こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「クラウドエンジニアになりたいけれど、未経験から本当に目指せるのか?」
「どんな勉強をすればいいのか?」、、と不安に感じていませんか。
クラウドの需要は年々高まっており、AWSやAzureなどを扱える人材は引く手あまたです。しかし一方で、基礎知識がないまま闇雲に学習を始めると、途中で挫折してしまうケースも少なくありません。
まずは クラウドエンジニアという職種の全体像 を理解することが第一歩です。
この記事では、未経験からクラウドエンジニアを目指す方に向けて、以下を具体的に解説していきます。
■この記事でわかること:
・2つの学習ルート(最短/王道)の違いと進め方
・各ステップごとの勉強法・教材・学習時間の目安
・資格取得の順番と、実践アウトプットの方法
・30代未経験が突破するための条件と体験談
この記事を読み終えたとき、あなたは 「自分はどのルートで、どの順番で学習すべきか」 を明確に描けるはずです。
未経験者が知るべき2つのルート
クラウドエンジニアを目指すには、大きく分けて 「最短ルート」 と 「王道ルート」 の2パターンがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の状況や目標に合った方法を選びましょう。
ルート | 学習順番 | メリット | デメリット | 向いている人 |
最短ルート(AWS SAA先行) | AWS基礎 → SAA合格 → 実践アウトプット | ・短期間で「クラウドエンジニア志望」をアピール可能 ・転職市場でAWS資格が評価されやすい | ・基礎が弱いと現場でつまずきやすい ・インフラ全体像の理解が浅くなるリスク | ・早く転職したい人 ・資格を強みにしたい人 |
王道ルート(Linux・NW基礎先行) | Linux・NW基礎 → LinuC/CCNA → AWS基礎 → SAA合格 | ・基礎がしっかり身につき、実務で応用しやすい ・構築・運用など幅広いキャリアに展開可能 | ・学習に時間がかかる ・転職までに半年〜1年かかるケースも | ・長期的に万能型のキャリアを築きたい人 ・30代未経験で確実に突破したい人 |
この2つのルートについて、ポイントとしては以下です。
■ポイントを整理:
・「最短ルート」は早期転職・資格重視
・「王道ルート」は基礎力・キャリアの安定重視
学習ロードマップと勉強法
未経験からクラウドエンジニアを目指す方法には、最短ルート と 王道ルート の2つがあります。
最短ルートは「AWS資格を先に取得して早期に転職を狙う方法」ですが、基礎が弱い状態で現場に入ると、後々つまずいてしまうリスクが高いのも事実です。
ゆえにここ記事では、再現性が高く、長期的にキャリアを築ける「王道ルート」 に絞って解説していきます。
以下のステップを押さえることで、基礎をしっかり押さえながら、資格・アウトプット・実務経験へとステップアップしていくことが可能です。
■学習の4ステップ:
・ステップ1:基礎(Linux・NW) → LPIC / CCNA
・ステップ2:クラウド基礎資格 → CLF / SAA
・ステップ3:アウトプット(Qiita / GitHub)
・ステップ4:実務経験 → 転職でキャリアを築く
ステップ1:基礎(Linux・NW) → LPIC / CCNA
まずは インフラの基礎力 を身につけましょう。最初に身につけるべきスキルは以下です。
■身につける基礎スキル:
・Linux:サーバー運用の基本。コマンド操作やファイル管理を習得
・ネットワーク:TCP/IP、ルーティング、スイッチングなど通信の仕組みを理解
■資格目標:
・LPIC-1(もしくはLinuC-1): Linuxの基礎力を客観的に証明できる
・CCNA : ネットワーク知識を体系的に学べる
基礎を押さえておくと、クラウドで出てくる「VPC」、「サブネット」などの概念がスムーズに理解できます。
ステップ2:クラウド基礎資格 → CLF / SAA
基礎を押さえたら、次はクラウド分野へ進みます。以下を学んでいきましょう。
■クラウド資格で体系的に学ぶ:
・AWS CLF(クラウドプラクティショナー):クラウド全体像を理解する入門資格
・AWS SAA(ソリューションアーキテクト・アソシエイト):システムを設計できるレベル
■勉強法:
・Udemy講座や黒本(市販問題集)で学習
・模擬試験で反復演習し、サービスごとの使い分けを意識
