こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
サーバーとネットワークは、ITインフラの中で、非常に重要な役割をもつ分野です。また専門性も高く、未経験からでも挑戦しやすい分野として、興味を持つ人が増えています。
しかし、サーバーやネットワークは、普段目に見えないため、イメージがつきにくいのも事実です。役割や仕組みから、仕事内容、必要スキルなどもわかりにくく、どちらを選ぶべきかも悩みがちです。
ここでは、サーバーやネットワークの基本的な理解を深めたい方や、サーバーエンジニア・ネットワークエンジニアに悩む人に対し、サーバーとネットワークの詳細や違い、キャリア情報を説明していきます。
サーバーやネットワークに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
サーバーとネットワークとは?簡単に解説
現在のITインフラにおいて、「サーバー」と「ネットワーク」は欠かせない分野です。しかし、これらの用語に馴染みがない初心者にとっては、どのような役割、機能なのか?を理解するのが難しいでしょう。
ここでは、サーバーとネットワークの基本的な役割、機能について説明していきます。
サーバーって何?簡単に説明
サーバーとは、ネットワーク上で「データやサービスを提供するコンピュータのこと」です。サーバーは、データを受け取り、保存し、他のコンピュータにデータを送信する機能を持っています。
IT用語は英語から考えるとわかりやすいですが、server(サーバー)は、「serve(提供する)+er(~する人)」で、「サービスを提供するコンピュータ」と考えるとスムーズです。



私たちがインターネットを利用する時、サーバーは、サービスを提供してくれるコンピュータとして、基盤となる役割があります。
具体的には、サーバーは情報を保存し、他のコンピュータ(クライアント)からのリクエスト(要求)に応じて、情報を提供する役割を持っています。
たとえば、インターネット上のWebサイトにアクセスする際には、実際にそのWebサイト情報を提供しているのは、Webサーバーです。
Webサーバーは、HTMLファイルや画像、動画などのデータを持っています。ユーザーがWebサイトにアクセスすると、サーバーは画像や動画などの情報を、提供してくれます。
また、サーバーにはさまざまな種類があります。「Webサーバー」はウェブページを提供し、「ファイルサーバー」はファイルの共有を行い、「データベースサーバー」はデータベースを管理します。
サーバーは、上記のような役割を担いながら、業務を効率化させたり、情報を手軽に共有できるコンピュータです。ゆえに、ビジネスやIT社会に必須な存在と言えます。
■関連記事:サーバーとは何?小学生でもわかるよう簡単に、例や図解で説明
ネットワークって何?簡単に説明
ネットワークとは、複数のコンピュータ(サーバーなど)やデバイス(PC、スマホなど)を、お互いに接続し、データを交換する仕組みです。コンピュータ同士をつなぐ「道(経路)」のようなものです。
ネットワークを利用することで、コンピュータやデバイス同士が通信を行い、情報の送信・受信ができるようになります。



また、ネットワークは、物理的に接続するだけでは送受信が難しいため、通信のルール(プロトコル)に沿う必要があります。通信のルールは、車の運転ルール(赤信号は止まれ)のように、決まっていると考えてください。
たとえば、IPアドレス(Internet Protocol Address)は、ネットワーク内のコンピュータを識別する住所(Address)のようなものです。データはこのIPアドレスを使って、コンピュータに届けられます。
つまり、ネットワークは「データを送るための道」の役割があり、サーバーが提供する情報・サービスをユーザーに届けるために必要不可欠な存在です。
また、ネットワークでは、通信のために、さまざまな機器が関わってきます。たとえば、ルータは異なるネットワークを接続する役割があり、スイッチは同じネットワーク内でコンピュータ同士をつなげます。
これらのネットワーク機器(ルータやスイッチなど)を適切に管理することで、効率的かつ安定的にデータ通信が実現でき、ネットワークもビジネスやIT社会に必須な存在と言えます。
■関連記事:ネットワークとは何?小学生でもわかるよう簡単に、例や図解で説明
サーバーとネットワークの違いとは?
