こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
LinuC レベル1資格の学習では、参考書や問題集だけの勉強ではなく、実際に手を動かしての学習が推奨されます。資格を実務で活かすのであれば、資格学習のみでなく、Linuxを触って得られるスキルが重要です。
一方で、人によっては「資格学習と、手を動かしての学習は、片方ずつ集中したい」、「とにかく短期でLinuC-1を取る必要がある」など、早くLinuC-1を取りたい人もいるかと思います。
ここでは、IT未経験者がLinuC 101試験を、2週間(50時間)で合格する方法を考えてみましたので、具体的な進め方を説明していきます。
この内容は、「LinuC 101試験合格に振り切った学習」であるため、一緒にスキルを学びたい人には非推奨です。その後に、しっかり手を動かして学習する気持ちを持つ人のみ、参考にしてください。
LinuC 101試験は、未経験から2週間50時間で合格できるのか?
LinuC 101試験は、未経験者にとって、決して簡単な試験ではありません。むしろLinuC 101は、難しい試験だと考えています。
ゆえに、未経験から2週間・50時間で合格するのは、かなり大変であるのは間違いありません。一方で、大変ではあるものの、効率よく、自分に厳しく勉強をすれば、2週間・50時間合格も狙えると考えています。
根拠として、私はLinuC 101試験に似た、LPIC 101試験を、2週間50時間で合格したことがあります。その時は、「2週間50時間で、LPIC 101試験を合格する」という目標を最初に決め、自分に厳しく学習しました。
また、その後追加で、約7時間の勉強で、LinuC101試験も合格したので、効率よく、自分に厳しく勉強すれば、「LinuC 101試験も50時間で合格できるのでは?」と考えています。
私のLinuC 101試験のスコアレポートは、以下です。点数は640点で、決してハイスコアではないですが、目標としていた「すべてのセクションにおいて、正答率70%」を超えましたので、クイック学習の結果としては一定満足です。

LinuC 101試験を勉強して合格した中で、振り返って個人的に感じる「LinuC 101試験を、早く合格するやり方」について、ここでは説明していきます。
最短で、LinuC 101試験合格に必要なことは?
まず大前提として、LinuC 101試験は、とにかく暗記が必要な項目が多いです。LinuC 102試験も暗記項目は多いですが、LinuC 101試験の方が暗記すべき内容が多い印象です。理解よりも、暗記という感想です。
ゆえに、いかに重要ポイントを素早く見定め、いかに効率よく暗記していくか、が重要と考えます。
IT知識ゼロから、LinuC 101試験に最短で合格したい場合、必要なことは以下と考えます。以下を意識すると、合格までの勉強時間をショートカットできるでしょう。人によっては50時間前後で、合格も目指せると思います。
■未経験から、LinuC 101試験に最短合格するために、必要なこと:
・試験範囲、合格ラインを把握する
・重要ポイント(頻出問題)に集中する(正答率は70-75%でよい)
・アウトプット中心の学習(とにかく問題集を解く)
・調べる時間、苦手項目をまとめる時間を、めんどくさがらない
・苦手分野をつくらない
以下から詳しく説明していきます。
試験範囲、合格ラインを把握する
最短合格を目指すために、まず重要なことは試験範囲と合格ラインを知ることです。特にLinuC101試験の試験範囲は、一番最初に押さえておくべきです。参考書を読む前に、予習をして押さえた方がよいでしょう。
最短合格を目指すなら、LinuC101試験の試験範囲を、LinuCの公式サイトから調べることを強くおすすめします。LinuCの公式サイトでは、以下の画像のように、試験範囲とその詳細が明確に記載されています。



この公式サイトに記載されている内容が、101試験にもっとも出やすいと言えます。特に、詳細に記載されている内容関連、コマンドやそれに準じたオプション、またパスは重要項目として最初に押さえるとよいです。
個人的には、上記画像の「詳細」に書いてある内容は、最初にノートに模写することをおすすめします。まったく意味がわからなくても問題ありません。最初は試験範囲や重要ポイントをつかむことが大事です。
試験範囲の詳細を見ないで参考書を見ても、何が重要かがわからないでしょう。何が重要かがわからないと、完璧に覚えないといけない気持ちになり、あまり出ない所までしっかりやりがちになります。
しかし、先に重要ポイントを模写することで、学習中に「見たことがある(模写したことがある)用語」が出てくることに気づくでしょう。見たことがある用語だとしたら、それは重要ポイントです。
また、LinuC 101試験の合格ラインは480/800点です。公式サイトでも、LinuC 101は、65%~75%正答すれば、合格と記載されていますが、おおよそ65%取れれば合格でしょう。満点を目指す必要はありません。
最短で合格を目指すためには、正答率が70%以上になる勉強をすればよい、ということになります。
重要ポイント(頻出問題)に集中する(正答率は70-75%を目指す)
LinuC レベル1試験は、LPI-Japan認定の問題集や参考書に「重要」と書いてある所から、素直に出やすいと思います。あずき本やスピードマスター問題集に、重要と書いてる所は、素直に頻出問題と考えるべきです。
おすすめの参考書や問題集は後述しますが、例として、以下画像は、スピードマスター問題集の解説部分に掲載されている内容です。