このステップでは、CLFで全体像を把握し、SAAで実務にも使える知識を証明するのが王道です。
ステップ3:アウトプット(Qiita / GitHub / ブログ・ノート)
学んだ知識は 「外に出す」こと で初めて評価につながります。
未経験者の場合、資格を取っただけでは「本当に現場で活かせるのか?」という疑問を持たれることが多いため、アウトプットが差別化の武器になります。
■主なアウトプット手段:
・Qiita / Zenn
→ 学んだ内容を記事化し、技術コミュニティに発信できる。
→「情報整理ができる」、「学び続けている」姿勢を示せる。
・GitHub
→ AWS無料枠で構築した成果物を、リポジトリに公開。
→ 実際のコードや構築手順が「証拠」として残るので、採用担当に響きやすい。
・ブログやノートまとめ
→ 自分専用の学習記録として有効。
→ 個人ブログ(WordPressなど)にアップすれば、文章力や継続性をアピール可能。
→ ただし 「エンジニア採用担当が直接見る場」 ではないため、評価はQiitaなどに劣る。
「資格+アウトプット」の組み合わせが、書類選考や面接での差別化につながります。
ステップ4:実務経験 → 転職でキャリアを築く
最終ステップは、転職によって実務経験を獲得することです。未経験からいきなりクラウド専任エンジニアとして働くのは難しいため、まずは 運用や監視業務 からスタートするのが現実的な流れです。
■再現性高いキャリアの流れ:
・最初は、サーバーやネットワークの運用・監視を担当
・少しずつオンプレの構築・クラウド関連のタスクを任される
・2〜3年でクラウド構築にキャリアアップ
「運用・監視」は地味に思われがちですが、現場経験を積みながらクラウド業務へつなげられる大切な入口です。
資格やアウトプットと組み合わせれば、転職市場での評価も一気に高まります。
資格別の勉強法と学習時間
クラウドエンジニアを目指すうえで重要なのが、基礎資格+クラウド資格の組み合わせです。
ここでは、未経験者が最初に検討すべき代表的な資格について、勉強法と学習時間の目安を解説します。
AWS認定資格(CLF / SAA)
クラウドエンジニアを目指すうえで最も重要な資格です。入門のCLFで全体像を押さえ、SAAでシステム設計レベルの実力を証明することができます。
■CLF(クラウドプラクティショナー)
・学習時間:50〜80時間(1〜2か月目安)
・勉強法:AWS認定試験テキスト、Udemy講座
・ポイント:AWSの用語や料金体系を、広く浅く理解することが目的
■SAA(ソリューションアーキテクト – アソシエイト)
・学習時間:150〜200時間(3〜4か月目安)
・勉強法:Udemy問題集+模擬試験(AWS Skill Builder)、Ping-t、ハンズオン演習
・ポイント:システム設計の観点で「どのサービスを選ぶべきか」を理解する
→詳細な勉強法は AWS資格の勉強法まとめ記事 をご覧ください。
■関連記事:インフラエンジニアがAWSを学ぶべき理由と勉強法、未経験からのクラウド転職
LPIC(Linux技術者認定資格)
Linuxの基本操作を体系的に学べる資格です。サーバー管理やクラウド利用の土台になるため、インフラ基礎を固めたい人に最適です。
■LPIC-1:
・学習時間:120〜180時間(2〜3か月目安)
・勉強法:Linux教科書(あずき本)、スピードマスター問題集(白本)、Ping-t
・ポイント:Linuxコマンド操作に慣れることが重要。VirtualBoxなどを用意して手を動かす
→詳細は LPICの勉強法記事 を参考にしてください。
※ 国内では「LinuC-1」という資格もありますが、学習範囲はほぼ同じなので LPIC-1でもLinuC-1でもOK です。
CCNA(Cisco Certified Network Associate)
CCNAは、ネットワークの基礎知識を幅広くカバーする資格です。通信の仕組みを理解することで、クラウド上のVPCやサブネットの概念もスムーズに理解できるようになります。
■CCNA:
・学習時間:200〜300時間(3〜4か月目安)
・勉強法:シスコ認定教科書(白本)、Udemy講座、Cisco Packet TracerやGNS3での演習
・ポイント:ネットワークの基礎(IPアドレスやルーティングなど)は、 AWSのVPC理解にも直結します。
→詳しくは CCNA勉強法の記事 をご覧ください。
■関連記事:クラウドエンジニアに必要な資格一覧と取得順番:未経験におすすめの学習ルート
■関連記事:【未経験から目指す】クラウドエンジニアへの勉強ロードマップとおすすめ資格