サーバーとネットワークの違い
サーバーとネットワークの違いを簡単に説明すると、サーバーは「サービスを提供するコンピュータ」、ネットワークは「そのサービスを運ぶ道」です。最初は、以下のように覚えましょう。
■サーバーとは:
データやサービスを提供する「コンピュータ」のこと。
例として、Webサーバー、メールサーバー、ファイルサーバーなど、特定の機能を持ち、リクエスト(要求)に応じて、データを提供する。
■ネットワークとは:
サーバーとクライアント(ユーザーのPCやスマホなど)をつなぐ通信路のこと。
ネットワークは、インターネットやLANのように、複数のデバイスをつなげて、データをやり取りする仕組みを提供する。
また、初心者が、「サーバー」と「ネットワーク」における疑問として、「役割は?」、「例として何がある?」、「場所はどこ?」などがあります。
初心者が疑問としやすい、サーバーとネットワークの違いについて、以下にまとめますので、違いを理解してみてください。
サーバー | ネットワーク | |
定義 | サービスを提供するコンピュータ。 | 複数のコンピュータが情報を交換するための道。 |
役割 | データやサービスを提供する。リクエストに応じて、情報を返す。 | サーバーとクライアント間で、データを送受信する道を作る。 |
機能 | 情報の保存、処理、提供。 | データの送受信、情報の伝達。 |
例 | Webサーバー、メールサーバー、ファイルサーバー、データベースサーバー | インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク、WAN(ワイドエリアネットワーク) |
機器例 | コンピュータ、専用のハードウェア | スイッチ、ルーター、ファイアーウォール、UTM |
動作場所 | データセンター、サーバールーム、クラウド環境で運用 | インターネットや、家庭・企業内のネットワークなど、広範囲 |
セキュリティ | アクセス制御、公開鍵認証、暗号化など | ファイアーウォール、VPN、アクセス制御、暗号化など |
サーバーとネットワークの関係性
サーバーとネットワークは、役割には明確に違いがあります。一方で、サーバーとネットワークは、密接に関係しており、切っても切れない関係と言えます。
サーバーは、データやサービスを提供する、「サービスを提供するコンピュータ」ですが、ネットワークは「サービスを他のコンピュータやデバイスに届ける通信経路」として機能します。
つまり、サーバーとネットワークは、お互いに補完関係があります。ゆえに、どちらか一つが欠けると、システム全体が正常に機能しなくなります。
「サーバーが提供するサービス」を、「ネットワークを通して受け取る」ことで、私たちはインターネットや企業のシステムを使うことができる、と考えるとよいでしょう。
サーバーとネットワークの、役割の違い
サーバーとネットワークは、互いに補完しあって、ITシステムを構成しています。ここでは、サーバーとネットワークの役割の違いを、より詳しく説明していきます。
サーバーの役割、意味とは
サーバーは、前述のとおり、データやサービスを提供するコンピュータです。
サーバーは、リソース(データ、アプリケーション、サービスなど)を保存し、クライアント(ユーザーのPC、スマホなど)からのリクエスト(要求)に応じて、リソースを提供する役割があります。
具体的には、サーバーはリクエストを受け取って、必要なデータを処理して、その結果をネットワークを通じて、クライアントに返すという、一連の流れを取ります。
またサーバーは、大量のデータを管理したり、多くのリクエストを同時に処理することが求められるため、高い処理能力を持っているコンピュータを使用します。
サーバーが停止すると、サービスを利用するユーザーがアクセスできなくなるため、サーバーは常に稼働し続けることが重要であり、信頼性の確保が大事なポイントです。
ネットワークの役割、意味とは
ネットワークも前述のとおり、データや情報をクライアントとサーバーの間で、伝達するための道(経路)のことを指します。
ネットワークの主な役割は、データを適切にルーティング(宛先までデータを送るための経路・ルートを考え、データを届ける仕組み)して、サーバーとクライアントの双方間でデータを送ることです。
ネットワークは、データの伝送速度や安定性、セキュリティなどを考慮して、効率的な通信を作り上げることが必要です。
たとえば、IPアドレスやルータを使って、データが最適な経路(ルート)を通って、目的地に到達できるようにします。
また、ネットワークは常につながることが大事です。冗長性(機器に障害が起きても、通信ができるようにすること)を確保するために、複数のネットワーク機器などを相互に接続して、分散システムを構築したりします。
