インフラエンジニアの年収相場と上げ方|工程別・年代別に1000万円を狙う戦略【2025】

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

「インフラエンジニアの年収って高いの?」
「未経験からでも、稼げるようになる?」

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、インフラエンジニアは経験とスキルの積み重ねで年収が大きく伸びる職種です。

未経験で始まることが多い運用・監視フェーズでは年収300万円台も多いですが、構築や設計フェーズへとステップアップすれば、年収600万円以上も十分に可能になります。

さらにクラウドやSREといった専門領域に進めば、年収1,000万円を超えるケースもあります。

この記事では、以下をもとに、インフラエンジニアの年収をリアルに解説していきます。

■この記事でわかること:
・厚生労働省などの公的統計データ
・求人サイトに掲載されている実勢データ
・未経験からの年収の伸ばし方
・資格・転職戦略で収入を上げる具体策

「平均年収」だけでなく、「どうすれば上がるのか」までを具体的に紹介しますので、この記事を読めば、自分の年収が適正か、今後どこまで伸ばせるのかが明確になるはずです。

なお「インフラエンジニアの仕事内容やキャリアの全体像」を知りたい方は、先に以下の記事をご覧ください。年収だけでなく、仕事内容・スキル・資格・キャリアパスをまとめています。

インフラエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・年収・キャリアパスまとめ

この記事を書いた人 
角田 壮史 株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

ITインフラエンジニア専門の転職エージェント。経済産業省採択事業の運営者であり、15年以上のエンジニアのキャリア支援実績を活かし、あなたのキャリアアップをサポートします。

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目次

インフラエンジニアの平均年収はいくら?【公的統計×求人データ比較】

インフラエンジニアの年収は、担当領域やスキル、所属企業の規模によって幅が大きい職種です。

まずは公的統計と求人市場データをもとに、全体の水準を整理していきます。

年収データ早見表(インフラエンジニア全体)

項目年収(目安)結論
平均年収約480万円〜520万円サーバー・ネットワーク・クラウドを含めた全体平均。サーバー単体よりやや高い傾向。
中央値約480万円前後経験3〜5年層が中心。運用から構築へ移行する層がボリュームゾーン。
上位層約700〜1000万円超クラウド設計・セキュリティ・PMなど、高スキル領域が多く集まる。

※この数値は、厚生労働省Job-Tag(基盤システム職)と求人BOX(インフラ職)などの統計をもとに、各社データを総合して算出した水準です。

このように、全体平均ではおおむね500万円前後が基準です。

ただし、クラウドやセキュリティなどの高単価領域の需要拡大により、近年は全体平均が少しずつ上昇しています。

一方で、運用・監視などの定型業務に留まる場合は400万円前後で推移するケースが多く、キャリアフェーズによる格差が非常に大きい点が特徴です。

公的統計と民間調査の比較データ

インフラエンジニアの年収水準をより正確に把握するため、公的統計データと複数の求人サイトの調査結果を照らし合わせて整理しました。

厚生労働省Job-Tagのような信頼性の高い統計と、求人BOXやdodaなどの実勢データを組み合わせることで、全体相場と現場感の両方が把握できます。

出典対象・条件年収レンジ/平均備考
厚生労働省(職業情報提供サイトITSSレベル別(基盤システム)約420〜950万円ITSSレベル1〜5に応じて、職務能力モデルを基準。
dodaサーバーエンジニア約460万円インフラ領域の中心的職種。全体相場の基準値として位置づけ。
Geeklyネットワークエンジニア約457万円サーバーよりやや低めだが、構築・設計で逆転するケースも多い。
レバテックキャリアインフラエンジニア約443万円実務層の平均、初中級層の相場として参考になる。
求人BOXインフラエンジニア求人平均約497万円現場感に最も近いデータ。転職市場のリアルな相場感。

データの見方と使い分け方:
転職市場のリアルを知りたい場合: 求人BOXのデータが参考になります。
キャリア上限や、スキル別の到達点を知りたい場合: 厚労省Job-Tagが有効です。
全体傾向をつかむ場合: dodaの平均値を目安にするのが現実的です。

