こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「未経験からセキュリティエンジニアになりたい」
「勉強の順番がわからない、、」
「理系・学歴がないとなれないの?」
そんな悩みを持つ方は非常に多いです。
結論から言うと、セキュリティエンジニアになるために、特定の学歴や文系・理系の区分は関係ありません。しかし、セキュリティエンジニアは「なること自体の難易度が高い職種」です。
これはセキュリティが特別に難しいためというよりも、ネットワーク・Linux・クラウドという「インフラの土台の上に成り立つ領域」であるためです。
つまり、インフラ経験者や、これからインフラの土台を固める人が、 インフラ → クラウド(AWS)→ セキュリティというステップを踏めば、一気に現実味のあるキャリアになります。
この記事では、未経験でも迷わないように、以下をまとめて解説していきます。
■この記事でわかること:
・正しい学習順番
・必要なインフラ/クラウド/セキュリティの知識
・最短ルートで目指すための資格ロードマップ
・転職で評価される実務スキル
この記事を読むことで、あなたが 今日から何を学ぶべきか、どの順番で進むべきかがすべて明確になっていきます。
インフラ経験を活かす最短ルートの結論(未経験・経験者別)
セキュリティエンジニアを最短で目指すには、「インフラ基礎 → 実務経験 → AWS → セキュリティ専門スキル」というステップを踏むことが、最も再現性が高く、企業からも評価されます。
特にセキュリティ業務は、ネットワーク・Linux・クラウドの理解を前提に成り立つ領域であるため、実務経験を挟むことで、学習効率も転職成功率も一気に上がります。
まずは、未経験者とインフラ経験者それぞれが進むべき最短ルートをまとめていきます。
【未経験者】最短でセキュリティエンジニアを目指す4ステップ
実務経験がない方は、まず「インフラエンジニア」としてのキャリアを確実にスタートさせることが最短ルートになります。
■未経験から目指す4ステップ:
・ステップ 1:ネットワーク・Linux基礎を学ぶ(2〜4ヶ月)
→最重要課題: セキュリティはインフラの上にあるため、まずはネットワークとLinuxとの基礎を固めます。特にネットワーク理解(攻撃経路、FW設定)が相性抜群です。
→目安レベル:CCNA、 LPIC-1/LinuC-1。
・ステップ 2:インフラ or ネットワークエンジニアとして実務経験を積む(2年程度)
→目的: 基礎を固めたら、現場で「構成理解・ログ分析・影響範囲判断」といったセキュリティでも必要なスキルを積みます。
・ステップ 3:クラウド(AWS)の基礎を習得(1〜3ヶ月)
→必須スキル: 現在のセキュリティ業務はAWS中心です。実務を進めながら、IAM、VPC、セキュリティグループ、CloudTrailなどの「クラウドのセキュリティ土台」を押さえます。
→ステップ 4:セキュリティ専門スキルを習得(2〜6ヶ月)
→到達レベル: 若手セキュリティエンジニアとして通用するレベルに到達します。
→学習内容: ログ分析(Splunkなど)、脆弱性診断・管理、IAM、インシデント対応、ゼロトラストなどの概念理解。
【インフラ経験者】最速でキャリアチェンジする3ステップ
すでにインフラ構築・運用の経験がある人は、「AWS → ログ分析 → セキュリティ基礎」の順番が最速です。
| ステップ | 内容 | 期間目安 | 目的 |
| ① AWSの基礎習得 | IAM、VPC、SGなど、セキュリティに直結する項目に絞って学ぶ。 | 1〜2ヶ月 | クラウド時代に必須の土台を作る。 |
| ② ログ分析・SIEMの基礎 | AWSログ/Linuxログの分析(どこを見るか)を学ぶ。 | 1〜2ヶ月 | セキュリティ業務の大部分(監視・分析)を理解する。 |
| ③ 専門スキルを体系化 | 脆弱性診断・管理、CSIRT基礎、セキュアな設計・ゼロトラストの概念を学ぶ。 | 2〜4ヶ月 | 即戦力〜若手採用ラインに到達 |
クラウドスキルが差別化の決め手:
多くの現場でオンプレミスからクラウドへの移行が進んでいます。
既にインフラ基礎がある経験者なら、最初にAWSを固めることで、最新の環境で即戦力となるセキュリティ人材として一気に価値を高められます。
なぜこの順番が最短ルートなのか?