サーバーとネットワークの、管理の違い
ITインフラを効率的に運用するためには、サーバーとネットワークを管理することが重要です。これらを管理することで、システムの安定性やセキュリティ、パフォーマンスが向上し、ビジネスの成功にも影響します。
ここでは、サーバーエンジニア(インフラエンジニア)や、ネットワークエンジニアの初級者が仕事とする、サーバーとネットワークの管理(運用・保守・監視)について、説明していきます。
サーバーの管理(運用、保守、監視)
サーバーがダウンすると、サーバーが提供するサービスが停止するため、ビジネスなどに大きな損害が発生することもあります。ゆえに、サーバーが正常に運用され、セキュリティを維持できるよう、サーバーを管理していきます。
具体的には、以下のようなことを行っていきます。
■サーバー管理(運用、保守、監視)の仕事:
・定期的なバックアップ
・セキュリティ対策
・リソースの監視と最適化
・定期的なアップデート、パッチ対応
定期的なバックアップ
サーバーが管理しているデータは、重要な資産です。ゆえに障害が発生した場合などに備え、定期的なバックアップが必要です。
バックアップは、サーバー全体を定期的にバックアップする、変更があったデータだけバックアップするなど、複数の方法があります。
また、バックアップデータを、オフサイト(異なる場所)やクラウドに保存することで、災害時などでも復旧が可能となります。
セキュリティ対策
サーバーは外部からの攻撃のターゲットになることが多いです。ゆえに、適切なセキュリティ対策が必要となります。
たとえば、不要なポートを閉じることで、外部からの不正アクセスを防いでいきます。また、定期的なセキュリティパッチの適用や二要素認証などがあります。
また、外部からの攻撃を守るだけではなく、内部からの情報漏洩においても対策が必要です。内部からの情報漏洩を防ぐために、パーミッション(アクセス権)や、パスワード管理なども重要です。
リソースの監視と最適化
サーバーのリソース(CPU、メモリなど)は、常に監視をする必要があります。例として、メモリが限界になると、サーバーのパフォーマンスが低下し、システムが不安定になります。
ゆえに、リソースの使用状況を監視するためのツールを利用し、定期的にパフォーマンスを監視します。また、必要に応じてリソースを追加する、負荷分散するなどといった最適化を図っていきます。
定期的なアップデート、パッチ適用
サーバーを長期的に安定して運用するためには、ソフトウェアやOS(オペレーティングシステム)のアップデートやパッチ適用が重要です。これによって、脆弱性に対応でき、サーバーのセキュリティを高めることができます。
また、サーバーはアップデートを行うだけで、不具合が発生することがあります。そのため、本番環境ではなく、テスト環境で確認し、問題が発生しないことを確認してから、本番環境をアップデートしたりします。
ネットワークの管理(運用、保守、監視)
ネットワークが正常に機能しなければ、ビジネスが停止したり、セキュリティリスクが発生することに直結します。
ネットワークの管理では、サーバーとクライアント間でスムーズにデータを転送し、通信が途切れることなく安定した状況を維持していきます。具体的には、以下のようなことを行います。
■ネットワーク管理(運用、保守、監視)の仕事:
・ネットワークの監視、パフォーマンス最適化
・セキュリティ強化
・トラブルシューティング
・ネットワークの改善
ネットワークの監視、パフォーマンス最適化
ネットワーク監視は、ネットワークの状況を24時間365日体制で、リアルタイムでモニタリングすることです。ツールを利用して、トラフィック量、帯域幅、パケットロス、遅延などを監視していきます。
常にネットワークの状況を監視することで、問題の早期発見などが可能になるため、ネットワーク監視は重要な仕事です。
また、ネットワークのパフォーマンスを最適化を行うために、トラフィックの分析を行い、対処します。例として、過剰なトラフィックが集中していれば、ルータの設定を変更したり、負荷分散を導入して改善していきます。
セキュリティ強化
ネットワークはサイバー攻撃や不正アクセスのターゲットになりやすいため、セキュリティ対策が必須です。ゆえに、ファイアーウォールを設定し、アクセス制御を行うことで、セキュリティを対策していきます。
ファイアーウォールは、外部からの不正アクセスを防ぐ壁の役割があり、またアクセス制御では、ユーザーやデバイスに応じて、アクセスを制限し、セキュリティリスクを抑える役割があります。
また、ネットワーク上で発生する脅威を早期に検出するために、IDS/IPS(侵入検知・防止システム)を導入し、侵入を予防することや、ネットワーク機器の保守(パッチ適用、アップデート)なども行います。
