こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
インフラエンジニアとして働いている人、また、これから目指したい人にとって、「どれくらい稼いでいけるのか?」、「他の人の年収は?」という所は、非常に気になるテーマでしょう。
実際、インフラエンジニアの年収は、担当する工程(運用・構築・設計)や、身につけたスキル、経験年数などによって、大きく変動します。
この記事では、「インフラエンジニアの年収」について、あらゆる疑問に答えるよう、年齢別・経験別の年収相場を整理した中で、年収500万・1000万の必要スキルや期間などについて、説明していきます。
これからのキャリアを見直したい人や、転職・スキルアップを通じて年収を高めたい人は、ぜひ参考にしてください。
インフラエンジニアの年収の全体像とは
転職やキャリアアップ、将来性などを考える時、年収は非常に気になるポイントでしょう。その中で、「インフラエンジニアって年収低いのは本当?」、「他の職種と比べてどうなの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
ここでは、インフラエンジニアの平均年収や、他のIT職種や一般職種と比較した時の年収差など、年収動向について、説明していきます。
インフラエンジニアの平均年収は、概算すると542万円
2025年の現在、厚生労働省や転職サイトなど、さまざまな年収データがありますが、厚生労働省と、大手転職サイトのdoda、求人ボックスのデータから概算すると、インフラエンジニアの平均年収は542万円でした。



参照サイト:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag システムエンジニア(基盤システム)
参照サイト:doda ITエンジニアの平均年収はいくら?
参照サイト:求人ボックス インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料
インフラエンジニアの年収は、スキルや仕事内容、勤務する会社などによって、大きく変わります。特にクラウドやセキュリティといったスキルを持つエンジニアは、より高年収帯になる傾向があります。
また、インフラエンジニアは「経験とスキルが積みあがるほど、市場価値が高まる職種」であり、スキル習得が進むにつれて、安定的に年収アップもできる特徴もあります。
インフラエンジニアと、その他職種との、平均年収比較
以下の図は、「インフラエンジニア」と「ITエンジニア全体」、「全職種(一般職)」との平均年収比較です。参照データは、転職サイトのdodaとなります。



参照サイト:doda ITエンジニアの平均年収はいくら?
以下からは、「インフラエンジニアと、その他ITエンジニア職種の年収比較」、また「インフラエンジニアと、その他全職種との年収比較」について、詳しく説明していきます。
インフラエンジニアと、その他ITエンジニア職種との年収比較
求人サイトのdodaによるデータでは、インフラエンジニアの平均年収が454万円に対し、ITエンジニア全体の平均年収では414万円と算出されています。
数あるIT職種の中で、インフラエンジニアの年収は、中間レベルの位置づけと言えるでしょう。以下は、代表的な他IT職種との平均年収比較です。
職種 | 平均年収 | 特徴 |
ITエンジニア全体 | 452万円 | |
SE・プログラマ | 425万円 | 実力主義、スキルで評価 |
ITコンサルタント | 598万円 | 実力主義、高年収 |
ヘルプデスク | 353万円 | 年収の伸びが限定的 |
インフラエンジニア | 454万円 | 実力主義・スキルで評価 |
インフラエンジニアは、「年収が低い」と言われることもありますが、実際には決して低水準ではありません。むしろ、ITエンジニア全体における、平均年収とほぼ同じと言えます。
しかし、インフラエンジニアは「手を動かす技術職」としての実務が中心でもあるため、ITコンサルといった企画・マネジメント職と比べると、報酬水準はやや控えめとも言えるでしょう。
一方で、クラウドエンジニアやセキュリティエンジニア、プロジェクトマネージャなどにステップアップすることで、ITコンサルに並ぶような年収帯に到達することもあります。
つまり、専門性の深さと、キャリア戦略によっては、他の高年収なIT職種に劣らない年収を得られる職種とも言えるでしょう。
インフラエンジニアと、その他全職種(一般職含む)との年収比較
求人サイトのdodaによるデータでは、インフラエンジニアの平均年収が454万円に対し、全職種の平均年収では414万円と算出されています。
また、以下は代表的な職種との年収比較です。
職種 | 平均年収 | 特徴 |
全職種 | 414万円 | |
営業職(全体) | 435万円 | 実力主義・インセンティブあり |
事務・アシスタント職 | 334万円 | 年収の伸びが限定的 |
企画・管理系 | 529万円 | 担当領域によって差が大きい |
インフラエンジニア | 454万円 | 実力主義・スキルで評価 |
こうして見ると、インフラエンジニアは他業種と比較しても、収入面では高い水準にあると言えます。
特に、スキルを積み上げれば、自分の努力次第で、年収600万円以上も十分に実現可能な職種でもあります。
さらに現在は、AIやIoT、5Gなどといった、インフラが必要とされる技術が増えているため、インフラエンジニアは、時代の根幹を支える技術者として、引き続き安定した需要が続くと考えられます。
【年齢・年代別】インフラエンジニアの年収
インフラエンジニアの年収は、担当業務によって大きく変わります。つまり、経験やスキルの差で、年収がはっきり差がつくと言えるでしょう。
この経験やスキルは、年齢とも関係があると言えます。ここでは、年齢に応じた平均年収や、年収の変化について説明していきます。
平均年収(厚生労働省) | 平均年収(doda) | 中央値 | |
20代 | 442,3万円 | 405万円 | 423,6万円 |
30代 | 687,3万円 | 520万円 | 603,6万円 |
40代 | 741,5万円 | 643万円 | 692,2万円 |
50代以上 | 820,7万円 | 672万円 | 746,3万円 |
全体平均 | 684,9万円 | 464万円 | 574,45万円 |
参照:厚生労働省 職業情報提供サイト Job tag
参照:doda ITエンジニアの平均年収はいくら?
