こんにちは、ITインフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「クラウドエンジニアになるために資格は必要?」
「AWSやAzureの資格を取っても、実務経験がないと意味がない?」
ネットやSNSでは「クラウド資格は意味ない」、「やめとけ」という意見も多く、そのような声で不安を感じてしまう人は多いと思います。
結論から言えば、その意見は半分正しく、半分間違っています。クラウド資格は「取り方次第」で、キャリアを切り拓く強い武器になります。
この記事では、2025年のクラウド市場の動向を踏まえ、AWS・Azure・GoogleCloudといった主要ベンダー資格から、基礎を固めるCCNA/LinuCまでクラウドエンジニアが取得すべき資格をわかりやすく整理します。
また、あなたの目的・経験に合わせた「資格の選び方」や、最短でキャリアチェンジを実現する「正しい順番」、さらに難易度・学習費用・年収アップ効果まで、徹底的に解説していきます。
不安を解消し、資格を取っただけで終わらせるではなく「キャリアを前に進める武器」に変えるための具体的な戦略を、この記事で手に入れてください。
また資格の前に「仕事内容・スキル・年収・将来性」を把握したい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
→関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・年収・キャリアパスまとめ
→関連記事:AWSエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
クラウド資格は意味ない?「やめとけ」と言われる理由と真実
SNSやネットでは「クラウド資格は意味ない」、「資格より実務が大事」という意見をよく見かけます。
確かに一部では正しい部分もありますが、それは「資格の立ち位置」を誤解しているケースが多くあります。
ここではまず、「なぜそう言われるのか」を整理しながら、資格の本当の価値を見ていきます。
なぜ「資格だけでは意味ない」と言われるのか
クラウド資格が「意味ない」と言われる理由は、「資格=即戦力ではない」ためです。AWSやAzureの試験では、サービスの概念や構成を学べますが、現場で求められる実践力まではカバーしきれません。
例として、クラウド運用では以下のような経験に基づく対応力が求められます。
■クラウド運用に必要なスキル例:
・コストを抑えながら、最適な構成を選ぶ
・セキュリティ要件を満たしながら、運用を自動化する
・障害復旧の手順を確立し、実際に対応を実行する
これらは実際の案件経験を通じてしか身につかないスキルであり、資格の勉強だけでは再現できません。
そのため企業側から見ると、資格を持っていても「知識はあるが、現場で動けるとは限らない」と判断されることもあります。
つまり、「資格単体」では評価が限定的であること、これが「意味ない」と言われる背景です。
それでも資格を取るべき3つの理由(市場価値・転職効果・学習効率)
一方で、クラウド資格には「やめとけ」とは言えない明確な価値もあります。特に以下の3点は、実務未経験者やキャリアチェンジを考える人にとって大きな武器になります。
① 市場価値の証明になる
クラウドは今やITインフラの中心領域です。その中でAWSやAzureの認定資格は、基礎知識と一定の理解力を証明する「業界共通の指標」として評価されています。
特にクラウド未経験・キャリアチェンジ層にとっては、「知識があるかどうかを客観的に示せる、効率がよい手段」にもなっています。
② 転職時の「書類通過率」を上げ、「面接合格率」を高める
採用現場では、資格は「知識」だけでなく「継続して努力できる人材かどうか」を見極める指標として使われます。
勉強なし・資格なしよりも、明確な学習実績を持つ方が、面接で信頼を得やすく評価も安定しやすいのが実情です。
実際、当社が支援した事例でも「AWS SAA取得後に書類通過率が2倍以上に上がった」、「クラウド未経験ながら学習継続を評価されて内定した」といったケースも多く見られます。
さらに、資格を持っていることで参画できる案件の幅が広がるのも大きなメリットです。特にAWSやAzureでは、資格保持者がいないと配属できないプロジェクトもあり、キャリア選択肢そのものが増えるのもポイントです。
③学習効率が上がり、現場理解が早くなる
資格学習は体系的に設計されているため、独学よりも「どこから学べばよいか迷わない」という利点があります。
試験範囲を通じてクラウド構成・運用・セキュリティなどを俯瞰できるため、実務に入った際の吸収スピードが大きく異なります。
【結論】クラウド資格は「使い方次第」で最強の武器になる