この順番が最も再現性が高く、最短ルートになる理由はシンプルです。
■最短ルートになる理由:
・セキュリティはインフラの上にある仕事だから
→基礎知識(NW, Linux)がないと、専門知識を学んでも活かせません。
・インフラ実務経験が成功率を高めるから
→実務経験で構成理解、ログ分析、影響判断力などが身につき、学習効率と転職成功率が大きく高まります。
・クラウド前提の時代だから
→現代のセキュリティ設計はAWS/Azureが必須土台であり、まずクラウドスキルを固めることが最優先です。
このロードマップで目指すゴール
このロードマップでは、「実務で通用するセキュリティ基礎スキルを土台に、若手セキュリティエンジニアとして採用される状態」を最短で作ることを目標とします。
■必要となるスキルセット:
・Linux/ネットワーク/AWSの基本設計が理解できる
・アラート対応やログ分析の基礎、脆弱性管理やインシデント対応が理解できる
・職務経歴書で「セキュリティ志向の実務」をアピールできる
いきなりセキュリティ専門はNG(失敗する理由)
未経験の方がいきなりセキュリティ専門領域から学習を始めると、高い確度で挫折します。
理由は、セキュリティがネットワーク・Linux・クラウド(AWS)というインフラの土台の上に成り立つ領域であり幅広いスキルが必要なためです。
土台がないと、そもそも「攻撃経路(ネットワーク)やログの意味(Linux・クラウド)がわからない」、「脆弱性の何が危険なのかが判断できない」などの内容でつまずきます。
セキュリティへの最短ルートは、インフラ基礎 → 実務 → AWS → セキュリティという「王道ステップ」を確実に踏んでいくことです。
前提知識:「インフラの土台」が必須である理由
セキュリティエンジニアは「専門職」という印象を持たれやすいですが、実際はインフラ領域(ネットワーク・Linux・クラウド)の上に成り立つ職種です。
そのため、インフラの基礎が抜けた状態でいきなりセキュリティ専門スキルに進もうとすると、理解が進まず、転職活動でも評価されにくくなります。
以下からは、この「インフラの土台」が、具体的なセキュリティ業務でどのように活かせるのかを解説していきます。
ネットワーク・Linuxが理解できないと詰む
| スキル不足例 | 具体的なつまずき |
| ネットワークが弱い | 「防御」ができない。 攻撃経路が追えない、ファイアウォール設定の意味がわからない、ゼロトラストの仕組みが理解できないなど。 |
| Linuxが弱い | 「分析」ができない。そもそもログが読めない、権限・プロセスが危険なのか判断できないなど。 |
セキュリティ業務の重要点は「防御」と「分析」です。これらはネットワークとLinuxの知識なくして成立しません。
そのため、セキュリティ志望者がネットワークとLinuxを優先して学ぶルートは、「相性が良い」というよりも、「絶対に押さえるべき王道」 です。
クラウド(AWS/Azure)が求められる背景
今のセキュリティは、オンプレミスだけではなくクラウド設計(AWS/Azure)が理解できる人材が求められています。
| 求められる理由 | 業務と直結する理由 |
| ① セキュリティの大半がAWS設計と直結 | IAM、VPC、サブネット、SG、ネットワークACLなどの設計がセキュリティそのもの。 |
| ② クラウドネイティブなセキュリティが標準化 | CloudTrail、GuardDuty、Config、Inspectorなど、ログ分析・脆弱性管理の多くがAWSサービスの理解を必要とする。 |
| ③ 採用ニーズも「クラウドセキュリティ前提」が増えている | 企業側も「AWS×セキュリティができる若手がほしい」という採用ニーズが非常にに強く、習得スピードも転職成功率も跳ね上がります。 |
ではここからは、実際にどの順番で学習を進めればよいのかを、3つのステップに分けて具体的に解説していきます。
ステップ1:インフラ基礎(ネットワーク・Linux)を固める
セキュリティはインフラの上に成り立つため、まずはネットワークとLinuxの基礎を押さえることが最重要です。