これらを総合すると、インフラエンジニア全体の平均年収は約480〜520万円前後、中央値ベースでは400万円台後半が実態に近いといえるでしょう。

つまり、「平均値(約500万円)」と「中央値(約480万円)」の差は、クラウド・セキュリティなどの上位職種が平均を押し上げている構造です。

分析まとめ

インフラエンジニアという職種は、「スキル×工程」で年収が大きく変動します。

未経験からスタートする運用・監視フェーズでは300万円台が中心ですが、構築・設計フェーズに進むと500万円台、クラウド設計やSRE領域に進出すれば700〜1,000万円超も可能な範囲です。

つまり、同じ「インフラ職」でも、スキル習得とキャリア設計次第で、年収レンジが倍近く変わるのが特徴です。

また、未経験インフラエンジニアの年収を詳しく知りたい方は、以下の関連記事が参考になります。

→関連記事:未経験インフラエンジニアの年収推移|初年度〜3年後・上げる方法

工程別の年収モデルとキャリア段階【図解あり】

インフラエンジニアの年収は、「どの工程を担当しているか」によって大きく変わります。

同じ「インフラ職」でも、運用・監視フェーズとクラウドアーキテクト職とでは、年収差が2倍以上になるケースも珍しくありません。

一般的に、未経験者がまず配属されるのは監視・運用などの下流工程です。

そこから構築・設計・要件定義といった上流工程へとステップアップすることで、スキルの幅と責任範囲が広がり、年収も着実に上がっていくのが特徴です。

ITSSレベル別に見る、インフラエンジニアのキャリアと年収モデル

以下の図は、ITスキル標準(ITSS) に基づいたキャリア段階と、それぞれの工程での「モデル年収レンジ」を示したものです。

※ITSS(Information Technology Skill Standard)は、経済産業省が定めるエンジニアのスキル標準で、レベル別で、専門性や実務経験を定義しています。

インフラエンジニアの工程別キャリアステップと年収モデル(ITSSレベル別ピラミッド図)

図:ITSSレベルに基づくインフラエンジニアの工程別キャリアとモデル年収

各工程の年収目安と役割

それぞれの工程で求められるスキルや担当範囲が異なるため、当然ながら年収水準にも大きな差があります。

下流の監視・運用フェーズでは「安定稼働を支える実行力」が重視され、上流の設計・クラウドフェーズでは「提案力・設計力・マネジメント力」が求められていきます。

以下では、主要な工程ごとの、代表的な年収レンジ(目安)とキャリアの特徴をまとめました。

フェーズ主な業務内容年収目安キャリアのポイント
監視・サポート(ITSSレベル1)システム監視、アラート対応、障害報告など280〜380万円未経験者の登竜門であり、夜勤シフトが多い。実務経験を積みながら基礎を学ぶ段階。
運用・保守(レベル2)定常運用、バックアップ、障害復旧、設定変更350〜450万円スクリプトや手順書改善で効率化スキルを磨く。運用保守からエンジニアと言われることが多い。
構築・検証(レベル3)サーバー/ネットワークの設定・導入・テスト450〜550万円転職市場で市場価値が急に高まるフェーズ。構築経験を持つと転職時に評価が急上昇。
設計・要件定義(レベル4)要件整理、システム構成設計、ベンダー調整600〜800万円技術+折衝スキルが求められる。リーダー・PM職へのステップ。
PM・クラウドアーキテクト(レベル5〜)クラウド設計、SRE、インフラ全体設計、チーム統括800〜1,000万円AWSやIaCスキルで高単価化。経営・企画側に進む人も多い。

キャリアアップで年収が上がる理由

工程が上がるほど、求められる責任と裁量の範囲が広がるため、年収も上がります。

例として、監視業務では「決められた手順通りに進めて行くこと」が求められますが、設計・クラウド領域では「どうすれば安定かつ、効率的な構成を実現できるか」を自ら設計する力が必要になります。