「資格だけでは意味ない」という言葉は、半分だけ正しいです。しかし、資格をどう使うかによって、結果はまったく変わります。
■資格は使い方次第:
・「資格→転職→実務」など、経験を戦略的に積み重ねる人は、1〜2年で構築・設計フェーズへ進めることもある
・一方、「資格を取って満足」してしまう人は、スキルが止まり評価も留まりがち
つまり、資格は「ゴール」ではなく「スタートライン」です。正しい順番で取得し、実務経験と結びつければ、クラウドエンジニアとしての市場価値は一気に高まっていきます。
次からでは、あなたの目的・経験に合わせたおすすめのクラウド資格を整理し、どの順番で取れば最短でキャリアを伸ばせるのかを解説していきます。
【目的別】クラウドエンジニアにおすすめの資格一覧
クラウドエンジニアと一口に言っても、目指す方向性やキャリアフェーズは人によって異なります。
ここでは、「目的別」×「主要クラウドベンダー(AWS/Azure/GCP)」で整理し、あなたに最適な資格を選べるように解説します。
【目的1】基礎から学びたい人におすすめ(AWS CLF/Azure AZ-900/Google Cloud CDL)
「そもそもクラウドって何?」、「IT未経験から学びたい」という方は、クラウドの基本概念や用語を覚えることから優先すべきであり、入門資格から始めるのがおすすめです。
入門資格から始めることで、基本と全体像をつかみやすく、また挫折しにくくなります。
| 資格名 | 対応クラウド | 難易度 | 学習期間目安 | 特徴 |
| AWS CLF | AWS | ★☆☆☆☆ | 約1〜1.5か月 | クラウド全体像を体系的に理解できる入門資格 |
| Azure AZ-900 | Azure | ★☆☆☆☆ | 約1〜1.5か月 | 非エンジニアでも受験可能、業務理解にも役立つ |
| Google Cloud CDL | Google Cloud | ★☆☆☆☆ | 約1〜1.5か月 | クラウドのビジネス活用を中心に学べる |
特にAWS CLFは教材や講座が豊富であり、「最初の1資格」として圧倒的におすすめです。どのベンダー資格もプログラミング知識不要であり、まず「クラウドとは何か」を理解したい人に最適です。
【目的2】クラウド実務につきたい人におすすめ(AWS SAA/Azure AZ-104)
「できるだけ早くクラウドの現場で手を動かしたい」、「転職で武器になる資格を取りたい」、そんな方におすすめなのが、AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト(SAA) と Microsoft Azure Administrator(AZ-104) です。
これらはクラウド構築・運用の知識を実務レベルで体系的に学べる資格で、実際のプロジェクト参画や転職活動でも「強力な武器」になります。
| 資格名 | 主な出題範囲 | 学習期間目安 | 難易度 | 市場評価 |
| AWS SAA | VPC設計/EC2・S3構成/セキュリティ設計/コスト最適化 | 約2〜3か月 | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
| Azure AZ-104 | ストレージ管理/仮想ネットワーク設定/アクセス制御/リソース管理 | 約2〜3か月 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
AWS SAAは、特に日本国内での人気・需要が非常に高く、求人条件や案件要件に明記されることも多い資格です。またAzure AZ-104も、クラウド導入企業の増加とともに需要が拡大しています。
また転職市場では「実務経験が浅くても、SAAを取得している」人材が評価されやすい状況が続いています。AWS SAAは、クラウド未経験→クラウドエンジニアへ転職する際の最短ルートとしても定番になっています。
【目的3】設計・上流志向の人におすすめ(AWS SAP/Azure AZ-305)
「将来的に設計・アーキテクトポジションを目指したい」という方には、上級資格のルートが最適です。
| 資格名 | 想定ポジション | 学べるスキル | 難易度 | 推奨経験 |
| AWS Certified Solutions Architect – Professional(SAP) | クラウド設計・アーキテクト | 大規模構成/コスト最適化/冗長化設計 | ★★★★★ | SAA取得+1年以上の実務経験 |
| Microsoft Azure Solutions Architect Expert(AZ-305) | システム設計・技術リード | ネットワーク・セキュリティ設計/ハイブリッド構成 | ★★★★★ | AZ-104取得+1年以上の経験 |
