こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
ネットワーク系の資格でもっとも有名なのは、CCNAです。これは初級資格ですが、2020年に大幅改定されて以来、年々難化しているため、「CCNAは難しすぎる」と感じる人も多いです。
その中で、「CCNAは意味ない」、「CCNAはいらない」という意見も、一部で聞かれます。
「CCNAは本当に意味ないのか?、なぜそう言われるのか?」や、「私はCCNAを取るべきか?不要なのか?」を迷う人もいるでしょう。
この記事では、CCNAがいらないと言われる理由や、CCNAを取得する意味などについて、詳しく説明していきます。
CCNAを取っても意味ない、と言われる理由とは?
「CCNAを取得しても、意味ない」と言われる理由は、大きく下記の4つです。
■CCNAが意味ないと言われる理由:
・資格よりも、実務経験が重要であるため
・CCNA取得には、かなりの勉強時間とお金がかかるため
・CCNAを取っても、すぐ年収が上がる訳ではないため
・CCNAは、3年で失効する資格であるため
以下より、詳しく説明していきます。
CCNAが意味ない、と言われる理由①:資格よりも、実務経験が重要であるため
ITエンジニアは総じて、実務経験が非常に重視されます。またネットワークエンジニアも同様に、実務経験の有無が重視されます。特にネットワークの設計構築経験の有無が、最重要視されます。
ゆえにCCNAを取得しているだけでは、現場で育てていく必要があるため、「即戦力とみなすことが難しい」実状があります。
CCNAが意味ない、と言われる理由②:取得には、かなりの勉強時間とお金がかかるため
CCNAは簡単な試験ではないため、かなりの勉強時間と労力を使う必要があります。参考書や問題集の購入から、人によってはスクールに通い、多くの時間をかけて取得する資格です。
また、CCNAは受験料が高いです(46,860円)。合格率も高い資格ではないため、一度CCNAに落ちると再度同額の受験料が必要となり、金銭的な負担も大きい資格です。
必要となる時間とお金に対して、割があわないと考える人にとっては、意味ないとも言えるでしょう。
CCNAが意味ない、と言われる理由③:すぐに年収が上がる訳ではないため
CCNAは受験料が高いですが、CCNAを取得しても、すぐに年収が大幅アップする訳ではありません。
資格手当が支給されることはありますが、それ程大きな額ではありません。CCNAは月3,000~10,000円程度が一般的です。また資格手当を支給しない会社も、少なくありません。
そのため、資格取得にかかる勉強時間やコストに対して、即リターンとなる金銭的な見返りが少ないと感じる人もいます。
CCNAが意味ない、と言われる理由④:CCNAは、3年で失効する資格であるため
多くの勉強時間や労力をかけ、多額の受験料を払って資格を取っても、CCNAは3年で失効します。
CCNAが失効すると、参画できるプロジェクトが減ることがあります。また資格手当も支給されません。
CCNAを失効させないためには、3年以内に上位資格のCCNPを取るか、CCNAを再受験する必要があり、再度資格にかかる勉強時間と費用が必要です。ゆえに、CCNAを失効させてしまう人も多いです。
上記のようなデメリットで、「CCNAは、意味ない」、「いらない」と言われてしまうことがあります。
しかし実際は、それ以上に「CCNAは、意味ある」ことが多いです。以下からは、CCNAが意味あるケースを説明していきます。
CCNAは、取得する意味がある!CCNAを取得するメリット
CCNAはネットワークエンジニアにとって非常に価値がある資格でもあります。ここからは、CCNAを取得することで得られる、具体的なメリットを説明していきます。
■CCNAは、取得する意味がある理由:
・ネットワークの基礎知識を、体系的に習得できる
・ネットワークエンジニアのキャリアアップにつながる
・ネットワークエンジニアの年収アップの足掛かりになる
・ネットワークエンジニアの就職、転職活動で有利になる
・他の資格と組み合わせて、キャリアを深め、広げることができる