【30代未経験】クラウドエンジニア転職の現実
未経験からクラウドエンジニアを目指す場合、20代でもいきなりクラウド専任職に就くのは難しく、まずはインフラ運用から経験を積むのが現実的な流れです。
そして30代未経験となると、そのハードルはさらに高まります。採用側は「即戦力性」や「これまでの経験」を重視するため、資格だけでは突破できないケースがほとんどです。
とはいえ、突破条件を押さえて計画的に動けば、チャンスが生まれてきます。年齢をハンデにせず、正しい戦略を取ることが重要とも言えます。
20代と30代で採用難易度が違う理由
クラウドエンジニアを目指す場合、年齢によって企業が求める条件は変わります。
20代であってもクラウド専任ポジションは「ポテンシャル採用」が少なく、採用されるのはハイレベルな学習実績や素養を持つ人材に限られます。
30代ではさらに「即戦力性」や「過去の職務経験」が重視されるため、資格だけでの突破はほぼ不可能です。
年齢層 | 採用傾向 | 求められる条件 | 採用の難易度 |
20代 | ポテンシャル採用は少数 (クラウド専任はかなり少ない) | ・資格取得(AWS SAAなど) ・GitHubやQiitaなどでのアウトプット ・学習姿勢を証明できる実績 | 中〜高(ハイレベル人材であれば突破可能) |
30代 | 即戦力・経験重視 | ・資格に加えて実務経験 ・運用→クラウド案件への関与実績 ・転職エージェント等の支援活用 | 高(資格だけでは突破不可、戦略必須) |
突破条件は「資格+実績+転職支援の活用」
30代未経験でクラウドエンジニアを目指すには、資格だけでは足りません。
「基礎とクラウド双方の資格で知識を証明」し、「学習をアウトプットで実績化」、さらに「転職支援を活用して企業にアピール」すること。この3点をそろえることで、初めてチャンスが生まれます。
■突破のポイント:
・資格をそろえる:インフラの基礎+クラウド知識の両立を示すことで信頼性が増す
→基礎:LPIC-1 / LinuC-1、CCNA
→クラウド:AWS CLF、SAA
・学習を実績化する:「資格だけ」から「手を動かした実績がある人」へ差別化
→GitHub:AWS無料枠での構築事例を公開
→Qiita/Zenn:学習内容や演習結果を記事化
・転職支援を活用する:個人での応募よりも成功率が高まりやすい
→30代未経験でも応募できる求人紹介
→職務経歴書の改善・面接対策
体験談:30代でクラウドエンジニア転職に成功した例
ケース1:30歳・営業職 → ITスクール経由で転職成功
法人営業・リーダー経験を活かしつつ、インフラスクールでLinuxとAWSを学習。LPIC-1とSAAを取得し、Linuxサーバー構築の学習内容を職務経歴書に添付。クラウドに関わる運用ポジションで採用された。
ケース2:32歳・ヘルプデスク経験者 → クラウド案件に参画
ヘルプデスクを行う傍ら、サーバー運用補助の経験を活かし、LPIC-2を取得しアウトプットを強化。まずはインフラ運用で採用され、半年後にはAWS移行案件に参画。
まとめ
30代未経験のクラウドエンジニア転職は、全員が成功するわけではありません。
資格をそろえても、アウトプットを積んでも、不採用になるケースは当然あります。これは採用市場が即戦力を求める傾向が強いからです。
しかしその一方で、正しい戦略を持ち、資格+実績+支援を揃えた人には確実にチャンスが生まれてきます。営業・ヘルプデスクなどから挑戦して、成功した30代の事例もあります。
さらに、インフラエンジニアとして運用・構築経験を積み、その延長でクラウド案件へシフトするルートも現実的です。
段階を踏めばクラウド専任ポジションに近づけるため、「まずはインフラから」という戦略は30代未経験にとって大きな武器になります。
年齢を理由に諦めるのではなく、王道ルートを着実に歩み、挑戦する価値は十分にあります。
まずはご自身のキャリアに合った最短ルートを確認するために、無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。
転職活動のコツ
学習を積み上げても、それを企業に伝えられなければ評価にはつながりません。ここでは、職務経歴書と面接でのアピール方法を解説します。
職務経歴書で「学習実績」をアピールする方法
未経験者の場合、ITの実務経験が乏しいため、学習をどう見せるかが勝負になります。
■学習実績の見せ方:
・資格取得を明記する
→「AWS SAA(2025年5月)」、「LPIC-1取得(2025年7月)」のように、時期を添えて具体的に書く。