これらは設計フェーズに進むための登竜門的な立ち位置の資格であり、単なる「知識証明」ではなく、プロジェクト全体を俯瞰できる力を証明する資格です。
特にAWS SAPは企業内での評価が高く、資格手当2〜3万円/月クラスの対象になることも多い上、クラウドリードエンジニア・設計エンジニア職へのキャリアアップにつながります。
AI・データ志向の人におすすめ(Google Cloud 系)
ビッグデータ分析、機械学習、モダンなデータウェアハウス技術に関心がある方は、Google Cloud (旧GCP) の資格が有効です。
| 資格名 | 対応分野 | 特徴 | 難易度 |
| Google Cloud Associate Cloud Engineer(ACE) | Google Cloud環境構築・運用 | Google Cloud環境のデプロイ、管理、運用を行うスキルを証明 | ★★★☆☆ |
| Google Cloud Professional Data Engineer(PDE) | データ分析・機械学習 | BigQueryなどを用いて、データ処理や機械学習のAI基盤設計・構築のスキルを証明 | ★★★★★ |
クラウド技術の中でも今後の伸びが大きい分野と見込まれているのが「データ分析」、「AI基盤構築」です。
AWSやAzureが「汎用的クラウドスキル」を証明する資格であるのに対し、Google Cloudは「AI・データ分析特化型の専門資格」として希少価値が高いのが特徴です。
まとめ:自分の目的に合わせて資格を選ぼう
クラウド資格にはそれぞれ「目的」と「向いている人」があります。
最短で転職を狙うならSAA/AZ-104、基礎を固めたいならCLFやAZ-900、上流志向ならSAPやAZ-305など、あなたの現在地と目的に合わせて選ぶことが、遠回りを防ぐ最短ルートです。
| 目的 | おすすめ資格 | 難易度 | 備考 |
| 基礎から学びたい | AWS CLF/Azure AZ-900/Google Cloud CDL | ★☆☆☆☆ | 初学者・未経験者向け入門 |
| クラウドに携わりたい | AWS SAA/Azure AZ-104 | ★★★☆☆ | 現場アサイン・転職強化 |
| 設計・上流志向 | AWS SAP/Azure AZ-305 | ★★★★★ | 設計・アーキテクト昇格 |
| データ・AI志向 | Goole Cloud ACE | ★★★☆☆ | データ/AI領域へ展開 |
次からは「資格を取る順番」を具体的に整理し、未経験からどのステップで進めると効果的かを解説していきます。
【ITSSレベル別】クラウド資格の難易度と学習コスト
クラウド資格を選ぶうえで気になるのが、「どれが難しいのか」、「どれくらい勉強時間がかかるのか」という点でしょう。
ここでは ITスキル標準(ITSS)レベルを基準に、入門・中級・上級の3段階で整理していきます。
ITSS(Information Technology Skill Standard)とは、経産省が策定したITスキルの成熟度指標で、レベル1〜5に分かれています。多くの企業の教育・人事制度でも、このITSSを基準にスキルレベルを評価しています。
レベル1(入門資格):AWS CLF/Azure AZ-900/Google Cloud CDL
クラウド未経験者・IT初心者が最初に挑戦しやすいのが、レベル1の入門資格です。
クラウドの基礎概念や用語、主要サービスの概要を理解することが目的で、ITリテラシーを高める「入口」資格といえます。
| 資格名 | 対応クラウド | 難易度 | 学習時間目安 | 費用目安 |
| AWS CLF | AWS | ★☆☆☆☆ | 約50〜80時間 | 約16,500円 |
| Azure AZ-900 | Microsoft Azure | ★☆☆☆☆ | 約50〜80時間 | 約13,200円 |
| CDL(Cloud Digital Leader) | Google Cloud | ★☆☆☆☆ | 約50〜80時間 | 約15,000円 |
これらは「専門職でなくても理解できる」範囲で構成されており、非エンジニアや文系出身者にもおすすめです。
入門資格で共通して特に重要なのは、「用語の壁を壊すこと」であり、用語の理解が初期のつまづきを減らします。またここで得た知識が、次に挑戦する中級資格の理解を支える基礎になります。
レベル2(中級資格):AWS SAA/Azure AZ-104/Google Cloud ACE
中級資格は、実務レベルでの構築・運用を想定した資格群です。
特にAWS SAA や Azure AZ-104 は、転職市場でもっとも需要の高い「実践資格」として認知されています。
