こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
近年、IT業界でキャリアチェンジを考える人の中で、「インフラエンジニアは転職しやすい」、「IT未経験からでも目指しやすい」と聞いて、インフラエンジニアに興味を持つ人が増えています。
インフラエンジニアは、システムの基盤を支える重要な職種でありながら、開発エンジニアよりも即戦力性を求められず、挑戦ハードルが低いため、異業種・異職種からの転職先として、人気が高まっています。
しかし、なぜ、インフラエンジニアが未経験から転職しやすいと言われるのでしょうか。また、未経験からどのように目指せるのか、どのような準備がおすすめされるのでしょうか。
この記事では、インフラエンジニアが転職しやすいと言われる理由、未経験者がどのように目指せるのか、インフラエンジニアになった後のキャリア、転職成功に必要な準備などを解説していきます。
インフラエンジニアに興味を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
なぜ今、インフラエンジニアは転職しやすいと言われるのか
インフラエンジニアは、未経験からでも転職しやすいと言われ、近年注目されていますが、どれくらいインフラエンジニアは未経験から挑戦しやすいのでしょうか?
ここでは、未経験からでも転職しやすいと言われる背景や、IT業界での需要動向、スキル要件の観点から、その理由なども含めて、詳しく説明していきます。
そもそも、インフラエンジニアの仕事内容がよくわからない方は、別記事の「インフラエンジニアとは?仕事内容をわかりやすく、具体的に解説」を、あわせてお読みください。
未経験だと、どのくらいインフラエンジニアは転職しやすいの?
インフラエンジニアの転職しやすさは、ITエンジニアの中でも、かなり高いです。未経験にも広く門戸が開かれている一方で、経験者であれば「引く手あまた」と言われるほどの需要です。
ここでは、主要ITエンジニア職種(インフラエンジニア、プログラマ、Web系エンジニアなど)における、「未経験からのなりやすさ」と、「経験者の転職のしやすさ」を比較していきます。
未経験転職のしやすさ | 経験者転職のしやすさ | |
インフラエンジニア | ◎ | ◎ |
プログラマー | ○ | ◎ |
Web系エンジニア | ▲ | ◎ |
ヘルプデスク | ◎ | ○ |
クラウドエンジニア | ▲ | ◎ |
セキュリティエンジニア | ▲ | ◎ |
テストエンジニア | ◎ | ▲ |
品質管理 | ◎ | ▲ |
インフラエンジニアは数あるITエンジニア職種の中でも、「未経験からなりやすく」、「経験者になっても、キャリアアップ転職がしやすい」と言えるでしょう。
■関連記事:インフラエンジニアと開発エンジニア、どっちがいい?違い、適性等を比較
インフラエンジニアの転職しやすさの相場観
未経験からでも、比較的転職しやすく、経験者であれば、圧倒的に転職しやすいのが、インフラエンジニアです。
ここでは、インフラエンジニアの転職しやすさについて、キャリアレベルをもとに、相場観を5段階で評価してみます。
キャリアレベル | 転職しやすさ | 備考 |
未経験(20代) | ★★★☆☆ | 夜勤OKや、資格有なら非常にチャンス多い |
未経験(30代前半) | ★★☆☆☆ | 資格+強い意欲が必要 |
経験者(運用1年以上) | ★★★★☆ | 年収アップ、待遇改善の転職が可能 |
経験者(構築経験あり) | ★★★★★ | 引く手あまた、求人選び放題 |
クラウド経験者(AWSなど) | ★★★★★ | 年収600-800以上も狙える、指名オファー多数 |
上記のように、未経験であっても、転職のチャンスが多いのがインフラエンジニアですが、本領を発揮するのが「経験者になってから」です。
未経験でも、20代であれば、かなり転職はしやすいと言えます。30代前半でも、未経験から受け入れる会社もあります。しかし、20代と比べると、30代は挑戦ハードルが高まります。
インフラ経験1年以上から、転職のしやすさが大きく高まります。特にインフラの「構築や設計」に携わる人材であれば、いきなり引く手あまたの存在になります。