以下からは、年齢別に、ボリュームゾーンの一般的な年収、仕事内容について説明していきます。
20代前半(新卒~25歳)の年収
20代前半のインフラエンジニアは、主に運用監視といった下流工程の仕事を担当することが多いです。監視ツールを使ったアラート対応や、障害の一次対応、手順書ベースの作業が主な仕事と言えます。
この期間においては、スキルを習得するための期間という位置づけです。ゆえに、20代前半時の年収は、250~400万円程度が一般的です。
一方で、構築に携わる人材や、残業多い場合、また夜勤シフトで手当てがつく場合などは、年収400万円を超えることもあります。
20代後半(26~29歳)の年収
20代後半になると、設計や構築に携わる人材が増えている状況です。OSのインストールやミドルウェアの設定、仮想化などといった仕事を通して、インフラエンジニアとしての専門性がつき始める時期です。
20代後半時の年収レンジは、350万~500万程度が一般的ではありますが、経験・スキルの差によって、個人ごとの年収差が、大きくなり始めるタイミングです。
例として、構築のみならず、設計フェーズや、マネジメントも担える人材、あわせてクラウドスキル(AWS、Azureなど)、自動化ツール(Ansible、Terraformなど)も経験を持つエンジニアは、500万と言わず、600-700万円に届くケースもあります。
ただし、500万円をゆうに超える場合は、大手SIerや、元請け企業に企業に勤めている場合、またスキルが高い人材に限られると言えるでしょう。
30歳の年収相場はどのくらい?
30歳になると、設計構築の経験を積んだ中で、要件定義やPMといった上流工程・マネジメントに携わるエンジニアが増えてきます。
また、転職によって、より上位請け企業などに勤務するチャンスも増える年齢層であるため、年収差がかなり広がるタイミングと言えます。
平均的なスキルレベルであれば、年収450~550万円あたりがボリュームゾーンと言えますが、年収700-800万に届くエンジニアが増えてくるタイミングとも言えます。
この段階では、キャリアの方向性を明確にして、スキルと実績を磨いていくこと、また戦略的な転職活動を行うことが年収アップの鍵となります。
40歳の年収相場はどのくらい?
40歳になると、インフラエンジニアとしての技術力にくわえて、マネジメントスキルや、全体を見渡す視点が求められる傾向が非常に強くなります。
ゆえに、インフラエンジニアとして現場の最前線で手を動かすというよりも、チームの統括や、予算、スケジュールの管理といった役割を担う人が大きく増えるタイミングでもあります。
40歳の年収であれば、550万~750万円程度が相場ではあるものの、技術だけでなく、調整力や管理力などの総合力をもとに活躍できれば、年収1000万以上を実現する人もいます。
【経験・スキル別】インフラエンジニアの年収
インフラエンジニアはの仕事は、設計・構築・運用などの工程ががあります。また、各工程によって求められるスキルレベルも大きく変わり、各工程によって年収も大きく変わります。
インフラエンジニアとして、年収を意識する場合は、前段階として、自分が強みを持つ工程を意識することが大事です。
ここでは、インフラエンジニアの経験やスキルに応じた市場価値を説明していきながら、年収についても解説していきます。
工程ごとの年収推移
インフラエンジニアの年収にもっとも影響を与えるのは、経験・スキルです。経験・スキルをわかりやすく区分けする場合は、担当できる工程が一つの目安です。
インフラエンジニアの年収は、工程ごとに、おおよその年収が定まっています。ゆえに、「今できる工程が、年収を決めている」とも言えます。具体的には、以下図のようなモデル年収となります。



