こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「セキュリティエンジニアを目指すなら、どの資格から始めればいい?」
「CCNA?CompTIA Security+?それとも情報セキュリティマネジメント(SG)?」
そんな「資格の順番が全く分からない」という悩みを抱える未経験〜若手エンジニアは非常に多いです。
結論、セキュリティ系の資格は「思いついたものから取る」と遠回りになります。理由として、セキュリティは、ネットワーク・Linux・クラウドという「インフラの土台の上に成り立つ職種」であるためです。
つまり、最短でセキュリティエンジニアを目指すには「インフラ → クラウド(AWS) → セキュリティ専門」というおおまかな順番を意識しておくと、学習やキャリア形成がスムーズに進めやすくなります。
この記事では、未経験でも迷わず進めるように、以下を整理しています。
■この記事でわかること:
・どの資格をどの順番で取るべきか、優先順位と難易度
・クラウド(AWS)とセキュリティの関係
・経験別のおすすめ資格
・資格を実務につなげる最短ロードマップ
この記事を読むことで、「今のあなたにとって最短の資格ルート」が分かります。
結論:未経験〜若手は「インフラ → クラウド → セキュリティ」の順番がスムーズ
どの資格から、どんな順番で学ぶべきかは、セキュリティエンジニアを目指す方に多くある共通の悩みです。
結論として、未経験〜若手が最短で実務寄りのセキュリティ領域に入るためには、「インフラ → クラウド → セキュリティ」の順番が、2025年の時点では最もスムーズで再現性が高い流れです。
なぜ「インフラ資格」が必要なのか?
理由はシンプルです。セキュリティの実務は、インフラ全体を理解してこそ成り立つ領域であるためです。
■インフラ資格で学べること:
・Linux/OS:権限管理、ログ、ファイル操作
・ネットワーク:制御(ACL、FW、L2セキュリティ)
・クラウド:認証・暗号化・証跡管理(IAM、KMS、CloudTrail)
これらはすべてセキュリティ設計の「土台」になります。そのため、土台から専門性へと進む流れが効率性を高めます。
| ステップ | 資格例 | 目的 |
| ステップ 1 (インフラ) | CCNA/LPIC | インフラ基礎を固める |
| ステップ 2 (クラウド) | AWS SAA | クラウドの全体像をつかむ |
| ステップ 3 (セキュリティ) | Security+、安全確保支援士 | 専門スキルを深める |
キャリア方向性による「もう一つの有力ルート」
上記で説明した「インフラ → クラウド」ルートは最も効率的ですが、キャリアの方向性によっては別のルートも有効です。
■ガバナンス系・社内SE寄りを目指す場合:
・適性:攻撃防御よりも、セキュリティポリシー・運用・リスク管理に強くなりたい人向け。
・資格ルート:基本情報 → 応用情報 → 情報処理安全確保支援士(SC)
・特徴:国家資格ルートで、管理・企画寄りのセキュリティ職に強いです。
まとめ:あなたに合った最適ルートを選ぼう
実務寄りのセキュリティエンジニアを目指すなら、「 インフラ → クラウド → セキュリティ専門資格」の順番が効率性や再現性が高いステップです。
一方で、ガバナンス系・企画寄りを目指すなら、「国家資格ルート(SC)」も有力な選択です。
これらは、あなたの「現状のスキルセット・勤務する会社」や「目指すセキュリティの方向性」、「転職を利用する・しない」などによって最適ルートは大きく変わります。
迷ったら、無理に自己判断せず専門家に相談するのが最速です。
資格の難易度・費用・学習時間(比較表)
セキュリティエンジニアを目指す上で、「どれくらい頑張れば取れるのか?」、「費用はいくらかかるのか?」は重要な判断要素です。
ここでは、本記事で推奨する主要な資格に加え、キャリアパスの選択肢となる資格も含めて、難易度(5段階+MAX)、学習時間の目安、受験費用を一覧で比較していきます。
資格の難易度・費用・学習時間比較表
特に未経験から始める場合は、難易度が低い資格からステップアップすることも踏まえるのが、挫折しないための鍵です。
| 資格名 | 区分 | 難易度 | 学習時間目安 | 受験費用 | 特徴 |
| LPIC-1 / LinuC-1 | インフラ土台 (ステップ 1) | ★ | 100〜150時間 | 33,000円 | Linuxサーバーの基本操作とセキュリティの土台。 |
| 基本情報技術者 (FE) | 国家資格入門 | ★★ | 150〜200時間 | 7,500円 | ITエンジニアの必須基礎知識。国家資格ルートの最初の土台。 |
| 情報セキュリティマネジメント (SG) | 国家資格入門 | ★★ | 100〜150時間 | 7,500円 | 管理寄りのセキュリティ知識入門。すぐに資格が必要な人向け。 |
| CompTIA Security+ | 全体像理解 (STEP 1.5) | ★★ | 100〜150時間 | 52,192円 | セキュリティの広く浅い体系理解に最適。最短ルートで推奨。 |
