噛み砕いて説明できる、など
正解が一つでない問題に向き合える: コスト、納期、性能、リスクのバランスを踏まえた判断

例として、構築や運用の中で「このやり方は本当に最適なのか?」と考えた経験がある人は、上流工程への適性を十分に持っています。

向いていないと感じやすい人の特徴:技術に集中したいタイプ

上流工程に対して違和感を覚えやすいのは、仕事の質が変わることにやりがいを感じにくい人です。

■上流工程に向いてないと感じやすい人の特徴:
手を動かす作業が好き:機器を触ったり、コマンドを打ったりすることにやりがいを感じる
調整や資料作成より、技術そのものに集中したい:打ち合わせや説明が増えるとストレス

上流工程では、手を動かす機会が減り、調整業務や資料作成、判断業務が増えます。技術志向のエンジニアとして、「機器を触っている方が楽しい」と感じるのは、よくある自然な適性でもあります。

まとめ:向き・不向きより「選択肢を増やすこと」を目指す

最初から向き不向きを考える必要はありません。構築や運用を経験する中で、後から上流工程が苦手ではないと感じてくる人も多いです。

また上流が向いていないと感じても、特定技術のスペシャリストや、構築・運用の自動化・効率化のプロフェッショナルといった、別の形で高い価値を発揮できるキャリアも大いにあります。

上流工程が「唯一のゴール」ではないことを理解しておきましょう。

大切なのは、全員が上流・PMを目指すことではなく、上流・下流それぞれの価値を理解したうえで、自分に合ったキャリアを選べる状態を目指すことです。

そのためにも、まずは構築経験を積み、キャリアの選択肢を広げることが重要です。

未経験・新人は上流工程にいつ行ける?目安年数

「未経験や新人は、いつになったら上流工程に行けるのか?」

結論として、年数だけで一律に決まるものではありません。担当案件の規模や環境(ミッションクリティカルなど)によってスピードは大きく変わります。

一般的な目安と最大の分かれ目

設計・要件定義などの上流工程に本格的に関わるまでの一般的な目安は、「3〜5年程度」と言われることが多いです。 なお、構築はこれより早い段階(1〜3年目)で経験するケースも多く、設計とは切り分けて考える必要があります。

もちろん、環境や本人の適性によっては、これより早く設計に進むケースもありますが、それはやや例外的なケースです。

しかし、この差を生む最大の要因は、個人の能力よりも「どんな案件・環境にいるか」です。

早く上流に近づく環境なかなか進めない環境
構築・設計案件が存在する現場にいる監視・定常運用のみが中心
運用だけでなく、改善や変更作業に関われる手順書通りの作業が中心で、構築案件が存在しない

年数より重要な「経験の中身」

上流工程へのステップアップで本当に評価されるのは、在籍年数ではなく、経験してきた工程の中身です。上流に必要な設計思考・判断力につながる経験の方が重視されます。

例として、「詳細設計や構築に一部でも関わった」、「障害対応で原因切り分けや再発防止策を考えた」、「構成変更や改善対応を提案した」などが当てはまります。

単純に「何年やったか」よりも、「どんな仕事をしてきたか」の方が重要です。

未経験・新人が意識すべき現実的なステップ

未経験者がいきなり上流工程を任されることはほとんどありません。多くの人が歩む現実的なステップは、以下の流れです。

■未経験・新人の現実的ステップ:
①運用・監視で基礎を固める
構築・変更作業に少しずつ関わる
詳細設計・構築を任される最大の分岐点
④設計全体や要件定義に関与する

まとめ:「何年いるか」より「どこにいるか」

上流工程に進めるかどうかは、「努力」や「年数」だけで決まるものではありません。「構築・設計に進める環境にいるか」という点が「決定的な鍵」です。

もし、何年経っても構築に触れず、上流につながる業務が見えてこないと感じているなら、次に考えるべきは「自分の努力」ではなく「今の環境」かもしれません。

※「自分の場合は、いつ構築・設計に進めそうか?」が気になる方は、「 インフラエンジニア向け無料キャリア相談 」で、今の状況を整理することもできます。

上流工程に進むために必要なスキル・知識

上流工程で評価されるために必要なのは、特別な才能ではなく、「何を、どの順番で身につけるか」という戦略です。

上流工程に必要なスキルは、大きく以下の4つに整理できます。

■上流工程に必要なスキル:
・技術スキル(Linux・ネットワーク・クラウド)
・設計思考・ドキュメント力
・コミュニケーション・調整力
構築経験(最重要)

特に構築経験は、設計時に「現場で本当に実現できるか」を判断するための土台となるため、上流工程を目指すうえで最も重要な経験です。

スキル習得の順番

上流工程を目指すうえで重要なのは、すべてを一度に満たそうとしないことです。無理な一段飛ばしは、逆に遠回りになることが多くあります。

まずは技術スキルで基礎体力を付け、構築経験で設計の現実性を学び、その後、設計思考・調整力へとステップアップしていくという順番を守ることで、上流工程への到達確率は大きく変わります。