運用フェーズの年収相場は、300~450万円
インフラエンジニアのキャリアの多くは、運用フェーズからスタートします。また、監視を伴う運用もあります。
運用工程では、障害切り分けや、マニュアルに基づく保守作業、パッチ適用やバックアップ確認などの定常業務などがあります。また、設定変更やバージョンアップ対応など、スキルが必要とされる仕事もあります。
この運用フェーズにおける年収は、一般的には300万~450万円ほどが相場です。ただし、運用のみを続けても、年収の伸びは限られており、年収を上げるためには、構築フェーズへステップアップする必要があります。
構築フェーズの年収相場は、400~550万円
構築工程では、設計書に基づき、サーバーやネットワークといったインフラ環境を、実際に形にしていく作業を行います。
例として、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器の設定・初期構築、VMwareやHyper-Vなどの仮想化構築、手順書の作成や構築後の検証作業などがあります。
構築経験があると、「インフラを作れる人材」として評価され、年収相場が400~550万円程度に上がります。また構築のプロジェクトを複数ケース経験すると、上流の設計工程に携わるチャンスが出てきます。
基本設計フェーズの年収相場は、450~750万円
基本設計の工程では、インフラ全体の構成において、方式設計や性能・可用性・セキュリティなどの観点から、最適なシステムを設計する役割を担っていきます。
例として、構成図の作成や、可用性・セキュリティ・拡張性の設計、設計書の作成などを行いますが、設計工程はプロジェクトの成否を左右する、非常に重要な工程です。
このレベルに到達すると、「上流工程で、責任ある立場」となるため、年収相場が450~750万円程度に上がります。プロジェクトの規模感が大きい程、難易度が高い程、年収も上がっていくと言えます。
インフラエンジニアの平均年収ランキング
ここでは、インフラエンジニアが一定数勤務している大手上場企業について、有価証券報告書で公開されている平均年収にて、ランキングを作成しました。
一部は、持ち株会社(管理職以上中心)の企業もありますが、年収の参考とする分には問題ないと考えます。活躍次第では、以下のような年収帯にも十分に挑戦できると考えてもよいでしょう。
■企業平均年収ランキングの計算方法:
・情報ソース:各上場企業のIR情報(有価証券報告書)
・選定企業:インフラエンジニアが、一定数勤務する企業のみ
No. | 企業名 | 銘柄 | 平均年収 | 平均年齢 |
---|---|---|---|---|
1 | ソフトバンクグループ(株) | 東証プライム | 1,253万円 | 41.5歳 |
2 | (株)野村総合研究所 | 東証プライム | 1,221万円 | 40.3歳 |
3 | 日本オラクル(株) | 東証スタンダード | 1,046万円 | 43.1歳 |
4 | KDDI(株) | 東証プライム | 952万円 | 42.5歳 |
5 | ヤマハ(株) | 東証プライム | 934万円 | 44.0歳 |
6 | (株)ベイカレント・コンサルティング | 東証プライム | 933万円 | 32.0歳 |
7 | 日本電信電話(株) | 東証プライム | 911万円 | 41.3歳 |
8 | (株)電通総研 | 東証プライム | 896万円 | 41.0歳 |
9 | (株)日立製作所 | 東証プライム | 894万円 | 42.1歳 |
10 | トレンドマイクロ(株) | 東証プライム | 882万円 | 39.7歳 |
年収500万円は、何年目で実現できる?