| CCNA | インフラ土台 (STEP 1) | ★★★ | 150〜200時間 | 46,860円 | ネットワーク基礎の定番。ACLやL2セキュリティ理解に直結。 |
| AWS SAA | クラウド専門 (STEP 2) | ★★★ | 100〜150時間 | 22,000円 | クラウドセキュリティのコア知識(IAM, VPC, KMSなど)を習得。最短ルートで推奨。 |
| 応用情報技術者 (AP) | 国家資格中級 | ★★★★ | 200〜300時間 | 7,500円 | IT全体を俯瞰する知識。SC受験前のステップとして有効。 |
| 情報処理安全確保支援士 (SC) | 最高峰専門 (ステップ 3) | ★★★★★ | 200〜300時間 | 7,500円 | 国家資格の最高峰。管理・企画・ガバナンス領域に強い。 |
| CCSP | 上級クラウド専門 (ステップ 3) | ★★★★★ | 200〜300時間 | 599ドル (約 95,000円) | クラウドセキュリティの設計・運用に関する最高峰資格。 |
| CISSP | 最高峰専門 (ステップ 3) | MAX | 400時間〜 | 749ドル (約 115,000円) | 最高峰の国際資格。認定には実務経験5年以上が必須。 |
※学習時間はあくまで目安です、個々人のバックグラウンドによって変動します。また、受験費用も為替の影響などで変動しますので、最新の受験料は公式サイトから確認ください。
難易度と学習時間のポイント
最短ルート(★〜★★★中心):
未経験から最短で実務を目指す場合、LPIC/CCNA (★〜★★★) → Security+ (★★) → AWS SAA (★★★) の流れが、学習負荷と実務性のバランスが最も優れています。
国家資格ルート(★★〜★★★★★):
FEからSCへと進む国家資格ルートは、費用が安く体系的な学習が可能ですが、SCは最難関クラス(★★★★★)であり、難易度のジャンプアップに注意が必要です。
最高峰資格(MAX):
CISSPは、難易度・費用に加え実務経験も必須となる、セキュリティ分野の事実上の最高峰資格です。
費用比較のポイント
国家資格である情報処理技術者試験(FE、SG、AP、SC)は、ベンダー資格に比べて受験費用が非常に安価です(一律 7,500円)。費用の優位性は、圧倒的に国家資格です。
一方で、ベンダー資格は高額です。特にCISSPやCCSPといった国際資格はさらに高額と言えます。自己投資としての効果は大きいですが、計画的な学習で一発合格を目指しましょう。
おすすめの取得順番(最短ロードマップ)
セキュリティエンジニアを最短で目指すには、「インフラ → クラウド → セキュリティ専門」という流れが、理解しやすさと実務への近さの両面から見て、もっともスムーズなルートです。
いきなり専門資格に挑戦すると、基盤知識の不足で挫折しやすいため、以下の順番を「つまずきにくい現実的なルート」としておすすめします。
①最優先で固めるべき資格(土台作り)
| ステップ | 資格名 | 目的 | 学ぶ理由 |
| ① インフラ基礎 | LPIC-1 / LinuC-1 、CCNA | OS・NWの土台理解 | インシデント対応、脆弱性評価、アクセス制御など、すべてのセキュリティ業務でOSとネットワークの理解が必要です。 |
| ② 全体像把握 | CompTIA Security+ | セキュリティの全体像把握 | セキュリティ概要から脅威・脆弱性、アーキテクチャ、運用まで領域全体の知識を広く浅く体系化できます。 |
| ③ クラウド基礎 | AWS SAA | クラウド環境の基盤理解 | 多くのセキュリティ対策はAWS環境(IAM/VPC/KMS)での防御・監視が主流となっています。リソース設計の理解が防御の前提です。 |
②キャリアアップのための専門資格
上記の土台作り基礎が固まったら、目指す方向性に合わせて専門性を深めていきます。
| 領域 | 資格名 | 特徴 |
| クラウドセキュリティ特化 | AWS Security Specialty / CCSP | AWS Security Specialty:AWS環境での脅威対策など実務に直結。 CCSP:特定のベンダーに依存しない、クラウドセキュリティ管理の最高峰資格。 |
| 管理・企画・国家資格 | 情報処理安全確保支援士 (SC) | 国家資格で評価が高い。ガバナンス、ポリシー策定など実務理解に直結。情シス経験者と相性が良い。 |
| マネジメント最高峰 | CISSP | マネジメント・ガバナンス寄りの世界的な最高峰資格。キャリア中盤以降の「強い証明」となる。 |
| 診断・フォレンジック | CEH / CHFI | 攻撃者視点での診断系スキルや、インシデント後の調査(フォレンジック)に特化した専門スキル。 |
他のIT資格も比較したい方へ
以下関連記事では、インフラ・サーバー・ネットワーク・クラウドなど、エンジニア職種ごとのおすすめ資格をまとめています。
→関連記事:インフラエンジニアのおすすめ資格一覧と取得順番・難易度を徹底解説
資格を活かせるキャリアパス:どの職種を目指せる?