dodaのような求人サイトを、インフラエンジニアで検索すると、多くの求人の必要経験には「インフラ(サーバーやネットワーク)の構築経験」と書いてあるでしょう。
さらに、クラウド(AWS、Azureなど)の経験者は、大きな年収アップも望め、さまざまな会社からオファーをいただける状況になるでしょう。
インフラエンジニアが未経験からでも転職しやすい理由
未経験インフラエンジニアの需要は、以前と比較しても年々増加しています。ITの実務経験がなくても、未経験者や文系出身者でも、インフラエンジニアは採用されやすいのは事実です。
インフラエンジニアの入り口のハードルが低い理由は、具体的には以下です。
■インフラエンジニアは未経験からでも転職しやすい理由:
・スキルがなくても、携われる仕事も多い
・実務経験がなくても、採用される求人も多い
・資格やスクール経由の学習も、有効に評価されやすい
スキルがなくても、携われる仕事も多い
例として、プログラマーや、Web系エンジニアを目指す場合は、Java、Python、Reactなどのプログラミングスキルを学ぶ必要があります。
プログラムを書けないと、仕事にならないと言えますが、プログラミングを学び、習得するには多くの時間が必要です。プログラマ職で配属を行うには、人によっては、500~1,000時間といった学習時間が必要でしょう。
一方で、インフラエンジニアは、最初に配属される仕事が、「運用」や「監視」といった、マニュアルベースで行える仕事も多いため、スキルがそれほどなくとも、配属がしやすいと言えます。
採用企業は、プロジェクトに配属できる人材でなければ、基本的に採用しません。しかしインフラエンジニアは、初期段階の学習コストを抑えて配属ができるため、未経験からも転職しやすいと言えます。
実務経験がなくても、採用される求人も多い
IT業界は、急速な発展や進化に伴い、人手不足が続いている状態です。
その中でも、特にインフラエンジニアは、運用や監視フェーズの案件も大量に存在するため、企業側も「未経験でもポテンシャル採用」という採用方針を取ることが少なくありません。
例として、求人サイトで「インフラエンジニア 未経験」と検索すると、数百件以上の求人が表示されることもあります。特に20代~30代前半までであれば、「育てる前提」の採用も多く、書類選考も通りやすいでしょう。
資格やスクール経由の学習も、有効に評価されやすい
未経験者であっても、CCNAやLPIC、LinuCなどの資格取得、またはインフラ特化のスクールや職業訓練を受けていれば、「意欲がある」、「学習習慣がある」と見なされ、書類通過率や面接合格率が高まります。
企業側は、「即戦力」でなくても、「育成可能な人材」であるかを重視しています。ゆえに、インフラの基礎的な知識習得が大きな武器となり、資格取得やスクールでの学習も、大きな評価対象となります。
インフラエンジニアが転職しやすい理由
インフラエンジニアは未経験者でも転職しやすい職種です。しかし、経験者になると、さらに転職がしやすくなります。
実務経験やスキルを積めば、年収アップやキャリアアップの転職は、他のITエンジニア職と比べて、やりやすい職種と言えるでしょう。以下からはインフラエンジニアが転職しやすい理由を説明していきます。
インフラエンジニアの需要は、年々増加している
インフラエンジニアの需要は、以前と比較して年々増加しています。具体的な理由は、以下が挙げられますです。
■インフラエンジニアの需要が増加している理由:
・クラウド移行の急加速
・情報システムの高度化、多様化
・セキュリティ需要の増加
クラウド移行の急加速
以前は、物理サーバーを自社に設置し、サーバーを管理するオンプレミス運用が主流でした。しかし今では、AWSやAzure、Google Cloudといったクラウドサービスへの移行が急速に進んでいます。
オンプレミスからクラウドサービスへの移行に伴い、「クラウドに強いインフラエンジニア」の需要が高まり続けています。
クラウドは非常に便利である一方で、オンプレからクラウドへの移行や、オンプレとクラウドの併用により、技術的な難易度が上がっており、最新技術にも対応できるインフラエンジニアが強く求められています。
情報システムの高度化、多様化
近年のシステム環境では、オンプレミス、クラウド、ハイブリッド、仮想化、コンテナ、マイクロサービスなど、構成が複雑化し、さらに高度化・多様化しています。