未経験からインフラエンジニアを目指す人にとって、年収500万円は、一つの目標となりやすいでしょう。また、キャリアの成長を実感できる、一つの水準とも言えます。
実際にインフラエンジニアとして、年収500万に届くには、何年ほどの経験が必要なのか?どんなスキルや経験が必要なのか?について、ここでは説明していきます。
構築経験があれば、経験3年で、年収500万円に届くことも
インフラエンジニアとして、年収500万円を実現するためには、まず「構築フェーズ」に携わっていることが非常に重要です。
構築経験があると、OSのセットアップやネットワーク設定、仮想化環境の立ち上げ、ドキュメント作成など、実際のプロジェクトにおいて、最前線で手を動かせる人材として、高く評価されます。
その中で、年収500万円に届くためには、構築経験が少なくとも2年程度は欲しい所でしょう。相応早い人であれば、エンジニア経験を3年積んで、4年目から年収500万というキャリアは十分目指せます。
運用・保守だけでは、年収500万円はなかなか難しい
一方で、インフラエンジニアとして、運用・保守ばかりを続けても、年収500万円に届かないケースがほとんどです。5年~10年運用保守を続けても、500万円に満たないことはよくあります。
理由として、運用フェーズは既に設計構築されたインフラを守ることが主な仕事であるため、新たな価値を生み出す工程とは見なされにくいためです。
また、運用保守に携わるエンジニアの年収は、年収450万円程度で頭打ちになる傾向もあります。そのため、年収アップを狙うのであれば、早い段階で構築フェーズに進むアクションが必要となるでしょう。
年齢が若いほど、構築フェーズに進みやすく、構築フェーズに進むのが早いほど、年収が上がりやすい傾向は非常に強いです。年収アップを考えるなら、少しでも若いうちに、スキルアップに勤しむのがおすすめです。
クラウドや自動化スキルがあると、年収が上がりやすくなる
近年では、インフラ業界において「クラウド化」や「自動化」が急速に進んでいます。しかし、クラウドや自動化に対応できるエンジニアは不足しているため、そのスキルを持つエンジニアの価値が高まっています。
例として、AWSやAzureなどといったクラウドプラットフォームの経験、Ansibleなどを使った構成管理・自動化の経験などのスキルを身につけることで、年収アップのスピードが早くなるでしょう。
また、これらのスキルは、転職活動でも強い武器となり、フリーランス案件でも高単価につながります。
年収1,000万円の人って、どんな人?高年収帯の仕事内容
「インフラエンジニアで、年収1000万円は本当に可能?」と思ってしまう人も多いでしょうが、結論から言うと、可能です。
ただし、年収1000万を実現するには相当な実力が必要であるため、1000万円に届く人は、かなり限られてしまうのも事実です。求められるスキルや環境も、一般的なエンジニアとは異なります。
ここでは、年収1000万円に届くような高年収のインフラエンジニアについて、どのような仕事をしているのか、どんな企業・どんな案件だと高年収が狙えるのかなどについて、説明していきます。
年収800万~1,000万円の人がやっている仕事
インフラエンジニアとして、800~1000万円といった高年収を獲得している人たちは、まず「高度な技術力」+「上流工程の経験」を持っているのが共通点です。
ただ単に、サーバーやネットワークの構築ができるだけでは、年収800万以上といった高年収帯には届きません。具体的には、以下のような仕事が、年収800万以上を目指せる、高年収帯の仕事と言えます。
■高年収帯インフラエンジニアの仕事内容の例:
・プロジェクトマネージャ:中~大規模のシステム移行プロジェクトの管理など
・ITコンサルタント:顧客企業のDX支援、インフラ刷新など
・クラウドやセキュリティのスペシャリスト:クラウドアーキテクトや、ゼロトラストの導入支援など
特に、年収1,000万円以上を目指す場合に、もっとも近道な仕事は、プロジェクトマネージャ(PM)やITコンサルタントと言えます。
「高度な技術力」+「上流工程の経験」にくわえ、PMとしての「プロジェクト管理力」。また、ITコンサルタントとしての「現状分析、グランドデザイン、ロードマップ策定など」が求められやすいでしょう。
ゆえに、プロジェクトマネージャとしてマネジメントで活躍する人材、ITコンサルタントとしてビジネスを牽引できるような人材になると、年収1,000万円オーバーが現実的に狙えると言えます。
1,000万円を目指すなら、外資系やフリーランスの働き方も一つ
年収1000万円を目指す場合、日本企業の正社員だけにこだわらなければ、さらに年収増も期待できます。近年では、外資系やフリーランスの働き方で年収アップを図るといった、柔軟なキャリアも増えています。
外資系企業で働き、年収を高める
外資系企業の大きな特徴として、日本企業(内資系企業)よりも年収水準が高い点があります。外資系は報酬水準が高いため、年収1000万以上のポジションも豊富であり、日本企業の1.2倍以上の給与水準になりやすいです。
ただし、外資系企業であるため、英語力が求められることが多いです。しかし、インフラエンジニアの場合は、英語スキルについては限定的なことも多く、英語力よりもスキルが求められる傾向が強いと言えます。
また、外資系の場合は、日本企業よりも成果主義の傾向が強く、安定を強く求める人にとっては向きにくいかも知れません。キャリアの成長や、技術力でステップアップを求める人に向きやすいと言えます。
フリーランスとして独立し、年収を高める
近年大きく増えている働き方として、フリーランスとして独立し、年収を高める働き方もあります。特に需要が高く、人材が不足しているスキル(クラウドなど)を身につけると、活動しやすいでしょう。
フリーランスであれば、月単価80~100万の案件も珍しくはありません。また、外資系よりも、さらに年収水準が高くなると言え、人によっては年収の1.5倍以上が見込めることもあります。
ただし、フリーランスであるため、案件を自分で獲得し、請求などの雑務も自分でこなす必要があります。また、プロジェクト参画をしていない時は、給料が発生しないため、年収が安定しにくい場合もあります。
年収が低いと感じる人は、何をすればよい?年収アップのポイント
インフラエンジニアとして働く中で、「思っていたよりも、年収が上がらない」、「同年齢と比べて、年収が低い気がする」と考えてしまう人は、決して少なくありません。
IT業界は、勤続年数に応じて、年収が自動的に上がる業界ではありません。またインフラエンジニアという職種も同様であり、自ら主体的にキャリア形成を行わないと、数年単位で年収が停滞することもあります。
ここでは、年収が上がらない主な理由や、やめた方がよい職場の特徴、また、年収アップを本気で考えるなら「転職という選択肢」をどう活かすべきか、という点について説明していきます。
年収が上がらない、主な理由とは?