| 資格名 | 対応クラウド | 難易度 | 学習時間目安 | 費用目安 |
| AWS SAA | AWS | ★★★☆☆ | 約100〜200時間 | 約22,000円 |
| Azure AZ-104 | Microsoft Azure | ★★★☆☆ | 約100〜200時間 | 約23,000円 |
| ACE(Associate Cloud Engineer) | Google Cloud | ★★★☆☆ | 約100〜200時間 | 約20,000円 |
座学で取得は可能ではあるものの、このレベルからは特に実務に活かすには、ハンズオン演習(実際に操作する学習)が重要です。
また資格を通して、設計・運用スキルの全体像を体系的に理解できるため、現場で通用する「応用力」を養うことができます。
レベル3(上級資格):AWS SAP/Azure AZ-305/Google Cloud PDE
レベル3は、クラウド設計・アーキテクチャを担う人材向けです。
単にサービスを使えるだけでなく、複数システムをどう連携・最適化するかという観点が問われます。
| 資格名 | 難易度 | 学習時間目安 | 費用目安 | 学べる領域 |
| AWS SAP | ★★★★★ | 約200〜300時間 | 44,000円 | 大規模設計・最適化 |
| Azure AZ-305 | ★★★★★ | 約200〜300時間 | 約23,000円 | ネットワーク・セキュリティ設計 |
| PDE(Professional Data Engineer) | ★★★★★ | 約200〜300時間 | 約30,000円 | データ・AI基盤構築 |
これらの資格は、単なる学習ではなく、「設計の考え方を深く理解する」領域に踏み込みます。
クラウドリードエンジニア、アーキテクト職を目指す人にとっては、キャリアを広げる重要ステップとなります。
資格難易度早見表と学習時間・費用比較
最後に、主要クラウド資格を「難易度・学習時間・費用」の観点でまとめます。「どれから挑戦すべきか」迷う方は、以下の早見表を基準に検討してみましょう。
| レベル | 資格名 | 難易度 | 学習時間目安 | 費用目安 | 推奨レベル |
| レベル1(入門) | AWS CLF/AZ-900/CDL | ★☆☆☆☆ | 50〜80時間 | 約15,000円前後 | IT未経験者・文系出身者 |
| レベル2~3(中級) | AWS SAA/AZ-104/ACE | ★★★☆☆ | 100〜200時間 | 約20,000〜25,000円 | クラウド実務に挑戦したい人 |
| レベル4(上級) | AWS SAP/AZ-305/PDE | ★★★★★ | 200〜300時間 | 約30,000~40,000円前後 | 設計・上流志向の経験者 |
■クラウド資格難易度のポイント:
・学習コストと転職効果のバランスが最も良いのは「レベル2(中級)」
・未経験者は「レベル1 → レベル2」の順番で挑戦すると、失敗・挫折しにくい
・上級資格は即戦力+年収アップを狙う層におすすめ
【資格の正しい順番】最短ルートと王道ルートの違い
クラウドエンジニアを目指すうえで多い悩みが、「どの資格から取るべき?」、「順番を間違えるとどうなる?」というものです。
結論から言えば、最適な資格ルートはあなたの「現在地」によって異なります。同じ「未経験」でも、IT経験ゼロなのか、運用・構築の経験があるのかで進め方は大きく変わります。
ここでは、現在のスキルレベル別に最短ルートを整理していきます。
あなたの現在地で変わる「最適ルート」
まずは、自分がどのタイプに当てはまるかを確認してみましょう。以下の表は、経験別に「最適な学習ステップ」と「難易度の目安」をまとめたものです。
| 現在の経験 | 目標 | 推奨ルート | 難易度 | ポイント |
| IT完全未経験 | 基礎から堅実に学習 | LPIC/CCNA → AWS CLF → SAA | ★★★★★ | まずIT基礎を固めてからクラウドへ進む「王道ルート」 |
| サーバー運用経験あり | 既存知識を活かして転職 | AWS CLF → SAA | ★★★☆☆ | サーバー・ネットワーク知識を活かし、最短でクラウド実務へ |
| サーバー構築経験あり | 設計・上流工程へ昇格 | AWS SAA → SAP/AZ-305 | ★★☆☆☆ | 既存の設計スキルをクラウド上級資格で証明・拡張 |
どのタイプの方でも、最終的な共通ゴールは 「AWS SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)」 の取得です。
そこに至るまでの「入口」を、自分の経験値に合わせて選ぶことが、最短かつ確実なキャリアアップにつながります。