トラブルシューティング
ネットワークにおいて、障害が発生した時には、原因を特定して、解決するためのトラブルシューティングが求められます。
具体的には、どのような問題が発生しているのか(接続できない、遅延が発生しているなど)を確認しながら、ネットワーク機器(ルータ、スイッチなど)のログやエラーメッセージを確認し、問題を特定していきます。
また、問題を解決するために、解決策を行いますが、解決策を行った時の影響範囲やリスクも考えた上で、もっとも適切な解決策を施していきます。
ネットワークの改善
ネットワークは、一度作り上げたら終わりではありません。ビジネスの成長に伴って、ネットワークの構成は変化し、また多くのデバイスやユーザーが追加で接続されていきます。
そのため、定期的にネットワークを評価し、改善点を検討していきます。例として、トラフィック分析、セキュリティ監査、機器の性能評価などを行い、必要に応じてアップグレードや再構築を検討していきます。
上記のように、サーバーとネットワークの管理(運用、保守、監視)は、どちらもシステムの安定性や効率性を保つために重要なものですが、対応する内容は異なっています。
サーバー管理では、定期的なバックアップ、セキュリティ対策、リソースの監視などが必要であり、ネットワーク管理では、パフォーマンスの最適化やセキュリティの強化、改善などが求められます。
サーバーやネットワークの管理を徹底していくことで、システム全体の信頼性を高め、業務の効率化を実現していくことができます。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの違い
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの主な違いは、担当する分野が異なることです。
サーバーエンジニアは、主にサーバー・OSに関する業務を担当し、データの処理、保存、提供を行うサーバーを構築運用していきます。
一方で、ネットワークエンジニアは、ネットワークの構築運用し、サーバーとクライアントが適切に通信できる環境を整えていきます。
ゆえに、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは、担当する仕事内容が異なるため、求められるスキルやキャリアパスなども異なっていきます。
以下からは、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアのさまざまな違いについて、説明していきます。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニア、仕事内容の違い
IT業界において、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは、それぞれ異なる仕事内容があり、それぞれ異なる専門知識とスキルが必要です。
ここでは、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの仕事内容の違いから説明していきます。仕事内容の違いを図でまとめると、下記となります。



サーバーエンジニアの仕事内容
サーバーエンジニアは、サーバーの設計、構築、運用、保守を担当するエンジニアです。
サーバーはデータを格納し、アプリケーションやサービスを提供する基盤となるため、サーバーエンジニアの役割は重大です。具体的には、以下のような仕事を行っていきます。
サーバーの設計・構築
サーバーエンジニアは、企業のニーズにあわせてサーバーの設計、構築を行っていきます。
サーバーの設計では、どのようなアプリケーションを動かすのか、必要なサーバーのスペックや台数、ストレージなどはどれくらいなのかを考慮して、最適なOSやミドルウェアなどを選定することが仕事です。
サーバーの設計後には、実際に手を動かして、OSをインストールし、設定を行い、構築業務を行います。また、仮想化技術を使って、複数の仮想マシンを1台の物理サーバーに統合することもあります。
サーバーの運用・保守・監視
サーバーエンジニアは、サーバーが常に正常に稼働しているかを監視します。監視対象のリソースは、CPU、メモリ、ディスクスペース、ネットワークの使用状況などがあります。
サーバーのリソースの使用状況に異常がある場合には、負荷分散を行ったり、ハードウェアやソフトウェアのアップグレードを実施したりします。このような対処により、システムの稼働率を高めていきます。
クラウドの構築・運用
サーバーエンジニアの仕事内容として、近年増えているのがクラウドサービスの構築・運用です。特にAWSやAzureといったパブリッククラウドを利用し、運用することが多いと言えます。
