サーバーエンジニアの将来、将来性が高いキャリアパスを解説

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こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

世の中のITシステムを支えるサーバーエンジニアは、社会インフラを含めてシステムを作り支える、なくてはならない仕事です。また社会のITシステムの大半は、サーバーを中核とする仕組みで構成されています。

一方で、サーバーエンジニアを目指す方の中には、「将来的な需要の減少」、「求められるスキルの変化」、「ハードワークのイメージ」から、本当に適応できるのか?などを不安に感じることもあるでしょう。

本記事では、サーバーエンジニアのという職業に不安を感じる人に対して、現在の需要や将来性、求められるスキルや労働環境、キャリアパスなどについて解説します。サーバーエンジニアの仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

サーバーエンジニアの仕事に将来性はある?需要は?

結論として、現在のサーバーエンジニアの需要は非常に高く、将来性も期待できる職業です。

ITやDX(デジタル変革)が急速に進む現状では、ITは社会になくてはならない存在です。この中でITエンジニアの需要は引き続き高く、特にITインフラを支えるサーバーエンジニアの役割は、より重要になっています。

ITシステムを安定して運用するには、信頼性の高いインフラが必要であり、その中核的な役割を持つサーバーエンジニアは、不可欠な存在でしょう。

また、クラウドサービスの普及が進む中、オンプレミス(物理サーバー)からクラウド環境に移行が進んでいますが、オンプレミスからクラウドにインフラを移行する仕事も、サーバーエンジニアの仕事の一部です。クラウドでのインフラ構築運用も行うスキルが求められており、クラウド技術に対応できるサーバーエンジニアの需要も拡大しています。

ゆえに、オンプレミスの構築運用だけでなく、クラウド環境への移行や、その運用にも対応できるサーバーエンジニアは、引き続き高い需要と、成長が見込まれます

サーバーエンジニアの将来性が高い、と考えられる理由

サーバーエンジニアの将来性、需要が高いと考えられる理由は、主に下記3点の要素が影響しています。

IT社会で、サーバーエンジニアの市場規模(売上高)も拡大し続けている

・サーバーエンジニアは常に人手が不足しており、日本政府もデジタル人材育成を目指している

・サーバーエンジニアの知識や経験は、幅広い分野で活かせる

こちらを詳しく説明していきます。

将来性が高い理由①:サーバーエンジニアの市場規模(売上高)も拡大し続けている

IT社会が進み、IT市場全体が成長する中で、サーバーエンジニアの市場も拡大を続けています。その背景として、サーバーエンジニアが働くデータセンターやクラウドサービスの市場規模が拡大していることが挙げられます。

日本のデーターセンターサービス市場規模(売上高)

サーバーエンジニアの就業場所の一つであるデータセンターサービス市場は、年々市場規模がやや拡大傾向です。

データセンターは、企業や自治体などがITインフラを運用管理するために必要な施設であり、デジタル化が進む中、データセンターの需要が増加しています。

この傾向は、サーバーエンジニアが活躍する市場の拡大、需要の拡大、雇用機会の拡大につながていると言えます。

また下記は、サーバーエンジニアの仕事の一部である、AWSAzureなどのパブリッククラウドの市場規模の資料です。

日本のパブリッククラウドサービス市場規模(売上高)

出典:総務省 令和4年情報通信に関する現状報告の概要

日本のパブリッククラウドサービス市場においても、2021年と比べると、5年後の2026年には2倍以上の売上額が予測されており、年々市場規模が急拡大しています

クラウドサービスの普及により、オンプレミス(物理サーバー)のインフラ構築運用の需要は伸び悩む可能性はありますが、それ以上にクラウドサービス市場が拡大しています。そのため、サーバーエンジニアとしての仕事がなくなることは考えにくいでしょう

むしろ、オンプレミスのスキルにくわえて、クラウド技術を持つサーバーエンジニアの需要は、今後ますます高まると考えられます。クラウド構築・運用のスキルを持つサーバーエンジニアは、引き続きITインフラを支える役割として、重要な存在でしょう。

