システム運用保守はきつい?つまらない?スキルつかない?辞めるべき?

Pocket

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

エンジニアになったものの、配属はシステム運用保守。

運用保守の仕事を「きつい」、「つまらない」と考える人、「スキルがつかない」、「辞めたい」と悩む人は非常に多いですが、どのような点が、きつく、つまらないのでしょうか?

また、本当にスキルが身につかず、やめるべきなのでしょうか? 

この記事ではシステム運用保守の仕事の現状、働く人の声をもとに、運用保守のきつさやつまらなさ、そしてキャリアにどう影響するかを説明していきます。

この記事を書いた人はこちら

目次

システム運用保守とは

運用保守は、アプリケーションやサーバ、ネットワークといったシステムの維持や保守を指し、システムの安定稼働に欠かせない仕事です。

ただし、一般的に「運用保守」という言葉が使われる場合、多くはサーバかネットワーク(もしくはその両方)のオペレーター業務を指すことが多いです(特に未経験者の場合は、下記の図の「監視業務」を、運用保守と言われることもあります)。

もちろん、運用の中には、高い技術レベルや知識が求められることもあり、運用管理や運用設計は高い経験値も必要です。しかし今回は「きつい」、「つまらない」とよく言われる、運用保守のオペレーター業務について、詳しく説明します

システム運用保守が「きつい」と言われる理由

ここではシステム運用保守が、「きつい」とよく言われる理由について、説明していきます。

■システム運用保守が「きつい」と言われる理由:
・24/365の夜勤シフト(24時間365日)
・年収が上がらない
・将来性を感じない

運用保守がきつい理由①:24/365の夜勤シフト(24時間365日)

運用保守が「きつい」と言われる一番多い理由は、「24時間365日の、夜勤ありシフト勤務」です。

夜勤シフトに慣れる事が出来ずに体調を崩してしまう人もいれば、年を取るにつれて夜勤の勤務体系に体がついていかなくなる人もいます(また、土日休みではないため、休みを周囲にあわせる事の大変さもあると言えます)。

また、結婚後や、子供ができたタイミングで、家庭とのバランスが取りくくなることが、夜勤シフトの大きな負担となるでしょう。共働きの家庭では、育児家事の分担において、不規則な勤務時間が障害となり、仕事と家庭の両立が難しく、きついと感じる人が多いです。

一方で、夜勤シフトを好む人もおりますが、大半の人は夜勤シフトを「きつい」と思う傾向があります。

運用保守がきつい理由②:年収が上がらない

運用保守オペレータの仕事は、エンジニアの中では特に年収が上がりにくいため、「年収が上がらない事がきつい」と思われる人も多いです(40代、50代の運用保守エンジニアでも、年収450万円に満たない人は、少なくありません)。

また多くの会社は運用コストをできるだけ抑えたいと考え、運用保守に多額のお金を使いたくない傾向があります。そのため、給与が上がりにくく、年収がなかなか上がらないと感じる人は多いでしょう。

特に、将来的に年収を上げたいと考える方にとって、運用保守は年収の伸びをなかなか期待できないため、改善されない年収を不安に感じ、「きつい」と思う人はいます。

運用保守がきつい理由③:将来性を感じない

運用保守経験者であれば大半の方が感じるかも知れませんが、「運用保守の仕事に将来性を感じない」と考え、「きつい」、「つらい」と感じる人も多いです。

オペレーション業務がルーチン化しているため、スキルが身についてないと感じることは多いでしょう。

また技術的な成長が感じられない中、業務の自動化や効率化が進むことで、「本当にこのままでいいのか?」、「将来仕事があるのか?」と考え、不安の中で、同じ仕事を続けることが「きつい」と考える人は多いです。

■関連記事:サーバーエンジニアの将来、将来性が高いキャリアパスを解説

また、未経験運用保守のきつさについては、別記事の「未経験からサーバーエンジニアはきつい?大変なときの解決方法は?」に詳しく記載しています。

また、下記からは運用保守がつまらないと言われる理由を説明します。

システム運用保守が「つまらない」と言われる理由

■システム運用保守が「つまらない」と、よく言われる理由
・スキルが身につかない(単純作業の繰り返し)
・暇である
・お客様から感謝されにくい

運用保守がつまらない理由①:スキルが身に付かない(単純作業の繰り返し)

運用保守がつまらないと言われる一番の理由は、単純作業が多く、スキル(技術力)が身に付きにくいことでしょう(一部例外はあります)。

運用保守の仕事は、すでに決まっている事を、決まっている通りに進めるオペレーション作業が多いため、新しい技術などに挑戦する機会も少なく、スキルや専門性が身についている感覚を感じず、つまらないと感じる人が多いです。

