こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。
「インフラエンジニアになった後、どんなキャリアパスがあるのだろう?」
「未経験からでも成長していけるのか、それとも経験がないと難しいのか?」、、
こうした疑問を持つ方は多いと思います。実際、インフラエンジニアは 未経験から挑戦できる数少ないIT職種 のひとつですが、最初から華やかなキャリアや高年収を実現できるわけではありません。
多くの人は運用・監視といった基礎的な業務からスタートし、経験を積みながら少しずつステップアップしていきます。
ただし、基礎を固めて成長を続ければ、サーバーやネットワークの構築、クラウドやセキュリティといった専門分野へ進み、市場価値を高めることが可能です。
この記事では、インフラエンジニアのキャリアパスを全体像から整理し、未経験者・経験者それぞれのロードマップや、資格・年収との関係までわかりやすく解説します。
インフラエンジニアのキャリアパスとは?
インフラエンジニアのキャリアパスは、一度に大きくジャンプするものではありません。経験を積みながら、少しずつ広がっていくのが特徴です。
最初は監視や運用といった基礎的な業務から始まり、構築・設計へ進むことでスキルと年収が伸び、さらにクラウドやSRE、セキュリティなど専門性の高い分野へと道を広げることができます。
キャリアパスの全体像(運用→構築→設計→クラウド/SREなど)
インフラエンジニアのキャリアパスは段階的に広がっていきます。多くの人は、まず監視や運用といった基礎的な業務からスタートし、その後サーバーやネットワークの構築、システム設計へと進みます。
さらに近年では、クラウドやSRE(Site Reliability Engineer)などの新しい専門領域に進む選択肢も増えています。
■一般的なキャリアの流れ:
・ステップ1:運用・監視(夜勤やシフト勤務を伴うことも多い)
・ステップ2:構築(環境をゼロから作る業務)
・ステップ3:設計(要件に基づき全体像を設計)
・STEP4:専門領域へ発展(クラウド、SRE、セキュリティなど)
小さな一歩から始まり、大きな選択肢へ広がるのがインフラエンジニアの魅力です。
未経験者と経験者で異なる「スタート地点」
未経験者の多くは、まず監視や運用といった、スキルなしでも比較的やりやすい業務からキャリアを始めます。
一方で、すでにIT業務の経験がある人(ヘルプデスク、開発、システム運用など)は、基礎知識を活かして構築や設計に近いポジションからスタートできる場合もあります。
つまり「誰もが同じスタート地点に立つわけではなく、自分の経験値によって入口が変わる」という点を理解しておくことが大切です。
未経験からのキャリアパス
未経験からインフラエンジニアを目指す場合、いきなり設計やクラウド案件を任されることはほとんどありません。まずは現場で基礎を学び、少しずつステップアップしていくのが一般的です。
ここでは、多くの人が歩む「王道のキャリアロードマップ」を紹介します。
ステップ1:運用・監視からスタート
未経験者が最初に配属されやすいのが「運用・監視」のポジションです。主な仕事内容は以下のようなものとなります。
■運用・監視の仕事内容:
・サーバーやネットワーク機器の稼働状況を監視する
・アラート発生時の一次対応(マニュアルに沿った作業)
・バックアップやログのチェック
このフェーズでは 夜勤やシフト勤務 を伴うこともあり、体力的に厳しさを感じることもあります。ただし、現場でシステムの仕組みを理解し、トラブル対応の流れを体験できる貴重なステップです。
「ここで得られる基礎経験が、次のキャリアに進むための土台になる」と考えることが大切です。
■関連記事:運用監視オペレーターはやめとけ?将来性とキャリアアップロードマップ
ステップ2:サーバー・ネットワーク構築へステップアップ
運用や監視で基礎を学んだ後は、徐々に「構築」に携わるチャンスが出てきます。
■インフラ構築の仕事内容:
・サーバーOS(Linux/Windows)のインストール・設定
・ネットワーク機器(ルータ・スイッチ)の初期設定
・小規模なシステム導入・テスト環境の構築
構築は「ゼロから環境を作り上げる」仕事であり、運用に比べて難易度も責任も高まります。その分、スキル評価や年収アップにつながりやすい段階です。
このフェーズでは、「運用で学んだ知識を、実際に手を動かして活かす」ことができるため、エンジニアとしての成長を強く実感できるようになります。
■関連記事:挫折しない!未経験インフラエンジニア勉強法と学習順序、最短ロードマップ