一方で、高度化し、多様化し続けるシステム環境において、インフラの設計から運用まで対応ができるインフラエンジニアは、圧倒的に不足し続けている状況です。
このような中、物理サーバーやクラウド、ネットワークなどから先端技術まで、幅広い知識を持ったインフラエンジニアが欠かせない存在となっており、インフラエンジニアの需要がさらに高まっていると言えます。
セキュリティ需要の増加
近年では、情報漏洩やサイバー攻撃が増えている中、ネットワークやサーバーなどのセキュリティ強化が、どこの企業においても重要課題となっています。
VPNやファイアウォール、ログ監視など、セキュリティ面でもインフラエンジニアが携わる必要がある範囲が広がり続けていますが、セキュリティ需要の増加に対して、セキュリティに強いエンジニアも人材不足です。
セキュリティ需要の増加によって、インフラエンジニア需要も増加していると言えます。
前述で、「インフラエンジニアは、未経験から転職しやすい」と説明しましたが、上記理由も含めて、一時的な流行ではありません。
インフラエンジニアは、将来性を含めて、「IT業界の構造的に、需要が高まっている」とも言えるでしょう。
■関連記事:インフラエンジニアの将来性は?AI時代に必要とされるキャリアとは
インフラエンジニアに転職しやすい人の特徴は?
インフラエンジニアは、IT業界において安定した需要があります。また、「未経験からでも目指せる職種」として、人気が高まってきています。
一方で、誰でも簡単に転職できる訳ではありません。実際には、「向いている人」と「苦戦しやすい人」の違いがあるのも事実です。
ここでは、「どんな人が、インフラエンジニアに転職しやすいのか」について、3つの特徴に分けて、説明していきます。
■未経験から、インフラエンジニアに転職しやすい人の特徴:
・地道にコツコツ学び、取り組める人
・夜勤やシフト勤務に抵抗がない人(キャリア初期時)
・サーバーやネットワークに興味がある人
地道にコツコツ学び、取り組める人
インフラエンジニアの仕事は、ITエンジニアの中では「裏方の仕事」です。開発エンジニアのように、動くアプリを作ったり、デザイナーがデザインをするように、成果がすぐ目に見える職種ではありません。
ゆえに、インフラエンジニアの仕事は、華やかなイメージはないでしょう。だからこそ重要とも言えますが、裏方の仕事に「地道に取り組める人」が評価されやすいとも言えます。
サーバーの設定や、ネットワークの構築では、正確性や継続力、忍耐力が求められます。ミス一つで、システムダウンや、セキュリティに穴を開ける可能性もあります。
ゆえに、地道にコツコツ取り組める人が評価されます。「裏方の仕事はかっこいい」、「縁の下の力持ちのような存在になりたい」と考えている人は、考え方がマッチし、評価されやすくなります。
また、未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、最初の学習時には、「知らない用語」や「聞いたことがないツール」がたくさん出てきます。この学習初期は、インフラエンジニアを目指すにあたり、最初の壁です。
この時、分からなくて落ち込むのではなく、「分からなくて当然」と割り切り、1つずつ理解を深めていける人は、現場でも順調に成長していけます。
夜勤やシフト勤務に抵抗がない人(キャリア初期時)
インフラエンジニアとして、未経験から入りやすいのは「運用・監視系」の仕事です。一般的に、「運用や監視」などから、キャリアをスタートすることが多いでしょう。
この段階では、システムが正常に稼働しているかを監視し、障害があれば一次対応を行う、といった業務が中心となります。この監視業務では、対応が24時間365日必要であるため、夜勤やシフト勤務が発生しやすいポジションです。
また、未経験採用においては、「仕事に配属できる人」でないと採用されませんが、「夜勤ができない人の配属」は配属難易度が大きく上がります。キャリア初期時は、夜勤も柔軟に受け入れる姿勢があると、転職しやすいでしょう。
もちろん、「夜勤があるのは、無理」と思う必要はありません。夜勤シフトは、ずっと続くものではなく、将来的には日勤のみの運用や、構築、設計にステップアップする人が多数です。
