【徹底比較】ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いとは?

こんにちは、インフラ系エンジニア専門の転職エージェントの中の人です。

IT業界への就職・転職を考えている人にとって、「ネットワークエンジニア」と「インフラエンジニア」の違いは、気になる所でありかつ、非常に分かりにくいポイントと言えるでしょう。

どちらも、ITインフラを支える重要な職種であり、「インフラ系エンジニア」と、ひとまとめにされることもあります。しかし、仕事内容や役割、求められるスキルやキャリアパスなどには、明確な違いがあります

この記事では、未経験者でもわかりやすいように、図解も使いながら、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアについて、仕事内容から必要スキル、資格、年収や将来性などの違いを、詳しく解説していきます。

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目次

はじめに:インフラエンジニアの定義は、会社によって異なる

「インフラエンジニアとは、何をする人なのでしょうか?」

前提として知っておくべきことは、「インフラエンジニア」の定義は、会社ごとに微妙に異なることです。

インフラエンジニアは、広い意味では「ネットワークやサーバーなど、ITインフラ全体を担当者」を指します。しかし、狭い意味では、インフラエンジニアは「サーバー専門の人」を指します。

これが、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの違いを、わかりにくくさせる理由と言えるでしょう。

以下からは、どのような視点で「ネットワークエンジニア」と「インフラエンジニア」の違いを理解するべきかも含めて、説明していきます。

未経験者は、こう覚えよう、ネットワークエンジニアと、インフラエンジニアの違い

ITインフラは、大きく分けて「ネットワーク分野」と「サーバー分野」の2つがあります。

ネットワークエンジニアの定義は明確です。ネットワーク分野に特化しているエンジニアを、ネットワークエンジニアと呼びます。

一方で、インフラエンジニアの定義は「あいまい」です。

ただし、初級エンジニアは、ネットワークとサーバーの両方を担当することも多いため、初級エンジニアを採用する会社の多くは、インフラエンジニアを「ネットワーク分野も、サーバー分野も関わる職種」と考えています。

■未経験者は、まず以下のように覚えよう:
・ネットワークエンジニア:ネットワーク領域に特化した専門職
・インフラエンジニア:インフラ全般(ネットワーク、サーバー、OS、ストレージ、仮想化基盤、クラウドなど)を扱う技術職

未経験者向けに、「ネットワークエンジニア」と「インフラエンジニア」の仕事内容の違いを、図解で説明すると、以下のようになります。

上記図のように、インフラエンジニアは、「ネットワークエンジニア」や「サーバーエンジニア」、「クラウドエンジニア」、「セキュリティエンジニア」、「データベースエンジニア」を総称して呼ぶ、とまずは覚えておくと良いでしょう。

将来はこうなると理解しよう、ネットワークエンジニアと、インフラエンジニアの違い

しかし、中級レベル以上のエンジニアの場合は、ネットワーク分野とサーバー分野が明確に分かれていきます(ネットワークチームと、サーバーチームに分かれると考えてください)。

中級者になる前に、ネットワークとサーバーが分かれることを理解していないと、必要スキルやキャリアパスなどが大きく変わるため、しっかり理解しておくべきと言えるでしょう。

小規模のプロジェクトや、地方のプロジェクトでは、ネットワークとサーバーの両方に携わることはありますが、基本は「ネットワーク分野メイン」か「サーバー分野メイン」に分かれます。

そのため、ネットワーク分野に特化したエンジニアを「ネットワークエンジニア」サーバー分野に特化したエンジニアを「インフラエンジニア」と呼ぶようになります。

■中級以上のエンジニアでは、違いは以下になる:
・ネットワークエンジニア:ネットワーク分野に特化した専門職
・インフラエンジニア:インフラ・サーバー分野(サーバー、OS、ミドルウェア、ストレージ、仮想化基盤、クラウドなど)といった、幅広い領域を扱う技術職

将来的な「ネットワークエンジニア」と「インフラエンジニア」の仕事内容の違いを、図解で説明すると、以下のようになります。

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアについて、将来的な違いまで知ることは、「自分にあった職種選び」や「必要なスキルを効率的に学ぶこと」において、非常に重要です。