・アウトプットを成果として載せる
→ GitHubのリポジトリURLや、Qiitaの記事リンクを職務経歴書に記載。
→「AWS無料枠でWordPress環境を構築し、手順を記事化」など具体的な取り組みを示す。
・前職スキルとの接点を強調する
→ 営業なら「顧客折衝力」、ヘルプデスクなら「トラブルシューティング経験」など、クラウド案件で活かせる要素を関連づける。
単なる「資格欄」ではなく、学習実績=職務経歴書の武器として組み込むことが重要です。
面接で問われやすい質問(なぜクラウドか/なぜ今か)
クラウドエンジニア志望者に聞かれやすい質問として、「なぜクラウド(クラウドエンジニア)なのか?」 と 「なぜ今なのか?」 の2つがあります。
この質問は「興味や憧れ」だけでなく、技術的な理解・キャリアの将来性・具体的な準備行動などを踏まえて答えることが大切です。
「なぜクラウドなのか?」
回答例:
これまで業務や自己学習を通じて、常に新しい知識を吸収しスキルを積み重ねてきました。実際にAWSを使って環境を構築してみたところ、オンプレとは違うスピード感や柔軟性を体感し、学習が止まらないほど面白みを感じました。
また、クラウドは次々と新しい技術やサービスが登場し、学び続けることが求められる分野であり、自分の強みである学習習慣が活かせると考えています。
「なぜ今なのか?」
回答例:
これまで独学でLinuxやAWSを学び、資格取得やハンズオンでのアウトプットを積み重ねてきました。学習が一定の成果に達した今こそ、実務で経験を重ねるタイミングだと考えています。
■ポイント:
・過去の気づき → 現在の行動(資格・アウトプット) → 未来の貢献 という流れで語る
・技術的キーワードだけでなく、「覚悟感」や「貢献意欲」なども盛り込む
・自分らしさが伝わる「強み」も踏まえると尚よい
よくある質問(FAQ)
クラウドエンジニアを目指す方から、特によく寄せられる質問をまとめました。
「難易度」、「資格の順番」、「プログラミングの必要性」など、学習を始める前に知っておきたいポイントをQ&A形式で解説します。
Q1:クラウドエンジニアは難しい?
A:決して「誰でも簡単になれる」職種ではありません。
特に未経験から直接クラウド専任になるのは難しいですが、Linuxやネットワークの基礎 → AWS資格 → 実務経験 と段階を踏めば十分に挑戦可能です。
また、まずはインフラエンジニアとして運用・構築経験を積み、その延長でクラウド案件にシフトするルートを選べば、よりスムーズにクラウドエンジニアへキャリアアップできます。
Q2:資格はどの順番で取ればいい?
A:王道は 「LPIC-1 / LinuC-1、CCNA → AWS CLF → AWS SAA」 です。
最短ルートを狙うなら「CLF → SAA」だけでも可能ですが、基礎を飛ばすと現場でつまずきやすいため、余裕があればインフラ基礎から学ぶことをおすすめします。
■関連記事:LPIC・CCNA・AWSどれから取る?未経験インフラエンジニアの最適資格ロードマップ
Q3:クラウドエンジニアにプログラミングは必要ですか?
A:必須ではありませんが、理解しておくと有利です。
インフラ自動化(IaC)では TerraformやCloudFormation を使う機会がありますし、運用効率化では Pythonやシェルスクリプト が役立ちます。
未経験段階ではまず LinuxやAWS資格の学習を優先し、その後ステップアップとしてプログラミングに触れる流れで問題ありません。
まとめ:未経験からクラウドエンジニアを目指すなら、今すぐ動こう
クラウドエンジニアは需要が高く、将来性のある職種です。ただし、未経験で何の勉強もせずに、いきなりクラウド専任として採用されるのはほぼ不可能です。
だからこそ、Linux・ネットワークの基礎 → AWS資格 → 実務経験 という王道ルートを着実に歩むことが成功への近道です。
学習のステップを一つずつ進め、アウトプットを積み上げ、転職活動で「学習実績」をアピールできれば、未経験からでも将来的にクラウドキャリアを切り開くことは十分可能です。
特に30代未経験の場合は厳しさもありますが、資格+実績+転職支援を揃えることで挑戦の土台をつくり、チャンスを引き寄せることができます。
クラウドエンジニアは、年齢を理由に諦めるのではなく、挑戦する価値のあるキャリアだと断言できます。
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