その結果、案件単価が上がり、マネジメントやクラウド設計を担う人ほど、報酬も高くなる仕組みです。

まとめ:年収構成とキャリアの伸び方

ここまでの内容を整理すると、インフラエンジニアの年収は以下のように構成されています。

■インフラエンジニアの年収構成:
監視・運用フェーズ:約300〜400万円
構築フェーズ:約450〜550万円
設計フェーズ:約600〜750万円
クラウド・SRE/PM職:約800〜1,000万円超も

年収を決めるのは「経験年数」よりも「工程レベル」です。

運用から構築、構築から設計へとステップアップするほど、業務範囲と裁量が広がり、年収も段階的に上昇していきます。

着実にキャリアを重ねれば、3〜5年で年収が大きく伸びるケースも少なくありません。特に構築や設計フェーズへ進むことで、年収が100万円前後上がる例も実際に見られます。

経験者の年収相場【運用・構築・設計・専門職別】

インフラエンジニアの年収は、前述の通り「経験年数」よりも「担当工程とスキルレベル」で大きく変わります。

全体平均(約500万円)を基準に、工程ごとにどの水準に位置しているのかを見ていきます。

運用・保守メイン(350万円〜450万円前後)

最もボリューム層が多く、キャリアの初期段階に当たるのが運用・保守フェーズです。

項目詳細
年収レンジ350万円〜450万円
主な業務サーバー/ネットワークの監視、アラート対応、定型的な手順書に基づく障害対応、バックアップ管理、OSパッチ適用など
対象者実務経験1〜3年程度、またはSES企業で下流工程を担当する層


この層の年収が比較的平均を下回るのは、業務が「手順書に基づく定型作業」中心で、技術的な裁量が少ないためです。

市場単価は安定している一方で、昇給スピードは緩やかです。

年収アップの鍵

このフェーズに長く留まると、年収の伸びが停滞しやすくなります。

早めに「障害対応の根本原因分析」や「簡単な構築手順」を経験し、構築フェーズへシフトすることが重要です。

→関連記事:インフラエンジニアのキャリアパス徹底解説

構築フェーズ(450万円〜550万円前後)

構築フェーズは、インフラエンジニアとしての市場価値が大きく向上する、非常に重要なターニングポイントです。

多くの企業が「即戦力」として評価する基準は、この層から始まります。

項目詳細
年収レンジ450万円〜550万円
主な業務顧客要件に基づいたサーバー/ネットワーク構築、OS・ミドルウェア設定、テスト・導入、小規模設計修正など
対象者実務経験3〜7年、小規模プロジェクトを一通り経験した層

年収が一段階上がるのは、「ゼロから環境を構築できる技術力」が評価されるためです。

仮想化(VMwareなど)やクラウド(AWS/Azure)の基礎構築スキルがあれば、さらに年収の上限帯に届きやすくなります。

年収アップの鍵

単に手順ばかりをなぞるのではなく、「なぜこの構成にしたのか」を説明できる技術的意図を持つことも重要です。その中でケースを複数経験した後、設計フェーズに進むと年収が高まります。

また、LPIC Level2やCCNA取得で市場価値を明確に示すことも、次のステップへの有効な手段です。

→関連記事:インフラエンジニアの将来性まとめ

設計・要件定義(500万円〜800万円前後)

インフラエンジニアとして最も成長の伸びしろが大きいのが設計・要件定義フェーズです。

この層から年収が大きく跳ね上がるケースが多く見られます。

項目詳細
年収レンジ500万円〜800万円
主な業務顧客ヒアリング、要件定義、インフラ基本設計・詳細設計、ベンダー調整、PLとしてのチーム管理
対象者実務経験5〜10年、大規模案件を主導できる層

このフェーズでは、技術力に加えて「課題解決力」、「マネジメント力」が報酬に直結します。

ビジネス要件を技術構成に落とし込む力が評価され、大手SIerやユーザー企業への転職も現実的になります。

年収アップの鍵

技術スキルに加え、コミュニケーション力・折衝力を磨くことが重要です。

また、AWS・Azureなどクラウド設計経験を積むことで、800万円超えも狙えます。

→関連記事:AWSエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説

クラウド・セキュリティ・SRE(700万円〜1,000万円超)