ネットワーク基礎(CCNAレベル)
攻撃経路・FW設定・ゼロトラストなど、セキュリティの「防御」などにおいては、ネットワークが土台になります。
ネットワーク基礎を押さえることで、攻撃者の通信フローや、ファイアウォールの設定、ゼロトラストの基本的な概念理解に直結していきます。またここでの目安資格はCCNAです。
→関連記事:CCNAとは?未経験からわかる資格の内容・難易度・勉強法まとめ
→関連記事:CCNAの勉強法|未経験から最短で合格するロードマップと独学手順
Linuxの基礎(LPIC-1/LinuC-1レベル)
ログ分析・権限・プロセス管理など、セキュリティの「分析」などにおいては、Linux スキルなしでは実務ができません。
セキュリティ=ログ分析が中心であり、Linuxを押さえることで、OS監査ログやプロセス情報などのログ読み解くスキルにつながります。またここでの目安資格はLPIC-1 または LinuC-1です。
→関連記事:LPICとは?LinuCとの違い・LPIC-1/2/3の難易度・活かせるキャリアを解説
→関連記事:LinuCとは?LPICとの違い・難易度・勉強法・転職での評価まで徹底解説
まずは「インフラ一次対応レベル」を目指せばOK
ステップ2 の実務経験に進む前に、以下の初歩的なインフラ操作と概念が理解できれば十分です。
■一次対応レベルの知識:
・基本コマンド(ネットワーク設定、ログ確認)
・OSIモデルとサブネットの基礎
・ログの見方(どこに何が記録されているか)
・ping/tracerouteなどの疎通確認
このレベルを達成した証として、CCNAかLPIC-1/LinuC-1のいずれかを取得すれば、知識の証明となり、後のキャリアチェンジで大きなアドバンテージとなります。
→関連記事:インフラエンジニアの勉強ロードマップ|未経験からの順番・独学ステップ・教材
ステップ1(ネットワーク・Linux基礎)を終えた段階は、未経験の方にとって 大きな前進 です。しかし、セキュリティエンジニアを目指すうえで避けて通れないのが、インフラの実務経験 です。
ステップ 2(AWS)に進む前に、まずはインフラエンジニアとして最初の現場経験を積むのが最も現実的なルートです。
「どうやって実務経験を得るのか?」
「今のスキルで転職できるのか?」
そんな疑問がある方は、インフラ転職のプロから最短でインフラエンジニアになるための戦略を立ててもらうのが最速です。
ステップ2:クラウド(AWS)で「セキュリティの土台」を構築
現在のセキュリティ業務は、オンプレミスよりもAWSを前提としたクラウド設計が中心になっています。そのため、インフラ基礎の次は、AWSの基礎だけでも押さえておくことが最短ルートになります。
セキュリティの設計は「クラウドの知識が前提」の時代
特にIAM・VPC・セキュリティグループなど、AWSの基礎構成そのものがセキュリティにつながります。
→関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・資格・年収・将来性を徹底解説
→関連記事:クラウドエンジニア勉強法ロードマップ|未経験から最短で実務へ
まず押さえるべきは IAM/VPC/SG の3つだけでOK
未経験〜若手の段階では、AWSのすべてを理解する必要はありません。まずは、以下の3つが分かれば十分です。
■まず押さえたい3つ:
・IAM (Identity and Access Management)
→アクセス管理(誰が何にアクセスできるか)の基本。ゼロトラストの起点。
・VPC (Virtual Private Cloud)
→仮想ネットワーク。通信の隔離と経路設定の基本。
・セキュリティグループ
→通信の許可・拒否。サーバーレベルのファイアウォール設定。
→関連記事:AWS SAAを未経験から合格する勉強法・ロードマップ
実践環境はまず「小さく作る」だけで十分
資格の勉強だけでなく、実際に手を動かすことでセキュリティの理解は大きく上がります。
まずはAWS無料枠を使って、以下を触るだけでも、セキュリティの理解スピードは上がります。
■小さく作ってみる例:
・EC2(仮想サーバー)を立ててみる