最短でクラウド実務に挑戦するルート(AWS CLF → SAA)
このルートは、サーバー構築や運用経験がある方に最適です。
既存の知識を土台に、市場で最も評価される 「AWS SAA」 に最短で到達することを目指します。
| ステップ | 資格名 | 目的 | 学習期間目安 |
| ステップ1(入門) | AWS CLF(クラウドプラクティショナー) | クラウドの基礎用語や全体像を把握し、AWSの利用に慣れる(スキップ可能) | 約1か月 |
| ステップ2(実践) | AWS SAA(ソリューションアーキテクト – アソシエイト) | AWSを用いた設計・運用スキルを証明し、転職市場での即戦力を狙う | 約2〜3か月 |
メリット:
最短3〜4か月で、転職市場で最も評価の高い資格を取得可能です。クラウドエンジニアとしてのキャリアチェンジの成功率とスピードを最大化できます。
基礎から堅実に学ぶルート(LPIC/CCNA → AWS SAA)
このルートは、IT未経験者や文系出身者に特におすすめの「王道ステップ」であり、確実にスキルを積み上げたい場合に最適です。
ネットワーク・サーバーの基礎を理解しながら、クラウドの仕組みを「本質的に」学ぶことができます。
| ステップ | 資格名 | 目的 | 学習期間目安 |
| ステップ1(基礎1) | LPIC-1/LinuC-1 | OS・サーバー構築などの基本操作を学び、ITの基礎体力を養う | 約2〜3か月 |
| ステップ2(基礎2) | CCNA | ネットワークの基礎構成・ルーティング・通信の仕組みを理解 | 約3〜4か月 |
| ステップ3(実践) | AWS SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト) | クラウド環境での設計・構築スキルを体系的に習得 | 約3〜4か月 |
メリット:
時間はかかりますが、この土台があることで、クラウド上でトラブルが発生した際に「なぜ動かないのか」を深く理解でき、将来的にSREや設計者として成長する基盤も築けます。
上流志向・設計フェーズを目指すルート(SAA/AZ-104 → SAP/AZ-305)
このルートは、オンプレ設計構築やクラウド実務経験(1〜2年以上)を持つ現役エンジニアが、次のステップとして設計・アーキテクトといった上流工程への昇格を目指す場合に最適です。
| ステップ | 資格名 | 目的 |
| ステップ1(中級) | AWS SAA または Azure AZ-104 | 既存の実務経験を体系化し、クラウド全体を整理して「設計目線」を身につける。上級資格挑戦のための基礎固め。 |
| ステップ2(上級) | AWS SAP または Azure AZ-305 | 大規模・複雑な要件に対して最適な構成を設計する能力を証明し、上流ポジション・昇給登用などにつなげる。 |
メリット:
上級資格は取得難易度が高いため、取得できれば社内での評価や、外部からのスカウトが劇的に増加します。また年収アップやコンサルタント職へのキャリアパスも開けていきます。
資格順番を間違えるとどうなる?【典型的な失敗例】
順番を誤ると、時間・コスト・モチベーションを大きく浪費してしまいます。
以下は、実際に多くの学習者が陥りやすい典型例です。
| 失敗パターン | 結果 | 失敗理由 |
| パターン①:いきなり高難易度資格に挑戦 | 難易度が高すぎて挫折。時間とモチベーションを浪費しがち。 | 基本を飛ばして応用問題に取り組むため、理解が進まず、実務前提の設問にも対応できない。 |
| パターン②:基礎資格ばかりで止まってしまう | 実務に活かせず、転職でもアピール不足になる。 | LPICやCCNAなどの学習で満足し、「スキルセット」が更新されていない。 |
| パターン③:資格を取って満足してしまう | 実務に結びつかず、キャリアアップが止まる。 | 学習目的が「合格」にすり替わり、実務経験を得ることに注力していない。 |
これらの失敗パターンに共通しているのは、「資格を目的にしてしまう」ことです。正しくは、「資格を通じて実務・キャリアを前進させる」ことがゴールです。
まとめ:
クラウド資格は「どれを取るか」よりも、「どんな順番で学ぶか」で結果が変わります。
今の自分の立ち位置に合ったステップを選び、焦らず確実に積み上げていくことが、最短で市場価値を高める近道です。
次からは、資格をどう活かせばキャリア・年収アップにつながるのかを解説していきます。
資格取得後のキャリア・年収アップ実例
資格を取ったあとの「変化」が見えると、学習モチベーションは一気に上がります。
ここでは、実際に資格取得によってどんなキャリアアップや年収アップにつながるのか、具体的なデータと事例をもとに解説していきます。
資格で変わる求人内容と採用評価