インフラエンジニアの年収が上がらない理由はさまざまですが、主に以下の理由であることが多いでしょう。
■インフラエンジニアの年収が上がらない理由:
・運用保守など、下流工程に長くとどまっている
・勤務する会社の商流が深い、評価制度が不透明
・保有スキルが、市場のニーズにマッチしていない
運用保守など、下流工程に長くとどまっている
インフラエンジニアにとって、運用保守や監視などの下流工程は、マニュアル化された定型作業が多いため、スキルが蓄積されにくい傾向があります。特に監視業務はスキル習得が難しい、典型的な工程と言えます。
ゆえに、長く下流工程にとどまっていると、構築や設計などの上流工程に進みにくくなり、年収も400万円台でとどまってしまうことも多いでしょう。
下流工程にとどまると、年収は伸び悩みます。ゆえに、年収を上げるためには、上流工程に進めるよう、主体的にスキル習得や資格取得、アピールを行う必要があります。
■関連記事:運用監視オペレーターは、早めに辞めて転職すべき。将来性は低い
勤務する会社の商流が深い、評価制度が不透明
インフラエンジニアの年収が伸び悩む理由の一つに、勤務企業の商流の深さがあります。2次請け、3次請けの企業では、元請けからの発注金額が、中間マージンによって削られるため、年収が伸び悩みます。
また、要件定義や設計といった、単価が高い上流工程の仕事も、商流が浅い会社に集中しやすいため、年収のみでなく、スキルアップも限定的になりやすいのが実状です。



あわせて、評価制度が不透明な会社も要注意です。スキルや成果が正当に評価されず、給与を必要以上の抑える会社も存在しますので、そのような環境に身を置き続けると、キャリアの停滞につながることもあります。
保有スキルが、市場のニーズにマッチしていない
例として、オンプレミスのみに特化していたり、クラウドや自動化などに触れずにスキルを学んできた場合、市場価値が少々低く見なされてしまうこともあります。
現在の市場では、AWS、Azure、IaC、セキュリティのような技術キーワードをベースとした人材を、高く評価する傾向があります。
ゆえに、学習を通じて、今の市場ニーズにあった技術を意識的に身につけていく必要があります。
やめた方がよい会社の特徴
スキルを磨いても年収が上がらない、やりがいを感じられない、という場合は、環境を変えることも検討すべきでしょう。以下のような特徴を持つ会社は、長く居続けるほど、キャリアが停滞する傾向があります。
■やめた方がよい会社の特徴:
・設計や構築の仕事がない
・3年以上同じ作業しかしていない
・教育体制、育成環境がない
・給与テーブルが、そもそも低い
やめた方がよい会社の特徴として、第一に挙げられるのは、「設計・構築」の仕事を請けていない会社です。世の中には、「運用・保守・監視」を専門とし、設計構築をほぼ請けていない会社は多数あります。
運用や保守、監視しかやらせてもらえない会社では、そのそも設計や構築のスキルを積むチャンスがなく、努力をしても上流工程にステップアップすることが難しいです。成長の天井が低いと言えます。
同様に、運用や監視を3年以上続けている場合も要注意です。例として、「アラートが出たら、マニュアル通りに対応するだけ」といった仕事を続けていると、技術の成長も評価も頭打ちになりやすいです。
また、教育・育成環境がまったくない会社もキャリアが停滞しやすいと言えます。社内に資格取得の支援制度がない、エンジニアを基本的にほったらかしにする会社も注意でしょう。
くわえて、そもそも会社の給与テーブルが驚くほど低い会社もあります。スキルを身につけ、活躍しても、年収が上がらない、入社後3年は定額昇給で給与微増などといった会社も、年収面で注意と言えます。
年収を上げたいなら、転職はありなのか?