セキュリティ系資格は、「知識の証明」のみに留まりません。学習することで、どの職種に向いているか、どのキャリアへ進めるかを判断する材料にもなります。
ここでは、主要資格と相性のよい職種をまとめつつ、未経験〜経験者までが実際に目指しやすいキャリアパスを整理していきます。
※セキュリティ領域は幅が広いため、「この資格がないと無理」という訳ではありません。
※資格 + これまでの実務経験によって進めるルートが変わります。
①インフラセキュリティエンジニア(最も現実性が高い)
サーバー・ネットワーク・クラウドの運用基盤の保護を担当する、最も未経験・経験者がステップアップしやすい領域です。
| 向いている資格 | 主な業務 |
| LPIC-1/LinuC-1 | OS/NWレベルのインシデント対応 |
| CCNA | NWレベルのアクセス制御/Firewall |
| AWS SAA | IAM・アクセス権限管理 |
| AWS Security Specialty | CloudTrail・Config・GuardDutyの運用 |
②クラウドセキュリティエンジニア(需要急増)
AWS/Azure のセキュリティ設計・監視を専門にする職種です。特にAWS Security Specialtyの評価が高く、インフラ・クラウド経験者が次のステップとして選ぶケースが増えています。
| 向いている資格 | 主な業務 |
| AWS SAA / Security Specialty | クラウド基盤・クラウドセキュリティの設計運用 |
| 安全確保支援士(SC) | セキュリティガバナンス・計画策定 |
| CompTIA Security+ | セキュリティ基礎知識の理解 |
③SOCアナリスト(監視・一次対応)
SIEMを使ったアラート監視と一次対応を行う職種です。未経験からセキュリティ業界に入る代表的な入口です。
| 向いている資格 | 主な業務 |
| Security+ | セキュリティ基礎の理解(インシデント) |
| CCNA | ネットワーク基礎(通信の理解) |
| LPIC-1/LinuC-1 | OS操作スキル(ログ分析・コマンド操作) |
④CSIRT(インシデント対応・調査・改善推進)
「企業内のセキュリティ専門チーム」として、インシデント対応から組織的な改善までを推進します。技術・ガバナンス・コミュニケーションが求められます。
実務経験と資格の組み合わせが特に評価されるポジションであり、安全確保支援士が評価されやすい資格群です。
⑤脆弱性診断(ホワイトハッカー系)
Webアプリやサーバー、NWの脆弱性を攻撃者視点で調査し、改善提案を行います。
インフラ経験者との相性が非常に良い領域です。サーバーOSやネットワークの仕組みを理解していないと、正確な診断や危険度の評価ができません。
インフラ理解の土台となるLPIC/CCNAや、攻撃手法などを学ぶCEHと相性が良い職種です。
⑥管理・企画・ガバナンス(社内情報システム)
セキュリティ戦略や社内ルールの策定、監査対応など、マネジメント・企画側のキャリアです。
主な業務が非常に幅広く、セキュリティ戦略・ロードマップ策定から社内セキュリティポリシー・ルール整備、監査対応などまで実施していきます。
情シス経験と安全確保支援士の相性が良く、またCISSPはグローバルでも評価が高いため、転職でも有利になりやすい資格群です。
よくある質問(FAQ):セキュリティ資格の疑問をまとめて解消
ここではセキュリティエンジニアを目指す方から寄せられる、よくある質問をまとめました。
未経験の不安、資格の優先順位、クラウドや英語の必要性など、この記事で解説した重要ポイントも含めて「疑問 → 回答」形式で再確認できる内容です。
Q1. 未経験でもセキュリティエンジニアを目指せますか?また、どの資格から取るべきですか?
