こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「インフラエンジニアを目指したいけど、英語が苦手で不安、、」、そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。
たしかにIT業界では、英語のマニュアルやエラーメッセージに触れる機会が少なくありません。しかし、「英語ができなければ、インフラエンジニアになれない」という訳ではありません。
この記事では、インフラエンジニアとして働く上で、どの程度の英語力が必要なのか、英語が苦手でもやっていけるか、などから、英語ができることで広がるキャリアの可能性について、説明していきます。
インフラエンジニアに英語力は必要か?
結論から言うと、インフラエンジニアに英語力は、必須ではありません。しかし、英語力があると、強い武器になるのは事実です。
実際、日本でインフラエンジニアとして働く場合、多くのプロジェクトでは、日本語のみで仕事が完結することが多いです。また、運用保守など、初級レベルの現場では、英語を使う機会が少ないと言えます。
しかし、英語力があると、インフラエンジニアにとって強い武器になります。以下からは、インフラエンジニアと英語力の関連性について、詳しく説明していきます。
インフラエンジニアの仕事で、英語を使う時は?
インフラ系の現場では、英語に触れる機会はありますが、すべての仕事に高い英語力が求められる訳ではありません。ここでは、「インフラエンジニアは、どんな時に英語を使うのか?」を説明していきます。
■インフラエンジニアが英語を使う時:
・マニュアルや公式ドキュメントは、英語が基本
・現場での設定画面やコマンドも、英語が中心
・外資系企業やグローバル案件では、英語のやり取り有
マニュアルや公式ドキュメントは、英語が基本
インフラエンジニアの仕事では、新しいツールや技術を使いこなす際や、トラブル対応の際などに、マニュアルやドキュメントを読む機会があります。しかし、公式ドキュメントなどは、英語で書かれていることも多いです。
例として、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなどのクラウドサービス、CiscoやJuniperなどのネットワーク機器の資料など、公式ドキュメントは英語が基本です。

もちろん、日本語の翻訳が進んでいるドキュメントも数多いです。しかし、「最新のドキュメントは、日本語に翻訳されていない」、「翻訳の表現がわかりにくい」という場合もあります。
ゆえに、「確実に、最新の情報を手に入れるためには、英語のまま読んだ方が早い」という場合もありかつ、「早く正確な情報が欲しい」時には、英語が読めるかで効率が左右されるとも言えます。
現場でのコマンドや設定画面も、英語が中心
インフラエンジニアが日々触れるコマンドやネットワーク機器、OS、ツールの設定画面なども、ほとんどが英語表記です。これは日本企業で勤務している場合でも、変わりません。
例として、Linuxのコマンドラインでは、英単語や略語が、そのままコマンド名になっています。コマンドに紐づくオプションも、基本は英単語の略です。サブコマンドは英単語です。
コマンドの例として「cd:Change Directory」、「mkdir:MaKe DIRectory」、「netstat:NETwork STATistics」、「sudo:SUperuser DO」などといったように、英単語が略されています。
また、以下の画像は、AWSのEC2(仮想サーバー)上で、Amazon Linux 2にログインした際の、ターミナル画面です。
OSのアップデートを行う場面を示しており、初学者の人は「サーバーメンテナンス作業中の画面」と考えてもらえればと思いますが、「英語っぽさを感じる」のではないでしょうか。



ただ、コマンドや設定画面などについては、「英語」というよりも、「英語的な技術用語」と言った方が適切な所でもあります。
英語力がある方が、比較的理解や習得は早いと思いますが、英語力が大事というよりも、「慣れ」の部分が大きいでしょう。
外資系企業やグローバル案件では、英語のやり取り有
英語を「読む」だけではなく、実際のやり取りでも英語が必要になることもあります。とくに英語でのコミュニケーションが求められる環境は、「外資系企業」と「グローバル案件」です。
外資系企業では、社内の公用語が英語である場合も多く、メールやチャット、会議など、日常業務で英語対応が発生する可能性があります。
また、グローバル展開をしている日本企業においても、グローバル案件を担当する場合は、英語力が必要です。
例として、グローバルインフラ(WAN)の構築運用や、グローバル標準設計の検討などで、グローバルチームとのディスカッションなどが発生することもあります。
グローバル案件の対応では、通訳がいることも多いため、英語力が非常に高くなくとも、読み書きレベルのスキルがあれば、対応可能なことが多いですが、英語に抵抗感があると、難しいでしょう。
インフラエンジニアに、英語力はどれくらい必要?