短期間で転職を繰り返すことはおすすめできませんが、年収アップを考える上では、転職は有効な選択肢です。また、インフラエンジニアの転職理由において、「年収アップ」は常に上位の理由です。
特に、以下のような経験や条件を持つ人は、転職によって一気に年収が50~150万円ほどアップすることも珍しくありません。
■転職で年収アップしやすい人の特徴:
・サーバーやネットワークの構築経験がある
・AWSやAzureなど、クラウド環境での実務経験がある
・Terraform、Ansible、CI/CDなどの自動化スキルがある
・CCNPやAWS SAAなど、評価される資格を持っている
インフラエンジニアとして「転職で年収を上げたい」と考えた時に、重要になるのは「自分が市場でどう評価されるのか」です。特にインフラエンジニアは、スキルや経験が最重要です。
その中で、まず第一に、サーバーやネットワークの構築経験があることが、転職時の年収アップの大きなカギです。運用保守のみでなく、実際に環境を作り上げた経験は、即戦力として評価されます。
また、AWSやAzureといったクラウド環境での実務経験や、TerraformやAnsibleといったIaC、自動化ツールに精通することも、高単価案件に手が届くスキルと言えます。
くわえて、CCNPやAWS SAAといった、インフラエンジニアとして評価される資格を取得していることも、スキルや知識の証明となるため、転職時における年収アップの、大きな武器となります。
仮に、今の年収が低くても、「評価されるスキル・経験を持っている」ほど、転職によって大きく年収を高めることができます。
未経験・初心者からでも、高年収は目指せる?
結論から言うと、未経験や初心者からでも、インフラエンジニアとしてのキャリアを積めば、高年収を目指せます。
IT業界では、技術の進化に伴い、人材不足が起きています。特にITインフラの世界では、「育成前提」でポテンシャル採用を行う会社も増えています。
また、実務経験を積みながら、並行して新たな技術を習得していくことで、クラウドや自動化、セキュリティといった高単価分野においても、チャンスが開けていきます。
ここでは、未経験インフラエンジニアの年収相場から、学歴や文系・理系に問わずチャンスがある理由、未経験で年収が上がりやすい会社の特徴を説明していきます。
未経験スタート時の年収相場
未経験中途として、インフラエンジニアに転職した場合は、年齢や地域、企業規模や求人難易度などの要因によっては差がでますが、未経験者の最初の年収は、250万~400万円程度が一般的です。
最初の年収は、250万~400万程度と、かなり幅がありますが、ITインフラの基礎知識があるか、ないかで、未経験者の年収は大きく変わります。具体的には以下です。
■未経験者の年収相場:
・インフラの知識あり:年収330万~400万程度
・インフラの知識なし:年収250万~350万程度
当たり前ですが、インフラエンジニアとして就業するにあたり、ITインフラの知識が一定以上あると見なされると、年収は上がります。ITインフラの知識は、サーバーでもネットワークでも、どちらでも可能です。
ITインフラの知識があると見なされるためには、もっとも手軽な進め方は「資格の取得」です。サーバー系であればLPIC-1(もしくはLinuC-1)、ネットワーク系であれば、CCNAを取得すると、知識ありと見なされます。
もちろん、Ciscoのルータとスイッチを2台ずつ購入し、自宅でネットワークやサーバーを構築している人も同様に、知識ありと見なされますが、なかなか初心者には難易度が高いやり方と言えるでしょう。
ゆえに、未経験から年収を少しでも高めたい、構築に進むスピードを早めたい人にとって、資格を取得してから、インフラエンジニアに挑戦することは、非常に有効な手段です。
知識ゼロからでも、LPIC-1であれば、早い人であれば1ヶ月、CCNAなら、早い人であれば2ヶ月以内に取得できます。LPICやCCNAは、いずれは取る必要性が高い資格ですので、早めに取るのがおすすめです。
■関連記事:【LPICまるわかり解説!】LPIC level1とは?試験内容や勉強、受験方法などを説明
■関連記事:CCNAとはどんな資格?試験の概要、内容などわかりやすく解説
学歴不問、文系でもチャンスがある理由
IT業界全般に言えることでもありますが、インフラエンジニアは特に、「学歴」や「文系・理系」よりも、「実践力」や「学ぶ姿勢」が重視されます。
例として、インフラエンジニアが扱うサーバーやネットワークは、決まったパターンや構成で動いています。ゆえに、「この設定をすると、こう動く」といった仕組みの理解が大事であり、高度な理系知識はほぼ不要です。
また、Linuxの基本操作や、クラウドサービスの使い方などは、独学でも勉強が可能であり、本のみならず、YoutubeやUdemyなどでも、文系でもわかる教材が豊富にあります。
くわえて、インフラエンジニアは、顧客対応や社内折衝など、コミュニケーション能力が必要とされる場面もあるため、文系出身者が得意とするコミュニケーション力は、インフラエンジニアの武器になります。
ゆえに、学歴に自信がない方や、文系出身者であっても、学ぶ意欲と継続力があれば、成長できかつ、活躍できる環境です。学歴よりも、スキルと成果主義の傾向が強いのは、インフラエンジニアの魅力と言えます。
未経験求人で、年収を上げやすい会社の特徴は?