重要なことは、「キャリア初期時には、ある程度の柔軟性を持てるか」であり、それが転職のしやすさにも直結します。
サーバーやネットワークに興味がある人
IT業界では、「興味の有無」がキャリアの成長を左右する、重要な要素です。興味があると、自発的に学ぶ傾向が強く、また定着しやすくなると言えます。
サーバーや、ネットワークの知識は、基本的に「本を読む」、「コマンドを打つ」、「設定画面を操作する」など、「座学+手を動かす」の反復で身につけていきます。
この時に、「なんとなく面白い」と感じられる人は、学びが苦になりにくいでしょう。面白いと感じ始めたら、知識と経験の吸収スピードが大きく高まります。
一方で、「最初から、強い興味がないとダメなのか?」というと、決してダメではありません。仕事として触れてみることで、好きになる人も多く、また学習をすることで、スキルが身につく充実感を感じる人もいます。
例として、「Linuxの勉強を始めたら、Linuxの構成や意味が分かってきた。なんか達成感がある」というような声もあります。最初は小さな興味でも、十分にスタートラインに立てます。
上記の、インフラエンジニアとして転職しやすい人の特徴をまとめると、「地道に学べ」、「柔軟性があり」、「インフラに興味を持てる人」という3点は、大きなポイントです。
3点すべてを満たすのであれば、「インフラエンジニアは向いている」と考えてもよいです。2点満たすだけでも、転職成功の可能性は、現実的に高いとも言えます。
■関連記事:インフラエンジニアに向いている人は、こんな人!特徴や性格を説明
逆に、インフラエンジニアへの転職が難しい人の特徴は?
インフラエンジニアは、「未経験でも目指しやすいIT職種」であるのは間違いありません。一方で、「全員が簡単に転職できるわけではない」のも現実です。
転職のしやすさは、「職業への価値観」や「柔軟性」などに大きく左右されます。ここでは、インフラエンジニアへの転職が難しいケースについて、具体的な4つの特徴を挙げて説明していきます。
■インフラエンジニアへの転職が難しい人の特徴:
・技術よりも「楽して稼ぎたい」という考えが強い人
・最初から「リモートワーク」を希望する人
・夜勤を完全に避けたい人
・スキル習得、資格取得などへの投資、勉強を惜しむ人
技術よりも「楽して稼ぎたい」という考えが強い人
インフラエンジニアは、経験を積むことで年収が安定しやすく、「スキルアップ=年収アップ」が見込める職種です。ゆえに、手に職をつけたい人にとって、魅力的な職種とも言えます。
一方で、よくある誤解の一つとして「エンジニア=楽して稼げる」という考えがあります。
実際の現場では、地道な学習や、トラブル対応、正確な作業が求められ、プレッシャーがかかることも少なくありません。実際は、「複雑なログを読み解く」ことや、「システム理解」を求められるなど、楽な仕事ではありません。
ゆえに、「最低限の努力すらしたくない」という考えでは難しいです。入社後につらくなる可能性が高いでしょう。未経験からでもチャンスがある職種だからこそ、「努力する姿勢があるか」が問われます。
■関連記事:インフラエンジニアが、仕事についていけないと感じる瞬間と対処法
最初から「リモートワーク」を希望する人
最近では、ITエンジニア職のリモートワークが当たり前になりつつありますが、「リモートワークの仕事は、基本的に経験者枠」と考えた方がよいでしょう・
インフラエンジニアの仕事は、上流から下流までありますが、未経験者が始める仕事は、スキルがそれほど問われない、下流工程の仕事です。下流工程の仕事は、現地で作業をすることが多いと言えます。
また、企業側も、未経験者に対しては「まずは現場に慣れてもらいたい」という考えもあります。その中で、最初から「リモート勤務がよい」、「在宅でないと難しい」と考えると、大きなミスマッチが発生し、選考に通りにくくなるでしょう。
「経験を積んだ後に、リモートワークをしたい」という考えであれば、全く問題ありません。
夜勤を完全に避けたい人
未経験からインフラエンジニアになる場合、まず任されることが多い仕事は「24時間体制でのシステム監視」や「1次対応」です。
これらの仕事は、シフト制・夜勤がセットになっていることが多いため、「夜勤は絶対にできない」となると、応募できる求人が大きく減ります。