このように、参考書や問題集において、「重要」と記載している部分からしっかり覚えていき、重要と書いてある部分は「失点しない」という意識が大事だと思います。
本試験では、参考書や問題集を隅から隅まで読んでも見たことがない問題や、重箱の隅をつつくような問題もありますが、問題の数としては少数でしょう。
正答率70%を短期間で目指ざすと考えると、参考書や問題集について、内容を全て同じウエイトで学習するよりも、重要と書いてある所を絶対に間違えないようにする方がスムーズです。
重要と書いてある所を、まずはしっかり押さえつつ、残りの時間でそれ以外の部分を学習すると、短期間で点数は上がりやすくなるでしょう。
アウトプット中心の学習(とにかく問題集を解く)
短期間でLinuC 101を合格したいのであれば、インプット(参考書や動画講座)に時間をかけるのではなく、アウトプット(問題を解いて覚える)中心の勉強が、もっとも効率がよいです。
参考書や動画講座を何度も見るのも悪くありませんが、それだけで合格する力はなかなかつきません。結局、「試験問題を解けるようにならないと、合格できない」のは事実でしょう。
参考書を読むインプット学習は、「ラクだけど、記憶に残りにくい」とも言えます。問題集を解くアウトプット学習は「きついけど、記憶に残る」と言えます。問題集は、早く着手する方が、早く理解ができます。
最初は、問題を解けなくても、全く問題ありません。問題集の1周目では、問題を解かなくてもよいです。問題だけでなく、解答と解説を読んで、カンニングしながら勉強する方が、試験は解けるようになります。
また、問題集を3周すると、苦手問題や理解が不足している部分が明確に分かってきます。問題集を3周して、苦手だと感じる所を中心的に、ノートなどにまとめていきましょう。
調べる時間は、めんどくさがらない
LinuC 101試験では、学習中に意味が分からない用語がたくさん出てきます。IT未経験者であれば、意味不明な用語を、たくさん覚えさせられている気持ちになるかもしません。
例として「コマンドごとのオプションが覚えられない」、「正規表現のメタキャラクタが覚えられない」というものもあれば、「ハードリンクとシンボリックリンクの違いがわからない」といったものもあるでしょう。
個人的な意見ですが、IT未経験者から学習する場合は「自分で調べるのがとても大事」です。自分で調べてメモを取ることで、急速に覚え、理解していきます。
例として、「学生時代に英単語を辞書で調べてたら、いつのまにか覚えた」という経験はないでしょうか?自分で調べて、メモをとる、まとめることで覚えていきます。
試験で特に覚える量が多い、コマンドやオプションは、英単語です。英語で覚えていくと、比較的試験でも思い出しやすいでしょう。
例として、正規表現で文字列を検索する「grep(global regular expression print)コマンド」のオプションであれば、オプションは以下の略です。
コマンド | オプション | 略 | 意味 |
grep | -c | count | 行数をカウントして表示する |
-i | ignore case | 大文字と小文字を区別しない | |
-n | number | 先頭に行番号をつけて、マッチした行を表示 | |
-v | invert match | マッチしなかった行を表示 | |
-E | extended | egrepコマンドと同じ | |
-F | fixed | fgrepコマンドと同じ |
上記のように、わからないことを調べることや、自分なりにまとめることで、記憶が定着しやすくなるでしょう。知らない英単語は、この機会に少し覚えておくと、後々楽になるでしょう。
苦手分野をつくらない
LinuC 101試験では、特定分野のみ出るわけではなく、まんべんなく出題されます。ゆえに、どんなに得意分野があっても、苦手分野があると足を引っ張るため、結果的に合格が遠くなります。
101試験では、「Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用」、「ファイル・ディレクトリの操作と管理」、「GNUとUnixのコマンド」、「リポジトリとパッケージ管理」、「ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム」の、5つのセクションがあります。
イメージとしては、以下のような点数構成は理想でしょう。
セクション名 | 目指したい正答率 |
Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用 | 70% |
ファイル・ディレクトリの操作と管理 | 70% |
GNUとUnixのコマンド | 70% |
リポジトリとパッケージ管理 | 70% |
ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム | 70% |
5つのセクションにおいて、すべて70%以上を狙える状況が理想です。逆に、苦手なセクションが1つでもあると、大きく不合格に近づいてしまうでしょう。
まずは、苦手なセクションをなくすこと、すべてのセクションで正答率50%未満をつくらないことは、早期合格を目指すにあたり、とても大事と言えます。
LinuC 101を2週間50時間で合格するなら、勉強方法
LinuC 101試験を、2週間50時間で合格するために、もっとも効率がよいやり方と考えた内容を、ここからは説明していきます。
使用する教材について
使用する教材は、「LinuC 公式サイト(101試験の出題範囲)」、「参考書:あずき本(Linux教科書 LinuCレベル1)」、「問題集:Ping-t」、「問題集:スピードマスター問題集」の4つのみです。
たくさん教材を増やしても、学習が分散するだけでしょう。特に問題集は、Ping-tと、スピードマスター問題集だけで十分です。Ping-tとスピードマスターだけでも、十分にLinuC 101試験は合格できます。
勉強時間の配分について
とにかく、問題集でのアウトプットを重視するのが大事と考えています。勉強フェーズを「基礎のインプット」、「問題集でアウトプット」、「追い込み学習」の3つに分けると、おおよそ以下と思います。
時間 | |
基礎のインプット | 8時間 |
問題集でアウトプット | 30時間 |
追い込み学習(復習、まとめ) | 12時間 |
ここからは、勉強方法について、より詳細を説明していきます。
基礎のインプット
LinuC試験101試験を早期に合格する場合、最初に学びたい所は、基礎のインプットです。ただし、全てを徹底的に網羅するよりも、重要ポイント(頻出分野)を徹底的に覚える方が早いでしょう。
この重要ポイントを把握するために役立つのは、「LinuCの公式サイト」と、「参考書:あずき本」です。
前述で紹介した、「LinuCの公式サイト」の試験範囲にて、詳細に記載されている内容(コマンドやパスなど)を、まず「見たことがある状態」にしましょう。