クラウドアーキテクト、セキュリティエンジニア、SRE(Site Reliability Engineer)は、インフラ分野でもトップクラスの年収帯に位置する職種です。

項目詳細
年収レンジ700万円〜1,000万円超
主な業務クラウド設計・最適化(FinOps)、DevOps/SRE推進(IaC)、セキュリティアーキテクチャ設計、大規模障害対応と再発防止策
対象者実務経験7年以上、AWS/Azureプロフェッショナル認定

高年収の背景には、市場における人材供給の少なさとスキル需要の高さがあります。

クラウド移行、IaC(Infrastructure as Code)、セキュリティ強化などの領域は、企業のDX推進に直結しているため、報酬が高く設定されています。

年収アップの鍵

AWS認定ソリューションアーキテクト(SAP)やCISSPなどの高度資格の取得、またはTerraform/Python自動化スキルの習得が有効です。

年収だけでなく、裁量や働き方の自由度も大きく向上します。

→関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・資格・年収・将来性を徹底解説

まとめ:経験者の年収レンジ早見表

以下は、主要なキャリアフェーズごとの平均的な年収レンジをまとめた早見表です。

フェーズ年収レンジ(目安)
運用・保守350〜450万円
構築450〜550万円
設計・要件定義500〜800万円
クラウド・SRE・セキュリティ700〜1,000万円超

経験者の年収は、工程のレベルが上がるほど比例して伸びていきます。

特に構築フェーズから設計・クラウド領域へ進むことで、年収100万円以上の上昇も現実的です。

ここまでで、年収アップには「工程レベル」が重要であることが分かりました。

では、具体的にどうすれば上の工程へステップアップできるのか?

以下からは、年収を上げるための「資格・転職・ポジション転換」の具体的戦略を解説していきます。

年収を上げる具体的な方法【資格+転職+ポジション】

インフラエンジニアとして年収を上げるには、「資格でスキルを可視化する」×「転職で環境を変える」×「ポジションを上げる」、この3つを組み合わせて行動するのが王道です。

経験を積むと昇給は見込めますが、経験だけでは昇給に頭打ちが起こることもあります。

その時は、どの階層・どのポジションで働くかを意識的に選ぶことが、キャリア成長のカギになります。

以下から具体的に説明をしていきます。

資格でスキルを可視化する(LPIC/CCNA/AWS)

資格は「どの工程を担当できるか」を客観的に示す手段です。

未経験~中堅層では、資格の有無で年収に50〜100万円の差が生まれることがよくあります。

下の表は、代表的な3資格(LPIC・CCNA・AWS)の評価軸をまとめたものです。

資格評価理由スキルレベル想定年収
LPIC-1/LinuC-1Linuxの操作・ユーザー管理・ファイル権限など、サーバー構築の基礎を証明初級〜中級330〜420万円
CCNAネットワーク構築・ルーティング・スイッチングの理解を証明初級〜中級350〜450万円
AWS認定 SAAクラウド構成設計・冗長化・コスト最適化の知識を証明中級450〜600万円

■資格のすみ分け:
LPIC/LinuC → サーバー構築系エンジニア向け
CCNA → ネットワークエンジニア向け
AWS SAA → クラウド・設計志向のエンジニア向け

年収アップの鍵

資格は「取ること」だけでなく、「活かすこと」も重要です。

たとえば、LPICでLinux構築を学んだら、検証環境を自作して実践スキルに変える。

AWS SAAを取得したら、実務でクラウド構成を担当できるよう、転職や案件選定を進めていきましょう。

→関連記事:CCNAとLPICはどっちを取るべき?比較とおすすめルートを見る

転職でキャリアレベルを上げる(3次→2次→SIer→ユーザー企業)