また、将来的な違いを知ることで、「将来のキャリア設計が明確」になりやすく、「転職・就職活動でも的確に動いていく」ことができるようになります。

なんとなく「IT業界に行きたい」というよりも、「どのキャリアで活躍したいか」まで見据えて動いていくことが、後悔しないキャリア選択につながると言えるでしょう。

ネットワークとインフラエンジニア、仕事内容の違い

ネットワークエンジニアの具体的な仕事内容

ネットワークエンジニアの主な仕事は、企業内外のネットワークが安定して使えるように、ネットワークを設計、構築、運用、保守、監視をすることです。

まず、ネットワーク設計では、企業の業務要件に応じた通信構成を決めるために、ルータやスイッチの設置場所、ネットワークトポロジ、IPアドレスの割り振りなどを考慮した計画を立てていく工程です。

次の、ネットワーク構築では、ネットワーク機器の設置や配線、設定を入力し、通信がつながるか、通信のテストを行う工程です。構築工程は、物理的な現場対応が必要となる場合が多くあります。

その後の、ネットワーク運用や監視では、ネットワーク機器や回線の稼働状況を日々チェックし、トラフィック分析や障害の兆候を早期に察知します。障害が起きた場合は、ログの解析や原因切り分けを行い、復旧作業も行います。

また、セキュリティ対策も重要な仕事の一つです。ファイアーウォールやIDS/IPS(侵入検知・侵入防止システム)を使って、外部からの攻撃を守り、ネットワークを安全に保つのも仕事です。

インフラエンジニアの具体的な仕事内容

インフラエンジニアの主な仕事は、企業のシステムやサービスが安定して動くように、サーバーOS、ストレージ、ミドルウェアなどのインフラを、設計、構築、運用、保守をすることです。

サーバーの設計、構築では、業務システムを支えるOS(LinuxやWindows Serverなど)の導入や、初期設定を行います。また、仮想化技術(VMwareやKVMなど)を利用して、効率運用を実現する構成を考えることもあります。

また、ストレージ設計では、どのデータをどのストレージに保存するか、アクセス速度や冗長性のバランスを考え、RAID構成やバックアップ戦略も含めて検討していく工程です。

さらに、クラウド環境(AWSやAzureなど)を使用した、インフラ設計、運用も、現在のインフラエンジニアに必要とされる仕事です。オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドインフラ環境の構築も、よく求められると言えます。

あわせて、社内システムのセキュリティ対策や、ユーザーのアクセス権管理なども、インフラエンジニアの業務範囲に含まれ、インフラエンジニアは広範囲な仕事を担うのが特徴と言えます。

【まとめ】ネットワークとインフラエンジニアの仕事内容の違い

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの主な仕事内容を、以下にまとめました。違いを把握するために、ご参照ください。

ネットワークエンジニアインフラエンジニア
主な仕事内容・ネットワーク(LAN・WAN・VPNなど)の設計・構築・運用
・ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の設定
・通信障害の原因調査・復旧対応
・セキュリティ対策(ファイアウォールの設定など)
・サーバー(Linux、Windows)の設計・構築・運用
・仮想環境(VMware、Hyper-V)の設計
・クラウド基盤(AWS、Azure)の導入・運用
・ミドルウェアの設定(Webサーバー、DBサーバーなど)
・ネットワークやストレージの設定・連携

ネットワークとインフラエンジニア、必要なスキルの違い

ネットワークエンジニアもインフラエンジニアも、どちらもITインフラを支える職種です。また、ネットワークとサーバー、OS、セキュリティは密接な関係があるため、どちらの職種も、幅広い基礎知識は必要です。

一方で、基礎知識以外で必要とされるスキルは、職種によって大きく変わります。ここでは、必要なスキルの違いについて、説明していきます。

ネットワークエンジニアの必要スキル

■ネットワークエンジニアに必要な主要スキル:
・TCP/IPなど、通信プロトコルの理解
・ルータやスイッチの設定スキル
・障害対応スキル、トラブルシューティングスキル
・セキュリティ知識

ネットワークにおいては、通信の基本ルールであるTCP/IPなどの通信プロトコルを理解することが必須です。それに紐づき、OSI参照モデルなども理解する必要があります。