・VPC(仮想ネットワーク)を設定してみる
・CloudTrailでログを確認してみる
→関連記事:AWSの勉強方法まとめ|未経験からエンジニアを目指すロードマップ
インフラ・クラウド職種を体系的に理解したい方へ
セキュリティ領域に進むためには、「インフラ → クラウド」の全体像をより深く理解しておくことも重要です。
インフラやクラウドエンジニアの全体像をさらに整理したい方は、以下の関連記事が参考になります。
関連記事:インフラ・クラウド職種を体系的に理解したい方へ
→関連記事:インフラエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
→関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・資格・年収・将来性を徹底解説
→関連記事:AWSエンジニアとは?仕事内容・スキル・資格・年収・将来性を徹底解説
ステップ3:実務で必須の「セキュリティ専門スキル」を学ぶ
インフラ基礎とAWSの土台ができたら、次はセキュリティ領域の専門スキルを学びます。
ただし、このステップ3は「全てを深堀する必要はありません」。「最初の実務で求められる基礎知識」 に的を絞って、「入口と全体像」 を把握するだけで十分です。
またこの分野は、独学のハードルが高い領域です。そのため、「まずはこれらのスキルを実務で学べる環境を目指す」というのも、非常に現実的なキャリア戦略の一つです。
ログ分析/SIEM(CloudTrail、Splunk)
セキュリティの実務は、「ログを見る仕事」中心です。まずは以下の基本ログに触れるだけで理解が進みます。
■ログに触れる:
・OSログ(Linux):不正ログイン・プロセスの異常など、サーバー内の動きを分析
・CloudTrail(AWS):AWSリソースに対する操作履歴を追跡
・VPCフローログ (AWS):ネットワーク通信の流れを確認
・Splunkなどのダッシュボード:SIEMツールを使って簡易分析
インフラ脆弱性診断・管理(診断との違い)
最初に必要なのは、「脆弱性診断」と「脆弱性管理」の違いを理解し、「管理」のプロセスを把握することです。
| 用語 | 意味 |
| 脆弱性診断 | 脆弱性を「発見」する技術的作業 |
| 脆弱性管理 | 発見した脆弱性を「優先順位をつけて改善する」プロセス |
実務で新人がやるのはほぼ「脆弱性管理」の方です。
インシデント対応(CSIRT基礎)
CSIRT業務は専門性が高いですが、最初は「インシデント対応の流れ」を理解するだけで十分です。
対応フロー例:
① アラート検知 →② 影響範囲の調査 → ③ 一時対処 → ④ 根本原因の特定 → ⑤ 再発防止策の検討
暗号化・IAM・ゼロトラストの概念理解
実務で理解していると評価されやすい、セキュリティ設計の大元に関わる内容です。どれも最初は「概念理解でOK」です。
■重要キーワード:
・暗号化の基本:データの暗号化と鍵管理(KMS)
・IAM:「権限管理」の考え方
・ゼロトラスト:(IDベースのアクセス制御)の概念
セキュリティエンジニアに必要な資格と優先順位
セキュリティエンジニアは、システムの安全性やデータ保護を担うために「信頼」が最も重要とされる職種です。
そのため採用現場では、「基礎を正しく理解しているか」、「任せても安全か」 を判断する材料として、資格が強い役割を果たしています。
資格そのものが絶対必須ではありませんが、知識の抜け漏れがないことや、学習姿勢を示す「信頼の可視化ツール」として、非常に重視されているのが現実です。
ここでは、未経験〜若手が「最短ルートで」取得を検討すべき資格だけに絞って紹介していきます。
未経験向け(CCNA/LPIC-1/Security+)
まずはセキュリティの土台となる Linux・ネットワーク・基礎的なセキュリティ概念 を証明する資格です。
■未経験者向けおすすめ資格:
・CCNA(ネットワーク基礎)
・LPIC-1/LinuC-1(Linux基礎)
・CompTIA Security+(セキュリティ基礎の体系理解)