将来性が高い理由②:日本政府もデジタル人材育成を目指している

内閣府では、日本のITデジタル人材の不足を解消するために、2022年から2026年末までにデジタル推進人材を230万人育成する計画を立てています。

下記は内閣府の「デジタル人材育成目標」についての資料です。

出典:内閣官房 デジタル田園都市国家構想 

具体的には、経済産業省や厚生労働省、総務省、文部科学省などが共同で、ITリテラシーがない新社会人や現役社会人にITリテラシーを身につけ、「ITデジタル人材」に職種転換(転職)を支援する取り組みを行っており、サーバーエンジニアも内閣府が考える「ITデジタル人材」の一職種となっています。 

また、当社でも、経済産業省よりデジタル推進人材育成の事業の一つとして、サーバーエンジニアの研修、転職支援まで行う「インフラエンジニア(サーバ・クラウド)リスキリング、転職支援」を請けております(経済産業省の事業ですので、対象者は無料で利用できます)。

将来性が高い理由③:サーバーエンジニアの知識や経験は、幅広い分野で活かせる

サーバーは、ITをインフラ支える中核的な役割を持っています。また、IT活用においてサーバーは不可欠の存在ともいえるため、サーバーエンジニアが学んだサーバー技術は、幅広い分野で活かせるといえます。

ゆえにサーバーエンジニアになった後の、キャリアパスも幅広いといえます。

サーバー技術の習得を深めた後に、下記のようなキャリアパスは進みやすいです。

もちろん、その他のキャリアパスとして、社内情報システムやSRE、ビッグデータ基盤エンジニアなどもありますが、まさに主要と言われるキャリアパスは上記の図の仕事と言えます。

サーバーエンジニアは将来性がない、と言われる理由

一方で、サーバーエンジニアには将来性がない、という話もあります。

なぜ「サーバーエンジニアには将来性がない、と言われるか」について、下記から説明します。

将来性がないと言われる理由①:クラウドサービスの普及や影響

将来性がないと言われる理由の一つとして挙げられるのが、クラウドサービスの普及や影響です。

ITインフラは、オンプレミス(物理サーバー)からAWSやAzure、Google Cloudなどのクラウドサービスに移行が進んでおり、クラウド環境では物理サーバーの管理よりも、ソフトウェアを利用したインフラ管理が中心です。ゆえに、物理サーバーに特化したスキル需要が下がり、クラウドに対応できないサーバーエンジニアは、需要が伸び悩む可能性があります。

将来性がないと言われる理由②:自動化やコンテナ技術、IaCなどの影響

将来性がないと言われる理由の2つ目は、自動化やコンテナ技術、IaC(Inflastructure as Code)の進展による影響です。

ITインフラの管理は、手作業から自動化ツールの使用への切り替わりが進んでいます。例として、AnsibleやChefといった自動化ツールを使えば、サーバー、OS、仮想化基盤やクラウドなど、今まで手動で行っていたインフラ構築や管理が自動化できます。これにより、手作業でのサーバー管理が自動化により減ります。

また、DockerやKuberneteといったコンテナ技術によるインフラ管理、くわえてIaC(Inflastructure as Code)による、コードでのインフラ管理で、サーバーの設定や運用が自動化できます。これらの技術によって、手動でのサーバー管理スキルが活かしにくくなるのも事実でしょう。

将来性がないと言われる理由③:セキュリティの高度化、専門化の影響

サイバーセキュリティの重要性が高まる中、サイバー攻撃などに対応できる高度なセキュリティ対策が必要になっています。この結果、セキュリティ分野が高度化、専門化し、特にセキュリティに強みを持つプロフェッショナルの需要が増えています

サーバーエンジニアもインフラ全体のセキュリティ対策に関わる存在であるため、基本的なセキュリティの知識は必要です。しかし、サイバー攻撃などに対処するには、より高度なセキュリティスキルが必要です。