インフラエンジニアの仕事においては、設計構築といった上流工程は日勤です。日勤のみの運用業務もあります。
しかし、日勤のみの案件は、スキルや知識が求められる、経験者向けのポジションでもあります。未経験からでも、日勤のインフラエンジニアになれることはもちろんありますが、選考ハードルをくぐり抜ける必要があります。
また、夜勤シフトはずっと続くわけではありません。実務経験を積んだ後は、日勤のみの設計や構築、リモート併用のクラウドなどへのステップアップは十分に可能です。
ゆえに、「最初は下積み期間」と割り切って経験を積める人は、その後のキャリアが広がりますが、最初から「夜勤は無理」と考えていると、未経験からインフラエンジニアになるチャンスは大きく減るでしょう。
スキル習得、資格取得などへの投資、勉強を惜しむ人
インフラエンジニアは、未経験からでもなりやすい職種です。だからと言って、「誰でもできる、簡単な仕事」という訳ではありません。インフラエンジニアとしてステップアップするには、多大な学習が必要です。
また、未経験からなりやすいとは言え、「インフラを全く学習したことがない人」を採用することは、「意欲が低い」、「採用リスクが高い」、「入社後につまづきそう」と考える会社も多いのも事実です。
よほどのブラック企業でない限りは、面接で「インフラの勉強したことは?」、「エンジニアになるために取り組んでいることは?」と聞かれるでしょう(新卒採用は除く)。特に20代後半以降からは顕著です。
今の時代では、Ping-tやYoutubeの技術解説など、無料に学べる手段が豊富にあります。職業訓練やリスキリングも、無料や格安で受講できます。
それでも「お金も時間もかけたくない」となると、「成長意欲がない」と見なされることは多いでしょう。
また、インフラエンジニアになった後も、学ぶ姿勢がないと、入社後に苦労します。IT業界では、学び続ける姿勢が必須であるため、「学習=自己投資」と考えられないと、キャリアアップが難しくなります。
■関連記事:【初心者必見】効率的に学ぶ!インフラエンジニアの勉強方法と順番
上記のように、「楽して稼ぎたい」や「学習・資格取得などに投資したくない」などといった考えが強すぎると、転職活動や現場での定着に苦戦する可能性が高いでしょう。
一方で、柔軟に取り組みかつ、学ぶ意欲があれば、インフラエンジニアは非常に現実的かつ、安定感がある転職先であるとも言えます。
インフラエンジニアに転職しやすくなるための準備とは?
「インフラエンジニアには、未経験からでも目指せる」とよく言われますが、実際には準備の有無が、転職の成功・失敗を大きく左右します。
ただ何となく求人に応募するだけでは、書類で落とされたり、面接でつまづいたりする可能性も高くなります。以下からは、インフラエンジニアに転職しやすくなるための準備を説明していきます。
■インフラエンジニアに転職しやすくなるための準備:
・ITインフラについて、学習をする
・可能であれば、資格を取得する
・インフラエンジニアを目指す理由(志望動機)を考える
・スクールや職業訓練を利用するのも、一つの手段
ITインフラについて、学習をする
求人票に「未経験歓迎」と書かれていても、それはあくまで「実務未経験でも可」という意味です。「知識ゼロでもOK」ではないことも多いでしょう。
実際の選考では「どのくらいITインフラについて、調べているのか」や「学習経験」、また「仕事内容の理解度」を問われるでしょう。
「未経験歓迎」と書いてあるインフラエンジニア求人は、応募数が多い会社であれば、毎月1,000件以上の書類選考を行っています。この毎月1,000人の応募の中から、選ばれる必要もあります。
この準備が足りないと、「この人は、何となく応募しただけだな」と判断され、書類や面接で落ちてしまうケースも珍しくありません。
準備の中で、誰でもできかつ、採用企業に刺さる行動は、「ITインフラについて、学習する」ことです。サーバーもしくはネットワークについて、事前に学習すると、他応募者との差別化につながります。
可能であれば、資格を取得する
未経験からIT業界を目指す上で、最大の壁は「スキルや経験がないこと」です。そこで役立つのが、資格という「客観的な知識の証明」です。
特にインフラエンジニアになりやすい資格としては、ネットワーク系の「CCNA」、サーバー系の「LPIC level1」、「LinuC レベル1」のいずれかを取得することです。