A:可能です。 ただし、いきなり専門資格に挑むと挫折しやすいため、以下の順番が最もつまずきにくく現実的です。
■おすすめの資格順番:
・CCNA or LPIC-1(インフラ基礎)
・Security+(セキュリティ全体像)
・AWS SAA → Security Specialty(クラウドセキュリティ)
この「技術 → 全体像 → 実務」の流れで理解がスムーズになります。インフラ・クラウド経験者は一部をショートカットできます。
Q2. Security+だけで転職できますか?専門職に進むには?
A:エンジニア経験によって変動はありますが、入口職種(SOCなど)であれば可能です。
例として、SOCアナリスト(監視)や運用の入口であれば、CompTIA Security+のみでも目指せます。
また専門職(クラウドセキュリティ、CSIRTなど)へ進むには、Security+のみでは不十分になることも多いです。AWSやインフラ資格なども追加し、専門スキルを強化することが必須です。
Q3. 情報処理安全確保支援士(SC)は難しい?若手でも挑戦できますか?
A:難しいですが、若手が挑戦する価値は十分あります。
安全確保支援士の合格率は約20%であり、難関資格です。また出題範囲の広さや午後試験の記述式が難易度の高さの理由です。
しかしインフラ基礎+セキュリティの土台があれば、20代でも十分合格可能です。若いうちに取得することで、キャリアの選択肢が大きく広がります。
Q4. AWSの資格はどこまで必要?SAAだけで十分?
A:SAAは「入り口」です。実務で戦力になるためには Security Specialty が評価されます。
「セキュリティ担当として現場に参画する」なら、Security Specialty まで学ぶと強いです。
Q5. SOCからスタートしても、専門セキュリティ職に進めますか?
A:可能です。むしろ王道ルートの一つです。
例として、SOC(ログ監視・一次対応) → セキュリティ運用 → クラウドセキュリティ → CSIRT(事故対応)というキャリアパスはあります。
一方で、「監視止まりでスキルが伸びない」、「次のステップを意識しないまま数年経ってしまう」人も少なくないため、「次を見越したスキル習得や資格取得」を進めることが、専門職に進む鍵になります。
Q6. セキュリティエンジニアに英語は必要ですか?
A:必須ではありませんが、「読めると強い」です。
英語は翻訳ツールでも十分対応できます。一方で、脆弱性情報やAWS/Azureの更新情報、セキュリティツールなどは英語が基本であるため、英語が読めるとキャッチアップ速度が変わります。
資格を活かせる職種をチェック
またセキュリティ資格の特徴が分かると、次に気になるのは「どの職種で活かせるのか?」という点です。
以下の関連記事では、LPIC・CCNA・AWS資格などがどんなエンジニア職種で武器になるのか を、分かりやすくまとめています。職種別の基本から押さえたい方は、参考にしてください。
■関連記事:資格を活かせる職種をチェック
→関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
→関連記事:ネットワークエンジニアとは?仕事内容・資格・年収・将来性を徹底解説
→関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・資格・年収・将来性を徹底解説
職種ごとの将来性を知りたい方へ
資格と職種のつながりが見えてきたら、次に確認しておきたいのが「今後の需要・将来性」です。セキュリティ分野はクラウド化・AI化の影響を大きく受け、今まさに市場価値が高まっている領域 です。
以下の関連記事では、AI時代に成長する職種の将来性と、長期的に活かせるスキルなどを解説しています。
■関連記事:AI時代に伸びるエンジニア職種の将来性
→関連記事:インフラエンジニアの将来性|AI・クラウド時代の需要とキャリア戦略
→関連記事:ネットワークエンジニアの将来性|AI・クラウド時代の需要とキャリア戦略
→関連記事:クラウドエンジニアの将来性|需要・年収・ロードマップを徹底解説
まとめ:最短で「市場価値が高いセキュリティ人材」になるために
セキュリティエンジニアを目指すうえで重要なのは、資格そのものより「適切な順番」と「進むべき方向性」を理解することです。
■おすすめの順番:
・CCNA/LPIC(インフラ基礎)
・Security+(全体像)
・AWS SAA → Security Specialty(実務)
・安全確保支援士/CISSP(セキュリティ専門)
上記の流れを押さえて学べば、未経験からでも「現場で求められるセキュリティ人材」に確実に近づけます。
しかし、どこまで学ぶべきか・どの資格を優先すべきかは、あなたの今のスキルやキャリアによって最適解が大きく変わります。
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