また、チーム全体で単純作業の繰り返しを行うため、周囲の同僚のモチベーションが低い事、活気に欠けることもあります。一緒に働く人のモチベーションが低い場合、自分もつまらなさを感じやすくなり、モチベーションが下がることも少なくないと思います。

運用保守がつまらない理由②:暇

運用保守の仕事は、慣れてしまうと楽です。楽である反面、トラブルや問い合わせなどが少ない時は、「ヒマ」になってしまうことも多い仕事です。このため、やることがない時間をどう過ごすかが課題となり、暇すぎてつまらないと感じる人もいます。

一方、暇な時間を有効活用できる環境がある場合は、資格取得の勉強など、自分のスキルを磨くために時間を使うことができ、将来に向けた投資期間ともいえます。暇な時間を「有効活用」できれば、あなたにとっては有用な時間とも言えます。

一方で、暇な時間を有効活用できない場合や、暇が苦手なタイプの人には、つまらないとも言えるでしょう。このような状況で、やる気や意欲を失う人もいます。

運用保守がつまらない理由③:お客さまから感謝されにくい

運用保守は、システムの安定稼働を維持することが求められるため、「障害や事故がなくて当たり前」と考えるお客さまが多いです。そのため、トラブルを未然に防ぐ役割を果たしても、感謝されることは少なく、「ありがとう」と言われにくい仕事です。

運用保守は、裏方としての重要な役割を担っていますが、その貢献が目立ちにくく、感謝されにくいと仕事といえるでしょう。

お客さまから感謝されにくい仕事に携わることで、仕事に対するモチベーションが下がり、つまらなさを感じるかも知れません。

システム運用保守は、スキルが身につかないのか?

システム運用保守は、システムの知識やスキルが身につく仕事であり、また運用保守は経験が大事な世界です。システムを安定稼働をさせる実務経験を積む事で、インフラ管理やトラブル対応のスキルを身につけることもできます。

ただ一方で、「運用保守のオペレータの場合」は、スキルは身につかないとも言えます。

一口に運用保守といっても、「スキルが身につく運用保守」と、「スキルが身につかない運用保守」があります。例えば、実機を触って、設定変更やバージョンアップ対応、障害対応などを行っていれば、その後につながるスキルでしょう。

ですが、実機にも触れずに、マニュアル通りのオペレーション作業のみを行う場合は、スキルは身についていないともいえます。

実機にも触れずに、オペレーション作業のみを2年、3年続けても、スキルが身につかない中、時間だけ過ぎていくことがあります。こういった仕事を続けると、エンジニアとしてのキャリアアップが難しくなり、将来的な成長が難しくなることもあります

キャリアアップを考えるなら、スキルが身につく運用保守を選び、積極的に学べる環境で経験をつむことが大切です。

■関連記事:求められるスキルはこれ!サーバーエンジニアに必要なスキルセット・知識とは

システム運用保守の仕事は、辞めるべきなのか?

運用保守は大事な仕事であり、運用保守を知る事はエンジニアとして大事なことです。

ただし、運用保守のオペレータの場合は、長く続けることをおすすめしていません

個人的な考えとしては、下記です。

■運用保守の仕事を辞めた方がよい人の特徴:
・運用保守のオペレータであり、実機にも触れない(スキルが身につかない)
・周りの先輩の年収が、長年勤めても上がっていない(年収が上がらない)

多くの人は「手に職をつけたい」、「専門性をつけて、年収を上げたい」といった考えで、エンジニアという職業を選んだと思います。

しかし、運用保守の仕事で、「スキルが身に付かない」こと、「年収が上がりにくい」ことは、エンジニアとしての将来や、人生全体に大きく影響する可能性があると思います。

個人的な意見として、運用保守オペレータは3年以上はやらない方がよいと考えます。可能であれば、1-2年後に、異動や転職を目指す方がよいでしょう。

運用保守は比較的楽な仕事ですが、長く続けすぎると、視座が低くなる問題もあります。視座が高くならないと、新しい技術や高度な業務に挑戦することが難しくなり、キャリアの停滞につながることもあるでしょう。

実際に、運用保守オペレーターを3年以上続けると、その後の大きなキャリアアップや年収アップにつながる可能性が下がる傾向があります。オペレーション業務はラクですが、スキルを高めにくい環境でもあるため、早めに次のステップに進む事が大事でしょう。

運用保守からのステップアップは、インフラ構築がおすすめ

運用保守からのステップアップは、運用保守の経験を活かしながら、インフラ構築エンジニアとして、システムを「維持」する側から「作る」側に異動する事がおすすめと言えます。