資格を取ると、転職市場での「見え方」が大きく変わります。
同じ人でも、資格を持っているかどうかで、求人の幅・採用評価・キャリアチャンスがまったく違うのが現実です。
【Before/After比較】資格取得で変わるチャンスの幅
(例:サーバー構築経験者がAWS SAAを取得した場合)
| 比較項目 | 資格取得前(Before) | 資格取得後(After) |
| 求人応募の幅 | オンプレ構築・運用案件が中心。クラウド案件は応募条件で弾かれることも。 | クラウド移行・AWS構築検証・IaC(Infrastructure as Code)案件に応募可能。 |
| 面接評価 | 「オンプレ経験はあるが、クラウド理解が不十分」と判断されることも。 | 「クラウド基礎+応用理解あり」と評価され、面接通過率が上がる。 |
| 案件アサイン | 変わらずオンプレ構築・運用中心の案件に固定されることも。 | 最初からクラウド構築検証にも参画できることも。 |
| 想定年収レンジ | 450〜550万円前後 | 550〜650万円前後 |
| 成長スピード | 定常業務も多くスキルアップが緩やか。 | 新技術に触れる機会が増え、スキルアップスピードが早期化。 |
このように、サーバー構築経験者がAWS SAAなどの中級資格を取得することで、「オンプレ型キャリア」から「クラウド型キャリア」へとステージを上げられるケースは多いです。
資格は「キャリアを変える武器」であり、同じ経験でも「評価のされ方」が大きく異なります。
AWS SAA取得後に狙えるポジション例
上の事例のように、サーバー構築経験者がAWS SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)を取得すると、転職市場で一気に「クラウド構築フェーズ」が射程圏に入ります。
AWS SAAは、クラウドエンジニアにおける「実務登竜門資格」であり、取得者の多くが「オンプレ寄りの案件 → クラウド案件」へステップアップしています。
SAA取得後に目指せる代表的なポジション
| ポジション | 主な業務内容 | 年収目安 | キャリアの方向性 |
| クラウド構築エンジニア | EC2/VPC/S3を中心としたAWS環境の設計・構築 | 500〜650万円 | クラウド実務の第一歩。構築スキルを磨く段階。 |
| クラウド自動化・IaCエンジニア | CloudFormationやTerraformを用いた環境自動化 | 600〜750万円 | DevOps/自動化志向のステップアップルート。 |
| クラウド設計・アーキテクト補佐 | 顧客要件定義/コスト設計/冗長化設計のサポート | 650〜800万円 | 設計志向の人が目指す上流フェーズ。 |
資格を持つことで、「知識が証明」できるだけでなく、採用側の信頼度も変わるのがポイントです。
特にAWS SAAは、「未経験者の努力指標」や「経験者の理解度証明」として、業界内でも標準的な評価基準となっています。
年収アップ事例(構築運用→クラウド構築で+100万円以上)
| 区分 | 内容 |
| Before(資格取得前) | 職種:サーバー構築運用エンジニア 年収:380万円 業務:オンプレ環境の構築運用業務 |
| After(資格取得後) | 職種:クラウド構築エンジニア(AWS案件) 年収:500万円 業務:AWS環境の構築検証 |
| 変化ポイント | ・AWS SAA取得によりクラウド導入案件への応募が可能に ・一部リモート勤務から、フルリモート勤務が可能に |
まとめ:AWS SAAやAZ-104は「クラウドエンジニアへの切符」
AWS SAAやAZ-104は、単なる中級資格ではなく、「実務経験を積み始めるためのスタートライン」として最も効果的です。
資格を取ることで、あなたのキャリアは「オンプレ型」から「クラウド型」へと変わり、その先には設計・自動化・アーキテクトなど、さらなる専門領域が広がっていきます。
資格取得後は「環境選び」が重要です。
クラウド構築や自動化に挑戦できる案件を選ぶことで、スキルと年収の両方を伸ばすことができます。
資格勉強の進め方とおすすめ教材
資格を取る目的が明確になったら、次は「どう学ぶか」です。同じ資格を目指しても、学習の進め方次第で合格スピードも定着率も2倍以上変わります。
ここでは、独学・オンライン講座・学習計画の3つの観点から、効率的かつ「実務につながる形」で進める方法を紹介していきます。
独学で進める場合のロードマップ
AWSやAzureの資格は、独学でも十分に合格可能です。ただし「順番」と「範囲の把握」を誤ると、非効率になりがちです。
【独学のロードマップ】
| ステップ | 学習内容 | 目安期間 | 使用教材例 |