おすすめのやり方は、ノートに模写することです。公式サイトを見ただけで覚えれる人は、ほぼいないでしょう。ノートに書き写す(書き写したものは、後で読む)と、想像よりも記憶に残っているはずです。
このように、LinuC公式サイトの試験範囲の内容を、まず見たことがある状態にすることを目指しましょう。
その後に使いたい教材は、LinuC レベル1教科書のあずき本です。あずき本についても、以下の「101試験直前チェックシート」を、すべてノートに模写して、まず見たことがある状態にしましょう。



この、あずき本の「直前チェックシート」に記載されている内容は、LinuC 101試験においては、頻出と言える内容です。ノートに模写して、後々に見直すことで、重要ポイントを頭に叩き込んでいきましょう。
あずき本の、直前チェックシートをノートに模写した後は、あずき本の内容に目を通していきましょう。特にあずき本の「ここが重要」をしっかりまとめていきましょう。具体的には、以下画像のような部分です。



あずき本の内容は、すべてしっかり理解する必要はありません。2-3割理解できたら、次に進む、というイメージで、割り切って学習してもよいので、今までノートに模写した重要ポイントの部分を中心で読んでいきましょう。
また、参考書のあずき本は、学習序盤に1-2周したら、早めに問題集を使ってアウトプット学習をすることをおすすめします。
問題集の問題でつまづいた時に、「逆引きで参考書(あずき本)を使う」というやり方の方が、理解は早く進みます。
問題集でアウトプット
問題集でアウトプットの勉強を行う際に、使用する教材は、Web問題集のPing-tです。最短で合格を狙うのであれば、「問題を解いて覚える」のが鉄板の学習です。
Ping-tでは、LinuC 101試験の問題を約700問解くことができます。このPing-tでは、「重要な問題」を見抜くのが大事です。今までノートにメモした内容と照らし合わせ、「重要か否か」を見分けながら、問題を解いていきます。
ただし、最初の1周目は問題が解けないため、問題を解くではなく、「問題を読み」、「解答、解説をカンニングする」やり方がおすすめです。