スキルを持っていても、所属する階層によって年収の上限は大きく変わります。

例として、同じ構築スキルを持っていても、「何次請けか」で、年収や単価が20〜40%程度変わることもあります。

階層主な特徴年収レンジ
SES(3次・4次請け)下流工程中心。手順書通りの作業が多く、単価が低い300〜450万円
SES(2次請け)客先常駐中心、下流工程が多い400〜550万円
SIer(1次請け)設計・構築〜導入、元請け案件あり550〜1,000万円
ユーザー企業/事業会社社内インフラやクラウドの設計・運用、改善提案など500〜900万円
インフラエンジニアの請負階層と年収差の図解(SESからSIer、ユーザー企業への転職で収入が上がる仕組み)

図解:「SIer、SES企業とは」請負階層と年収差

ここで重要なのは、SESの中にも階層があるという点です。

3次・4次請けのSESでは、構築スキルを積んでも年収が上がりにくい「単価の壁」があります。

一方、2次請け以上に移ると、同じスキルでも、単価が1.3〜1.5倍に上がることも珍しくありません。

例:
4次請け(年収350万円)→ 3次請け(年収400万円)→2次請け(年収450万)→ SIer(年収600万円)

年収アップの鍵

階層の壁を越えるには、スキルだけでなく「所属企業の立ち位置」を変えることが重要です。

転職時は、「直請け比率」、「構築案件比率」、「夜勤有無」を必ず確認しましょう。

最終的には、大手SIerや事業会社などで、上流工程(設計・クラウド)を担うことが、年収アップの理想戦略です。

ポジション転換で伸ばす(構築→設計/クラウド・SRE領域へ)

一定の実務経験を積んだら、次はポジション転換(構築→設計→クラウド)を目指しましょう。

技術的な深さに加え、責任や裁量が増えることで、報酬も比例して上昇していきます。

転換例年収レンジ主な業務
構築 → 設計450→600万円前後顧客折衝・要件定義など上流工程を担当
設計 → クラウドアーキテクト600→800万円前後AWS/Azure設計、コスト最適化・運用改善
設計 → SRE/DevOps650→900万円前後IaC・自動化・監視・信頼性向上などの専門職

特にAWS・Azureなどのクラウド設計スキルは、設計経験を持つインフラエンジニアが最も年収を伸ばしやすい領域です。

また、小規模でもチームを率いるリーダー経験があると、案件単価や評価が一段上がります。

現場リーダーとして、タスク管理や進捗管理、調整を担える人材は、同じ構築職でも年収で+50〜100万円以上の差が出ることもあります。

技術+マネジメント、どちらの軸で伸ばすかを早めに意識することが重要です。

またSREやDevOps職に進むと、年収だけでなく裁量・働き方の自由度も高まります。

構築力に加えて、設計力・自動化力・提案力を磨くことで、「運用→構築→設計→クラウド/SRE」へのキャリアステップを実現できます。

年収アップの鍵

構築から設計への転換は、技術職としての分岐点です。

「手順を実行する人」から「仕組みを設計する人」に意識を変えることで、キャリアの可能性と年収は、どちらも大きく広がります。

地域別の年収差【首都圏・地方比較】

インフラエンジニアの年収は、勤務地による差が非常に大きい職種です。

同じスキルレベルでも、首都圏と地方ではおおよそ 50〜100万円前後 の開きが生じます。

首都圏の特徴

東京・神奈川といった首都圏では、案件数・単価ともに高く、構築・設計フェーズの求人比率も高い傾向です。

特にクラウド・SRE関連のポジションは、年収600〜900万円のレンジで募集されることも珍しくありません。

地方の特徴

一方で、首都圏以外の地方都市(名古屋・大阪・福岡など)では、首都圏と比較して、プロジェクトの数が少なく、規模も小さめな傾向があります。

そのため、サーバーOSからネットワークまで幅広く対応する業務が多く、比較的運用・保守フェーズ中心の求人が目立ちます。

また、多領域を一人で対応することが多いため、その後地方で就業を希望する場合は、幅広く経験を積むことで求められる人材になりやすい傾向です。

リモート可・地方在住でも高単価案件を得る方法

地方在住で年収を高めたい場合、ポイントは「どの企業と、どんな働き方で関わるか」です。現実的なルートは、大きく2つに分かれます。

① 地域に拠点を持つ大手SIerへの転職(例:NTTデータ九州、NTTデータ中国など)