未経験採用を行う企業の中でも、年収を上げやすい会社と、上げにくい会社には、明確な違いがあります。特に以下のような会社では、スキルアップと年収アップの両方が目指せる環境と言えます。
■未経験からでも、年収を上げやすい会社の特徴:
・【一番重要】設計・構築にステップアップできる環境がある
・クラウドやセキュリティ、自動化に取り組んでいる
・評価制度が明確で、スキルに対して給与が上がる
・キャリア支援や資格取得支援制度が整っている
未経験採用で、もっとも年収を上げやすい会社の特徴は、「構築にステップアップできる環境がある」ことです。これが一番大事であり、もっともおすすめする会社の特徴です。
運用や監視のみで終わらず、設計や構築にステップアップできるよう、社内で計画的にローテーションを行う、また教育・フォロー体制がある会社は、年収アップにつながる実務経験を得やすくなります。
また、技術トレンドに強みを持つ会社も、給与を上げやすいと言えます。AWSやAzureといったクラウドから、セキュリティ、自動化などの市場価値が高いスキルを習得できる環境も魅力です。
あわせて、年功序列や定額昇給ではなく、業務パフォーマンスや資格取得などに連動して、昇給が見込める会社や、資格取得支援などを行う会社も、エンジニアを育てる気がある会社と言えるでしょう。
未経験・文系でも、戦略で高年収は目指せる
未経験からインフラエンジニアとしてスタートしたとしても、構築や設計といった上流工程、クラウドといった高需要の技術に関わることで、年収は500万~600万円、さらには700万~800万円も十分に目指せます。
また、未経験から高年収を目指すためには、以下3点を満たすことが、強くおすすめです。
■未経験で高年収を目指すために:
・上流工程といった、成長機会を得られる会社を選ぶ
・学歴や文系理系にとらわれず、学ぶ姿勢で差をつける
・希望する仕事に携わるために、積極的に資格も取得する
インフラエンジニアとして未経験から高収入を目指すためには、ただ経験年数を重ねるだけでは難しいです。まず重要なことは、設計や構築といった上流工程に関わる機会を得られる会社を選ぶことです。
未経験採用企業においては、設計や構築をほとんど請けていない会社が多数あります。そのような会社に入社してしまうと、長い期間を下流工程で塩漬けされてしまうことも多くあります。
また、インフラエンジニアは、学歴や文系などといったバックグラウンドに関係なく、努力次第で成長ができる職種です。そのため、現場で学んだことを吸収し続ける姿勢で、差をつけていくことが大事です。
例として、仕事中に出てくる専門用語を調べる、使っている技術に関する参考書を読むなど、できることは多々あります。日々の積み重ねが、将来の評価と年収に直結していきます。
あわせて、希望する仕事があれば、積極的に資格を取得することも大事です。手を動かして学ぶことがもっとも重要ではあるものの、資格を取得することで、自分の可能性を広げていくこともできます。
例として、LPICやCCNAを取得することで、インフラ全般の基礎知識を証明でき、構築や設計に進めることもあり、またAWS認定資格を取得することで、クラウド分野に進めることも十分にあります。
資格を持っているだけで、「この仕事を任せても大丈夫」と判断されることは多々あります。資格取得は「希望する仕事へ近づく」ための有効な武器です。
年収アップにつながる資格とは?