インフラエンジニアを目指す上で、「どのくらい英語力が必要なのか?」を不安に感じる人も多いでしょう。英語が苦手な場合、「インフラエンジニアは無理なのでは?」と思ってしまうかも知れません。
しかし、結論から言うと、インフラエンジニアには高い英語力が必須ではありません。求められるのは、会話力ではなく、むしろ「技術英語を読み解く力」です。
ここでは、インフラエンジニアに求められる英語力について、解説していきます。
英会話は必須ではない、「読解力」が大事
インフラエンジニアの業務において、英語のコミュニケーションが発生する機会は、あまりありません。とくに、国内企業や、日本人同士の現場では、すべて日本語のやり取りで行われます。
特に、駆け出しインフラエンジニアの段階では、英語力はそれほど必要とされません。英語が得意であれば、学習の吸収度が少し早そう、という印象程度でしょう。
一方で、経験を積むと、マニュアルや公式ドキュメントといった英語の資料を、読み解き調べる必要性も増えていきます。英語ドキュメントの読解力は自然と求められていくでしょう。
スキルレベル | 英語の必要性 | 備考 |
初級(運用・保守) | ★☆☆☆☆ | ほぼ不要 |
中級(設計・構築) | ★★☆☆☆ | 英語のマニュアル読解 |
上級(外資・グローバルなど) | ★★★★☆ | 英語の情報収集・やり取り |
TOEICで言うと、600点あれば結構良いレベル
「英語力の目安」としてよく使われるのはTOEICですが、インフラエンジニアにはそれほどTOEICは求められません。インフラエンジニアの場合、TOEICが600点あれば、一定の英語力があると見なされます。
もちろん、プロジェクトによっては、TOEIC800点といった高いスコアを求められる場合もありますが、それは外資系企業や、英語を使った対応が必要な、ハイレベルな業務と言えます。
また、TOEICのスコアを持っていなくても、実務で「英語ドキュメント使って構築できる」、「エラーメッセージを読んで、自己解決できる」方が重要です。
実際に、外資系やグローバルプロジェクトに参加しているインフラエンジニア以外は、それ程TOEICを取得している人は多くはありません。TOEICよりも、実際の技術スキルや対応力が重要です。
ただし最新情報は、まずは英語でリリースされる
一方で、新しい技術情報などは、まずは英語で出てきます。例として、クラウド(AWS、Azureなど)やセキュリティ分野では、技術の進化が早く、日々新機能などがリリースされます。
このような最新情報は、最初に英語でリリースされ、日本語に訳されるまでにタイムラグも発生します。ゆえに、英語のままで情報をつかめるかどうかで、対応スピードに差が出ます。
特に、技術の進化が早い分野(クラウドやセキュリティなど)においては、「英語が読める=武器」になることがあります。完璧な読解力までは求められませんが、英語に抵抗感がないことは大事です。
英語が苦手でも、インフラエンジニアになれる?
「英語ができないけど、本当にインフラエンジニアになれる?」と考えてしまう人も多いと思いますが、英語が苦手でも、インフラエンジニアになることは十分可能です。
もちろん、インフラエンジニアの現場では、英語の技術用語やエラーメッセージが頻出します。しかし、英語に自信がない人も、多少の英語に慣れていくことができれば、インフラエンジニアとして活躍できます。
インフラエンジニアは、英語力よりも技術力の方が大事
インフラエンジニアにとって英語力は、あると便利なスキルです。しかし、もっとも大事なのは技術スキルです。
例として、Linuxの基本操作、ネットワークの構築・運用、クラウドサービスの設定、トラブルシューティングなど、日常業務において求められるのは、英語力よりも技術スキルと実践力です。
英語が得意でも、サーバーが立てられなかったり、トラブル対応ができないと、エンジニアとして評価はされにくいでしょう。
しかし、英語がたとえ苦手であっても、しっかりと調べて手を動かせる人や、問題を解決できる人は、インフラエンジニアとして高く評価されます。
英語スキルはあくまで補助的なスキルです。インフラエンジニアにとって、もっとも大事なのは、技術スキルであるのは間違いありません。
仕事を通して、英語に慣れていくこともできる
日々の仕事をこなしていくうちに、自然に英語に慣れていくというケースも多いです。実際にLinuxのエラーや、AWSの設定画面など、よく出てくる英語は、ややパターンがあります。
例として、「Permission denied(権限がない)」、「No such file or directory(ファイルやディレクトリがない)」、「Timeout(応答なし)」など、何度も見ているうちに、自然と慣れていくでしょう。