| ステップ1:基礎理解 | クラウドの概念・代表サービス(EC2/S3/VPC)を理解する | 約2~4週間 | 書籍「AWS認定資格試験テキスト クラウドプラクティショナー」 |
| ステップ2:試験範囲を把握 | 試験項目(設計/運用/セキュリティ/コスト最適化)を整理する | 約1~2週間 | 書籍「AWS SAA教科書」 |
| ステップ3:問題演習+暗記 | 出題傾向を把握し、サービスの特徴を「比較暗記」で整理 | 約4〜6週間 | Udemy講座/Ping-t |
| ステップ4:模擬試験で総仕上げ | 本番環境での時間配分・設問パターンを確認 | 約2~3週間 | AWS Skill Builder/Udemy講座 |
■学習のポイント:
・独学では「問題演習に早く入る」ことが最重要。
・教材を複数使うより、「1冊」や「1講座」に絞って反復する方が記憶定着が早い。
・「AWS公式Skill Builder」は無料ながら質が高い(合格を目指すだけなら、必須ではない)。
ハンズオンで差がつく学習法(Udemy/CloudTechなど)
知識を「使える形」にするには、ハンズオン(実機操作)が重要です。
試験対策だけでなく、実務で通用するスキルを早期に身につけたい方はハンズオンも押さえましょう。
| 教材名 | 特徴 | 向いている人 |
| Udemy:AWSハンズオン講座 | EC2/S3/VPC構築を実際に操作。図解が多く初心者に最適。 | 安価に動画で体系的に理解したい人 |
| CloudTech:AWS学習 | 資格+実務を同時に進められる実践型。 | 実務も意識して学びたい人 |
| AWS公式 Skill Builder | 無料の600を超えるデジタルコースやハンズオンあり。 | 公式リソース中心に学びたい人 |
■ポイント:
・ハンズオン環境を触ることで、試験理解+業務理解が同時に進む。
「IAM設定 → EC2構築 → S3連携」でも、転職時の面接でもアピール可能。
・資格学習と並行してGitHubに学習記録を残しておくと、更に評価が高まる。
失敗しない勉強計画の立て方
資格勉強で最も多い失敗は、「時間をかけすぎてモチベーションが途切れる」ことです。
短期間で集中して学ぶ方が、知識が定着しやすく合格率も高まります。
【学習スケジュールの例】
| 学習スタイル | 期間の目安 | 1日の学習時間 |
| 社会人(在職中) | 約2〜4か月 | 1〜1.5時間/日(通勤・夜) |
| 未経験者・転職準備中 | 約1.5〜2か月 | 2〜3時間/日 |
| 短期集中タイプ | 約3〜6週間 | 3〜4時間/日 |
■学習継続のコツ:
・目標を設定する(例:「AWS SAAを〇月〇日に受験し、〇点以上で合格する」)
・総学習時間を逆算する(例:SAAなら150時間÷3ヶ月=月50時間。「1日2時間弱」)
・モチベーションを維持する工夫(例:インプットに飽きたらハンズオンに切り替える)
資格取得はゴールではなく、クラウド技術を「使える形」にする第一歩」です。学び方でも、資格の「価値」は変わっていきます。
次からは、よくある質問を通じて、資格選びやキャリア設計に関する疑問を整理していきます。
よくある質問:クラウド資格の選び方・勉強法・キャリアアップの関係
クラウドエンジニアの資格選びや、キャリアに関する質問についてまとめました。
Q1. AWS・Azure・GCP、どの資格から取るべき?
まずはAWSからの学習がおすすめです。
理由はシンプルで、AWSは国内クラウドシェアトップであり、教材・講座・試験対策が最も充実しています。一度AWSを理解すれば、AzureやGCPにも横展開がしやすく、学習コスパが高いのも特徴です。
順番は 「AWS → Azure → GCP」 が王道です。
Q2. LPICやCCNAは取る意味ある?クラウド資格とどっちが先?
IT未経験者や文系出身者には、LPIC/CCNA → AWS CLF → SAA の流れが最も確実です。
LPIC(LinuC)やCCNAでOSやネットワークの基礎を押さえることで、クラウド構成やセキュリティ設計の理解が速くなります。
AWS SAA単体でも評価されますが、LPICなどの基礎資格があると更なる評価につながります。
→関連記事:LPIC・CCNA・AWSどれから取る?インフラエンジニアの資格ロードマップ
Q3. 資格だけでは意味がないのでは?
「資格だけ」では即戦力になりにくいのは事実ですが、資格は実務につながる「入口」になることに大きな価値があります。
資格を取ることで「書類通過率や面接評価が上がる」、「案件の幅が広がり、クラウド案件への参画機会が増える」のは間違いありません。
特に「資格+ハンズオン+実務経験」の3点セットがそろうと、真価を発揮します。
Q4. 資格を取ったあと、何をすればいい?