採用担当者の視点で見れば、「CCNAやLPICを取得している=インフラエンジニアの基礎知識を理解している」と判断できます。資格は、採用選考における信頼材料となり、他応募者との差別化にもつながります。
その他に、「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」といった資格もありますが、未経験からインフラエンジニアを目指すにあたり、もっとも適切な資格は、「CCNA」、「LPIC」、「LinuC」のいずれかです。
■関連記事:【取得順番はこれ!】インフラエンジニアのおすすめ資格を取得順で解説
インフラエンジニアを目指す理由(志望動機)を考える
転職活動で避けては通れないかつ、もっとも作成が難しいのが「志望動機」です。特に企業がもっとも知りたいのは「この人は、なぜインフラエンジニアを目指すのか?」という、インフラエンジニアを目指した理由です。
特に、「開発ではなく、なぜインフラを志望するのか?」という点を大事にする会社が多いため、「なぜITインフラに興味を持ったのか」を整理し、説得力を高めていく作業も重要です。
例として、「前職でのITトラブルで、IT部門と関わる中で、インフラの重要性を知った」、「自宅のネットワーク設定やトラブル対応をする中で、ITインフラへの関心が高まった」など、自分の言葉で、ストーリーにするとよいでしょう。
■関連記事:【未経験者】インフラエンジニアに受かる志望動機の例文、作り方
スクールや職業訓練を利用するのも、一つの手段
独学が苦手な人や、就職支援まで一貫して受けたい人は、スクールや職業訓練を活用するのも、有効な手段です。「何を、どこからどこまで学べばよいのかがわからない人」にとって、非常に有効です。
民間のITスクールでは、有料スクールが多いですが、学習カリキュラムが作ってあるため、も受けることができます。また、ハローワーク経由の職業訓練であれば、ほぼ無料でインフラ技術を学ぶこともできます。
また、近年のITスクールでは、就職支援までセットで行っている所が多いため、履歴書・職務経歴書の添削から、面接対策などまで、一貫した就職支援を受けることもできます。
学習効率を高め、就職までの効率性を高めるために、プロの支援を受けたい人は、スクールや職業訓練も視野に入れるとよいでしょう。
■関連記事:ITの職業訓練は意味ない?就職できない?向いている人と、向かない人とは
インフラエンジニア転職における、キャリアパス・年収イメージ
インフラエンジニアに未経験で転職する場合は、「実際にどんな仕事になっていくの?」、「年収はどれくらいになりそう?」といったことを知りたい人も多いでしょう。
インフラエンジニアは、仕事のステージによってキャリアパスや年収が大きく変わっていきます。ここでは、インフラエンジニアのキャリアパスや、年収イメージについて、段階を追って説明していきます。
まず最初に、インフラエンジニアの年収イメージとは
インフラエンジニアの年収は、経験やスキルによって大きく変わっていきますが、もっとも年収に影響を与えるのは、「設計」、「構築」、「運用」といった工程です。
インフラエンジニアとして、どの工程が担当できるかで、年収が大きく変動します。具体的には、以下の画像程度の年収になるでしょう。

最初は、インフラの運用、保守、監視からスタートするのが一般的
インフラエンジニアのキャリアは、多くの場合は「運用・保守」や「監視」から始まります。これらの仕事内容は、システムの安定稼働を守る役割であり、マニュアルに沿って対応する仕事が中心です。
具体的には、サーバーやネットワークの監視や、アラート発生時の一次対応といった監視業務から始まります。また、設定変更やアップデート対応、トラブルシューティングといった運用・保守業務も行っていきます。
この段階では、まだ高度なスキルが求められる訳ではありません。ゆえに、未経験でも入りやすく、現場経験を積むチャンスのタイミングです。
年収相場としては、初年度は240万~400万程度に収まることが多いでしょう。ここで年収を大きく分けるのは、インフラの基礎知識があるか、ないか、が大きいです。