また、英語のドキュメントも、Google翻訳を使えば、十分に読み進めることができるでしょう。必要に迫られて使っていくうちに、少しずつ慣れ、少しずつ読めるようになることはあります。
技術英語は、専門用語と割り切ってもよい
インフラエンジニアの現場で使われる英語は、日常で使われる英会話とは異なります。TOEICで高得点が取れる英語力が必要という訳ではありません。
むしろ、仕事に必要な英単語やフレーズを、IT業界の専門用語と割り切って覚える方が、現場で通用する近道と言えるでしょう。
例として、業務で出てくる頻出単語として「ping:疎通確認」、「permission:アクセス権」、「invalid:無効」などがありますが、英語として学ぶよりも、「ITの専門用語として覚える」方が、苦手意識を減らしやすいでしょう。
インフラエンジニアが英語を学ぶメリット
インフラエンジニアは、前述の通り、「英語ができないと働けない」という訳ではありません。英語が苦手でも、エラー文などが読めれば、業務はこなせると言えます。
しかし、インフラエンジニアが、あえて英語を学ぶと、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、英語ができるインフラエンジニアのメリットについて、説明していきます。
■英語ができるインフラエンジニアのメリット:
・最新情報のキャッチアップに有利
・外資系転職や、グローバルプロジェクトへの配属が有利
・転職で有利になることも
・年収アップのチャンスになることも
最新情報のキャッチアップに有利
インフラやクラウド、セキュリティの分野は、日々進化しているため、新機能のリリースや脆弱性の情報など、常に新しい情報がリリースされます。そして、その多くは英語で発表されます。
例として、AWSやAzureといったクラウドや、セキュリティなど、技術の進化が早い分野で仕事をするエンジニアにとって、英語を直接読めることで、自己解決力を高め、仕事のスピードや信頼性に差が出ます。
英語の公式ドキュメントやブログなどを常にチェックできることは、情報感度の高いエンジニアとしての評価にもつながり、大きな武器となるでしょう。
外資系転職や、グローバルプロジェクトなどへの配属が有利
インフラエンジニアとしてキャリアを広げていく中で、外資系企業への転職や、グローバルプロジェクトを目指していく人もいるでしょう。このような環境では、英語力は重要な要素です。
外資系企業への転職では、技術はもちろん、会社によっては高い英語レベルも求められることもあります。英語力を持ち合わせることで、外資系は転職を目指しやすくなるでしょう。
また、グローバルプロジェクトや、海外ベンダーとの調整や技術サポート対応がある仕事なども、英語力を求められます。英語力があれば、キャリアの幅を広げていくことも可能です。
転職で有利になることも
インフラエンジニアとして転職を行う時に、企業がもっとも注目するのは「即戦力になるスキル」です。
しかし、他の候補者との「差別化ポイント」も大事にする企業もあります。英語力は、差別化の武器となり、転職で有利になることもあります。
例として、求人票の必要経験・歓迎する経験に「英語のドキュメントが読める方」、「TOEIC600点以上が望ましい」などといった、英語に関する条件が記載されている場合もあるでしょう。
また、インフラエンジニアとしてのスキルが不足していても、「英語力」が歓迎されるポジションであれば、ポテンシャル枠で採用されることもあるため、転職で有利になることもあります。
年収アップのチャンスになることも
英語ができるインフラエンジニアは、年収アップのチャンスにつながることもあります。「技術力がある+英語力がある」ということは希少であり、できる人材が少ないため、年収アップにつながることもあります。
もっともな例としては、外資系企業への転職でしょう。インフラエンジニアが外資系企業に転職をすると、年収が大きく跳ね上がることがあります。外資系企業であれば、年収700万~は珍しくありません。
また、英語手当を支給する会社も一部あります。全ての会社が英語手当を制度化している訳ではありませんが、TOEICの点数に応じて、英語手当が支給されるケースもあり、年収アップにつながることもあります。
キャリアアップに有利な英語力の目安
「キャリアアップのために、英語を学びたい」、でも「どのくらいの英語力があれば評価されるのか、わからない」という人も多いでしょう。
ここでは、インフラエンジニアのキャリアアップに有利となる、英語力の目安について説明していきます。
英語力の基本は、「読み書き」でOK
まず前提として、インフラエンジニアに求められる英語力の多くは「読む力」です。次点で「書く力」です。会話力が必須という場面は多くはないでしょう。