ステップ3:クラウドスキルを習得し市場価値を高める
さらに成長を目指すなら、クラウドスキルの習得が重要です。AWSやAzureといったクラウドサービスは多くの企業で導入が進んでおり、クラウド人材の需要は非常に高い状況です。
■クラウドスキルで市場価値を拡張:
・AWS認定資格(SAA)やAzure資格の取得
・実務でクラウド環境の構築・運用に関わる
・IaC(Infrastructure as Code)や自動化ツールの学習
クラウドスキルを身につけることで、「ただの運用エンジニア」から「市場価値の高いエンジニア」へと成長できます。特に近年は、クラウド経験が転職市場での大きな差別化要素になっています。
■関連記事:クラウドエンジニアとは?仕事内容・必要スキル・年収・向いている人を解説
まとめ(未経験者の成長ロードマップ)
未経験者が歩むキャリアの流れは、以下のように整理できます。
運用・監視 → 構築 → クラウド/設計 → 専門分野(SRE・セキュリティなど)
最初は地道で大変に感じることもありますが、一歩ずつ経験を積めばキャリアの選択肢は確実に広がります。
小さな一歩の積み重ねが、数年後の大きなキャリアアップにつながるのがインフラエンジニアの魅力です。
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現場経験や資格取得の進め方を踏まえて、あなたに合ったロードマップをご提案します。
経験者からのキャリアパス
すでにシステム運用や構築の経験がある人は、未経験者よりも幅広いスタート地点からキャリアを描くことができます。
現場経験を活かして、より専門性の高い領域や上流工程にチャレンジすることが可能です。ここでは代表的なキャリアの広がりを紹介します。
SRE(Site Reliability Engineer)で自動化・信頼性を高める
SREは、Googleが提唱した新しいインフラエンジニアの形です。従来の運用・保守にとどまらず、システムの信頼性を高める仕組みを自ら設計・自動化する役割を担います。
■SREの仕事例:
・IaC(Infrastructure as Code)による自動化
・監視システムやアラート運用の改善
・SLA/SLO(サービスレベル管理)の設計
これらの業務は「運用の効率化」、「障害の予防」に直結するため、企業からの需要が高いです。また、クラウドスキルと組み合わせることで年収アップにもつながります。
セキュリティエンジニアでゼロトラスト時代に対応
クラウドの普及とともに、セキュリティの重要性はさらに高まっています。経験者は、インフラの知識を土台にしてセキュリティ分野にキャリアを広げることも可能です。
■セキュリティエンジニアの仕事内容例:
・ファイアウォール・WAF・IDS/IPSなどの設計・運用
・SOC(Security Operation Center)での監視・分析
・ゼロトラストネットワークの設計
セキュリティは専門性が高く人材不足が続いているため、転職市場でも評価されやすい領域です。安定したキャリアを築きたい人や、将来的にコンサルティング職を目指す人にも向いています。
クラウドアーキテクトで全体設計をリードする
クラウド環境がインフラの主流となる中で、クラウドアーキテクトの需要が急速に高まっています。
クラウドアーキテクトは、システム全体を設計し、セキュリティ・コスト・運用まで含めて最適化をリードする役割を担います。
■クラウドアーキテクトの仕事内容例:
・AWS/Azure/GCPの設計・導入支援
・マルチクラウド戦略の立案
・大規模プロジェクトでのリーダー的立ち位置
設計力・マネジメント力が求められる分、年収も高水準で、経験者が次のステージを目指す代表的なキャリアです。
■関連記事:クラウドエンジニアへの勉強ロードマップとおすすめ資格
■関連記事:インフラエンジニアがAWSを学ぶべき理由と勉強法
まとめ(経験者のキャリア拡張)
経験者は、これまでの運用・構築経験をベースにして、「自動化(SRE)」、「セキュリティ」、「クラウド設計」といった専門性の高い領域にキャリアを広げることができます。
■経験者のキャリア拡張例:
・技術を極めてスペシャリストを目指す
・マネジメントに進んでチームをリードする
・クラウドやセキュリティに強いアーキテクトを目指す
自分の強みや興味に合わせて進む道を選べるのが、経験者ならではの魅力です。
さらに具体的なキャリアパスを考えたい方は、キャリア相談サービスで自分のスキルと市場ニーズをすり合わせてみるのもおすすめです。
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資格とキャリアパスの関係