地方でも大規模案件に関われる可能性があり、構築〜設計フェーズで安定した報酬を得やすいです。

② クラウド・自動化系スキルを活かしたフルリモート案件への参画

AWS・Azureを扱うクラウド構築案件は、場所を問わず都市圏水準の単価を得やすく、在宅勤務で年収600〜800万円クラスの実例もあります。

この2つ以外は、年収上昇の余地が限られる傾向です。地方でキャリアを築くなら、「地域SIer」または「リモートクラウド」を軸に戦略を立てるのが現実的です。

どちらも、キャリア初期での行動次第で、年収・自由度を大きく変えられる選択肢です。

→関連記事:クラウドエンジニアの年収は高い?【年代別・資格別・働き方別に徹底解説】

AI・自動化時代におけるインフラエンジニアの価値

AIや自動化技術の進化により、インフラエンジニアの仕事はここ数年で変化が起きています。

特に「運用・監視フェーズ」における単純作業は、自動化やクラウドサービスによって代替が進行しています。

運用自動化により「下流工程の単価」が伸び悩み傾向

これまで手作業で行われていたサーバー監視・ログ分析・バックアップ処理などは、ZabbixやAnsible、AWS CloudWatchといったツールによって自動化されつつあります。

この結果、運用・監視フェーズ中心の案件単価は、近年「上がりにくい」傾向です。業務の定型化・効率化が進む中で、スキルや裁量が限られるポジションでは報酬の伸びが頭打ちになりやすいのが実情です。

一方で、自動化の仕組みを設計・運用する側のエンジニアの需要は着実に増えています。

つまり、「作業を任される立場」から「仕組みを作る立場」に転換することが、これからの時代に年収を伸ばすカギとなります。

クラウド・IaC・セキュリティ分野の需要が上昇

運用が自動化される一方で、インフラを効率的かつ安全に構築・管理するスキルが求められています。

特に需要が高いのは、以下の3領域です。

分野内容想定年収
クラウド(AWS/Azure/GCP)サーバーレス構成やコスト最適化、マルチクラウド運用600〜900万円
IaC(Infrastructure as Code)Terraform/Ansibleなどで構築をコード化、自動デプロイ550〜850万円
セキュリティ/SRE脆弱性管理、ゼロトラスト設計、信頼性改善650〜1,000万円超

これらの分野では、単純な運用オペレーションではなく、「設計力+自動化+安全性」が収益性を決める軸となっています。

特にクラウド運用では、AIを活用したコスト最適化(FinOps)や障害予測の自動化も進んでおり、
AIと共存できる「上流インフラエンジニア」の価値は今後さらに上昇していくでしょう。

将来性と市場価値の展望

インフラエンジニアは「自動化で仕事がなくなる」と誤解されがちですが、実際には技術の進化によって役割が変わるだけです。

単純作業を自動化できる人材ほど、より上流の設計や運用改善に携われるようになり、その結果、市場価値も報酬も上がる構造と言えます。

■AI・クラウド時代に求められるスキル:
・既存の運用を効率化する自動化スキル(Ansible、Terraformなど)
・セキュリティやコストを考慮した設計力
・チームで改善を推進するコミュニケーション力

この3点を伸ばすことで、AIに代替されにくい「次世代のインフラエンジニア」として活躍の幅が広がっていきます。

→関連記事:インフラエンジニアの将来性はある?AI時代の需要・キャリアを徹底解説

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よくある質問(FAQ)

ここでは、年収アップを希望するインフラエンジニアによくある質問をまとめました。

Q1:インフラエンジニアは本当に年収が低い?