CCNAを取得するメリット①:ネットワークの基礎知識を、体系的に習得できる
CCNA取得の大きなメリットは、Cisco機器を中心としたネットワークの基礎知識を、体系的に習得できることです。CCNAは、ネットワークエンジニアの運転免許証とよばれることもあります。
ネットワークエンジニアとして働くには、ルーティング、スイッチング、IPアドレスの管理、セキュリティ基礎など、ネットワーク技術の基礎知識が不可欠です。この基礎知識をCCNAで学ぶことができます。
また、ネットワークは、多くの企業がCiscoのルータやスイッチを使っており、ネットワーク機器の分野で圧倒的No.1であるCisco製品を学べます。
あわせてCisco機器を学ぶと、競合のネットワーク機器(JuniperやYAMAHAなど)にも応用が効くため、CCNAはネットワーク分野で最初に選ぶべき資格といえます。
CCNAを取得するメリット②:ネットワークエンジニアのキャリアアップにつながる
エンジニアとしてキャリアを築く場合は、「スキルを身につけたい」と考えている人は多いです。スキルが身につかず、年収も上がらない中、何年も同じ仕事の継続は、つらさを感じることもあるでしょう。
しかしCCNAを持たない場合、ネットワークエンジニアとして「スキルが身につく仕事」に配属されることは、難しいです。CCNAを取得しないことで、運用監視オペレータから抜け出せないことは、よくあります。資格の有無が、業務の幅を決めるとも言えます。
スキルアップにつながる仕事は、他者との競争があります。知識やスキルがあまり変わらないなら、ネットワークエンジニアの運転免許証を持つCCNA取得者が、確実に優先されます。
特にネットワーク構築を経験したい場合、CCNAはほぼ必須です。CCNAのみで携われることもありますが、CCNAのみだと、競争は激しいです。より確実に構築に携わるには、CCNPまで取得する方が好ましいです。
ネットワーク業界では、技術をキャッチアップするための勉強は、当然のこととされます。「CCNA取得=優秀なエンジニア」とはなりませんが、CCNAはキャリアアップのスタートラインに立つための資格です。
CCNAを取得するメリット③:ネットワークエンジニアの年収アップの足掛かりになる
CCNAを取得しても、すぐ年収アップはしません。資格手当が支給されることはありますが、CCNAの資格手当は、月3,000-10,000円程度が一般的です。大きな年収アップには繋がりません。
しかし、CCNAを足掛かりとして、スキルが身につく仕事で経験を積むと、年収の大幅アップにつながります。エンジニアは経験が最重要視されるため、「スキルアップ=年収アップ」となります。
以下画像は、ネットワークエンジニアのスキルと年収の関係図です。
特にネットワークエンジニアは、ネットワーク構築経験を積む事で、年収アップが急に加速します。年収アップを目指す場合は、まずCCNAを足掛かりとして、ネットワーク構築を目指すことが重要です。
CCNAを取得するメリット④:ネットワークエンジニアの就職、転職活動で有利になる
CCNAを取得すると、ネットワークエンジニアとしての就職、転職活動で、非常に有利です。特に圧倒的に有利なパターンは、「未経験者の就職・転職」と、「監視オペレータからのキャリアアップ転職」の2つです。
CCNAは、未経験者の就職・転職で、非常に有利!
未経験者の場合は、CCNA取得が「他応募者との差別化」を図る大きなポイントです。理由は、「ネットワークの基礎知識」のみでなく、「エンジニアへの志望度」、「エンジニア適性」などを証明できるからです。
CCNAを取得するだけで、ネットワークエンジニアの志望度が強いとみなされます。CCNAが志望動機の説得力を大きく高めてくれます。
また、資格取得は「自学で学習できる人材」ともみなされ、自学で学習が必須なエンジニアにとって、エンジニア適性もアピールできます。
実際に、「CCNAを学習中」と、「CCNA取得済み」では、転職活動では、驚くほど評価が変わります。理由は「CCNAを取得した」という成果を残しているためです。無資格者と比べて大きな差別化ができます。
CCNAは、監視オペレータからのキャリアアップ転職で、非常に有利!