また、Ciscoなどのネットワーク機器(ルータ、スイッチ)に対して、コマンドライン(CLI)で設定するスキルや、トラブル時に、どの機器やどの経路に問題があるかを切り分け、復旧するスキルも重要です。

あわせて、ネットワークと切り離せないセキュリティ知識も必須です。VPNやファイアーウォール設定からゼロトラストなど、セキュリティ設計と連動して考慮するスキルも重要になってきます。

また以下からは、インフラエンジニアに必要とされるスキルを説明していきます。

インフラエンジニアの必要スキル

■インフラエンジニアに必要な主要スキル:
・サーバーOSの操作スキル(Linux・Windows)
・ミドルウェア設定、管理スキル
・仮想化、クラウド環境の構築スキル
・スクリプトや自動化スキル

インフラエンジニアにおいては、サーバーOS(Linux・Windows)の操作スキルがまず必須です。ユーザ管理、パーミッション設定から、サービスの起動・停止などといった基本操作が、まずできる必要があります。

また、Webサーバー(Apache、nginx)や、データベース(MySQL、PostgreSQL)などのミドルウェアを構築し、運用する力も、サーバーOSを中心に関わるインフラエンジニアには必要です。

あわせて、仮想化はもちろん、その後はクラウド環境においての知識や実践スキル、ShellやPowerShell、Ansibleといったスクリプトや自動化への対応スキルも重要な要素です。

必要スキルの違いを、具体的に比較

ここでは、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアに必要とされるスキルを、対象分野や機器などに分けてまとめていきます。

大枠は、必要なスキルなどの違いについて、以下のように解釈していくとよいでしょう。

ネットワークエンジニアインフラエンジニア
対象分野ネットワーク機器・通信経路サーバー・OS・仮想化・クラウド
必須スキルTCP/IP、ルーティング、スイッチング、CCNAレベルの知識Linux・Windowsの操作、ミドルウェア、仮想化、クラウド(AWS/Azure)、Shell操作など
機器の例ルータ、スイッチ、ファイアーウォールなど物理サーバー、仮想サーバー、ストレージなど
よく使うツールTeraTerm、Wireshark、Cisco IOSなどLinux CLI、AWS CLI、VMware、Ansibleなど

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ネットワークとインフラエンジニア、求められる資格の違い

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアは、仕事内容や、求められるスキルが異なるため、求められる資格の傾向も異なります。特に、中級以上の資格においては、大きく異なります

ここでは、それぞれの職種において、よく求められる資格と、その違いについて説明していきます。

ネットワークエンジニアに求められる資格

ネットワークエンジニアは、主に「ネットワーク」を扱う技術者であるため、ネットワークのプロトコルや機器(ルータ、スイッチなど)、セキュリティに関する知識を問う資格が重視されます。

ネットワークエンジニアに求められる、おすすめ資格については、以下の図を参考にしてください。

また、以下は特にネットワークエンジニアに人気でありかつ、実用性も高い、おすすめの資格です。

■ネットワークエンジニアに、特におすすめの資格:
・CCNA
・CCNP
・ネットワークスペシャリスト試験

まず、未経験者や初心者にもっともおすすめできる資格は、Cisco社が提供するネットワーク資格である、CCNA(Cisco Certified Network Associate)です。

CCNAは、世界共通で通用する資格であり、企業がエンジニアを採用する際にも「ネットワークの基礎知識がある証拠」として評価されやすいのが特徴です。

未経験からネットワークエンジニアを目指すなら、まず目標としたい資格はCCNAと言えるでしょう。

その他、CCNAの上位資格であるCCNP(Cisco Certified Network Professional)もおすすめです。ネットワーク構築といった、上流工程にステップアップしたい時に、非常に役立ちます。

あわせて、上級のネットワークエンジニアであれば、国家資格のネットワークスペシャリスト試験も安定した人気があります。より専門性高いキャリアを目指す人におすすめする資格です。

■関連記事:ネットワークエンジニアのおすすめ資格一覧、取得順番、難易度を解説

インフラエンジニアに求められる資格

一方で、インフラエンジニアは、サーバー、OS、仮想環境、クラウド、ミドルウェアなど、幅広い知識が求められます。そのため、資格の幅も、ネットワーク以上に広くなります