このように、サーバーエンジニアも、サーバー管理スキルのみでなく、セキュリティのスキルを更に強化しなければ、市場価値が高まらない傾向があるでしょう。

サーバーエンジニアは、今後必要とされるスキルを身につければ、更に将来性がある

逆にいうと、サーバーエンジニアは、進化し続けるITインフラに適応し、新しい技術やスキルを習得すれば、サーバーエンジニアとしての将来性や市場価値を、更に高めていくことが可能です。

今後のサーバーエンジニアに必要となるスキルは下記です。

■今後のサーバーエンジニアに必要となるスキル:
・クラウドに関するスキル、知識
・自動化、コンテナ、IaCなどに関するスキル、知識
・セキュリティに関するスキル、知識

サーバーエンジニアに必要となるスキルについては、詳しくは別記事の「求められるスキルはこれ!サーバーエンジニアに必要なスキルセット・知識とは?」に記載しています。

ただし、サーバーエンジニアでも、オペレーターは将来性が見込めない

サーバーエンジニアといっても、単純な運用保守オペレーターの場合は、仕事が減って行き、将来性が低くなるでしょう。オペレーション作業自体は問題ありませんが、オペレーション作業のみを行っていると、厳しい状況になると言えます。

例えば、OSのインストールや、ネット接続の設定といったキッティング業務くらいですと、エンジニア以外でも対応できる場合があります。また基本的な環境設定やポリシー策定なども、新人サーバーエンジニアでも対応できる人材もいるため、経験を高めないと、若い人材に仕事を奪われる可能性もあります

さらにAIや自動化技術も進化しているため、オペレーション業務は今後さらに自動化され、単純作業はAIに仕事を奪われていく可能性もあります

このようなことから、オペレーターの将来は、現状維持では厳しいでしょう。ミドルウェアやクラウド技術、高度なセキュリティスキルを磨いて、より価値が高い業務に携わっていくことが、キャリアの安定と成長には不可欠です。

また、保守運用やオペレーターについて、詳しく知りたい方は、別記事の「システム運用保守はきつい?つまらない?スキルつかない?辞めるべき?」をお読みください。

では、将来性が見込めるサーバーエンジニアのキャリアはどのようなものがあるのでしょうか?

以下からは、将来性が見込めるサーバーエンジニアのキャリアパスを説明します。

将来性が見込めるサーバーエンジニアのキャリアパス

キャリアパス①:プロジェクトマネージャ

プロジェクトマネージャは、サーバーエンジニアにとって将来性が非常に見込めるキャリアパスです。

そもそもプロジェクト管理をできるサーバーエンジニアは少ないです。またプロジェクト管理を目指す人自体も少ないため、プロジェクトマネージャは常に人材不足です。プロジェクトマネージャは、ヒト・モノ・カネやスケジュールやリスクなどを総合的に管理する役割であり、プロジェクトの成否を左右する重要なポジションです。

また、顧客との交渉力やプロジェクトの推進力、チームをまとめる統率力があれば、その能力を活かせる場所は多く、市場から強く求められる人材となります。技術スキルにくわえてプロジェクト管理スキルを持つことで、エンジニアとしての市場価値が大きく高まります

キャリアパス②:インフラエンジニア

インフラエンジニアは、サーバーOS、ミドルウェアのみでなく、データベース、ストレージ、ネットワーク、セキュリティなど、幅広い分野に対応できるため、柔軟に活躍できるキャリアパスです。

幅広いスキルを持つインフラエンジニアも、様々な仕事に対応でき、将来も安定した需要があるでしょう。

特に、顧客折衝(プリセールス、見積り)や、ドキュメント作成などのビジネススキルを備えたインフラエンジニアは、更に活躍の場が広がります。このようなスキルセットを持つことで、プロジェクトの中心となり、将来性が高いキャリアを築けるでしょう。

キャリアパス③:クラウドエンジニア

クラウド分野の技術を身につけることも、将来性が高いといえます。クラウド市場は今後も成長が続くと予測されており、特に大手SIerにとっては、クラウド事業は次世代の収益事業として注目されています。

