システムオペレーターとは、仕事内容や年収は?きつい、やめとけって本当?

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こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

未経験でも挑戦しやすいシステムオペレーターは、IT業界の成長に伴い、就業機会が多く、人手不足が続いており、需要が高い職種です。しかし、「きつい」、「やめとけ」ともよく言われる仕事でもあります。

では、「システムオペレーター(通称:シスオペ)」とはどのような職種なのでしょうか?、名前に「オペレーター」とありますが、「エンジニア」とは何が違うのでしょうか?

この記事では、システムオペレーターの仕事内容や年収、将来性やきつさなど、目指す前に知っておきたいことを説明します。システムオペレーターに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

システムオペレーターとは?エンジニアとは違うの?

システムオペレーターを直訳すると、「システムの作業者」「システムの操作者」という意味です。

作業者ですので「決められたことを、決められた通りに実行する」ことが仕事であり、具体的にはシステムの監視や障害対応などを、決められたルールに従って、定型作業を行う業務です。

ではシステムオペレーターは、エンジニアとは違うのでしょうか?

結論から言うと、システムオペレーターはITエンジニアではありません。IT業界では、エンジニアは、知識やスキルを持ち、システム設計や構築、トラブルシューティングができる専門職を指します。

一方、オペレーターは、決められた作業のみ実行する作業者を指します

そのため「知識やスキルがなくてもできる、システム関連の作業者」という位置づけが「システムオペレーター」であり、IT業界では「オペレーター」と「エンジニア」は区別されていることが多いです。

システムオペレーターの仕事内容は?運用保守とは違うの?

システムオペレーターの仕事は、ネットワークやサーバー、またホストコンピューター(汎用機)が、「常に動いているか?を監視すること」が仕事です。またIT業界では「監視オペレーター」とよく呼ばれます。

仕事内容は、就業先によって若干の差はありますが、基本は下記です。

システムオペレーターの仕事内容

■システムオペレーターの仕事概要:
・監視で障害を検知する(通信できない、通信遅延、通信量増加、機器異常など)
・問い合わせ対応(リモートアクセスできない、通信遅延、通信不安定など)

■システムオペレーターの、具体的な仕事:
・モニターを見て、サーバーやネットワークの状態を監視(動作しているか?の確認)
・定期的にサーバーへパケットを送信し、応答が返ってくるかを確認(Ping監視)
・障害が起きれば、アラームが鳴るため、障害を対応する(アラームが鳴らなければ、基本は暇)
・障害対応は、マニュアル(手順書)に書いてあることを、書いてある通りに実行する
※決められたこと(マニュアルに書いてあること)以外は、基本やってはいけません

システムオペレーターは、運用保守とは違うの?

システムオペレーターの仕事は、しばしば「運用保守」と言われることがありますが、正確に言うと運用保守ではありませんシステムオペレーターは、基本的には「監視」の仕事であり、サーバーやネットワーク、ホストコンピュータなどの状態をチェックする仕事です。

ただし、未経験者には「運用保守」と「監視」の違いを理解することは難しいです。また、企業によっては「監視の仕事」を「運用保守の仕事」として扱うケースも多いため、切り分けが難しいでしょう。

ただし「運用保守」と「監視」は別の仕事です。下記から「運用」や「保守」、「監視」の仕事についての違いを説明します。

■運用、保守、監視の仕事の違い:
・運用:日業業務の維持や最適化を行い、基本的に日勤の業務。スキルも身につく仕事。
・保守:安定稼働のための予防や修正を行う業務。仕事によってはスキルも身につく仕事。
・監視:リアルタイムでのチェックを行い、夜勤を含めたシフト勤務。スキルを身につけることは難しい

監視の仕事は、システムの状態を見守る仕事であり、「知識」や「スキル」なしでもできます。逆に言うと「知識」や「スキル」なしでもできる仕事です。

一方で、運用や保守は、システムの維持や最適化をする仕事であり、「知識」を求められます。また経験を積むにあたり、更に「知識」や「スキル」が身につく仕事です。

システムオペレーターの年収はどのくらい?