インフラエンジニアに求められる、おすすめ資格については、以下の図を参考にしてください。

また、以下は特にインフラエンジニアに人気でありかつ、実用性も高い、おすすめの資格です。

■インフラエンジニアに、特におすすめの資格:
・LPIC(もしくはLinuC) level1
・LPIC(もしくはLinuC) level2
・AWS認定 SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)

まず、未経験者や初心者にもっともおすすめできる資格は、Linuxサーバーの操作や管理スキルを問う資格である、Linux技術者認定(LPIC/LinuC)のレベル1です。

インフラエンジニアの多くは、Linux環境で仕事を行うため、Linuxの操作は必須のスキルであり、Linux操作の基本を学べるLPICやLinuCのレベル1は、未経験者の登竜門的な立ち位置の資格です。

また、その上位資格である(LPIC/LinuC)のレベル2は、サーバー構築といった上流工程にステップアップするために、非常に役立ちます。

あわせて、インフラ業界は現在オンプレミス(物理サーバー)からクラウドへの移行が進んでいるため、AWS認定 SAAといったクラウド資格も非常に価値ある資格かつ、おすすめ資格です。

■関連記事:【取得順番はこれ!】インフラエンジニアのおすすめ資格を取得順で解説

【まとめ】ネットワークとインフラエンジニアの、求められる資格の違い

ネットワークエンジニアには、「CCNA」や「ネットワークスペシャリスト」など、ネットワーク系の資格が求められます。ゆえに、ネットワークに専門性をもった資格が求められると言えるでしょう。

また、インフラエンジニアには、「LPIC」や「AWS認定」など、サーバー系(インフラ基盤系)全般のスキルを問う資格が求められます。

サーバー系は広いので、「クラウド」や「自動化」など、どこかの分野で強みを作るとよいでしょう。

ネットワークエンジニアインフラエンジニア
より求められる資格・CCNA
・CCNP
・ネットワークスペシャリスト
・安全情報確保支援士
・LPIC level1、2、3
・LinuC レベル1、2、3
・AWS認定 SAA
・AWS認定 SAP
・基本情報技術者試験
・応用情報技術者試験
・安全情報確保支援士

上記のように、それぞれの道に応じた資格を選ぶことで、学習の方向性も明確になり、結果としてキャリアの選択肢が広がっていくと言えます。

ただし、資格はキャリアのゴールではありません。資格を取得して、スタート地点に立ったとも言えます。資格は、自分の強みを増やす第一歩として、活用するとよいでしょう。

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ネットワークとインフラエンジニア、年収の違いは?

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアで迷う人にとって、気になるポイントとして「年収の違い」もあるのでしょう。

同じインフラ系であるものの、職種ごとに仕事内容や専門性が異なるため、高年収の条件なども異なります。ここでは、年収の違いや、その理由について、説明していきます。

ネットワークとインフラエンジニア、どっちの方が稼げるの?

結論としては、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアの年収は、大きな差はありません

転職サイトのdodaでは、ネットワークエンジニアと、インフラエンジニア(サーバーエンジニア)の平均年収について、以下のように算出しています。

※出典:doda 平均年収ランキング(2023年)

上記のdoda算出において、40代の平均年収で定点観測をしてみても、インフラエンジニア(サーバーエンジニア)は635万円、ネットワークエンジニアは647万円で、「年収に大差は発生しない」と見て取れます。

ゆえに、ネットワークとインフラエンジニアは、どちらの方が稼げるとは言えません。どちらの職種も、スキルを身につければ稼げる職種です。

また、以下からは、年収を上げるためのポイントを説明していきます。

ネットワークもインフラエンジニアも、上流工程に行くと年収は上がる

ネットワークもインフラ(サーバー)も、携わる工程によって、おおよその年収が決まっています。もちろん、勤務する会社や、プロジェクトの規模などによって変動はありますが、おおよそは下記の図になるでしょう。

ネットワークもインフラエンジニアも、キャリアの初期においては、運用保守や監視が中心です。キャリア初期では、高いスキルが求められないため、年収は比較的抑えられがちと言えます。