クラウド環境で行う仕事は幅広く、仮想化マシンの構築から、ストレージやネットワークの設計、セキュリティ対策などを行いながら、パフォーマンスや冗長性、コストまでを考慮して設計し、運用していきます。
■関連記事:サーバーエンジニアとはどんな仕事内容?わかりやすく解説
ネットワークエンジニアの仕事内容
ネットワークエンジニアは、ネットワークの設計、構築、運用、保守を担当するエンジニアです。
ネットワークは、サーバーやデバイスがデータをやり取りする経路であるため、その安定性とセキュリティを確保するネットワークエンジニアの役割は重大です。具体的には、以下のような仕事を行っていきます。
ネットワークの設計・構築
ネットワークの設計では、企業のニーズにあわせて、適切なルータ、スイッチ、ファイアーウォールなどの機器を選定し、効率的で安全なネットワークを作り上げるためのルール作りをしていきます。
また、将来的なネットワークの拡張性まで考え、拡張可能なネットワーク構成を考えていくことも大事な仕事です。設計終了後には、実際に手を動かして、ネットワーク機器を配置、設定といった構築作業を行います。
ネットワークの運用・保守・監視
ネットワークエンジニアは、正常なネットワークの状況を維持するために、トラフィックや接続状況などを監視していきます。また、ネットワークがダウンした場合や、パフォーマンスが低下した際には、復旧作業を行います。
また、トラフィックの最適化や帯域幅の管理などを行いながら、ネットワークのパフォーマンスを最大化しながら維持する仕事を行います。
セキュリティの対策
ネットワークエンジニアの大事な仕事として、ネットワークが外部からの攻撃や不正アクセスに対して安全になるよう、セキュリティ対策の実施があります。
例として、ファイアーウォールの設定やVPNの導入、ACL(アクセス制御リスト)の設定など、ネットワークのセキュリティを強化する手法を実装していきます。また、定期的なセキュリティ監査や脅威の検出もあります。
■関連記事:ネットワークエンジニアとは?仕事内容から必要スキル、年収などを解説
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの必要スキルの違い
サーバーもネットワークも、同じITインフラ分野でありますが、それぞれ専門分野が異なるため、求められるスキルも異なります。
ここでは、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの、必要スキルの違いと、スキルの重要度について、下記にまとめました。両者のスキルセットの違いについて、参考にしてください。
スキルの重要度 | サーバーエンジニア | ネットワークエンジニア |
OS | 高い(Linux、Windows Server) | 低い(設定、コマンドの理解) |
仮想化技術 | 高い (VMware、Hyper-V、KVM) | 低い(基本的な理解) |
ストレージ | 高い (RAID、SAN、NAS) | 低い(基本的な理解) |
セキュリティ | 高い(アクセス制御、パーミッションなど) | 高い(ファイアーウォール、IDS/IPS、ACLなど) |
NWセキュリティ | 中(一部知識) | 高い(ファイアーウォール設定、ネットワーク監視) |
トラフィック監視 | 中(監視ツール利用) | 高い(Wireshark、ネットワーク解析ツール) |
プロトコル | 低い(基本的な理解) | 高い(TCP/IP、DNS、DHCPなど) |
NW機器設定 | 低い(基本的な理解) | 高い(ルータ、スイッチ、アクセスポイント) |
クラウド | 高い(AWS、Azure、GCP) | 低い(あると尚可) |
上記表のとおり、サーバーエンジニアは主に、サーバー・OSやストレージ、仮想化、クラウド技術などに関するスキルが強く求められます。一方でネットワークについては、基本的な理解にとどまることが多いです。
また、ネットワークエンジニアは、ネットワーク機器の設定やトラフィック監視、セキュリティ対策などについて、深い知識やスキルが必要とされます。一方で、サーバーについては、基本的理解でとどまることが多いです。
しかし、セキュリティなど、両者ともに強く求められる分野もあります。また両方の知識をあわせ持つことで、システム全体を俯瞰して理解でき、より効率的な運用やトラブルシューティングが可能になります。
全てのスキルをあわせ持つ必要はありませんが、知識は幅広く持っておくと、その後のエンジニアとしてのキャリアに役立ちます。
サーバーエンジニア、ネットワークエンジニアはやめとけ、は本当か?