運用保守の経験はインフラ構築で大きく活かせますし、インフラ構築の仕事でやりがいを感じるエンジニアは多いです(特に、スキルアップと年収アップで、やりがいを感じる人が多いと言えます)。

また、30歳くらいまでにインフラ構築を経験出来れば、その後も勉強とキャリア形成をうまく続けた場合は、年収で言うと40歳くらいには700-800万以上は十分に狙いやすい状況にもなると思います。

※インフラエンジニアの仕事内容(スキル)別のモデル年収を図にしておりますので、よろしければ下記図も参照ください。

※インフラエンジニアの年収を詳しく知りたい方は、別記事ですが「未経験インフラエンジニアの年収はどれくらい?その後の年収相場は?」をあわせてお読みください。

もちろん、運用保守と比較すると、インフラ構築は多少忙しくはなりますが、インフラ構築を経験すると、将来選べるキャリアの選択肢も大きく広がり、急速に市場から求められるエンジニアになれますので、インフラ構築は非常におすすめキャリアと言えます。

ただし、インフラ構築(構築補佐も含む)は、一定の知識や技術が必要となります(知識なしではインフラ構築には携われません)

インフラ構築に携われる知識を得るために、手を動かしてサーバ構築をする、CCNAやLPICなどを取得するなどの自学を並行して進めていく事が大事と言えます。

■関連記事:インフラエンジニアになるための勉強方法、順番【未経験、初心者向け】
■関連記事:【断言します】CCNAは転職・就職で非常に有利になる資格です

運用保守エンジニアからの脱出に、おすすめの資格

「ITエンジニアに資格はいらない」という方は多いですが、インフラの運用保守エンジニアにとっては、資格取得はキャリアアップに非常に有効です。(運用保守エンジニアは、資格取得が評価される職種です)。

ここでは、運用保守エンジニアのキャリアアップに、おすすめの資格を説明します。

運用保守エンジニアにおすすめの資格:CCNA(Cisco Certified Network Associate

運用保守エンジニアからのキャリアアップにおすすめ資格の一つは、ネットワーク資格のCCNAです。

運用保守エンジニア経験者なら、間違いなく聞いたことがある資格だと思いますが、CCNAはネットワークエンジニアの運転免許証と言われるほど知名度が高く、キャリアアップに有用です。

CCNAの取得は、運用保守エンジニアからのキャリアアップを行うための、大きな助けになってくれます。

運用保守エンジニアにおすすめの資格:LPIC/LinuC-1、2

こちらも運用保守エンジニアなら間違いなく聞いたことがあると思いますが、Linux技術者認定のLPIC/LinuCのlevel1も有効です。ただし、より確実に、運用保守から早く抜け出したい場合には、LPICやLinuCのlevel2まで取得する方がなお良いです。

LPICでもLinuCでも、キャリアアップや転職時の評価は変わりませんし、難易度も変わらないため、どちらを選択しても問題ありません。

ただし、CCNAやLPICといった資格を取得しないと、運用保守から抜け出せない人は多いです。運用保守から抜け出すには、運用保守から抜け出すための努力は必要です。

また、資格を取りたいが、どの資格をとるべきか?などでお悩みの方は、下記の参考記事、関連記事をあわせてお読みください。

■参考記事:CCNAとLPICは、どっちを取るべき?需要や難易度などを説明します
■参考記事:LinuCとLPICの違いは?どっちを取るべき?

■関連記事:サーバーエンジニアが取るべき資格はこれ!転職、年収アップに必須です

インフラ構築に異動が出来ない場合は、転職した方がよい

運用保守からインフラ構築に異動が出来るようであれば、すぐに転職を考えなくても問題ありません。

ただし、あなたが今勤務している会社が「運用保守の専門会社」の場合は、異動でインフラ構築に携われない事は多くあります(世の中は、運用保守の専門会社は結構多いです)。

もし社内異動でインフラ構築に携われない場合は、残念ながら転職をする以外の手段はないと思いますが、インフラ構築を経験する事は、エンジニアとして大きなメリットがあると言えます。

また、運用保守からインフラ構築にステップアップをしたい方は、私どもで求人紹介などといった転職支援を行っておりますので、興味があれば「無料転職相談のご登録」よりご登録をください。

■関連記事:未経験からインフラエンジニアになるには、未経験可の求人や年収、必要スキル、将来性、転職のポイントなどを解説
■関連記事:【解説】インフラエンジニアのキャリアパス、未経験から、経験者まで
■関連記事:インフラエンジニアにプログラミングスキルは必要?需要や必要性など

Pocket

目次