必ずしも「低い」とは限りません。

確かに、監視や運用などの定型業務では年収300〜400万円台が中心ですが、構築・設計・クラウド領域に進めば年収500〜800万円台も十分に狙えます。

実際に、AWSやセキュリティ領域にスキルを広げた方では、年収1.5倍以上の上昇も見られます。

つまり「年収が低い職種」ではなく、「上げ方を知らないと、伸びない職種」といえます。

→関連記事:未経験インフラエンジニアの年収推移|初年度〜3年後・上げる方法

Q2:資格を取ればすぐ上がる?

資格だけで年収が劇的に上がることは、稀です。

ただし、転職時の評価を上げる武器としては非常に有効です。転職時に資格を武器にすることで、大幅年収アップを見込めることはよくあるケースです。

また、LPIC/LinuC-1やCCNAなどの基礎資格で構築案件への挑戦機会が増え、AWS SAA・CCNP・LPIC/LinuC-2クラスになると設計・構築、クラウドポジションへの転職が現実的になります。

基本的に資格は「スタートラインを上げる手段」であり、実務経験と掛け合わせることで初めて年収アップにつながります。

→関連記事:インフラエンジニア資格の難易度ランキング:合格率・勉強時間・費用で比較

Q3:年収1,000万円は現実的?

はい、可能です。

ただし、運用・構築フェーズでは難しく、設計・クラウド・SRE・マネジメントといった上流または専門職での実績が必要です。

特にAWSやAzureの上級資格(SAP・DevOps・Security Specialty)などを取得し、要件定義〜最適化まで一貫して担える人材は、1,000万円以上のレンジが目指せます。

→関連記事:インフラエンジニアのキャリアパス徹底解説

Q4:地方勤務でも高年収は可能?

可能です。ただし、地域や案件特性によって、年収レンジが変わるのが実情です。

首都圏と比較すると地方では平均年収が50〜100万円低い傾向がありますが、「クラウド案件のリモート対応」や「地域SIerでの上流参画」により、地方でも年収600〜800万円クラスを実現している例が増えています。

地方在住でも高単価案件を得たい場合は、リモート対応が可能なクラウド・自動化系スキルを磨くことが最も現実的です。

→関連記事:インフラエンジニアの将来性はある?AI時代の需要・キャリアを徹底解説

まとめ:インフラエンジニアは「戦略次第」で年収を伸ばせる職種

インフラエンジニアの年収は、経験年数よりも「工程・スキル・戦略」で決まります。

たとえ未経験スタートでも、構築・設計・クラウド分野へ着実にステップアップすれば、3〜5年で年収を100万円以上伸ばすことは十分に可能です。

特に今後はAIや自動化の進展により、「単純な運用」ではなく自動化・クラウド・セキュリティ設計といった上流領域が高く評価される時代になります。

スキルと環境を戦略的に選ぶことが、今後のキャリア価値を左右していきます。

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1. 職種を深く知る

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2. 学習・資格を深く知る

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3. キャリアと年収を知る

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この記事を書いた人

角田 壮史の顔写真

角田 壮史

株式会社ソリューションパートナー 代表取締役

未経験からベテランまで、ITインフラのキャリア支援に特化、経済産業省採択事業(インフラエンジニア育成プログラム)も担うキャリアアドバイザーです。 経済産業省ロゴ

主な実績

  • パーソルキャリア(旧インテリジェンス)在籍時、事業部MVP受賞あり
  • リクナビ提携エージェントとして、顧客満足度1位/サービス満足度1位/紹介求人満足度2位などの受賞歴あり リクナビ 顧客満足度1位ロゴ リクナビ 紹介求人満足度2位ロゴ
  • キャリアアドバイザー歴15年以上、700社以上のIT企業訪問、3,000名超のエンジニア支援実績
  • LPI (Linux Professional Institute) より、トレーニングパートナー(プラチナ:最上位)/ハイアリングパートナーとして公式認定 LPIトレーニングパートナープラチナロゴ LPIハイアリングパートナーロゴ

保有資格

国家資格キャリアコンサルタント、AWS-SAA、CCNA、LPIC-3(最上位)、LinuC-1

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