資格はゴールではなく、キャリアを動かす「スタート地点」です。次の3ステップで、「知識」から「実践」へ進みましょう。
① ハンズオンで実務理解を深める
実務に応用できるように手を動かしましょう。
例として、IAM設定 → EC2構築 → RDS連携を自力で行うなど、クラウド基盤全体の流れを理解してみましょう。
② 現職でクラウド業務へのステップアップを模索
まずは自社内でクラウド案件や自動化案件など、ステップアップできる機会を探しましょう。
資格を持っているだけで、任される領域が広がることも多いです。資格で得たスキルをそのままにせず、活かしましょう。
③ クラウド配属の目途が立たない場合は、環境を変えるのも視野に
社内で機会がない、年単位で業務が変わらない見込みの場合は、スキルアップを放棄するのではなく、外部環境(転職)も選択肢の一つです。
資格と学習実績をもとに、クラウド案件へ挑戦できます。
また、インフラ系資格の難易度・順番をすべてまとめて比較するなら、以下の関連記事をご覧ください。
→関連記事:インフラエンジニアのおすすめ資格一覧|取得順番・難易度を徹底解説
まとめ:資格を「キャリアの武器」に変える戦略
クラウドエンジニア資格は、「取れば終わり」ではありません。キャリアを前に進める加速装置です。
AWS・Azure・GCPといった主要資格を活かし、自分の成長段階に合わせてステップアップしていくことで、年収・働き方・市場価値のすべてを大きく変えられます。
■まとめ:資格を武器にする3つのポイント
・順番を間違えないこと
→基礎 → 実践 → 上流の流れを守ると、スキルが積み上がりやすく、挫折を防げます。
・資格を取ったら「使う」こと
→ハンズオンや現場参画を通じて、知識を経験に変えることが大切です。
・活かせる環境を選ぶこと
→資格を活かせない現場に留まるより、スキルが伸びる環境に移る方が成長できます。
■次のアクション例:
・「これから資格を取りたい」人は → 目標を決めて1つ目に挑戦
・「クラウド構築や設計を経験したい」人は → 案件選びを最適化
・「資格を取ったけど活かせていない」人は → 現場または転職戦略を見直す
どんなフェーズでも、「学び+環境+戦略」の3軸を意識することが、クラウドエンジニアとしてのキャリアアップに直結していきます。
迷ったらプロに相談を。
資格取得は、あくまであなたのキャリアパスを前進させる手段です。
「自分の経験はどのルートが最適?」、「どのくらいの年収が狙える?」といった、具体的なキャリアプランの疑問は、無料のキャリア相談を活用して解消するのが最速ルートです。
あなたの経験やスキルを棚卸しし、最適なルートを設計することで、迷う事なく、資格取得から転職成功までの道のりを大幅にスピードアップできます。
また、資格を活かして「どれくらい年収が上がるのか?」を知りたい方は、次の関連記事も参考にしてみてください。
AI・クラウド時代に価値が高まる職種の年収相場をまとめています。
関連記事:AI時代に価値が高まる職種の年収相場
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→関連記事:AWSエンジニアの年収相場と上げ方|資格・経験別レンジと脱SES戦略
さらに資格を取得してスキルを磨いた先には、「この先どんなキャリアが伸びていくのか」を考えることも大切です。
以下の関連記事では、クラウド・AI時代におけるエンジニア職種の将来性や、今後需要が高まる分野を詳しく解説しています。
関連記事:AI・自動化時代に強いキャリアを築くために
→関連記事:インフラエンジニアの将来性はある?AI時代の需要・キャリアを徹底解説
→関連記事:クラウドエンジニアの将来性|AI時代に求められるスキルとは
→関連記事:AWSエンジニアの将来性|今後も需要が続く理由を解説
また資格を取る前に、「そもそも自分はクラウドエンジニアに向いているのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
そんな方は、以下の関連記事で各職種のリアルな現場環境や向き・不向きを比較してみてください。
関連記事:職種別のリアルな現場環境「やめとけ」比較まとめ
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あわせて資格から「どうキャリアにつなげるか」も大事です。
以下の関連記事では、クラウド・サーバー・ネットワークなど職種別に、資格を活かしたキャリアパスを詳しく紹介しています。
■関連記事:職種別の「キャリアパス」比較まとめ
→関連記事:サーバーエンジニアのキャリアパス徹底解説|運用止まりから設計・クラウドへ
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さらに全体の職種構造を整理したい方は、以下の関連記事で全体像もチェックできます。
→関連記事:インフラエンジニア職種マップ|主要職種の違いとキャリアパスを徹底解説
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→ 【まとめ】クラウドエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・将来性を徹底解説
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→ クラウドエンジニアの将来性まとめ