→関連記事:インフラエンジニアの勉強ロードマップ|未経験からの順番・独学ステップ・教材

上流工程に役立つ資格【フェーズ別】

上流工程を目指すうえで資格は必須条件ではありませんが、正しいフェーズで取得すれば、キャリアアップの強力な後押しになります。

フェーズ別の資格の役割

キャリアフェーズ資格の位置づけ代表的な資格
初期(構築に進む)構築案件へのアサインを助ける「入口」LPIC / LinuC、CCNA
中堅 (設計に近づく)設計思考を身につける「補助」AWS SAA/SAP、CCNP、ネットワークスペシャリスト(ネスぺ)
上流 (設計・要件定義)実務経験と判断力が最重視される資格よりも実績

資格があっても上流に進めない人の共通点

資格は経験を補完することはできますが、経験の代わりにはなりません

資格を持っていても設計以上の上流工程に進めないケースは、「構築経験が十分に積めていない(知識を実務で使えない)」、「構築・設計案件が存在しない環境にいる」のどちらかが原因であることが多いです。

資格は「キャリアフェーズに合った使い方」が重要

資格は、初期はアサインされるためのチケットとして、中堅では設計目線の思考を身につける補助として利用するのがベストです。

キャリアのフェーズに合った使い方をすることで、キャリアの遠回りを避けることができます。

→関連記事:インフラエンジニアのおすすめ資格一覧|取得順番・難易度を徹底解説

上流工程に進めないときの現実的な対処法

勉強も資格取得もしたのに「構築や設計に進める気がしない」と感じているなら、その原因は個人の努力不足ではないケースが大半です。問題は「今の環境」にある可能性が高いです。

社内アピールが無意味になる構造的な問題

上流に進みたい意欲があっても状況が変わらないのは、以下の会社側の都合によるものです。

■会社都合でステップアップできない例:
構築・設計案件そのものが少ない(上流は一部のベテランが固定)
人手不足で、運用・監視からあなたを動かせない
プライム(元請け)、2次請け案件がほぼない(3次請け以下がメイン)

こうした環境では、本人の努力とは無関係に、キャリアが運用に固定されやすいのが現実です。

転職で一気に状況が好転するケース

現実的な選択肢として、環境を変えることで上流工程に一気に近づくケースは珍しくありません。

例として、「構築案件が豊富な会社」、「クラウド・設計案件を持つ企業」、「上流を育成前提で任せる文化のある会社」などの環境であれば、「年数」ではなく「工程」で評価されるため、これまでの基礎経験が正しく活かされやすくなります。

まとめ:上流に進めないのは「あなたのせい」ではない

上流工程に進めない理由は、努力不足やセンス不足であるよりも、環境の問題であることが多くあります。少なくとも構築まで進めない場合は、環境の問題が多い傾向です。

もし道が見えないなら、一度、「今の環境が本当に最適か」を見直すタイミングかもしれません。

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この記事のまとめ:上流工程への最短ルート

インフラエンジニアとして上流工程(設計・要件定義)を目指すうえで、最も重要となるのは以下の3点です。

① 軸となるのは「構築経験」

上流工程への最短ルートは、運用・監視から構築経験を積むことです。年数や資格よりも、設計の現実性を判断できる「経験の中身」が評価されます。

② 年収も働き方も「工程」で変わる

年収アップや夜勤からの脱出は、年齢ではなく「どの工程を担っているか」で決まります。構築・設計といった上流工程に進むことで、裁量ある働き方と高い報酬を狙えます。

③ 進めない原因は「環境」にある

努力や意欲があるのに構築に進めない場合、原因はあなた自身ではなく、今の会社が持つ構造的な問題である可能性が高いです。その場合、環境を変えることが最も現実的な解決策になります。

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この記事を書いた人

角田 壮史の顔写真

角田 壮史

株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

未経験からベテランまで、ITインフラのキャリア支援に特化、経済産業省採択事業(インフラエンジニア育成プログラム)も担うキャリアアドバイザーです。 経済産業省ロゴ

主な実績

  • パーソルキャリア(旧インテリジェンス)在籍時、事業部MVP受賞あり
  • リクナビ提携エージェントとして、顧客満足度1位/サービス満足度1位/紹介求人満足度2位などの受賞歴あり リクナビ 顧客満足度1位ロゴ リクナビ 紹介求人満足度2位ロゴ
  • キャリアアドバイザー歴15年以上、700社以上のIT企業訪問、3,000名超のエンジニア支援実績
  • LPI (Linux Professional Institute) より、トレーニングパートナー(プラチナ:最上位)/ハイアリングパートナーとして公式認定 LPIトレーニングパートナープラチナロゴ LPIハイアリングパートナーロゴ

保有資格

国家資格キャリアコンサルタント、AWS-SAA、CCNA、LPIC-3(最上位)、LinuC-1

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