一方で、ネットワークもインフラエンジニアも、構築業務に携わったタイミングから、年収の上がり幅が大きくなりますスキルの深さによって、年収が上がると言えるでしょう。

経験・スキル年収の目安
運用保守レベル約300-450万円
構築レベル約400-550万円
基本設計レベル約450-750万円

年収を高めるためには、専門性を高めるのもカギ

ネットワークエンジニアも、インフラエンジニアも、最終的には、自分がどこまで専門性を高めるかによって、年収は変わります

例として、ネットワークエンジニアでは、設計やセキュリティ、SDN、マネジメントなど、市場価値が高い分野に進んでいけば、高年収が目指せていきます。

一方で、インフラエンジニアでは、クラウドや自動化(Ansible、Terraformなど)、コンテナ、マネジメントなどといった、市場価値が高い分野に進んでいけば、同様に高年収が目指せていきます。

つまり、「どっちを選ぶと年収が高い?」ではなく、「自分がどの分野であれば、深く成長できるのか?」の方が、収入を上げるポイントと言えるでしょう。

ネットワークエンジニアインフラエンジニア
高年収のキーワード例設計、セキュリティ、マネジメント設計、クラウド、自動化、コンテナ、セキュリティ、SRE、マネジメント

ネットワークとインフラエンジニア、キャリアパスの違いは?

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアは、仕事内容が似ているようで、異なります。特に、中級以上になると、必要とされるスキルや、学ぶべきスキルが大きく異なっていきます。

ゆえに、将来的に進む方向性やキャリアパスにも、違いが生まれていきます。ここではキャリアパスについて、詳しく説明していきます。

初級エンジニア(運用、保守、監視)時点では、大きな差はない

ネットワークエンジニアも、インフラエンジニアも、初級エンジニアの時点では、キャリアに大きな差は生まれません。いずれの職種も、運用、保守、監視からスタートすることが多いと言えます。

運用や保守、監視では、ネットワーク機器やサーバー、ミドルウェアの稼働状況をモニタリングすることや、障害対応、設定変更やトラブル対応を行っていき、現場経験を積んでいきます。

中級エンジニア(構築)から、キャリアパスが大きく分かれていく

ネットワークエンジニアとインフラエンジニアでは、初級エンジニア段階ではキャリアパスに大きな差はありません。しかし、高い専門性を持ち始める中級エンジニア以降は、キャリアパスが分かれていきます

中級レベル以上の、ネットワークエンジニアのキャリアパス

ネットワークエンジニアとして中級レベルになると、ネットワーク構築エンジニアとして、ルーティングやVLAN、セキュリティ設定などを行っていく立ち位置となります。

また、ネットワーク構築経験を積んだ後は、上流工程に携わるネットワークアーキテクトや、セキュリティ対策に強みを持つセキュリティエンジニアにステップアップが望めます。

このように、ネットワークの専門家として、仕事に関わっていくため、ネットワークを中心としたキャリア形成となっていきます。

中級レベル以上の、インフラエンジニアのキャリアパス

一方で、インフラエンジニアとして中級レベルになると、インフラ構築エンジニアとして、サーバーや仮想環境の構築を行っていく立ち位置となります。

このインフラ構築段階で経験を積むと、一般的には、オンプレミス環境にくわえて、AWSやAzureといったクラウドプラットフォームに関わる機会や、自動化に挑戦できる機会も増えていきます。

また、データベースにスキルの照準を合わせ、データベースエンジニアを目指すことや、セキュリティを中心に学習し、セキュリティエンジニアを目指すことも可能となります。

このように、インフラエンジニアの仕事は幅広いため、ネットワークエンジニアと異なり、自分の興味がある方向性(クラウド、コンテナ、データベースなど)に、キャリアの舵を切りやすいと言えます。

ネットワークエンジニアインフラエンジニア
キャリアの幅専門特化型(深堀りタイプ)総合技術型(汎用タイプ)
中級以降の方向性・ネットワークエンジニア
・セキュリティエンジニア
・インフラエンジニア
・クラウドエンジニア
・データベースエンジニア
・セキュリティエンジニア
上級職の例・プロジェクトマネージャ
・セキュリティコンサルタント
・ネットワークアーキテクト
・プロジェクトマネージャ
・ITコンサルタント/アーキテクト
・クラウドアーキテクト
・SRE
・社内SE

ネットワークとインフラエンジニア、将来性の違いは?