近年、IT業界は急速に進化しており、新しい技術やツールが次々と普及しています。その中で、「サーバー、ネットワークエンジニアは将来性がない」、「やめた方が良い」という声が、ネットで聞こえることがあります。
この「やめた方が良い」という意見について、実状や、本当にやめた方が良いのかを掘り下げていきます。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは、役割が変化しつつある
今までは、サーバーエンジニアは物理サーバーの構築・運用を行い、ネットワークエンジニアは企業内の通信ネットワークの構築・運用を主な仕事としていました。
しかし、近年ではクラウド(AWSやAzureなど)の影響により、サーバーやネットワークの構築、運用が、より短時間でできるようになり、インフラの拡張もやりやすくなった所があります。
ゆえに、今までのオンプレミス(物理インフラ)の需要が低下し、物理的なサーバーやネットワーク機器の運用が減っているのは事実です。この役割の変化により、「やめとけ」と考える人が出てきたと言えます。
■関連記事:未経験者サーバーエンジニアはやめとけと言われるのはなぜ?理由について解説
■関連記事:ネットワークエンジニアはやめとけと言われる理由9選、実態と対処法
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの将来性
一方で、クラウドやDXの普及・進展に伴い、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアには、さらに需要が高い、新たなキャリアを目指すことができ、将来性が高まっているのも事実です。
例として、サーバーエンジニアは、クラウドの普及に伴い、クラウドエンジニアというキャリアステップを描きやすくなっています。
クラウドエンジニアは、AWSやAzureといったクラウドサービスの設計、構築、運用を行うエンジニアであり、クラウドエンジニアに必要とされるスキルは、サーバーエンジニアで経験したサーバ・OSの経験が大きく活かせます。
また、ネットワークエンジニアは、DXの進展に伴い、今後ますます重要になるネットワークセキュリティの分野に特化させることもできます。
現在は、サイバー攻撃の増加によって、セキュリティの重要性が高まり続けており、企業はより強固なセキュリティ対策を求めるようになっており、セキュリティエンジニアの将来性も高まっています。
セキュリティエンジニアにおいては、ネットワークエンジニアで経験したネットワーク・セキュリティの経験が大きく活かせます。
また、その他の分野においても、自動化やコンテナ、SD-WANなど、需要が高い技術が生まれており、これらの技術を身につけるサーバー、ネットワークエンジニアの将来性は高いと言えるでしょう。
■関連記事:サーバーエンジニアの需要とは?将来性が高いキャリアパスを解説
■関連記事:ネットワークエンジニアの将来性とは?需要が高まるスキルも解説
サーバーエンジニアとネットワークエンジニア、どっちがおすすめ?
サーバーエンジニアも、ネットワークエンジニアも、両方ともITインフラの中で重要な役割があります。ゆえに、自分の興味やキャリアの志向性に応じて、どちらがよいかを判断することがおすすめです。
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアについて、特徴や適性に基づいて、選択の参考になるポイントを以下にまとめましたので、自分の興味がある方向を検討するとよいでしょう。
サーバーエンジニア | ネットワークエンジニア | |
主な仕事内容 | サーバーの設計、構築、運用、バックアップ管理、セキュリティ対策 | ネットワーク設計、構築、運用、セキュリティ対策、トラブルシューティング |
スキル | サーバーOS(Linux、Windows)、仮想化技術(VMware、Hyper-V)、ストレージ管理 | ルーター、スイッチ、ファイアウォール設定、TCP/IPプロトコル、VPN、セキュリティ |
興味がある分野 | クラウド、仮想化、セキュリティ | ネットワーク、通信プロトコル、セキュリティ |
将来性 | 高い(特にクラウド) | 高い(特に上流) |
技術の進化 | クラウド、自動化、コンテナ(Docker、Kubernetes) | SD-WAN、エッジコンピューティング、5G |