インフラエンジニアとしてキャリアアップを目指す上で、「どの資格を取ると、年収が上がるのか?」は気になる所でしょう。
実際に、年収アップにおいて、資格は「直接的に、年収を上げる」こともあれば、「間接的に、年収を高めるチャンスとなる」場合もあり、状況や目的にあわせた選び方が大切です。
ここでは、初級者や中級者に向けたおすすめ資格や、年収500万以上を狙う時に評価される資格、資格が年収に与える影響などを説明していきます。



初級~中級者におすすめの資格
未経験から経験3年目あたりまでの人にとって、おすすめできる資格は、「基礎の証明ができる資格」です。
例として、以下のような資格は、転職活動や現場での配属時に一定の評価を得られるため、年収のベースを築く上で、有効と言えます。
LPIC(またはLinuC)level1
Linux技術者認定資格であるLPIC(LinuC)は、インフラエンジニアに必須なLinuxの操作スキルを学べる資格です。LPIC level1であれば、運用保守レベルの知識から、一部構築レベルの基礎をカバーできます。
LPIC-1は未経験者でも取りやすい資格であり、内容や難易度を踏まえると、初心者が最初に取る資格として最適とも言えます。また、難易度に対して、年収アップ効果も良好です。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
ネットワーク機器ベンダーであるCisco社が認定するCCNAは、ネットワーク系の資格であり、ネットワークの基礎から通信プロトコル、ルーティングなどを体系的に学ぶことができます。
CCNAは、LPIC-1よりもやや難しいですが、ネットワーク系に特化した資格であるため、ネットワーク系の案件配属に強みがあります。CCNAも、年収アップ効果は良好です。
年収500万以上を狙うなら?評価される資格
年収500万を超えていくためには、構築よりも上位レイヤーである設計や、クラウドといった需要が高いスキルを身につけていく必要があります。ここでは、500万以上を狙う際に有効な資格を説明していきます。
CCNP(Cisco Certified Network Professional)
CCNAの上位資格であるCCNPは、ネットワークに関する広く深い知識を身につけることができ、トラブルシューティングなども学べる資格です。ネットワーク設計の案件で重宝される資格と言えます。
CCNPを取ることで、年収と仕事のステージを一段高めることが可能です。ネットワークの技術者として年収500万以上を狙っていくなら、CCNPは是非とも取得したい資格です。
AWS認定ソリューションアーキテクト
インフラエンジニアにとって必須スキルとも言える、AWSクラウドを学べる資格です。AWS認定資格の中でも、ソリューションアーキテクト-アソシエイト(AWS SAA)は、インフラ設計視点の内容を学べます。
ただし、AWS SAAのみでは、500万円に届かないことも多くあります。その場合はAWS SAAの上位資格である、AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル(AWS SAP)を目指すとよいでしょう。
資格は、どこまで年収に影響するのか?
上述した資格は、取得することで、年収アップの大きなきっかけになります。しかし、資格を取ると、「自動的に高年収が確定する」訳ではありません。
あくまで資格取得は、年収アップのきっかけです。重要なことは、資格を上手に活用して、キャリアアップを図ることです。
例として、資格を取ることで「構築や設計など、上流工程に関わる」、「転職市場で、戦力とみなされる足掛かりとする」など、資格を上手く活用して、年収を高めていくきっかけとすると良いでしょう。
特に、未経験者から中堅層の人にとって、資格は「キャリアアップの鍵」になることが非常に多いと言えます。
■関連記事:【取得順番はこれ!】インフラエンジニアのおすすめ資格を取得順で解説
年収が伸びやすいスキル分野は?将来性が高いスキル
インフラ業界においては、今後も高い需要が見込まれる分野や、年収が伸びやすいスキル分野が複数あります。その中で、需要に対して供給が足りていない、将来性が高い分野について、説明していきます。
■年収が伸びやすいスキル分野の例:
・クラウド分野
・セキュリティ分野
・自動化、IaC分野
・プロジェクト管理分野
まず、最初に挙げられるのは、クラウド分野でしょう。オンプレミスからクラウドへの移行は、企業の規模を問わず加速しています。
ゆえに、AWSやAzure、GCPといった、クラウドインフラの設計、構築、運用ができるインフラエンジニアは、年収600万以上を高い確度で狙える、市場価値が高い分野と言えます。
また、サイバー攻撃が高度化する中で、インフラ側のセキュリティ対策(ゼロトラスト、SASE、EDRなど)の設計や導入ができる人材も大きく不足しており、セキュリティ分野も年収が伸びやすい分野です。
あわせて、プロジェクト管理分野も、需要に対して人数が圧倒的に不足しており、需要とともに将来性が高い分野です。
クラウドやDXの進展により、IT基盤の刷新プロジェクトが増えている中、それをリードできるプロジェクト管理者は大きく不足しています。プロジェクト管理分野は、年収800万以上を非常に狙いやすい分野です。
■関連記事:インフラエンジニアの将来性は?AI時代に必要とされるキャリアとは
さいごに:年収が低いと感じたら、現状の見直しと行動を
インフラエンジニアとして働くにあたり、年収が上がらないことに不満を持つことは、とてもよくあることと言えます。もし年収が低いと感じているなら、以下の3点で、現状を見直してみましょう。
■年収が低いと感じたら、現状見直しのステップ:
・自分のスキルや経験は、市場でどう評価されるのか?
・今の会社で成長できるか?やりたい技術に携われるか?
・必要であれば、学習・資格・転職によって、環境を変える気持ちはあるか?
現状を見直す中で、変化が必要と感じたら、行動に移していきましょう。行動しない限り、年収が勝手に上がっていくことはありません。
しかし、逆に言うと、正しい方向で行動を行い、スキル習得や環境を選ぶことができれば、1-2年で年収100万アップも現実的な話かも知れません。
もし現在の年収などに、停滞感を感じているようであれば、将来のために一歩踏み出すアクションを取ってみることをおすすめします。
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