特に CCNAはセキュリティ志望者との相性が抜群です。最初に選ぶべき資格は、CCNAでOKです。
→関連記事:CCNAとは?未経験からわかる資格の内容・難易度・勉強法まとめ
→関連記事:LPICとは?LinuCとの違い・LPIC-1/2/3の難易度・活かせるキャリアを解説
若手向け(AWS SAA)
インフラやネットワークの実務経験がついてきたら、次に狙うべき資格は AWS SAA(ソリューションアーキテクト)一本でも十分です。
AWS SAASAAを学ぶことで、IAM、VPC、セキュリティグループ、CloudTrail、暗号化(KMS)など、セキュリティに直結するクラウド知識を体系的に学ぶことができます。
クラウドセキュリティを目指す若手にとって、最短で・最も評価される資格です。
→関連記事:AWS SAAを未経験から合格する勉強法・ロードマップ
→関連記事:未経験からクラウドエンジニアになるには|勉強法と資格
中堅向け(AWS セキュリティ/情報処理安全確保支援士)+最終ゴール(CISSP)
実務経験が2〜3年ほど積めてきた段階で、次のステップとして AWS セキュリティ(SCS) や
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ) が現実的な目標になっていきます。
これらの資格では、セキュリティ設計、IAM・ネットワーク境界、ログ・監査、事故対応(インシデント)、リスク管理など実務につながるスキルを学ぶことができ、評価も高い資格群です。
また、長期的に「セキュリティスペシャリストの最高峰」を目指す場合は、超高難易度の国際資格である CISSP が最終ゴールとなります。
他IT職種と年収を比較したい方へ
セキュリティ/クラウド分野は、インフラ領域の中でも特に年収・将来性の伸び幅が大きく、キャリア投資のリターンが最も高い領域のひとつです。
「どれくらい年収が変わるのか?」などの職種別市場価値の全体像は、以下の関連記事で整理しています。
関連記事:AI時代に価値が高まるセキュリティ・クラウド領域の年収相場
→関連記事:インフラエンジニアの年収相場と上げ方|工程別・年代別に1000万円を狙う戦略
→関連記事:クラウドエンジニアの年収相場と上げ方|AWS・Azure資格別・年代別の徹底比較
→関連記事:AWSエンジニアの年収相場と上げ方|資格・経験別レンジと脱SES戦略
未経験から最短で実現する「王道キャリアと転職戦略」
これまで、学ぶべき技術とその順序を解説してきました。しかし、技術を学んだだけでは転職は成功しません。
「どのような実務経験を、どの順序で積むか」というキャリア戦略が最も重要です。
ここでは、企業が求めるスキルセットを確実に身につけ、最短でセキュリティエンジニアを目指すための「最も王道で再現性の高いキャリアパス」を解説していきます。
王道の3ステップキャリアパス
以下は技術的ステップを1つずつクリアするのと同時に、企業の求人要件にも完全に合致するキャリアパスです。IT未経験者の場合は、ステップ0から始まることも多くあります。
| ステップ | 目標 | 目安期間 |
| ステップ0: インフラ運用監視 | インフラの現場を体験する。基本的なログ、アラート、OSの挙動に慣れる。 | 1〜2年 |
| ステップ1:インフラ構築運用 | ネットワークとLinuxの基礎を「実務で使えるスキル」に昇華させる。 | 2〜3年 |
| ステップ2:クラウド or ネットワーク設計 | AWS設計やVPC/IAMなどの設計・構築フェーズに入り、設計力を高める。 | 1〜3年 |
| ステップ3:セキュリティエンジニア | SOC、CSIRT、脆弱性管理などの専門ポジションに移る。安全確保支援士やSCSとの相性がよくなり、キャリアが加速する。 | ー |
最も危険な落とし穴:「キャリアが留まる」会社選び
この王道ルートは理想的な環境であれば実現しますが、インフラ構築運用からセキュリティ専任までを「1社で完結できる企業は非常に少ない」のが現実です。
そのため、キャリアの各ステップで「転職」を1〜2回挟むことは一般的であり、むしろ最短で目指すための賢い戦略でもあります。