例として、CCNAやLPICといったインフラの入門資格を既に取得しているようであれば、年収は330~400万程度に収まりやすく、知識ゼロの場合は年収は240~350万程度に収まりやすいでしょう。
構築・設計にステップアップすれば年収もアップ
運用や監視での経験を2-3年積んだ後は、一つ上流の「構築」にステップアップするのが一般的な流れです。早い人は1年で構築に進む人や、最初から構築補佐の仕事に就く人もいますが、運用監視からが一般的です。
構築では、サーバーやネットワーク機器の設定、OSインストール、テストなどを行います。構築経験を1-3年経験した後に、インフラ構成を検討、セキュリティ要件の設計などといった設計業務にステップアップします。
構築は「知識とスキル」が必要とされ、設計ではそれに加えて「経験」も重要視されます。また、構築フェーズを担当できるようになると、年収も400万以上に上がるでしょう。
また、構築や設計を担当できるようになると、転職市場での市場価値が一段階アップし、キャリアの選択肢も大きく増えます。
クラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、フリーランスへの道も開ける
インフラエンジニアとして、設計構築の経験を積むと、次のキャリアの分岐点が出てきます。特に人気があるのは、「クラウドエンジニア」、「セキュリティエンジニア」、また「フリーランス」でしょう。
クラウドエンジニアが扱うクラウド技術は、年々需要が拡大しており、特にAWSやAzureを使ったインフラ設計・構築ができるエンジニアは市場価値が高いです。また、リモート勤務がもっともやりやすいのも、クラウドです。
セキュリティエンジニアについても、年々需要が拡大しています。初期段階ではSOC(セキュリティオペレーションセンター)やSIEM(統合ログ管理)から始まり、キャリアを積むと、ゼロトラスト構成やSASEなどに携わっていきます。
クラウドエンジニアやセキュリティエンジニアにおいては、需要も高く、年収も600万~900万程度のポジションが多く存在します。
また、この頃には、フリーランスとして独立し、報酬を優先する働き方もやりやすくなります。近年ではフリーランスになるハードルは低く、案件単価も月60~100万辺りを狙っていくこともできるでしょう。
■関連記事:インフラエンジニアはキャリアパスをどう描く?キャリアパスを解説
まとめ:インフラエンジニアは、段階的に年収が上がっていく
インフラエンジニアの魅力として、未経験からでも始められる敷居の低さと、経験を積む事で着実にキャリアアップ・年収アップが実現できる構造があります。
今までの内容をまとめると、以下のようになります。
キャリア段階 | 主な業務 | 年収の目安 |
初期(0-2年) | 運用・保守・監視 | 240-400万円 |
中堅(2-5年) | 構築、設計 | 450-650万円 |
ベテラン(5年以上) | クラウド、セキュリティ、独立 | 600万円以上 |
最初は地道な運用や監視からスタートしても、スキルと経験を重ねていくことで、年収などが改善され、希望も叶いやすくなっていくのが、インフラエンジニアという職種の大きな魅力と言えるでしょう。
「将来性のあるIT職に就きたい」、「手に職をつけて安定収入を得たい」という方にとって、インフラエンジニアは非常に現実的かつ、将来の可能性も見込める選択肢だと言えます。
■関連記事:インフラエンジニアの年収はいくら?年齢・経験別の相場、年収の上げ方
さいごに
「手に職をつけたい」、「将来性がある分野で働きたい」、「一生食いっぱぐれないスキルが欲しい」、そんな思いを持っている人は、インフラエンジニアは現実的かつ、再現性も高い選択肢です。
実際に、そのような思いで、インフラエンジニアに挑戦し、インフラエンジニアとしてステップアップをしている人も多数います。
今の知識や経験がゼロであっても、正しい準備と行動があれば、インフラエンジニアは十分に目指すことができるため、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートさせたい人は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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