Ping-tは、周回することがおすすめです。その中で、Ping-tを利用した学習1周目では、問題はほとんど解けないため、解答・解説をそのまま読んで、「問題の解き方」などを学ぶのが狙いです。
すると、Ping-t2周目では、少し問題が解けるようになります。3周目では、多少問題が解けるようになるでしょう。
3周目が終わると、「わからない問題」や「自信がない問題」がはっきりわかってくるでしょう。「わからない問題」かつ「重要な問題」が、これから重点的に勉強すべき所です。
重点的に勉強すべき所がわかったら、問題を解くために、必要となる知識を調べ、再度ノートにまとめていきます。
追い込み学習(復習、まとめ)
最後の追い込み学習で利用する教材は、スピードマスター問題集です。スピードマスター問題集と、今までまとめたノートを使って学習していきます。
スピードマスター問題集で徹底的に学ぶ所は、「重要度★★★」の問題と、「模擬試験」の問題、また「これも重要!」と記載がある部分です。



スピードマスター問題集では、個人的な所感として、「重要度★★★」の問題と、「模擬試験」の問題の重要度がもっとも高いと考えます。この問題だけは、違った角度で問題が出ても、答えれられるようにすべきでしょう。
また、スピードマスター問題集に記載がある「これも重要!」という内容も、ノートにメモするとよいでしょう。重要と書いてある所は、素直に「重要」と考えるべきです。



スピードマスター問題集の、「重要度★★★」の問題と、「模擬試験」の問題が解けるようになり、自作のノートに記載している内容を覚えられたら、LinuC101試験を受験してよいタイミングでしょう。
一方で、それでも不安な人は、再度Ping-tや、スピードマスター問題集の「重要度★★」問題に着手してもよいと思います。
勉強は、読むだけではなく、どんどん手を動かして書いた方がよい
資格学習において、読むだけで理解がどんどん深まる人は、とても頭がよい人だと思います。今までの人生で、教科書や本を読むだけで、内容を覚えている人は、LinuC学習も読むだけでよいでしょう。
一方で、読むだけではなかなか覚えられない人もいるでしょう。そのような場合は、読むだけでなく、「どんどん手を動かして、覚えたいことをノートに書いていく」ことを強くおすすめします。
文字を書くことで、読むよりも記憶が強化されます。また、読むのみでなく、書くという行為が加わることによって、作業興奮で集中力も高まります。書きながら覚える効果は、決してバカにはできません。
私は、以下画像のように、「記憶があいまい」や「苦手と感じる箇所」について、ノートに書き込んで、スマホにスクリーンショットを撮り、苦手を克服するために、通勤時間などに読んでいました。



また、覚えたい内容をまとめておくことで、後々の復習に非常に役立ち、勉強時間の時短につながります。
コマンドなどを、手を動かして覚えないなら、ノートに手を動かして書いて覚えていくと、学習効率が高まるでしょう。
コマ門も、ノートに書いているコマンドやパスを覚えればOK
LinuC 101試験で気になるコマ問(記述式問題)対策も、ノートに書いてあるコマンドやパスなどを覚えれば、十分に対処が可能です。これだけで、コマ問は、記述ミスをしなければ、ほぼ解答できるでしょう。
基本は、あずき本のLinuCの公式サイトに掲載されている「101試験直前チェックシート」のコマンドやパスを覚えましょう。余裕があれば、LinuC公式サイトの内容まで記述できるようになればベストです。
LinuC 101を2週間で合格するなら、勉強時間の配分
LinuC 101試験を、2週間で合格するなら、1週間で少なくとも25時間は勉強時間を確保する必要があります。平日に学習できるだけ学習し、土日も勉強時間をしっかり確保することが必要です。
1週間の勉強時間を25時間確保するなら、以下のようになるでしょう。
平日 | 土日 | 1週間の合計時間 | |
1日の勉強時間 | 2時間 | 7.5時間 | 25時間 |
3時間 | 5時間 | 25時間 |
ただし、ダラダラ学習をしてしまうと、50時間では絶対に合格できないでしょう。50時間は完全に集中して問題集を解き、苦手項目をまとめ復習し、とにかく頭に叩き込むことが必要です。
また、短期間で学習をすると、「覚えて忘れて、再度覚えて」を繰り返す頻度も減るので、試験の受験日に、最大限のパフォーマンスを維持しやすくなるでしょう。
さいごに
今回説明した勉強法は、人によってはかなり辛い学習方法でしょう。特に、学習初期はわからないことばかりで、きつさを感じてしまうと思われます。
ただし、早期に合格を目指すのであれば、土台となる基礎知識(特に重要ポイント)を効率よくインプットし、苦手な項目を見つけ出し、苦手項目を効率よく復習していくことが重要です。
また、もっとも重要なことは、資格に合格した後は、「実際に手を動かして、Linux操作を学ぶこと」です。エンジニアとしてキャリア形成を目指すにあたり、手を動かして得られるスキルがもっとも望ましいと言えます。
資格取得後は、VirtualBox+Ubuntuといった環境を使って、手を動かしながらコマンドを実行して学んでください。