しかし、「現在の勤務先」や「次の転職先」を誤ると、せっかくのキャリアアップの機会を失い、簡単に2~3年は留まってしまいます。
■キャリアが留まる落とし穴:
・【ステップ0で留まる危険性】現場経験が積めない会社(または求人)
→監視オペレーターやヘルプデスクとしての業務が中心で、サーバーやネットワークの実機に一切触れない。
・【ステップ1で留まる危険性】構築業務に携われない会社
→マニュアル通りの作業が中心で、新しい技術に触れる機会がない。
・【ステップ2で留まる危険性】クラウドやネットワーク設計業務に携われない会社
→クラウドや上流工程は常に他社エンジニアが対応、自社のエンジニアは下流工程のみ。
「技術の成長が止まる = 市場価値が上がらない」ことを意味します。
せっかく技術を学んでも、それを活かす仕事がなければ、セキュリティエンジニアへのキャリアチェンジは遠のいてしまいます。
だからこそ「転職を含めたキャリア戦略」が必須
特にセキュリティ領域は会社格差も大きいため、どの企業なら設計に上がれるのか、どの環境ならAWSに触れるのかを理解して「職場を選んで動く」必要があります。
これは未経験や若手一人で判断するのが極めて難しい分野です。
最短ルートでセキュリティエンジニアになるための戦略相談
「今の現場で構築 → クラウド/NW設計 → セキュリティエンジニアのステップ踏めるのか?」
「自分のスキルだと、どのポジションが最短なのか?」
こんな不安に感じたら、一度プロとキャリア戦略を作るのが最速です。あなたの現状を棚卸しし、最短距離でセキュリティエンジニアになるルートをご提案します。
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よくある失敗パターン(やってはいけないこと)
セキュリティエンジニアを目指す人の多くが、最初のステップで方向を誤り、数年単位で遠回りしてしまいます。
ここでは、未経験〜若手によくある「3つの失敗パターン」を紹介していきます。いずれも「セキュリティ=特別な専門職」という誤解から生まれるものです。
①「いきなりセキュリティ専門資格」から始める
未経験者が最もやりがちな失敗です。CompTIA Security+、情報セキュリティマネジメント試験、安全確保支援士などの専門資格から学び始めても、ほぼ実務に繋がりません。
| 失敗する理由 | 必要な土台知識 |
| 理解がつながらない | Linux・ネットワーク・クラウドの土台がないと、資格の内容が知識として定着しない。 |
| 実務で使えない | 資格は取れても、現場の構成理解やログ分析ができず、スキル証明として機能しない。 |
セキュリティはインフラの延長線上にある領域です。まず土台を固めることが最短ルートです。
②「インフラを飛ばしてクラウドだけ」学ぶ
AWSやAzureの勉強は大切ですが、インフラ基礎(Linux/ネットワーク)がない状態でクラウドを学んでも、実務では活かしにくいのが実状です。
■いきなりクラウドを学ぶ弊害:
・知識の壁: IAMやVPCの仕組み、サブネット、ACL(通信制御)の概念が曖昧になり、「なぜこうするべきなのか」が理解できない。
・実務の壁: ログを見ても異常箇所が特定できず、現場で求められる「設定ミス」に気づけない。
クラウドはあくまで「インフラが抽象化されたもの」です。土台となるインフラスキルが弱いと、セキュリティでも壁にぶつかります。
③「診断系(レッドチーム)だけ」目指す
「ホワイトハッカーになりたい」という人が増えていますが、未経験がいきなり診断系を目指すのは再現性が極めて低く、挫折率が高いルートです。
セキュリティエンジニアは、まず防御(運用系)から始まります。
| 失敗する理由 | 防御(運用)から始めるべき理由 |
| 採用ハードルが高い | 企業の求人は運用系(SOC/CSIRT)が中心であり、いきなりレッドチームは採用されない。 |
| 前提知識が圧倒的に異なる | 攻撃(診断)には、防御側のインフラ/クラウド構成を深く理解していることが前提となる。 |
まずは「守る側(運用/ログ分析)」で実務経験を積み、そこから徐々に診断・侵入テスト側に進むルートが再現性のある王道キャリアです。