インフラエンジニアのキャリアを考える上で、資格は「なんでも叶う、万能の切符」ではありません。
しかし、正しい順番で取得すれば、自分のキャリアの方向性を示す非常に有効な武器となります。ここでは未経験者と経験者、それぞれに適した資格を整理していきます。
未経験者向け:LPIC-1、CCNAが「最初の切符」
未経験からインフラエンジニアを目指す人にとって、LPIC-1(またはLinuC-1)とCCNA は最初の大きな一歩目となります。
■LPIC-1(またはLinuC-1)、CCNAとは:
・LPIC-1 / LinuC-1:Linuxの基本操作やユーザー管理、シェル操作など、インフラの基礎を体系的に学べる
・CCNA:ネットワークの仕組み(IPアドレス、ルーティング、LAN/WANなど)を理解できる
これらは実務でも必ず使う知識であり、「基礎を押さえていることを証明する」意味で、転職活動の武器になります。
ただし「資格を取れば即内定」ではありません。「資格を取ることで、現場に入るきっかけを得やすくなる」という現実的な視点を持つことが大事です。
■関連記事:【独学でも合格】LPIC-1の勉強法とおすすめ教材
■関連記事:【独学でも合格】CCNAの勉強法まとめ
経験者向け:AWS、CCNP、LinuCでさらにキャリアを広げる
すでに運用・構築の経験がある人は、より専門性の高い資格に挑戦することでキャリアを広げられます。
■AWS、CCNP、LinuCの強み:
・AWS認定資格(SAAなど):クラウド案件へのアサインに直結しやすい。クラウド人材は市場価値が高い
・CCNP:ネットワーク専門職を目指す人向け。設計・構築の深い知識を証明できる
・LinuC-2 / LPIC-2:Linuxサーバーの高度な運用・トラブルシューティングスキルをアピールできる
資格をステップアップさせることで、「構築から設計」→「専門領域へのキャリアチェンジ」 といった道が見えてきます。
■関連記事:【未経験・独学でもOK】AWS認定資格(SAA)の勉強法
■関連記事:LPICのおすすめ参考書:レベル別(1・2・3)と独学の勉強法
資格をどうキャリア戦略に組み込むか
資格は「取ればゴール」ではなく、「どの順番で取るか」、「どう経験に活かすか」が重要です。
■おすすめの資格順番:
・未経験 → LPIC/LinuC-1、CCNAで基礎を固める
・経験者 → AWSやCCNP、LPIC/LinuC-2で専門性を伸ばす
・その後 → 自分のキャリアゴールに合わせて選択(クラウド、セキュリティ、SREなど)
■関連記事:【保存版】LPIC・CCNA・AWSどれから取る?
■関連記事:インフラエンジニア資格の難易度は?おすすめ資格の一覧と選び方
年収とキャリアパスの関係
インフラエンジニアの年収は、キャリアの段階や担当する業務内容によって大きく変わります。
最初から高年収を狙える職種ではありませんが、経験とスキルを積み重ねれば、着実に水準を上げていくことができます。ここでは代表的なキャリア段階ごとの年収相場を紹介します。
未経験スタート時の年収レンジ
未経験で入社した場合、最初の数年間は「運用・監視」などの基礎業務が中心となります。夜勤やシフト勤務がある場合も多く、年収は 300〜400万円台 が相場です。
「思ったより低い」と感じる方もいますが、この時期はエンジニアとしての土台を固める準備期間。ここで得た経験が後のキャリアアップにつながります。
スキル習得・転職での年収アップ事例
基礎を学び、サーバーやネットワーク構築の経験を積むと、転職によって年収が一気に伸びるケースがあります。
■年収アップ事例:
・事例1:運用から構築にステップアップ → 年収350万 → 450万にアップ
・事例2:AWS認定資格を取得し、クラウド案件にアサイン → 年収400万 → 520万にアップ
資格と実務経験を組み合わせることで「即戦力」と評価され、転職市場での待遇改善につながるのが現実です。
キャリアごとの年収目安(運用→構築→設計→クラウド)
キャリア段階ごとのおおよその年収相場は以下の通りです。
キャリア段階 | 主な業務内容 | 年収目安 |
運用・監視(1〜3年目) | システム監視、一次対応 | 300〜400万円台 |
構築(3〜5年目) | サーバー・ネットワーク構築 | 450〜550万円 |
設計(5〜7年目) | システム全体の設計・要件定義 | 500〜750万円 |
クラウド/専門職(7年目以降) | AWS/Azure設計、SRE、セキュリティ | 600〜800万円以上 |