クラウド技術に強みを持ち、コンサルティングから技術検証(PoC:Proof of Concept)、グランドデザイン、構築まで対応できるクラウドエンジニアは、現在も非常に高いニーズがあります。また今後も市場価値は変わらず高く、クラウド技術を習得することで、エンジニアとしての将来性を高めることができるでしょう。

キャリアパス④:運用管理、運用設計エンジニア

顧客視点に立って業務調整を行う運用管理、運用設計エンジニアも、将来性が高いポジションです。

運用管理や運用設計や、ITシステムの安定運用に欠かせないため、今後の需要がなくなることは考えにくく、常に求められる仕事です(運用管理、運用設計は、「運用オペレーターとは異なる仕事です」ので、注意ください)。

特に、活動のプロセスや成果をナレッジとして共有し、会社の資産として残せるようなエンジニアは、会社にとって貴重な存在です。このようなスキルを持つサーバーエンジニアは、高く評価され、長く活躍できるでしょう。

キャリアパス⑤:ITコンサルタント、ITアーキテクト

求められるスキルや知識レベルは高いですが、インフラのスペシャリストとして、ITコンサルタントやITアーキテクトになる事も、将来性が高いキャリアパスです。

ITコンサルタントやITアーキテクトは、システムインフラの提案から、非機能要件(性能・可用性・移行性・運用性など)の定義、さらにサーバー・OS・ネットワーク・データベース・ストレージなど、複合的な技術要素を組み合わせた設計に専門性を持っています。

このようなスキルセットを持つエンジニアは非常に重要な存在であり、今後の需要も高いでしょう。

ITコンサルタントやITアーキテクトは、技術とビジネス面での深い理解が求められますが、高い市場価値と将来性を持つポジションです。

上記のようなキャリアを目指すことは、サーバーエンジニアとしての将来性を大きく高めるやり方の一つだと思います。

ただし、上記のようなキャリアが実現できなくとも、現状に満足せずに、スキルアップや勉強を継続出来れば、サーバーエンジニアの将来性は十分に高いと思います。

オペレーターで終わってしまう事や、成長を望まなくなることが、一番のリスクといえるでしょう

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サーバーエンジニアにおすすめの勉強

実力主義のIT業界の中で、将来性が高いサーバーエンジニアになるためには、継続した勉強で、コツコツとスキルアップを図ることが重要です。

特に市場が伸びている技術や製品の勉強が有効といえますし、マネジメントの勉強をすることも、将来性を高める手段の一つといえます。

また、サーバーエンジニア初心者、未経験者には、別記事ですが「サーバーエンジニアになりたい人におすすめの勉強方法」を記載していますので、興味があればあわせてお読みください。

サーバーエンジニアの資格と将来性

上級レベルのサーバーエンジニアには、資格取得のキャリアアップ効果は少々薄いです。

しかし、初級から中級レベルのサーバーエンジニアには、資格取得はキャリアアップに極めて有効です。資格を取得することで、スキルを高めながらスキルの証明もでき、サーバーエンジニアとしての将来性を高めることができます。

特に、サーバーエンジニアとして「やりたい仕事」や「興味がある技術」がある場合、その分野に関連する資格を取得することで、スキルを深めつつ、キャリアの選択肢を広げることもできます。

サーバーエンジニアのおすすめ資格を知りたいという方は「サーバーエンジニアのおすすめ資格を、一覧で解説」に詳しく記載しています。

さいごに

将来性を高めるための一つのやり方として、「市場やお客さまから求められ続けるような力、スキル」を身につけることが大事です。

市場やお客さまのニーズの変化を見逃さず、足りないスキルを身につけていけば、将来性が高いサーバーエンジニアになれるでしょう。

また、現状に満足ができずに転職をお考えの方や、サーバーエンジニアに転職をお考えの方は、私の方で転職相談も承っていますので、お気軽に「無料転職相談のご登録」からご登録ください。

あわせて、サーバーエンジニアになるための研修と転職支援をご希望されたい方は、「インフラ(サーバー・クラウド)エンジニア特化型リスキリング転職サービス」も提供しておりますので、ご興味がある方はお気軽にご相談ください。

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