まとめ:失敗パターンに共通する原因
3つの失敗すべてに共通するのは、「セキュリティはインフラ基盤の上に成り立つ」という大前提をスルーしてしまうことです。これを理解すれば、どのステップが最短なのか、どの資格から始めるべきかが明確になっていきます。
自分がどの職種に向いているか整理したい方へ
セキュリティエンジニアは決して「誰でも簡単になれる職種」ではありませんが、インフラ → クラウド/NW → セキュリティ の順番で経験を積めば、再現性高く到達できます。
ただし、キャリアを最短で伸ばすためには、「自分の適性」 や 「どの職種から入ると最短なのか」などもを理解しておくことが大事です。どのルートが向くのか整理したい方は、以下関連記事が参考になります。
関連記事:自分がどの職種に向いているか整理したい方へ
→関連記事:インフラエンジニアのキャリアパス・ロードマップ|運用から設計・クラウドへ
→関連記事:ネットワークエンジニアのキャリアパス|クラウド・セキュリティ時代の成長戦略
→関連記事:クラウドエンジニアのキャリアパス|設計・自動化・SREへ進むロードマップ
この記事のまとめ:最短ルートを再確認
セキュリティエンジニアを目指すための最短ルートは、「インフラ実務経験を土台」にした、市場価値の高い「クラウドスキル」をかけ合わせることに尽きます。
最後に、未経験者が進むべき王道4ステップと、各ステップで取るべき戦略を簡易にまとめます。
| ステップ | 期間目安 | 学習目標 |
| ステップ 1:基礎学習 | 3〜5ヶ月 | ネットワークとLinuxの基礎を固める(CCNA/LPICレベル)。 |
| ステップ 2:実務経験 | 1〜3年 | インフラ構築・運用でオンプレ実務の土台を築く(重要)。 |
| ステップ 3:クラウド強化 | 1〜3ヶ月 | AWS SAAレベル(IAM/VPC/SG)を習得し、クラウドでセキュリティ土台を築く。 |
| ステップ 4:専門スキル | 2〜6ヶ月 | ログ分析、脆弱性管理、CSIRT基礎などの全体像を把握する。 |
キャリアアップと年収の現実
セキュリティエンジニアは、インフラ・クラウド領域の中でも年収上昇幅が大きい領域です。「守る技術」は不況でも価値が下がらないため、長期的に見てもキャリア投資として非常に強い領域です。
以下は、スキルレベルごとの年収の目安です。
| スキルレベル/資格 | 年収目安 |
| AWS+セキュリティ(若手) | 500〜700万 |
| CSIRT/脆弱性管理(経験者) | 600〜800万 |
| SCS/セキスペ(設計経験者) | 700〜1000万 |
| CISSP(マネジメント) | 800〜1200万以上も |
※年収はあくまで目安です。経験の幅や企業規模によって前後します。
セキュリティエンジニアは、数あるIT職種の中でも特に所属企業での年収差が大きい職種です。 だからこそ、あなたの市場価値を最大限に高めるための「戦略的な転職」も重要です。
→ 関連記事:セキュリティエンジニアの年収まとめ
次の行動へ:最短距離でキャリアチェンジを実現する
技術的な知識を得たとしても、最も難易度が高いのは「実務経験を積むための最初の会社選び」です。
セキュリティエンジニアへの道は、遠回りやキャリアの停滞が最も危険です。
■キャリアが停滞する特徴まとめ:
・運用に固定されて3年以上経過してしまう
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さらに、ロードマップとあわせて、適性・仕事内容・年収などもセットで押さえておくと成功率が高まります。詳しくは、以下の関連記事も参考にしてください。
■関連記事:セキュリティエンジニアをもっと理解する
→関連記事:セキュリティエンジニアとは?仕事内容・年収・将来性・きつい点まで解説
→関連記事:セキュリティエンジニアに向いている人の特徴|適性診断と伸ばし方
→関連記事:セキュリティエンジニアの平均年収は?|最短で700万超えを目指すキャリア戦略
→関連記事:セキュリティエンジニア資格のおすすめ順番|ルート・難易度などを解説