IT業界にはインフラエンジニアやネットワークエンジニアなど、様々な職種がありますが、システムオペレーターの年収は、IT業界の職種の中でも低めで、上がりにくい職種です。

エンジニアは技術者ですので、難易度やニーズが高いスキルがあれば、市場で求められるため、年収は上がります。しかし、システムオペレーターのように、特別なスキルがいらない職種では、年齢が高くなっても年収はなかなか上がらないことが多いでしょう。

つまり、「簡単な仕事」ほど「年収が低く、その後も年収の伸びも低い」といえます。

下記図はインフラエンジニアの「スキル」と「年収」の関係図ですが、システムオペレーターの仕事は「監視」の仕事ですので、モデル年収は240-400万円程(下記図の赤枠)になるでしょう。

■関連記事:サーバーエンジニアの平均年収はどのくらい?年収1000万円は目指せる?年収の上げ方も解説

システムオペレーターはきつい?やめとけ?、それとも楽?

システムオペレーターは「きつい」、「やめとけ」とよく言われ、実際に離職率もかなり高い職種です。

一方で「楽」とも言われ、長く続ける人は、10年以上システムオペレーターを続ける人もいます。この違いは何でしょうか?

ここでは「きつい」、「やめとけ」と言われる理由や、「楽」と言われる理由について、よく言われるトップ3を説明します。

システムオペレーターはきつい?やめとけ?

■システムオペレーターがきつい、やめとけと言われる理由 トップ3:
・スキルが身につかないので、将来が不安、面白くない
・年収が低い、年収が上がらない
・夜勤シフト(24/365)を辞めたい

システムオペレーターを「きつい」と考え、やめたいと思う人は、ほぼ上記の理由のいずれか、もしくは複数を考えています。

「専門性をつけたくてIT業界に挑戦したのに、スキルが身につかなくて面白くない」、「年収が上がらなくて、将来が不安」、「夜勤シフトが慣れない、疲れた」といった理由で、システムオペレーターにきつさを感じ、システムオペレーターを辞めていく人は多いです。

システムオペレーターのきつさについては、別記事ですが、「運用監視オペレーターは、早めに辞めて転職すべき。将来性は低い」に記載しておりますので、興味があればあわせてお読みください。

システムオペレーターは楽?

システムオペレーターを長く続ける方は、下記内容に「楽(ラク)さ」を感じている人が多いです。

■システムオペレーターが楽と言われる理由 トップ3:
・スキルアップや深い知識、勉強を求められないため、ラク
・夜勤シフト(24/365)も、慣れると休みが増えるので、ラク
・プロジェクトによっては忙しくない(むしろ暇)で、ラク

きつさを感じるか、ラクさを感じるかは人それぞれですが、システムオペレーターに「きつさ」を感じるようであれば、システムオペレーターを長く続けるのは厳しいと思います。

システムオペレーターの将来性は高い?低い?

システムオペレーターは、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアを目指していくステップとしては有効ですが、システムオペレーターのみの経験では、将来性は高くはありません。むしろ将来性が低い職種でしょう。

現在はシステムオペレーターの需要はあります。一方で、IT業界は自動化が進んでおり、単純なオペレーション作業は、システムで効率化され始めています。またクラウドサービスの利用が広がることで、オペレーション業務も削減されつつあります。

もちろん完全にシステムオペレーションがなくなる訳ではありませんが、今後システムオペレーターの仕事が減っていく可能性はあります。またシステムオペレーターを長く続けると、技術スキルを習得できないまま、キャリアの選択肢が狭まり、将来自分自身の首を絞めるかも知れません。

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システムオペレーターになるためには、どんな資格が必要?

システムオペレーターになるためには、必要な資格はありません。ただし、事前に資格を取得すると、システムオペレーターへの転職が有利な資格はあります

ここでは、システムオペレーターとしての就職や、キャリアアップに役立つ、有利な資格を説明します。

システムオペレーターになるために有利な資格①:CCNA

システムオペレーターになるために一番有利な資格は、ネットワーク系資格であるCCNACisco Certified Network Associate)です。

CCNAがあれば、システムオペレーターになるには「圧倒的有利」でありかつ、システムオペレーターを卒業し、運用や構築にステップアップする際にも有利です。ネットワークの基礎から学べるCCNAは、インフラエンジニアとしてのキャリアを作る上で、非常に役立ちます。

ただしCCNAは、未経験者には独学難易度が少々高く、初級資格ではなく「準初級資格」であるため、学習難易度がやや高いことがネックです。しかしその分、取得後の評価は高く、キャリアの幅が広がる資格です。

CCNA(ネットワーク系):
・おすすめ度:★★★
・難易度:ITSS レベル2(準初級)
・受験料:36,960円(税込み)
・取得するメリット:ネットワークの基本知識を獲得できる