知識習得の難易度 | 必要知識が広く、難易度が高い | 必要知識が深く、難易度が高い |
身近なキャリアパス | クラウドエンジニア、インフラエンジニア、セキュリティエンジニア | インフラエンジニア、セキュリティエンジニア |
適性がある人 | サーバーやシステムに興味がある人、幅広く学びたい人 | 通信技術に興味がある人、深く学びたい人 |
未経験者の難易度 | 低い(目指しやすい) | 低い(目指しやすい) |
リモート勤務 | 上流は、やりやすい(特にクラウド) | 上流は、やりやすい |
■関連記事:サーバーエンジニアとネットワークエンジニアの違いは?どっちがよい?年収、需要など
サーバーとネットワークは、どっちがいい?悩んだ時は
サーバーエンジニアとネットワークエンジニアは、両者とも重要な役割を担うエンジニアではあるものの、それぞれ異なる専門性があります。
ゆえに、サーバーとネットワークで悩んだら、まずは以下のステップで自分の考えを整理してみましょう。
■サーバーとネットワークで悩んだ時は:
・ステップ1:興味のある分野を選ぶ
・ステップ2:どちらのスキルが自分にあうかを考える
・ステップ3:キャリアの将来性で検討する
・ステップ4:両方とも学んでみて、自分の志向・適性を判断する
悩んだ場合は、まずは「自分にとって、興味がある分野」を選ぶのが重要です。
サーバーエンジニアは、サーバーの内部構造やストレージ、仮想化に興味がある人に向いています。またネットワークエンジニアは、ネットワーク機器や、通信プロトコルに興味がある人に向いています。
自分がどちらの分野に魅力を感じるかを基に、職種を選ぶとよいでしょう。
また、「どちらのスキルが自分にあうか」を検討するのも大事です。サーバーエンジニアは、サーバーOSや仮想化技術、クラウドなど、ネットワークエンジニアは、TCP/IPやルータ・スイッチ、などのスキルが必要です。
どちらのスキルが自分にあっているかを考え、必要な資格や経験を積んでいくことが、キャリアの選択に役立ちます。
あわせて、「キャリアの方向性」で選択するのも大事です。サーバーエンジニアは、仮想化・クラウド技術、ネットワークエンジニアはネットワークやセキュリティの知識を深めるキャリアが描きやすいです。
上記を含めて、それでもサーバーとネットワークで悩むようであれば、実際にサーバーもネットワークも、両方とも学んでみるのがおすすめです。
百聞は一見に如かずともいいますが、調べるだけでなく、サーバーやネットワークを実際に学んでみると、どちらの分野に興味が持てるか、続けられそうかの判断がつきやすくなるでしょう。
また、ITインフラは、サーバーとネットワークが密接に連携しているため、どちらの知識を持っていることは、将来的なキャリアで有効です。ゆえに、両方の知識は、決してムダにはなりません。
あわせて、エンジニアとしてキャリアを築く中においても、キャリアの初期段階(3年以内)程度であれば、サーバーとネットワークのキャリアチェンジは、決して難しくありません。
■関連記事:【徹底比較】ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?
■関連記事:【初心者必見】効率的に学ぶ!インフラエンジニアの勉強方法と順番
■関連記事:初心者でもわかる!ネットワークの勉強法とおすすめ本・サイトまとめ
さいごに
サーバーもネットワークも、現代のITインフラを支える重要な役割を持ち、サーバーとネットワークを効率的に運用することが、会社のシステムやサービスを円滑にするための必須条件でもあります。
サーバーとネットワークでは、異なる専門性と技術が必要となりますが、最終的にどちらを選ぶかは自分自身の興味や、キャリアの方向性を考慮して検討するとよいでしょう。
また、ITインフラはますます複雑化しており、サーバーとネットワークは統合的に運用されることも多くなるため、サーバーとネットワークの両方の知識も、いずれ役に立ち、キャリアアップの武器となるでしょう。
あわせて、「どちらを選ぶか?」に正解はありません。自分が納得する選択が、正解とも言えます。また、どちらの道に進むにしても、確かなスキルを身につけていくことが、成功の鍵になるでしょう。
■転職相談のお申込みはこちら



■CCNA・LPICの無料資格取得支援、転職支援サービスを希望の方はお申込みはこちら