AIやクラウドが普及し、ITの形がどんどん変わっていく中で、ネットワークエンジニアやインフラエンジニアの役割も進化しています。ここでは、それぞれの将来性について、説明していきます。

ネットワークエンジニアの将来性

ネットワークエンジニアの特徴は、企業内外のネットワーク通信に専門特化している所です。ネットワークは、やや構造に変化はみられるものの、その専門性から需要が続いており、引き続き将来性が見込まれます

例として、5GやIoTの普及により、ネットワーク通信の高速化や多様化が進んでいます。その中で、複雑なネットワーク構成やSDN(Software Defined Networking)などの高度な技術に対応できる人材は、大きく不足しています。

あわせて、ゼロトラストなどのセキュリティ設計においても、ネットワークの知識は不可欠であり、ネットワークエンジニアは今後も不可欠な存在と言えるでしょう。

ただし、ネットワークエンジニアとして将来性を高めるなら、高度な設計スキルや、セキュリティ分野との連携ができるスキルが求められていくと言えます。

■関連記事:ネットワークエンジニアの将来性とは?需要が高まるスキルも解説

インフラエンジニアの将来性

インフラエンジニアの特徴は、サーバー、OS、仮想化、クラウドなど、守備範囲の幅広さです。その守備範囲の広さから、高い将来性が見込まれます。例としては、クラウド、DevOps、自動化が挙げられます。

具体的には、AWSやAzureといったクラウド市場の成長により、インフラエンジニアの仕事が、物理から仮想・クラウドに変化してきています。

また、開発チームと連携してインフラを設計するDevOpsや、SRE(Site Reliability Engineering)やInfrastructure as Code(IaC)などといった、新しい運用スタイルが加速的に広がっています。

ゆえに、インフラエンジニアの仕事環境は、クラウドサービスやツールが急速に進化しているため、将来性のポイントは、新しい知識や、需要が高いスキルをキャッチアップすることと言えます。

求人市場で比較すると

求人市場で、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアを調べてみるために、リクルートエージェント社の求人検索を使って、求人ヒット数を確認してみました。

ヒット数の結果として、「ネットワークエンジニア:求人数 22,330件」、「サーバ・インフラエンジニア:求人数 22,560件」となりました。

参照:リクルートエージェント 求人検索

求人検索のヒット件数であるため、あくまで参考程度ではありますが、ネットワークエンジニアも、インフラエンジニアも、どちらも需要や市場は高いと言えるでしょう。

求人数需要の伸び
ネットワークエンジニア非常に多い微増(高度案件が増加)
インフラエンジニア非常に多い微増(クラウド案件が増加)

どちらの職種が、自分に向いてる?

これからインフラ系のエンジニアを目指す人にとって、「自分はどちらの職種が向いているのか?」も気になるポイントでしょう。

ここでは、ネットワークエンジニアとインフラエンジニアについて、異なる点や、それぞれ向いている人の特徴などを比較していきます。どちらが自分に向くか、判断するヒントとしてください。

ネットワークエンジニアに向いている人の特徴

ネットワークエンジニアは、ネットワークという通信インフラを支える職種であり、確実性や正確性、トラブル対応力などが、より求められる職種です。具体的には、以下タイプの人に向いています。

■ネットワークエンジニアに向いている人:
・理論をじっくり理解するのが好きな人
・プレッシャーに強い、トラブルに冷静に対応できる人
・細かな作業や対応が得意な人
・通信やセキュリティの仕組みに興味がある人

ネットワークエンジニアは、通信プロトコルやIPアドレス、ルーティングなど、理論的な知識が多く求められる職種です。ゆえに、理論をじっくり理解する人には向きやすいでしょう。

また、ネットワークの通信障害は、精神的にも肉体的にも、大きな負荷がかかります。ゆえにプレッシャーに強く、トラブルに冷静に対応できるタイプの人も向いていると言えます。

くわえて、ネットワーク機器の作業は、丁寧さと正確さが求められるため、細かな作業が好きな人も向きやすく、ネットワークとセキュリティは密接な関係があるため、セキュリティに興味がある人も向きやすいでしょう。

■関連記事:ネットワークエンジニアに向いている人の特徴は?未経験でも大丈夫?