監視オペレータから、運用や構築業務へのキャリアアップ転職においても、CCNAは非常に役に立ちます。
キャリアアップを目指す転職では、採用企業は「将来、活躍してくれる人を採用したい」と考えています。また、「活躍が難しそうな人を採用することは、リスク」とも考えています。
キャリアアップ転職では、「実現させたい未来のために、どんな努力をしたか?」も重要ポイントです。CCNAは、ネットワークの基礎知識の証明のみでなく、努力の形跡も証明してくれます。
特にCCNAは、監視オペレータからの脱却を希望する時に、大きな力となる資格です。
※参考記事:運用監視オペレーターは、早めに辞めて転職すべき。将来性は低い
また、CCNAが転職活動で与える影響や、有利度を詳しく知りたい方は、「【断言します】CCNAは転職・就職で非常に有利になる資格です」をお読みください。
CCNAを取得するメリット⑤:他の資格と組み合わせて、キャリアを深め、広げることができる
CCNAは単独でも価値がありますが、他の資格やスキルと組み合わせて、さらに有効性を高めることができます。特にネットワークエンジニアのキャリアを深める時や、広げたい時に有効です。
具体的には、下記のような組み合わせがあります。
■CCNAと、他資格の組み合わせ:
・CCNA+CCNP:上位資格のCCNPで、更にネットワークの専門性が深まる
・CCNA+LPIC:Linuxサーバーにも強くなり、インフラ全般に精通したインフラエンジニアとして評価される
・CCNA+LPIC+AWS:インフラ+クラウドの知識を組みあわせ、クラウドエンジニアとして評価される
他の資格と組み合わせ:CCNA+CCNP
CCNAでネットワーク基礎を学び、更に上位資格のCCNPを学ぶことよって、ネットワークエンジニアとしての高度な知識やスキルを証明することができます。
CCNPを取得することで、ネットワークエンジニアとしての専門性が更に大きく高まり、より高度なネットワーク構築やトラブルシューティングができる人材と、みなされやすくなります。
また、CCNP保有者は、ネットワークの最適化やセキュリティの強化などといった、より上流の仕事を任されやすく、キャリアアップや年収アップのチャンスが広がります。
■参考記事:CCNAとCCNPの違いとは?CCNPまで取るべきなのか?
他の資格と組み合わせ:CCNA+LPIC
ネットワーク基礎をCCNAで学び、横展開でLinuxサーバーをLPICで学ぶことで、ネットワーク、セキュリティから、サーバー、OSまで、ITインフラ全般を学ぶことができます。
Linuxはサーバー市場で大きなシェアがあり、インフラエンジニアにとってLinuxは必須スキルです。またLPICを取得することで、ユーザーやファイルシステムの管理、セキュリティ設定やプロセス管理を学べます。
ネットワークとサーバーの知識を持つことで、インフラエンジニアとしてのキャリアアップや年収アップのチャンスも広がります。
■参考記事:【LPICまるわかり解説!】LPIC level1とは?試験内容や勉強、受験方法などを説明
■参考記事:CCNAとLPICを徹底比較!どっちを取るべき?どっちから取るべき?
他の資格と組み合わせ:CCNA+LPIC+AWS
クラウド技術が急拡大している現在においては、CCNA+LPIC+AWSの組み合わせは、クラウドエンジニアを目指す近道となっています。
クラウドエンジニアはサーバー技術とネットワーク技術の両方を必要とされます(特にサーバー技術)。また、AWSといったクラウドサービスの知識も重要です。
クラウドエンジニアを希望する場合は、CCNA+LPIC+AWSという組み合わせは非常に有効です。
■参考記事:3大資格のLPIC、CCNA、AWSはどれを取るべき?どれから?クラウドエンジニアへの近道資格
上記のように、CCNAから他の資格につなげていくことで、様々なエンジニアとしてのキャリアを形成できます。目指す方向に沿って、最適な資格を取得しながら学習することで、キャリアを深め、広げていくことが可能です。
さいごに
CCNAは、「資格より実務経験が重視されること」や「取得に多くの時間やお金が必要となること」などの理由で、取得しても意味ないと言われることがあります。
しかし、CCNAで必要となる知識は、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアなど、幅広いITエンジニア職種で活かせる内容です。
さらに、CCNAを取得することで、エンジニアとしてのキャリアアップにつながり、ひいては年収アップも実現することが可能です。さらにCCNAを足掛かりとして、上位資格にチャレンジすることもできます。
CCNAは勉強時間や受験料を差し引いても、十分に役立ちかつ、強くおすすめできる資格です。
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