※これらは首都圏や大阪などの大都市圏を基準とした目安です。地方ではやや低めになる傾向があり、逆に外資系や急成長スタートアップでは高水準の年収が提示される場合もあります。
【AI時代の年収への影響】自動化で減る仕事・伸びる仕事
今後はAIや自動化の影響で、単純な監視・運用業務の価値は相対的に低下する可能性があります。一方で、次のような領域では需要がむしろ高まっています。
■需要が高まる分野例:
・IaC(Infrastructure as Code)を活用した自動化設計
・AIサービスを支える大規模インフラ(GPUクラスタなど)の構築・運用
・セキュリティを強化する仕組み作り
つまり「単純作業だけを続ける」キャリアは厳しくなる一方で、新しい技術に挑戦する人はさらに高年収を狙える という二極化が進むと考えられます。
インフラエンジニアの年収は、最初は低めにスタートしますが、スキル習得・転職・専門分野へのシフトで着実に上げていけます。
さらに詳しい年収データや、具体的な求人相場について知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
■関連記事:インフラエンジニアの年収相場まとめ
キャリアパス事例(モデルケース)
キャリアパスを「図や表」で示されても、なかなか自分ごととしてイメージしにくいものです。ここでは、実際によくある2つのケースを紹介します。
年齢や経験値によって異なるキャリアの進み方を具体的に知ることで、自分の将来像を描くヒントにしてください。
20代未経験から3年でクラウドエンジニアへ
第二新卒としてIT業界に飛び込んだAさんは、最初はサーバー監視の仕事からスタートしました。
夜勤中心のシフト勤務で大変でしたが、日々の業務を通じてLinuxコマンドやネットワークの基礎を学習。並行してLPIC-1とCCNAを取得しました。
その後、転職で構築案件に携わり、AWS認定資格(SAA)を取得。3年間の実務経験と取得した資格を武器に転職。転職先ではクラウド案件にアサインされ、年収も400万円台から500万円台へと上がりました。
→未経験スタートでも、計画的にスキルを積めば、短期間でクラウド分野へキャリアを広げられる例です。
■関連記事:【未経験でも安心】インフラエンジニア転職成功ロードマップ
■関連記事:インフラエンジニアに向いている人の特徴
30代経験者からセキュリティエンジニアへ
もともとインフラエンジニアとしてネットワーク構築を担当していたBさんは、30代前半でキャリアの停滞を感じました。年収は安定していたものの「将来性を考えると強みを持ちたい」と考え、セキュリティ分野へシフト。
セキュリティ資格の情報処理安全確保支援士とCISAを取得し、セキュリティエンジニアに転職しました。最初はCSIRT構築支援から始まり、現在は現在はゼロトラストネットワークの設計にも関わり、年収も850万円までアップ。
→経験者は「これまでの知識+専門性」で市場価値を高めるキャリアチェンジが現実的です。
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まとめ:自分に合ったキャリアパスを描こう
インフラエンジニアのキャリアパスは、誰にとっても同じではありません。未経験から地道にステップを重ねていく人もいれば、経験をベースに専門分野を広げる人もいます。
大切なのは「自分に合った道筋を知り、計画的に進めていくこと」です。
未経験者は「王道ロードマップ」を着実に進もう
未経験者は、まず 運用・監視 → 構築 → 設計 → クラウド/セキュリティ という王道の流れを意識しましょう。
最初は夜勤やシフト勤務など厳しさもありますが、この基礎期間を乗り越えればキャリアの選択肢は一気に広がります。
「一歩ずつ積み重ねれば必ず道は開ける」ことを忘れずに、焦らず着実に進めることが成功の鍵です。
経験者は「専門性×トレンド」で市場価値を高めよう
経験者は、これまでのスキルを基盤にしながら SRE・クラウドアーキテクト・セキュリティ など成長領域へ広げていくのがおすすめです。
特にクラウドと自動化は今後も需要が高まる分野で、早めにキャッチアップすれば市場価値をさらに伸ばせます。
「専門性 × トレンド」を意識することで、キャリアも年収も持続的にアップデートできるでしょう。
最後に、キャリアの方向性に迷っている方へ
自分一人でキャリアパスを考えるのは難しく、間違った方向に進んでしまうリスクもあります。
私たちの インフラエンジニア専門キャリア相談 では、以下を一緒に整理します。
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