インフラエンジニアに向いている人の特徴

インフラエンジニアは、IT基盤全体を扱う職種であり、守備範囲が広いのが特徴です。ゆえに、幅広い技術や、需要が高いスキルへの対応が、より求められる職種です。

具体的には、以下タイプの人に向いています。

■インフラエンジニアに向いている人:
・幅広く学ぶのが好きな人
・新しい技術トレンドを学ぶのが好きな人
・自動化や効率化が好きな人
・システム全体を見ていきたい人

インフラエンジニアは、サーバー、OS、仮想化、クラウドなど、IT基盤の全体を扱う職種であるため、さまざまな分野に携わることができます。ゆえに、幅広く学ぶのが好きな人に向いています。

また、AWSやAzureなど、クラウド技術においては進化が早いため、新しいトレンドを学んでいきたい人、他にAnsibleやTerraformなど、コードによるインフラの自動化も活発であり、自動化などに興味がある人も向いています。

あわせて、インフラエンジニアは、複数の技術要素を組み合わせて、最適なインフラ構成を考えていくため、システム全体を見ていきたい人にも向いています。

■関連記事:インフラエンジニアに向いている人は、こんな人!特徴や性格を説明

性格や志向性別、どちらが向いている?

ネットワークエンジニアとインフラエンジニア、どちらを目指すべきか迷った場合には、自分の性格や志向性も含めて検討してみましょう。

例として、性格や志向性別で、向いている職種を切り分けると、下記となります。

性格・志向性向いている職種
狭く深く、技術を追求したいネットワークエンジニア向き
新しい技術を、幅広く試したいインフラエンジニア向き
通信の仕組みに興味があるネットワークエンジニア向き
クラウドや仮想化に興味があるインフラエンジニア向き
細かな設定作業が好きネットワークエンジニア向き
機器だけでなく、システム全体を見たいインフラエンジニア向き
将来的にネットワークの専門化になりたいネットワークエンジニア向き
やってみて、興味がある分野を見つけたいインフラエンジニア向き
セキュリティに強い興味があるややネットワークエンジニア向き

おすすめの選び方は、自分にとって興味がある職種

ネットワークエンジニアとインフラエンジニア、将来性や年収などといった客観的な条件でキャリアを決めるのは、有効なやり方の一つです。客観的な条件も、大切な基準の一つでしょう。

しかし、忘れて欲しくないのは、主観的に「自分がどちらに興味を持てるのか」という考え方です。「どちらの方が、仕事をしていて、勉強していて、面白みを感じるか」も大事な基準と言えます。

どちらの職種であっても、エンジニアとして活躍するには、継続的な学習が必要です。ITの世界は技術の変化が早いため、新しいスキルを学び続ける必要がでてきます。

その時に、単に「稼げると思ったから」、「需要があるから」という理由だけでは、学び続けるモチベーションを維持するのが難しくなることもあるでしょう。

向いているかどうかは、最初から完璧にはわからない

実際に仕事をやってみないと、勉強をしてみないと、向いているかはわかりません。また、仕事をやってみて、勉強してみても、完璧に向いているかはわからないこともあるでしょう。

大切なことは、少しでも「面白そうと感じた分野から始めてみること」でしょう。興味がある分野であれば、自然と知識が深まり、成長スピードが早くなります。

また、「ネットワークから始めたが、サーバーに興味がでた」など、始めた後で、逆の分野に興味がでてきた場合は、キャリアチェンジをすればよいでしょう。初期段階であれば、キャリアチェンジは容易です。

後悔しない選び方は、自分が興味を持てるかどうか

自分にとって「興味を持てるかどうか」で決めることができれば、どちらの職種を選んでも、後悔をしにくい選び方になるでしょう。

また、興味がある分野であれば、自然と知識が深まり、将来のキャリアアップや年収アップにつながっていきます

現在では、ネット上に無料で学べる教材や動画も豊富にあります。まずは、どちらが自分にとって楽しく学べそうなのか、試しに触れてみるのも、よい選び方と言えるでしょう。

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