システムオペレーターになるために有利な資格②:LPIC/LinuC-1

システムオペレーターになるのに非常に有利な資格として、サーバー系資格であるLPIC/LinuCのレベル1があります。これはLinuxの基礎知識と、基本操作スキルを証明する資格です。

LPIC/LinuCとCCNAを比較すると、CCNAがやや有利と言える場面もありますが、LPIC/LinuCの方が初級資格として難易度が低めのため、知識ゼロからでも挑戦しやすいのがメリットです。またネットワーク関連の仕事より、サーバー関連の仕事の方が多いケースがあり、CCNAよりもLPIC/LinuCの方が求められることもあります。

LPIC/LinuCのレベル1も、システムオペレーターとしての就職に非常に有利であり、将来的なキャリアアップにも役立つ資格です。Linuxのスキルは、システム管理や構築に使えるため、エンジニアとしてのステップアップの武器になります。

■LPIC/LinuC-1(サーバー系):
・おすすめ度:★★★
・難易度:ITSS レベル1(初級)
・受験料:33,000円(税込み)
・取得するメリット:サーバーOSの基本知識を習得できる

システムオペレーターになるために有利な資格③:ITパスポート

システムオペレーターになるためのおすすめ資格として、ITパスポートもあります。

ITパスポートは非エンジニア向けの資格ですが、取得難易度が易しいかつ、受験料も安いため、未経験でも挑戦しやすいでしょう。またシステムオペレーターになるために重要な「ITへの関心や興味」を、ITパスポートで証明できるのもメリットです。

ただし、ITパスポートのみでは、システムオペレーターとしても、評価が十分ではないこともあります。また、ITパスポートのみでは、その後のキャリアアップも見込みにくいことがネックです。

■ITパスポート(国家資格):
・おすすめ度:★
・難易度:ITSS レベル1(初級)
・受験料:7,500円(税込み)
・取得するメリット:ITに対しての興味・関心をアピールできる

システムオペレーターからキャリアアップするには?

システムオペレーターからキャリアアップを目指す場合、もっとも一般的なキャリアは、インフラの運用や構築のエンジニアを目指すことでしょう。このキャリアパスを選ぶことで、オペレーターからエンジニアにステップアップし、より専門的なスキルを身につけることができます。

運用や構築のエンジニアになれば、オペレーターではなくエンジニアとなり、スキルが身につく仕事に携わり、スキルアップに伴い年収も上がっていきます。また、夜勤シフトからも卒業できるでしょう。

下記からはシステムオペレーターからのキャリアアップについて、説明していきます。

システムオペレーターからのキャリアアップ:資格を取得し、現職で異動

システムオペレーターからのキャリアアップでは、資格取得を求められることが非常に多いです。特にCCNAやLPIC/LinuC-1の資格取得は、ほぼ必須とされる場合が多く、更に高度な資格や実際に手を動かしての学習も求められることもあります。

どの資格を、どの程度取得する必要があるか?は、勤務先の会社やプロジェクトの状況次第になる傾向が強いです。そのため、担当営業や上司と定期的に話し合い、資格取得の計画と立てるとともに、プロジェクト異動などのキャリア相談を行うことが重要です。

ただし、勤めている会社によっては、「3-5年は異動させられない」、「構築の仕事がない」などと言われることもあります。このような場合は、キャリアアップの道を閉ざさないように、可能であれば資格取得に注力し、自分のスキルを高める準備をすることが大切です。

システムオペレーターからのキャリアアップ:資格を取得し、転職

勤めている会社によっては、キャリアアップの異動が叶わないこともあります。特に、上流工程の仕事がない会社では、スキルを伸ばしても、チャンスが得られないことがあります。そのような時は転職を検討するしかないでしょう。

ただし、システムオペレーターとして何年経験を積んでも、エンジニアとしてのキャリアアップのための勉強をしていないと、知識やスキルが不足となり、エンジニアになることが難しいことが多いです。

インフラ系のエンジニアを目指すのであれば、知識やスキルの証明が必要であり、資格取得は知識の証明に非常に有効ですCCNAやLPIC/LinuCといった資格を取得した後に、転職を行うと、エンジニアとしてのキャリアアップのチャンスが得られやすいでしょう。

■関連記事:サーバーエンジニアがとるべき資格はこれ!転職、年収アップに必須です

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