つまり、流暢な英語力はそれほど求められません。大事なことは、業務に必要な情報を自力で読み解くこと、そして簡単な意思疎通ができることです。
TOEICで言うと、600点前後が実用ライン
英語力をTOEICのみで評価することは難しいですが、英語力の指標としてよく使われるのはTOEICのスコアです。TOEICスコアは、参考にされることがよくあります(あくまで参考です)。
インフラエンジニアは、TOEIC600点前後あたりから、英語力は少々ありそうと見なされるイメージでしょう。ただし、英語を頻繁に使う仕事や、外資系への応募時に、やや心もとないスコアでもあります。
また、TOIEC700点前後あたりから、簡単な会話や会議にも対応できそう、800点以上から海外との折衝も任せられるかも、と見なされるイメージです。
英語力をアピールするなら、TOEIC700点以上欲しい
英語力を、転職や社内評価で、明確にアピールしたい場合は、TOEIC700点以上が望ましいでしょう。700点以上が一つの目安となり、800点以上あるとキャリアの選択肢が広がることも出てきます。
ただし、TOEICの点数のみで、評価は勝ち取りにくいとも言えます。あくまでTOEICのスコアは、「英語力を判断する目安」です。ゆえに、TOEIC900点以上といったスコアは、そこまで重要視されないかも知れません。
大事なことは「業務の中で、英語をどう活かしたか」です。例として「海外ベンダー対応」など、業務での利用経験が重要です。
インフラエンジニアとして、英語を学ぶなら:英語学習法
インフラエンジニアとして働く中で、「英語がもう少し読めたらな」と感じる場面もあるでしょう。一方で「今さら勉強するのも、ハードルが高い」と感じる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、インフラエンジニアとして、英語の基礎力をつけたい人に向けて、英語の学習法を説明していきます。
技術英語に特化して学ぶ



エンジリッシュは「ITエンジニアが最速で実践的な英語を勉強するためのwebアプリ」をテーマに作られた学習教材です。TOEIC向けではなく、IT英語を学習したい人向けの教材と言えます。
初級英語は無料で利用でき、中級英語以降は有料です。とりあえず、IT英語に慣れていきたいと考える人にとって、エンジリッシュは手軽に学習できる教材と言えるでしょう。
翻訳ツールを使いながら、英語ドキュメントに慣れる
英語の原文ドキュメントをそのまま読むのは、人によっては大きな苦痛があるでしょう。一方で、Google翻訳を併用して、翻訳文をカンニングしながら、英語原文を読むことで、英語に慣れることもできます。
重要なのは、完璧に読めることではなく、英語に慣れて、必要な情報をつかむ力を身につけることです。始めは翻訳に頼っていても、何度も同じ単語などに触れるうちに、英文そのものも読めるようになるでしょう。
外資系やグローバルプロジェクトを目指すなら、TOEIC
ここはエンジニア上級者向けと言えますが、外資系企業への転職や、グローバルプロジェクトの配属を目指すなら、TOEICスコアがアピール材料となります。
TOEICのスコアは、客観的な英語力の判断材料となるため、配属先の幅やプロジェクトの選択肢を広げるカギになります。キャリアの可能性を広げたいインフラエンジニアにとって、TOEICは効果的な手段です。
TOEICのスコアは、希望するキャリアによって異なりますが、グローバルプロジェクトならTOEIC600点以上、外資系への転職であればTOEIC700点以上を目安として考えてもよいかも知れません。
まとめ:英語はできなくてもOKだが、英語ができれば武器になる
インフラエンジニアに英語力は「絶対に必要」という訳ではありません。技術英語は覚える必要があるものの、日本で働く場合は、日本語のみで対応できる現場はたくさんあります。
むしろ、インフラエンジニアに必要とされるのは「技術力」です。外資系企業であっても「英語力」より「技術力」が優先です。ゆえに、技術力よりも英語力を優先してしまうのは、エンジニアとして本末転倒と言えるでしょう。
しかし、少しずつでも英語に慣れていくことで、「トラブル対応力が上がる」、「新しい技術をキャッチアップできる」、「年収アップや転職の選択肢が増える」といったメリットもあります。
一方で、英語は苦手でも、インフラエンジニアという仕事を諦める必要はありません。まずは技術英語から覚えていくことが、未来のキャリアを大きく変える一歩になるかも知れません。
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